9/28【WRESTLE-1】芦野「防衛したらもう受けない」、征矢はギブアップ勝利を予告 9・29大阪W-1王座戦インタビュー
9・29大阪大会でWRESTLE-1チャンピオンシップを争う王者・芦野祥太郎と挑戦者・征矢学。9・2横浜文体大会以来27日ぶりの再戦で前回は芦野がレフェリーストップ勝ちで6ヵ月ぶり2度目のW-1王座戴冠を果たしている。この結果を不服とした征矢が再戦を要求してリマッチが決まった。
W-1の現状に危機感を抱く王者・芦野は「大阪での防衛はマストなんですよね。ここで俺が防衛しないとW-1の未来がなくなってしまうんじゃないか」と自らに初防衛を義務づけた。「一番に目指すべきはこのシングルのベルトなんだよってことを大阪で示さないといけない」と王者の責任感をむき出しで、征矢に対しては「防衛したらもう受けないです。負けたら今度こそ一番後ろに並べ」と通告した。
征矢は23日ぶりの早期返り咲きを狙う。全開を振り返って「プロレスのルールとしてレフェリーが絶対なところはあるわけですけど、やっぱり自分で認めた負けではないから納得はいかない」と強調し、「あいつのチャンピオン像が見えてこないですよね。声援もなければブーイングもない。どうしたいのか見えてこない」と芦野政権に苦言を呈することも忘れず。大阪ではW-1王座戦初開催とあって、「俺は常々日本全国でプロレスを見せたいと思っているし、今回の一戦はその架け橋になるんじゃないか」と大目標の足がかりとするつもりで、「俺はラリアット一本で来たかのようなイメージがあるかもしれないですけど、実際には武藤さんからギブアップを取ったこともある。自信の技がありますから。あいつをねじ伏せて、あいつ自身の手でマットを叩かせたい」と芦野のお株を奪うギブアップ勝利を描いた。
W-1提供の芦野、征矢両選手のインタビューは以下の通り。
【芦野インタビュー】
──まず羆嵐選手と一緒に出たタッグリーグがまさかの全敗で終わったんですけど、これについてはどのように思われているんですか?
▼芦野「不甲斐ない結果ですよね。まあ、そこは結果を出せなかったことを真摯に受け止めます。ただ、元々タッグリーグにモチベーションがなかったというか、タッグリーグに魅力がないんですよね。一応、W-1の中でタッグの一番を決めるというコンセプトがあるにもかかわらず、征矢&稲葉、岩石&佐藤、カズ&ペガソとかこれまで組んだことのないチームがポロッと出てきてしまうというか、出れちゃう。そこに魅力を感じなかったですね。だから、全敗でもいいっかって感じなんですよね。だって、負けたのだって丸め込みですから、ペガソも稲葉も。その丸め込みで勝とうとする根性の汚さですよね。正々堂々と勝とうとしない。力で相手をねじ伏せようと思わないんですかね?」
──芦野選手が負けること自体珍しいんですけど、丸め込みでは負けた気がしない、と。
▼芦野「全くしないですね。オウンゴールみたいなもんですよ。彼が強いんじゃなくて、俺がミスしたから負けたって感じですね」
──ペガソ選手からは無差別挑戦の言葉も出ましたけど、どのように思っていらっしゃるんですか?
▼芦野「まだ早いんじゃないですか? まあ、ペガソがどう動くかによると思うんですけど」
──丸め込みの敗戦だけでは受ける気はあまりしないというところでしょうか? ただ、タッグリーグへのモチベーションも結局高まらず、最後の公式戦となった米子大会でのアンディ&パンテーラ組との公式戦は自ら反則負けという形で壊してしまいました。
▼芦野「もう決勝に上がれないことが決まったチーム同士の公式戦がメインなんですよ。『なんじゃそりゃ?』じゃないですか。だったら、反則負けでいいやっていう。29日の大阪での防衛戦に向けて体力を温存しようということです。結局、征矢とペガソが入ってきて4対4になりましたけど、それはおいといて」
──ということはタッグリーグ中も頭の中は防衛戦のほうに集中していたということですか?
▼芦野「もちろんそうですね。だから、征矢にももうちょっと集中してほしかったんですけど、また#STRONGHEARTSのスパイがどうのこうのってふざけたことをやってるじゃないですか? 逃げたんじゃないですかね? 真剣な闘いに息が詰まっちゃって逃げたんでしょうね」
──自分から望んだリマッチなんですけどね。
▼芦野「自分から望んだんでしょうけど、彼のワイルドというスタイルがあって、それが逆に足かせになっちゃってる。真面目にやりたいんだけど、それを捨てきれないんでしょうね。だからベルトを取ってからも何がやりたいのかがわからなかった。今もそれが続いているので、一生迷い続けるんじゃないですか?」
──芦野選手から見るとちょっと中途半端なイメージがあると。
▼芦野「どっちかに振り切らないと。結局、前のワイルドってやっていた征矢学のほうが魅力的だったんですよ。丸坊主にして中途半端に染めてるけど、それじゃあ何をやりたいのか伝わらない。彼なりにW-1のために何かを変えようと思っているんでしょうけど、結果として現れないですよね」
──それが芦野選手がベルトを持っていなかった時期にハッキリと現れてしまったということですか?
▼芦野「防衛回数に出ちゃいましたよね。シングルのベルトを持っていてシングルのタイトルマッチをやらないっていうのが問題じゃないですか? タッグばっかりだったし、その間に俺はタッグでチャンピオンになったけど、結局メインに出ずっぱりでしたからね。征矢はそれを崩せなかった。行動はどうあれ、この結果は受け止めてもらわないと」
──同じチャンピオンを張った者同士として物足りないチャンピオンだったと。
▼芦野「子どもたちにW-1を広めたいみたいなことを言ってたけど、その子どもたちはチャンピオンのタイトルマッチを見られないわけですよ。優しいけど、闘ったらあんなに強いチャンピオンの姿を見せられない。その時点で間違えちゃってますよね」
──防衛戦は会社が決める部分も大きいと思うんですけど、だったら自分で動いて防衛戦をやる機会を作れということですか?
▼芦野「そうですよ。無理矢理でも防衛戦をしていく気概がないと。いろいろ挑戦できる団体だと思うんですよW-1は。今、挑戦しないでいつやるのっていう話じゃないですか? だから、俺が1年間で高めてきたものを徐々に崩されていった感じですよ。しかも、その征矢に誰も挑戦していこうとしないし」
──羆嵐選手だけでしたね。
▼芦野「結局、Enfants Terriblesなんですよ。2017年も2018年もEnfants Terriblesがずっとメインを張ってW-1を仕切っていたということなんですよ。やっぱりW-1本隊の実力不足。NEW ERAがあった時はまだ『若手でがんばります』なんて言ってたけど、今じゃベテランの言いなりですからね。近藤の言うことを聞く土肥がいて、河野は佐藤や納谷の子守をしている。こんな状況では団体は上がらないですよ。だから、大阪での防衛はマストなんですよね。ここで俺が防衛しないとW-1の未来がなくなってしまうんじゃないかっていうぐらいの危機感を感じて試合に臨みますよ。それでタッグリーグに集中できなかったというのもあったんですけどね」
──自分が負けるとW-1が終わるっていう感覚があると。
▼芦野「せっかく進んでいたのにまた元に戻りますよ。#STRONGHEARTSが来ていて、何が主軸なのかがわからなくなってきている部分が会社にもあると思うんですよ。それをもう一度正したい。一番に目指すべきはこのシングルのベルトなんだよってことを大阪で示さないといけないですね」
──なるほど。ちなみに征矢選手とは今年3回目のタイトルマッチになりますね。
▼芦野「防衛したらもう受けないです。負けたら今度こそ一番後ろに並べって。リマッチ権なんて契約にあるわけじゃないんだから。今回はギブアップしてないって言うから、特別にリマッチを受けたわけであって、レフェリーストップだって技から逃げられないからそうなったわけだし、お前の負けだよって話なんですよ。ちょっと勘違いしてますよね」
──ただ、過去2回のタイトルマッチで、征矢選手との闘いはいずれも激闘になってきました。改めてその印象を教えていただけますか?
▼芦野「やりづらいですね。独特の空間があるんでこっちのペースを崩されちゃう。こういうタイミングでこの技が来るんだろうなって想定していると、早いタイミングで来たり、あるいはひとテンポ遅れて技が来たりするので、そこでダメージを負ってしまいますね。でも、彼はラリアットしかないんで。新木場の試合後に『ギブアップ取る!』とか言ってましたけど、関節技をナメんなよって。まあ、アンクルでありT−ボーンスープレックスであり、武器はこっちのほうが多いですから。どういう関節技で来るかわからないですけど、付け焼き刃では勝てませんよっていうのを証明するだけですね」
──なるほど。でも、文体のメインカードにもなったタイトルマッチを大阪でやるというのは意義があると思いますね。
▼芦野「W-1で地方で無差別のタイトルマッチをやるのは初なんで。新たな試みとしてチャンピオンに返り咲いた時にやろうと思っていたんですよ。もっと地方でタイトルマッチをやりたい。征矢が言っていたチャンピオンとしてW-1を広めていきたいというのはそういうことだと思うんですよ。また違った芦野政権を見せられると思うんでね。それから他団体の人ともやりたいですね、W-1のリングで。いろいろいるじゃないですか? 胸いっぱいプロレスをやっていきたい人とかいるでしょ? そういう人たちともやっていきたいですね」
──第一次政権とは違ったものを見せられると。
▼芦野「W-1の中ではもう一周しちゃっているんで。やっぱり地方でやるとか、違ったものを見せていかないと。でも、前にやった選手でもこのベルトに対しての強い気持ちを見せてくれるならやりますよ。防衛戦自体は毎月必ずやります。それは約束します」
──わかりました。では、タイトルマッチを楽しみにしている大阪のファンに一言お願いします。
▼芦野「W-1チャンピオンシップが大阪で初の開催ということで非常に気合いが入っています。必ず征矢を倒して1回目の防衛をして、この大阪を皮切りにまた長期政権を築いていきます」
【征矢インタビュー】
──9月29日の大阪大会でのW-1チャンピオンシップが目前に迫っております。文体の芦野選手とのタイトルマッチ後に、すぐリマッチを申し出たのはやはりレフェリーストップという裁定は納得がいかなかったということですか?
▼征矢「自ら手を叩いて降参したという負けではなかったのでね。プロレスのルールとしてレフェリーが絶対なところはあるわけですけど、やっぱり自分で認めた負けではないから納得はいかないですよね」
──あそこで止められなかったら、ロープエスケープや技から逃げることができたという気持ちはあったんですか?
▼征矢「痛みを我慢しつつ、何かしら逃げるための方策を考えていたんで。例えば両足がふさがれている状態でしたけど、芦野を引きずってでもロープに行くという荒業もあったんです。ただ、その前にレフェリーの判断があった。だから、俺の中であの試合は終わってないんですよ」
──ということは、レフェリーのミスジャッジじゃないかというお気持ちもあったんですか?
▼征矢「お客さんの目にどう写っていたかわからないですよ。ただ、俺としては止めなくてもよかった。レフェリーは危機を察知したがゆえに止めたんでしょうけど、大きなお世話でしたね」
──なるほど。芦野選手とは今年に入って2回もタイトルマッチをやっているわけですけど、半年前の3月の試合と文体の時と比べて、変化だったりは感じたりしましたか?
▼征矢「あいつもベルトを落として一番下まで落ちて、それからトーナメントで優勝して俺のところまで来たんで、リマッチに近い気持ちだったのかもしれないですね。だから、最初にやった時よりも執念的なものは感じました」
──1勝1敗で迎えた3度目の対戦ですから、次は完全決着戦という形になると思うんですけど。
▼征矢「その決着戦を大阪で見せられるというのはいいですよね。大阪のお客さんにW-1の頂点のベルトを懸けた闘いを見せられる。大阪でやるのは初ですからね。俺は常々日本全国でプロレスを見せたいと思っているし、今回の一戦はその架け橋になるんじゃないかと思うんですよ。子どもにプロレスを伝えたいと思っていろいろ動いているんですけど、なかなか自分一人では形にできないところがある。やっぱりいろんな人の力を借りなきゃいけないし、そのためにも全国に行っていろんな人たちとつながりたい。そういう意味でも今回の大阪でのタイトルマッチは望むところですよ」
──そのきっかけになる一戦にしたいということですね。ちなみにタッグリーグが並行して行なわれているわけですけど、征矢選手にとってこの状況はプラスですか? 芦野選手は大阪の防衛戦に集中していたので、タッグリーグへのモチベーションが上がらなかったということをおっしゃっていたんですが。
▼征矢「例えば三層の違う味が重なったケーキがあったとすると、俺は一つの味だけではなく三つの味を楽しみたいタイプなんですね。タッグリーグもタイトルマッチも両方楽しむ。そこは芦野とは経験の差がありますよね。全日本プロレス時代にも大日本プロレスさんのベルトを持っていたり、『最強タッグ』中にタイトルマッチをやったりしたこともありましたからね。だから、全然気にならないです。そこはスイッチを切り替えてやっていける部分なんで、経験の差でしょうね」
──むしろタッグリーグは2連勝で、あと一つ、札幌での公式戦に勝てば優勝決定戦進出ですもんね。
▼征矢「もうパートナーが稲葉ですから。信頼は厚いし、試合も任せられますんで。元々プライベートでも仲がいいんですよ。なんとなく奴の心の内もわかるし、NEW ERAでやっていた時は無理しているなと思っていたんですけど、今のほうがのびのびとやっているんじゃないですかね? まあ、あいつは自分のことを発信するのが下手な部分があるんですけど、あいつの感情的な部分を引き出せるのは俺しかいないんじゃないかと思いますね。もっと弾けた時に奴の意外な一面が見られるかもしれない。もしかしたら、名前も変えたほうがいいかもしれないですね」
──リングネームから弾けたほうがいいと。
▼征矢「そこは奴に任せます。ただ、タッグを組んだのが今回のタッグリーグからだし、2試合しかしてない中で結果を残せていることを考えると、タッグに関しては問題ないですね」
──#STRONGHEARTSのスパイを探す活動も2人でされていますけど、タッグやあるいはタイトルマッチに向けてもいい効果は出ていますか?
▼征矢「W-1に入ってから、一つのことだけに集中するということはなかったんで。マッチメイカーをやったりしながら試合もしていたし、そういう意味では二足のわらじ、三足のわらじは得意分野ですよ。だから、もしかしたら、周りの人は『タイトルマッチに集中しろよ! ふざけんじゃねえよ!』って思っているかもしれないけど、ちゃんとタイトルマッチにも集中してますよ」
──それぞれのベクトルに対して集中できるということですか?
▼征矢「そうです。そして全ての方向に集中することが俺のパワーになっているのは間違いないですね。
──なるほど。ちなみに芦野選手から今度は自分がギブアップを取るという宣言をされていますが、もう対策は練ってあるんですか?
▼征矢「もちろんありますよ。俺はラリアット一本で来たかのようなイメージがあるかもしれないですけど、実際には武藤さんからギブアップを取ったこともある。自信の技がありますから。あいつをねじ伏せて、あいつ自身の手でマットを叩かせたいですね」
──元々、柔道やられていましたし、そのベースが生きてくるんですか?
▼征矢「全く。柔道の技は一切使っていません」
──では、プロレスの中で培ってきた技術を出そうと。
▼征矢「そうなりますね」
──芦野選手は「自分が負けるとW-1の未来がない」という言い方をしているんですけど、征矢選手は自分が巻いていたほうがW-1は上がるという感覚がありますか?
▼征矢「まあ、防衛回数も2回しかしてなかったし、それほど長い期間を巻いていなかったんで、俺自身チャンピオンとしては中途半端な発展途上の段階ではありましたよ。ただ、芦野が巻いてないと終わりだと言うなら、W-1は文体前に終わってるだろうって話じゃないですか? だいたい、この間の米子の行動もよくわからない」
──9月24日の米子大会では、アンディ&パンテーラ組との公式戦を壊してしまいましたね。征矢選手も出てきて急遽8人タッグになりましたけど。
▼征矢「あいつのチャンピオン像が見えてこないですよね。声援もなければブーイングもない。どうしたいのか見えてこない。まあ、米子の件に関して言えば、例え両チームとも決勝戦に行けなくても、お客さんが納得するような試合を見せるのが一番のご奉仕ですよ。それをしなかったら、本当にW-1は終わりますよ。だって、『お前ら、見に来いよ』じゃないですよね。『見に来ていただいてありがとうございます』という世界じゃないですか? 身体を酷使してでもお客さんに何かメッセージを伝えなきゃいけない、特にチャンピオンは。俺はそう思いますね」
──わかりました。では、大阪でのタイトルマッチを楽しみにしているファンの方たちに一言お願いします。
▼征矢「大阪初のW-1チャンピオンシップ、そして久しぶりのエディオンアリーナ大阪での大会なので、これをきっかけに地方にいろんな形で刺激を与えたいですね。そして、この大阪の皆さんに素晴らしい試合を見せて、征矢学がベルトを取る!」