【スターダム】岩谷麻優が電撃退団 「14年3ヵ月のスターダム人生、終わりにします」 2025/4/28

 岩谷麻優が28日、東京・中野坂上のスターダム事務所で岡田太郎社長同席のもと会見し、スターダム退団を発表した。

 岩谷は前日の4・27横浜アリーナ大会で朱里に敗れ、IWGP女子王座から陥落。試合後、「スターダムのアイコン・岩谷麻優は新たな道を探します」と語っていたが、次なる道へ向けた第一歩がスターダム退団だった。

 この日、岡田社長とともに会見した岩谷は一昨年からスターダム退団を考え始めたという。昨年の分裂騒動時には退団に傾いたものの、「岩谷麻優がいないとダメだ、スターダムがスターダムじゃなくなるって気持ち、スターダムを絶対守らなきゃ」と残留。2023年4月の横浜アリーナ大会で戴冠したIWGP女子王座を同じ横浜アリーナで陥落。「自分はIWGPにかけてたから、このベルトがなくなったらスターダムとしての岩谷麻優は終わり」との思いもあって、試合後、そしてこの日の会見前に岡田社長と話し合いを重ね、4月28日付での退団が決まった。

 2011年1月のスターダム旗揚げ戦でデビュー以来、岩谷は“スターダムのアイコン"として活躍。ワールド・オブ・スターダム王座を筆頭にスターダムに現存するすべてのベルトを手にするグランドスラムを達成し、5★STARグランプリ、シンデレラトーナメントも制覇。「スターダムのことが大好きだし、スターダムの選手でよかったと思うし、これからもスターダムが大好きって気持ちは変わらない」と強調した岩谷は「もうやり残したことないかなって。スターダムでやれることはやったなという気持ち」と話した。

 今後についてはまったくの白紙というが、岩谷は「岩谷麻優、14年3ヵ月のスターダム人生、終わりにします。いったんスターダムのアイコンはこれで終わりです。これからは女子プロレスのアイコンになります」と誓った。社長就任前の映画『家出レスラー』の制作時から岩谷と深くかかわってきた岡田社長は「今最新の気持ちはこういう状態。じゃあ、一度家出をしたらいいんじゃないかなというのが最終的な二人の話の落としどころになりました」と説明。「家を出て独り立ちして成長するもよし。送り出す人が言うことじゃないかもしれないけど、寂しくなったら帰っておいでって気持ちをもって送り出したい」と話すと、会見中は涙を見せていた岩谷も「家出してきまーす。バイバーイ」と笑顔で手を振って会見場を後にした。

【会見の模様】

▼岡田社長「先ほど岩谷選手との話し合いが終わりまして、本日4月28日をもって岩谷麻優選手はスターダムを退団いたします。本件に関しては日ごろから相談を受けておりました。その中で岩谷麻優選手の今のプロレスのモチベーションがIWGP女子ということで、そこを一心不乱に邁進し続けていました。なので私もこのベルトをもし失ってしまった時にはという覚悟をしてましたし、本人からも並々ならぬ覚悟を受けておりまして。改めまして昨日のIWGP戦を終えてお話をしたいということで昨日、そして本日先ほどまでお話をさせていただきまして、契約も終了ということで4月28日、本日ハンコを押していただいた時点で退団とさせていただきます。このような話が急になりましたこと、ファンの皆様にご心配、今後の大会に関してご迷惑をおかけしますことを会社としてお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。ただ、この岩谷選手の決断は会社として尊重して、しっかりと送り出したいと考えております」

▼岩谷「はい、皆さん、こんばんわ! スターダムのアイコン岩谷麻優です。先ほど岡田さんから説明があったように、本日でスターダムを退団することになりました。泣かないようにって思ってたし、泣くつもりなかったけど、何か涙が出ちゃいますね」

▼岡田社長「先ほども離した時はもちろんファンにとって悲しいし、悔しいし、会社としても僕個人としても悔しいけれども、何年も話し合って、いろいろお話をして、今日しっかりお話をしてってことなので。ファンには申し訳ないけど、ちょっと明るいぐらいの話を」

▼岩谷「そう。さっきポッキーを食べながら、そういう話をしてたんですけどね。いざ自分の口から言うと涙が出てきますけど。スターダムを退団する、しないって話はおととしぐらいからですかね」

▼岡田社長「おととしに始まったんでしょうねって私、言い方をしました」

▼岩谷「そのへんから話し合いをして、でも今のスターダム、岩谷麻優がいないとダメだ、スターダムがスターダムじゃなくなるっていう気持ちで。スターダムを絶対守らなきゃっていう気持ちでスターダムに残ることを決めて。そこからスターダムの選手として…なんだろう(苦笑) おととしはスターダムに残ってよかったって本当に思ったし、今もIWGPにすべてをかけてきて。でも防衛戦のたびに『失ったら辞めちゃうだろうな』って気持ちをずっとここ何回かの防衛戦でそういう気持ちになりながら、絶対負けちゃダメだっていう気持ちで戦って…ええ、言葉がまとまんない。ちょっと難しいんですけど。難しいな。今まで自分はスターダムに甘えてた部分が凄くあって、凄く助けてもらったし、いろんな経験させてもらったし、ホントにスターダムのことが大好きだし、スターダムの選手でよかったって思ってるし、これからもスターダムが大好きっていう気持ちは変わらない。でもスターダムのアイコンとして今まで5★STARだったり、シンデレラだったり、いろんな祭典で優勝して、ベルトもグランドスラムを達成して、もうやり残したことないかなって。スターダムでやれることは全部やったかなという思いで。IWGP昨日負けてしまって、自分は本当にIWGPにかけてたから、そのベルトがなくなったらスターダムとしての岩谷麻優は終わりだなと思って、正式に岡田さんにお話しさせていただいて、会見をする流れになったんですけど。大丈夫ですかね? まとまってます? これ」

▼岡田社長「想いは伝わっていると思います」

※スタッフのスマホが鳴って

▼岩谷「(笑)」

▼岡田社長「マジメな会見で、こんな空気になることはまず皆様にお伝えしたいことは何でしょう。やめちまえってことでもないし、出ていきますっていうことでもないんだよねみたいな話は、いつもこの話をするたびに麻優さんとして。本当に麻優さんがIWGPにかけてたことはクロスオーバーの初代決定戦の翌日から麻優さんと一緒にお仕事をして、この方かけてるなって。獲ってからも日に日に大きくなってしまって。自分、プロレスファンですから、岩谷麻優がIWGPしか残ってなかったんですね。というのがわかってるがゆえに、素晴らしい防衛戦を繰り広げれば繰り広げるほど、なくした時の恐怖はプロレスファンとしてもありましたし、もちろん会社としてもスターダムがどうなっていくから、あなたもこうなっていくよっていう、いろんな展望はもちろん提示しているし。それに嫌ですってこともなく、どうかな、それもいいかなという話もずっとしていて。今最新の気持ちはこういう状態だ。じゃあ、一度家出をしたらいいんじゃないかなというのが最終的な二人の話の落としどころになりました。自分は家出レスラーでスターダムの仕事をし始めて2年ちょっと経ちますけど、一回、家出レスラープロジェクトが区切りを迎えたのかなっていう思いでいます。麻優さんと私の気持ちの落としどころは、じゃあ家出してもいいんだぞというところだなと。だから、そのまま家を出て独り立ちして成長するもよし、あんまり送り出す人が言うことじゃないかもしれないけど、寂しくなったら帰っておいでっていう気持ちをもって、しっかり送り出したいと思います」

▼岩谷「岡田さんとは本当にたくさん話して、でも、まじめな話をしてるのにいつも笑ってて(笑)。これ本当に話し合いなのかってぐらいの雰囲気だったんですけど、岩谷麻優、14年3ヵ月のスターダム人生、終わりにします。これからはまだ考えてないですけど、いったんスターダムのアイコンはこれでおしまいです。これからは女子プロレスのアイコンになります。今まで応戦してくれた皆さん、スターダムの選手、関係者の皆さん、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」

▼岡田社長「岩谷麻優選手、本当にありがとうございました」

▼岩谷「ありがとうございました。家出してきまーす。バイバーイ」

▼岡田社長「行ってらっしゃい」

▼岩谷「行ってきまーす!」


【会見後の岩谷】

――スターダムが嫌になったということはない?

▼岩谷「まったくないですね。スターダムが嫌と思ったことはないし、スターダムは世界一の団体だと思ってるので、やめる意味ってほぼないですね。バカな選択したなとか、自分でもバカだなって思うぐらい。でも、このまま居続けるのって甘えだと思うんです。スターダムのアイコンだから、スターダムっていう会社にいれば安泰というか。それって自分がIWGPを落としたあとに、じゃあ他に何のベルトに挑戦したいのってなった時に、白でもない、赤でもない、ハイスピードでもない。強いて言えばSTARSで6人タッグとか獲りたかったなっていう気持ちはあるけど、岩谷麻優としての目標っていうものはないかなってちょっと思って。それだったら安泰なところにいるより、もっと自分が求められてるところというかを探して、もっと自分が何か変えられるんじゃないかとか、自分が新しい岩谷麻優としての…ちょっとマンネリ化してたと思うんです。そのままで終わる方が一番安泰だったと思うんですけど、ちょっと冒険してみようかなと思って。おととしにスターダムが分裂っていう話になって、その時に行こうと思ってたし。でも、やっぱりロッシー小川もいなくなって、岩谷麻優もいなくなったらスターダムがスターダムじゃなくなる。大好きなスターダムを絶対守らなきゃっていう気持ちがあったんですけど、自分がいなくても大丈夫かなと。大丈夫かなっていうのは、自分がいなくても絶対大丈夫っていう自信があるし、逆に上がいなくなることで下が成長することもあるし。スターダムが凄い団体だから安心して…会見で言おうとしてたんだ。昨日さ、やめるから負けたわけじゃないんですよって伝えたかったの。全力で戦った結果、完敗したんです。それを伝えたかった、YouTubeで。さっき岡田社長とポッキー食べて和気あいあいとした雰囲気でって思ってたから泣くと思ってなくて。スターダムに未練あったんですかね(苦笑)」

――昨年の分裂時は小川さんと一緒に行くつもりだった?

▼岩谷「そうですね。やっぱその選択肢もありました。その時、岡田社長に『行きます、退団します』って伝えて。話し合いの結果、スターダム残留。さっき言ったようにスターダムがスターダムじゃなくなっちゃうし、守らなきゃいけないと思ったから残っただけで」

――今後のイメージは?

▼岩谷「自分はホントにずっとIWGPにかけてた思いがあって、そのベルトがなくなった時がスターダムのアイコンとして終わりの時っていうぐらいしか考えてなかったし。自分は最多防衛記録を狙っていたし、永久王者でいるつもりだったから。昨日、負けてしまったので、まだ何も考えてないです。本当に自分のいいところでもあり、悪いところであるのが、思い立ったら後先考えずに行動みたいな感じが多いので。だから本当にずっと考えてたことではあるけど、昨日と今日、ちゃんと話し合って、やめますって正式に発表しただけなんで、先のことはまだ考えてないですけど。自分はスターダムが嫌いになったわけでもないし、プロレスも嫌いじゃないし、大好きだし。すぐにでも試合したいから、オファー待ってますけどね」

――STARSはどうする?

▼岩谷「それも会見で言おうと思ったの。でも全部飛んじゃった。STARSがゴタゴタの中でリーダーの自分が辞めてしまうことに対して、本当にリーダーとして無責任だなと思うし。そういう状態にもかかわらず、ちゃんと解決してあげることができなかったふがいなさとかもあるし。本当にみんなには申し訳なく思ってます。でも自分でできることは全部やったつもりなので、あとは本人たちの気持ち次第かなって。申し訳なさもありつつ、スターダムにもSTARSにもできることはやりました。どうなるかはハタからしか見守ることができないですけどね。自分が抜けたっていうこの会見を見てるのかわからないですけど、見たらまた違う感情とかも沸いて、逆にSTARSを守らなきゃってなる、みんながまとまってくれるかもしれないので」

――スターダムの選手たちに変えないでほしいものはある?

▼岩谷「ないです。自由にやってほしいし、今のままでみんな素晴らしいから。みんなキャラもできてるし、試合も凄くいいし、自分が言えることはもうないです。今のままいって、スターダム絶対安泰、大丈夫って感じです」

――中野たむ選手の引退はどう感じている?

▼岩谷「素晴らしい終わり方だなって思いました。どっちが負けても寂しいとかっていう気持ちは絶対あるけど、プロレスラーとして中野たむが引退したってことを考えたうえでだと、輝かしい時期に終わる、一番華やかな時期に終わる。うらやましいなと思いました。みんなが惜しむじゃないですか。まだやめないでって。そういう時に終われるのって一番幸せなことだなと思うので。やられたなって感じです」