【NOAH】拳王まさかの一日天下 KENTAが11年半ぶりGHCヘビー戴冠、丸藤との初防衛戦実現へ 2025/7/20

『プロレスリング・ノア25周年記念大会 NEW DEPARTURE day2』後楽園ホール(2025年7月20日)
GHCヘビー級選手権試合 ○KENTAvs拳王×

 拳王まさかの一日天下――。KENTAが拳王との激闘を制して11年半ぶり2度目のGHCヘビー級王座戴冠に成功。宿命のライバル・丸藤との初防衛戦が決定的となった。

 前夜(19日)の初日メインでOZAWAを破って新王者に輝いた拳王が、即座にKENTAを指名して超異例の“翌日初防衛戦"が決まった。今年の元日武道館大会など過去2度に渡ってシングルでKENTAに敗れている拳王にとっては、かつて憧れたKENTAを今度こそ一騎打ちで突破すべく“3度目の正直"を期した形となった。

 後楽園2連戦の大トリ、そしてNOAH旗揚げ25周年記念大会のラストを飾るメインイベント。小橋建太さんが中継解説を務めるなか、試合は喧嘩腰のエルボー合戦、ビンタ合戦で幕開けした。ムキになってサッカーボールキック合戦も展開し、場内は一気にヒートアップする。

 ここからキャリアで勝るKENTAは冷静に首狙いにシフトし、スリーパーや首4の字固め、STFで執ように絞め上げて試合を掌握。防戦一方となった拳王はエプロンで倒れるKENTAめがけて、PFSを投下し、反撃に転じようとするが、KENTAは鉄柵に足を固定しての場外DDTで主導権を即座に奪回する。得意の串刺し顔面低空ドロップキックをぶち込むと、お返しとばかりにダイビングフットスタンプで急降下した。

 劣勢続きの拳王はミドルキック合戦でも競り負けたものの、起死回生の卍蹴りをカウンターでズバリ。ドラゴンスープレックスや蹴暴を皮切りに一気呵成に攻め立てる。KENTAもコーナーに逆さ吊りにして顔面に串刺し低空ドロップキックを発射し、go 2 sleepがクリーンヒットするが、拳王は沈まない。逆にKENTAのGAME OVERを拳王スペシャルで切り返して逆転。長時間絞め上げるとPFSがさく裂したが、今度はKENTAが肩を上げた。

 拳王は最終兵器の炎輪を狙うも、KENTAは回避。不時着した拳王にブサイクへのヒザ蹴りを放つと、ロープを往復してから再度ねじ込む。ビンタ合戦になっても、クロスカウンター式掌底でKENTAが競り勝ち、なおもビンタを猛連打。バズソーキック3連発も叩き込んだ。拳王はそれでも沈まなかったものの、KENTAはトドメの生ヒザ式go 2 sleepで王者を葬った。

 拳王まさかの一日天下、わずか約17時間で王座から陥落。急きょのチャンスを見事モノにしたKENTAが、11年半ぶり2度目のGHCヘビー級王座戴冠を果たした。

 数奇にも師匠・小橋さんからベルトを手渡されたKENTAは、深々と頭を下げながら受け取って場内も大KENTAコールに包まれる。「こんなにたくさんのKENTAコール、ありがとうございます。そして小橋さん、ありがとうございました。最初、開会宣言で一緒におー!って言わなかったこと、謝ります」と感謝しながら笑いを誘った。

 拳王にも「昨日、あんだけ激しい試合をして、どう考えたってお前のほうが不利な状況なのに、こうやって俺との対戦を受けてくれて、どうもありがとう」と感謝したが、「今日戦ってみて、俺は思ったんだ。やっぱり俺たちは組んでいくよりも、戦っていったほうが面白いんじゃないか。お前とバチバチやり合いたいんだよ。決して昨日のブレイクダンスが下手だったからだとかそういう理由じゃない。お前とだったら今日みたいな激しいぶつかり合い、プロレスリング・ノアの戦いを見せれるんじゃないかって思うんだよ。もうチームはいいだろ? 俺たち別々の道を歩んで戦っていこうぜ」と、佐々木憂流迦も含めて共闘中でもある拳王に発展的な“別離"を提案した。

 拳王も「俺が思ってた通りのメチャクチャ強いKENTAで今日来てくれて、どうもありがとう。そして今、お前が言ったことも納得した。ただ! これから俺とKENTA、戦っていくけど、このプロレスリング・NOAHを日本で…いや世界で一番刺激のある団体にしようぜ、それがこれから戦っていくうえでの約束だ」と応じて、誓いのグータッチを交わした。

 大拍手のなかで拳王が花道を下がると、入れ替わるように一人の男が現れる。KENTA宿命のライバル・丸藤だった。

 マイクを握った丸藤は「KENTA、まずはおめでとう。ちょっとだけ時間をくれ。このプロレスリング・ノア、25年、お前とはタッグで歴史を創って、何度も戦ってきた。そんな中、お前は突然いなくなった。それでも俺は応援していたし、正直悲しくて残念な部分もあった。でも、俺がここで戦い続けて、ここで生き続ければ、必ず今日みたいな日が来ると思ってたよ。俺が25年ここに居続ける理由の一つはKENTA、お前だ。拳王をはじめOZAWA、清宮、今のNOAHの選手たちが作ったこの空間を俺は大好きだし、感謝してる。でも、俺とお前の歴史、そこにも俺はプライドを持ってる。KENTAと皆さんがよければ、ぜひとも俺に挑戦させてくれ」と思いの丈を語りながら挑戦表明した。

 KENTAも「丸藤さん、やりましょうよ」と即諾。「でも、このベルト、獲りにきてくださいよ。最近の丸藤さんみたいに、なんか後輩上げて、なんか後ろに回って…みたいなそんな丸藤さん見たくないんですよ」と釘を刺したが、丸藤も「安心しろ。まだ結構強えよ」と返して、両者不敵に笑いながら向かい合った。

 丸藤が去って改めて観衆に向き直したKENTAは「ホントに25年前、旗揚げの時には試合も組まれなかった俺が、25年経ってまたこうしてメインイベントで試合をやれたってこと、またプロレスリング・ノアに戻してもらえたってこと。本当にありがたく、嬉しく思っています。そして何より俺をここに今日立たせてくれているのは、皆さんのおかげです。まだまだ俺が先頭に立ってプロレスリング・ノアを引っ張っていっていいってことですよね?」と問いかけ、観衆も大歓声で呼応。「こうして皆さんから応援されるようなチャンピオンでいたいし、応援される選手で居続けられるように精一杯やっていこうと思います。また次、後楽園、どこか、プロレスリング・ノアの会場で皆さんに会えることを楽しみにしています。今日はどうもありがとう」と締めくくった。

 今大会でラストを迎えたNOAH旗揚げ25周年記念大会はKENTAのGHCヘビー戴冠で幕。そしていきなりの丸KEN対決実現へ。KENTA自身も今年はデビュー25周年イヤー。節目の年に思わぬ形で再び昇った“黒い太陽"は、いかなる光で激動の方舟マットを照らすのか。

【KENTAの話】「獲っちゃった。獲っちゃったよ。どうよ? このGHCベルト、まさかこうしてまた巻く日が来る…。急に拳王の男気があって、こうやって挑戦させてもらって、こうやって獲ることができて、いや、メッチャ最高の気分です。会場もすごい温かかったし。温かいね、プロレスリング・ノアのファンは本当に。前も言ったけど。拳王とはこれから戦って。何回もどうしても言っちゃうけど、頭から離れないから。どうしてもブレイクダンス。ブレイクダンスで次は拳王と勝負しても、まったくやったことないけど、なんか勝てそうな気がするし、あれだったら。でも、すごいなんか、まさかこんな2日間になるとは昨日の時点で思わなかったけど、熱い1日になりました。ありがとうございました。またこうやってチャンピオンとして、これからプロレスリング・ノアに帰ってきた意味を皆さんにお見せしていきたいと思ってます。これからついてきてもらいたいなと思います。結局、最後俺が何が言いたいかっていうと、俺が新しいGHCチャンピオンだってこと」

【拳王の話】「おい、KENTA。オメーな、リング上で2日続けて疲れているのに、指名してくれてありがとうとか言ったな。おい、甘えてんじゃねえぞ。俺はな、昨日タイトルマッチだったけどな、今日朝起きた時、全然疲れてねえよ。痛いとこどこもねえよ。完全体の拳王で今日臨んだんだよ。それでKENTAに負けた。俺が弱かったってことだ。これからな、まだまだ俺には目標ができた。KENTA、テメーを倒すぞ。おい、いいか。N-1あるよな。OZAWAに決勝来いって言った。誰でもいいぞ。勝ち残ったら、OZAWAもKENTAも当たるよな、N-1。お前ら2人、もう一度戦って、そして俺が倒してやる。KENTA、倒してやるからな」


【丸藤の話】

▼丸藤「プロレスリング・ノア25周年。今年に入って方舟伝承とかそういう試合をしてきた中で、俺は結果を残していないけども、やっぱり俺はここに居続けた自信、そしてプライド、自分にしか見せれないもの、そういうものがあると思っているんで。このタイミングでKENTAがチャンピオンになって、『やっぱ俺しかいないでしょ?』と。2人でぜひNOAHの戦いってものを見せたいなと思います」

――最近のNOAHの若い選手の戦いぶりに触発されたところはある?

▼丸藤「そうですね。あまりにも若い選手たちが元気だし、いい試合をするし、勢いもあるんで。このままじゃプロレスリング・ノアの25周年、俺が目立つところがまったくねえなって自分でも思ってたんで。ここで丸藤ってものをもう1回見せたいなと。それがKENTAならば見せれるんじゃないかなって思ってます」

――NOAHに居続けた理由の1つがKENTA選手の存在だったという話があったが、どこかで新しい形でKENTA選手と会える可能性はずっと考えていた?

▼丸藤「うーん、どうでしょう。そんなものは本当にわからないことだし。だけど、俺のプロレス人生の中で、KENTAっていうのはかけがえのない人間で。このままいつの間にか終わってしまうような関係ではないんじゃないかなって自分では思っていたんで。こんなものは、ハッキリ言って運命ですよ。自分がどう思ってたかじゃなく、もう運命じゃないですか」

――OZAWA選手がチャンピオンの時は行動を起こさなかったが、それはOZAWA選手をGHCのチャンピオンだと認めていなかった?

▼丸藤「いや、認めてましたよ。面白い試合するなあと思ってましたよ、ずっと。タイミングが来たらと思ってましたけど、さっき言ったように、今年に入ってから俺は方舟伝承でも負け続けていたし、言うなれば大阪のタッグマッチとかも負けてしまっていたし、なかなかそのタイミングをうかがうというのが難しい中で、そのタイミングを逃してしまっていた部分もあるんですけど。まあ、彼はまだデビューしてそんなに経っていない人間なんで、いつでもやるタイミングはあるし。確かに素晴らしいチャンピオンで、素晴らしい動きをして、お客さんをたくさん呼んるけども、俺からすればまだ若造ですよ。落ち着いたらやろうよ、OZAWAと。それよりも今はKENTAとやりたいなと」