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6/19【THE MATCH】天心が涙の判定勝ち 武尊との“世紀の一戦"制して最強証明、無敗でボクシング転向へ

 『THE MATCH 2022』東京ドーム大会が19日、行われ、那須川天心と武尊による“世紀の一戦"がついに実現。天心が1ラウンドでダウンを奪うと、その後も優勢に試合を進めて判定勝ち。涙を浮かべた天心は、キックボクシング無敗のまま、ボクシングに転向することになった。

 RISEやRIZINで活躍してきた“神童"天心、三階級制覇を成し遂げた“K-1のエース"武尊。ついに2人の対戦が現実のものになった。天心は41戦41勝(28KO)、武尊は41戦40勝(24KO)1敗と、どちらも圧倒的な戦績を誇る。天心が2015年8月に対戦を熱望したのを皮切りに、幾度となく両者の一騎打ちは話題に上がり、期待感は強まったものの、実現には至らなかった。しかし、2020年の大みそ日に武尊がRIZINの、翌21年3月に天心がK-1の会場を訪れて互いの試合を観戦し、気運が再び高まった。

 昨年6月に東京ドームでの対戦が一度は決定したものの、武尊の右拳負傷で中止に。天心が22年春のボクシング転向を宣言したため、一時は消滅の危機もささやかれた。だが、天心がボクシング転向を延期。RISEでもK-1でもない中立のリングで“世紀の一戦"が行われることが再決定した。地上波での中継中止という問題が発生しながらも、300万円で発売されて話題になった最前列をはじめ、チケットは全席完売。東京ドームには56399人もの記録的な大観衆が集まり、舞台は完全に整った。

 ルールは3分3ラウンド(延長1ラウンド)のスリーノックダウン制。全ラウンドで5人のジャッジによる採点が公開されるオープンスコアリング方式で、延長ラウンドは必ず優劣をつけるマスト制となった。

 期待感と緊張感に包まれる中、1ラウンドがスタート。天心が積極的に仕掛けてジャブやヒザ蹴りをを的確にヒットさせる、武尊も前に出たものの、ラウンド終盤には天心が強烈な左フックでダウンを奪った。場内は大きくどよめき、天心は拳を突き上げた。

 なんとか挽回したい武尊だったが、2ラウンドになっても、天心を捕らえることができない。焦ってバッティングや投げを見せてしまい、レフェリーから口頭注意を与えられる。3ラウンドも武尊が被弾を気にせず前に出るが、天心も引かずに応戦。真っ向から打ち合ったが、決着はつかずそのまま判定に。ダウンを奪い、試合を優勢に進めた天心が5-0の判定勝ちを収めた。

 決着がついたあと、2人は号泣しながら抱擁。喜びと安堵の涙を見せた天心は、「やったぞ!」と雄叫びを上げる。試合後には「僕の最後の試合、武尊選手との試合、長い間待ってくれた皆さん、そして武尊選手本当にありがとうございます」と感謝の思いを口にし、「武尊選手がいたからこそ俺はここまで強くなれた」とライバルにメッセージを送った。

 「キックボクシング終わりだ」と感慨深げにこぼした神童は「みんなが1つになって、こんな興行ができた。凄い幸せです。俺、今日勝って、初めて自分で強いと思いました。今まで自分が最強と思えなかったんですけど、凄い嬉しいです。本当に幸せです」と何度も「幸せ」と連呼し、完全燃焼した様子だった。

 一方、天心とは違い、悔恨の涙を流した武尊はバックステージでも嗚咽し、「僕を信じてついてきてくれたファンやK-1ファイターだったり、チームのみんなだったり、そういう人たちに心から申し訳ないと思っています」と何とか語ったものの、質疑応答はなく、そのまま会見場をあとに。明暗分けた2人の涙の違いが世紀の一戦の華やかさと残酷さを浮き彫りにした。

 天心もバックステージでコメントを発表した。「マジで負けたら死のうと思ってたんですよ。動画を撮って『これ遺書です』って。だから、人生最後の日だと言ってて。次の日をやっと迎えられる」と試合前の悲壮な覚悟を告白。今後に向けては「休みたい」と何度も口にし、「格闘技のこと1回考えない日々を送りたい」と話した。

 最後には「最高の舞台で戦わせてくれて、ありがとうございましたと伝えたい。これで那須川天心のキックボクシングは終わりですが、今後も格闘技をよろしくお願いします。すげぇ楽しかったです」と笑顔を見せていた。

 世紀の一戦を制し、キックボクシング最強を証明した天心。しばしの休息を挟み、満を持して延期していたボクシング転向に本腰を入れることになる。

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