【NOAH/LIMIT BREAK】永尾に「打楽器だと思って来い、必ず響いてみせる」 世界ヘビー初防衛戦へ齋藤彰俊インタビュー 2024/4/25
ZERO1の3・31靖国大会で世界ヘビー級王座を獲得し、キャリア33年にしてシングル王座初戴冠を成し遂げた齋藤彰俊。4・27『LIMIT BREAK』横浜大会では、ZERO1の新鋭・永尾颯樹を相手に初防衛戦を行う。 “TEAM NOAHvsREAL ZERO1"の対抗戦で、敵方に乗り込んでの至宝獲得に成功。今回はホームマットでの初防衛戦となるが、シングルベルトの防衛戦はキャリア33年にして初めての経験だ。 一方の永尾は、分裂状態のZERO1において「僕が獲って、二つのZERO1をひとつに」との思いを持つ。大谷晋二郎と同じ時を過ごし、大谷に負けず劣らずの熱さを持つ齋藤も真っ向から受け止める構え。「打楽器だと思って来い、必ず響いてみせる」と25歳、キャリア4年の若武者に熱いメッセージを送った――。 【齋藤彰俊インタビュー】 ――まず初防衛戦に向けた率直な思いは? ▼齋藤「(REAL ZERO1との)対抗戦でベルトを獲るというのは一つの狙いではあったので、もの凄い緊張感とともにやり甲斐を感じています」 ――腰部挫傷で4月上旬から欠場しているが、怪我の状態は? ▼齋藤「自分はプロレスラーなので、4月27日にリングに上がった時は、すなわち“最高の状態"だということですね」 ――世界ヘビー奪取、キャリア33年でシングルタイトル初戴冠となったが? ▼齋藤「今までタイトルはタッグばかりでしたけど、不思議なことにキャリア33年の3ヶ月、しかも3月31日に初めてシングルタイトルを獲ることができた。三という数字に、もしかして“あの方"が…という思いもありました。今までもシングルのベルトは狙ってきたんですけど、獲ることができなくて。でも夏休みの宿題で例えるなら『提出まであと数日しかない』って時は、もの凄い力が出るじゃないですか。それと同じで33年経ってみて『もう行かなきゃダメだろ!』って獲れたのかもしれないですね。火事場の馬鹿力というか」 ――見えない力の後押しも感じたと ▼齋藤「感じましたね。あのベルトを獲った靖国大会の日って、3月としては観測史上最高気温だったんですね。リングに上がった時も一瞬すごい風が吹いたんですよ。これは…って思いましたね。舞台も靖国神社という神聖な場所。不思議な後押しを感じました」 ――TEAM NOAHとして、REAL ZERO1との対抗戦を改めてどうとらえていた? ▼齋藤「自分にとって“NOAH"という名前はもの凄く大切なもの。そのNOAHの中にあって、さらに“NOAH"を強調するチームなワケじゃないですか、TEAM NOAHって。旗揚げ当初から参戦してきた身としては『NOAHとは何なのか』という本質的な問いかけ…それぞれ意見はあると思いますけど、自分は外から来たので、内側から見たNOAHも、外側から見たNOAHも知っているつもりです。その“NOAHとは何か"の本質的な部分も対抗戦を通じて伝えられたらな…と思っていました」 ――改めてTEAM NOAHというチームについて感じることは? ▼齋藤「いろんなチームがあると思うんですけど、靖国大会の時もリーダーのシオが自ら旗を持って、メンバーみんなでセコンドに就いてくれたんですよ。心強さを感じたとともに、チームの誰が前に出ても、みんながすっと後押ししてくれる、ベクトルが一緒なんだな…って思いましたね。NOAHとは何か、昔ながらのものって何か。それをみんなで伝えようっていう一体感。誰かが出た時は、自分は一歩引いて後押しする。そんな呼吸もあって、素晴らしいチームだなって思っています。一方で互いに刺激を与えあえるユニットでもあって、“返報性"ですよね。刺激をもらったら僕もお返しをしなきゃいけない。お返しするなら良いものを倍返しする。お返しすると、さらに良いものが来る…そういう好循環を作っていけたら良いですね」 ――逆にZERO1との縁も長い ▼齋藤「そうですね。ZERO-ONEの旗揚げ戦、当時フリーだった自分もカードが組まれたんですけど、新日本を辞めてNOAHに上がり始めた頃でした。齋藤はどっちの立場で来るんだ?って思われていた時に、NOAHのTシャツを着て出ていったんですね。そんなこともありましたし、火祭りに出たこともありました」 ――自分がNOAHであると初めて広く主張した舞台が、実はZERO-ONE旗揚げ戦の舞台だったと ▼齋藤「そうですね。そこでTEAM NOAHとしてベルトを獲ることができた。これも感慨深いことですね」 ――その世界ヘビーの初防衛戦ではキャリア4年目の永尾颯樹選手を迎え撃つことになった ▼齋藤「まだキャリアは浅いですけど、名乗りを上げて挑戦者になった時点で、彼はもう“挑戦者"なんですよね。かつて自分も(新日本の)東京ドームで挑戦状を読み上げたことがありましたけど、その時もデビュー1年やそこらだった。でも自分の中ではキャリア関係なしに、ただ闘って勝つ。その思いだけでした。リングで向き合いましたけど、意気込みも感じましたし、選手権試合で向き合うべき相手としか見てないですね」 ――胸を貸してやろうという思いは… ▼齋藤「一切ないですね。ただ、こっちはキャリアが長い分、向こうが経験していないことを経験してきた。それに『LIMIT BREAK』って、昔のプロレスを感じさせる雰囲気もあると思うんですよね。あの当時の雰囲気を味わうことっていうのは、タイムマシンでもなきゃ無理。でも今回は『LIMIT BREAK』っていうタイムマシンに乗れるので、すべてを体感したうえで選手権試合をやろうじゃないか。そんな思いはありますね」 ――永尾選手には、栃木とREAL、二つに分かれている今のZERO1を自分がベルトを獲り返すことで“ひとつ"にしたいという思いがある ▼齋藤「分裂するっていうのは、それぞれ思いがあってのこと。“生きるため"の分裂ですよね。生物の細胞分裂でもそうですけど。ただ“ZERO1"という名前を今一度、骨太のものにしたいのであれば、筋肉でも骨でも多少裂けたり折れたりしたほうが、超回復で回復した時に太く、強くなりますから。だから彼がやろうとしてること、抱いている思いは素晴らしいと思う。だからこそ俺も熱くがむしゃらにやってみたい。それを聞いて今、そう思いました」 ――気持ちには気持ちで返す齋藤さんは、悩める時にぶつかっていく相手としては格好の存在に思える ▼齋藤「打楽器だと思って来い。そう言いたいですね。打てば必ず響いてみせる。自分の気持ちをぶつけてこいって。そう言いたいですね」 ――自身としては、どんな防衛戦にしたい? ▼齋藤「もちろん今、自分がチャンピオンなんですけど、気持ちはずっとチャレンジャー。その信条は変わらないんですよ。『LIMIT BREAK』のメインの舞台でタイトルマッチをやる意義として、お客さんにも、相手にも、仲間にも“何か"を伝えないといけないと思ってるんですよ。だから今回のタイトルマッチにも点としての意味を残したい。もちろん勝負ですんで今回残せるかどうかは分からないですけど、もし点をいくつか残すことができたら、大きく引いてみた時に『あぁ齋藤はこんな景色をみせたかったんだな』っていうのが分かるような選手権試合を、一つひとつ積み重ねていきたいなと思っています」 ――齋藤彰俊がシングルのチャンピオンとしてメインで防衛戦を行う、このシチュエーション自体が初めてなだけに新鮮に映る ▼齋藤「新鮮ですね。僕もシングルの防衛戦をするのが初めてですし、彼も挑戦するのが初めて。TEAM NOAHとしてもタイトルマッチが行われるのは初めてですし、永尾選手がZERO1をひとつにしたい!と思って闘うのも初めてでしょうし。いろんな初めてがあって、初めてなりの戸惑いや迷いもあるとは思いますけど、そんな葛藤や人間味も含めて見てもらえれば。だから新しくて、エモくて、熱くて、見たら心が震える闘いをしたい。そう思ってます」
ZERO1の3・31靖国大会で世界ヘビー級王座を獲得し、キャリア33年にしてシングル王座初戴冠を成し遂げた齋藤彰俊。4・27『LIMIT BREAK』横浜大会では、ZERO1の新鋭・永尾颯樹を相手に初防衛戦を行う。
“TEAM NOAHvsREAL ZERO1"の対抗戦で、敵方に乗り込んでの至宝獲得に成功。今回はホームマットでの初防衛戦となるが、シングルベルトの防衛戦はキャリア33年にして初めての経験だ。
一方の永尾は、分裂状態のZERO1において「僕が獲って、二つのZERO1をひとつに」との思いを持つ。大谷晋二郎と同じ時を過ごし、大谷に負けず劣らずの熱さを持つ齋藤も真っ向から受け止める構え。「打楽器だと思って来い、必ず響いてみせる」と25歳、キャリア4年の若武者に熱いメッセージを送った――。
【齋藤彰俊インタビュー】
――まず初防衛戦に向けた率直な思いは?
▼齋藤「(REAL ZERO1との)対抗戦でベルトを獲るというのは一つの狙いではあったので、もの凄い緊張感とともにやり甲斐を感じています」
――腰部挫傷で4月上旬から欠場しているが、怪我の状態は?
▼齋藤「自分はプロレスラーなので、4月27日にリングに上がった時は、すなわち“最高の状態"だということですね」
――世界ヘビー奪取、キャリア33年でシングルタイトル初戴冠となったが?
▼齋藤「今までタイトルはタッグばかりでしたけど、不思議なことにキャリア33年の3ヶ月、しかも3月31日に初めてシングルタイトルを獲ることができた。三という数字に、もしかして“あの方"が…という思いもありました。今までもシングルのベルトは狙ってきたんですけど、獲ることができなくて。でも夏休みの宿題で例えるなら『提出まであと数日しかない』って時は、もの凄い力が出るじゃないですか。それと同じで33年経ってみて『もう行かなきゃダメだろ!』って獲れたのかもしれないですね。火事場の馬鹿力というか」
――見えない力の後押しも感じたと
▼齋藤「感じましたね。あのベルトを獲った靖国大会の日って、3月としては観測史上最高気温だったんですね。リングに上がった時も一瞬すごい風が吹いたんですよ。これは…って思いましたね。舞台も靖国神社という神聖な場所。不思議な後押しを感じました」
――TEAM NOAHとして、REAL ZERO1との対抗戦を改めてどうとらえていた?
▼齋藤「自分にとって“NOAH"という名前はもの凄く大切なもの。そのNOAHの中にあって、さらに“NOAH"を強調するチームなワケじゃないですか、TEAM NOAHって。旗揚げ当初から参戦してきた身としては『NOAHとは何なのか』という本質的な問いかけ…それぞれ意見はあると思いますけど、自分は外から来たので、内側から見たNOAHも、外側から見たNOAHも知っているつもりです。その“NOAHとは何か"の本質的な部分も対抗戦を通じて伝えられたらな…と思っていました」
――改めてTEAM NOAHというチームについて感じることは?
▼齋藤「いろんなチームがあると思うんですけど、靖国大会の時もリーダーのシオが自ら旗を持って、メンバーみんなでセコンドに就いてくれたんですよ。心強さを感じたとともに、チームの誰が前に出ても、みんながすっと後押ししてくれる、ベクトルが一緒なんだな…って思いましたね。NOAHとは何か、昔ながらのものって何か。それをみんなで伝えようっていう一体感。誰かが出た時は、自分は一歩引いて後押しする。そんな呼吸もあって、素晴らしいチームだなって思っています。一方で互いに刺激を与えあえるユニットでもあって、“返報性"ですよね。刺激をもらったら僕もお返しをしなきゃいけない。お返しするなら良いものを倍返しする。お返しすると、さらに良いものが来る…そういう好循環を作っていけたら良いですね」
――逆にZERO1との縁も長い
▼齋藤「そうですね。ZERO-ONEの旗揚げ戦、当時フリーだった自分もカードが組まれたんですけど、新日本を辞めてNOAHに上がり始めた頃でした。齋藤はどっちの立場で来るんだ?って思われていた時に、NOAHのTシャツを着て出ていったんですね。そんなこともありましたし、火祭りに出たこともありました」
――自分がNOAHであると初めて広く主張した舞台が、実はZERO-ONE旗揚げ戦の舞台だったと
▼齋藤「そうですね。そこでTEAM NOAHとしてベルトを獲ることができた。これも感慨深いことですね」
――その世界ヘビーの初防衛戦ではキャリア4年目の永尾颯樹選手を迎え撃つことになった
▼齋藤「まだキャリアは浅いですけど、名乗りを上げて挑戦者になった時点で、彼はもう“挑戦者"なんですよね。かつて自分も(新日本の)東京ドームで挑戦状を読み上げたことがありましたけど、その時もデビュー1年やそこらだった。でも自分の中ではキャリア関係なしに、ただ闘って勝つ。その思いだけでした。リングで向き合いましたけど、意気込みも感じましたし、選手権試合で向き合うべき相手としか見てないですね」
――胸を貸してやろうという思いは…
▼齋藤「一切ないですね。ただ、こっちはキャリアが長い分、向こうが経験していないことを経験してきた。それに『LIMIT BREAK』って、昔のプロレスを感じさせる雰囲気もあると思うんですよね。あの当時の雰囲気を味わうことっていうのは、タイムマシンでもなきゃ無理。でも今回は『LIMIT BREAK』っていうタイムマシンに乗れるので、すべてを体感したうえで選手権試合をやろうじゃないか。そんな思いはありますね」
――永尾選手には、栃木とREAL、二つに分かれている今のZERO1を自分がベルトを獲り返すことで“ひとつ"にしたいという思いがある
▼齋藤「分裂するっていうのは、それぞれ思いがあってのこと。“生きるため"の分裂ですよね。生物の細胞分裂でもそうですけど。ただ“ZERO1"という名前を今一度、骨太のものにしたいのであれば、筋肉でも骨でも多少裂けたり折れたりしたほうが、超回復で回復した時に太く、強くなりますから。だから彼がやろうとしてること、抱いている思いは素晴らしいと思う。だからこそ俺も熱くがむしゃらにやってみたい。それを聞いて今、そう思いました」
――気持ちには気持ちで返す齋藤さんは、悩める時にぶつかっていく相手としては格好の存在に思える
▼齋藤「打楽器だと思って来い。そう言いたいですね。打てば必ず響いてみせる。自分の気持ちをぶつけてこいって。そう言いたいですね」
――自身としては、どんな防衛戦にしたい?
▼齋藤「もちろん今、自分がチャンピオンなんですけど、気持ちはずっとチャレンジャー。その信条は変わらないんですよ。『LIMIT BREAK』のメインの舞台でタイトルマッチをやる意義として、お客さんにも、相手にも、仲間にも“何か"を伝えないといけないと思ってるんですよ。だから今回のタイトルマッチにも点としての意味を残したい。もちろん勝負ですんで今回残せるかどうかは分からないですけど、もし点をいくつか残すことができたら、大きく引いてみた時に『あぁ齋藤はこんな景色をみせたかったんだな』っていうのが分かるような選手権試合を、一つひとつ積み重ねていきたいなと思っています」
――齋藤彰俊がシングルのチャンピオンとしてメインで防衛戦を行う、このシチュエーション自体が初めてなだけに新鮮に映る
▼齋藤「新鮮ですね。僕もシングルの防衛戦をするのが初めてですし、彼も挑戦するのが初めて。TEAM NOAHとしてもタイトルマッチが行われるのは初めてですし、永尾選手がZERO1をひとつにしたい!と思って闘うのも初めてでしょうし。いろんな初めてがあって、初めてなりの戸惑いや迷いもあるとは思いますけど、そんな葛藤や人間味も含めて見てもらえれば。だから新しくて、エモくて、熱くて、見たら心が震える闘いをしたい。そう思ってます」