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1/29【NOAH】「ここで変わらなければ彼は終わり」 横浜文体・熊野戦へGHCジュニア王者・大原はじめインタビュー

 1・7後楽園で石森太二を下し、GHCジュニアヘビー級新王者となった大原。続く1・21大阪では難敵・原田大輔を撃破し、自身が新生ノアジュニアの中心であることを印象づけた。次の防衛戦の舞台は3・12横浜文体。熊野準を迎え討つ大原に、1月を振り返ると共に防衛戦への意気込みを聞いた――。

【大原はじめインタビュー】

――大原選手にとって1月ツアーは中身の濃いものになったのでは?

▼大原「そうですね。まず、新王者決定戦に関しては、なぜ自分が出場できるのかという部分もあったんですけど、内田会長が総合的なキャリアを評価したということで。結果、自分としては10年越しの“石森越え"を果たすことができて感慨深かったですね」

――自分の出場に疑問を持ったというのは、原田大輔選手の存在が大きいと発言していましたね

▼大原「そうですね、近年のノア内での実績を考えれば、客観的に見ても原田のほうが上だと思いますから」

――改めて1・21大阪での原田戦を振り返ると?

▼大原「試合中、そして試合後の売店でのお客さんの反応を見るかぎりでは、観る側からのGHCジュニアヘビー級チャンピオンとしての“認定証"を発行してもらえたのかな、と。勝っただけじゃなく、お客さんに認めてもらえたという部分で、ノアジュニアを僕に任せてもらえたのかなって感じました」

――2・14後楽園ではタッグ王者の拳王、2・21名古屋ではGHCヘビー級王者の中嶋と、ヘビー級相手の一騎打ちも決まったが?

▼大原「もちろん、勝ち負けも重要になってきますけど、お客さんの感情を揺さぶるような試合をすることが自分の義務だと思います。そうすることで『やっぱり、ジュニアのチャンピオンは凄いんだ』という証明にもなりますし、もっともっと、大原はじめといろんな選手の試合が観たいということにつながると思うので」

――元パートナーの拳王は『もともと嫌いだった。“ケンオーハラ"は上を目指すのに足かせになる』と言われたが?

▼大原「そこは拳王らしくていいんじゃないですか? もともと、“俺が俺が"の人間ですし、たしかに僕たちは馴れ合いの関係ではなかったので、とくに思うことはないです。ただ、いまは自分も拳王が獲ることができなかったベルトを巻いているので、やすやすと負けられないですし、自分が自分に期待しているところはありますね」

――シングルのジュニア王者となって自身に変化を感じる?

▼大原「大阪での原田戦で、10年前に初めて原田と戦ったときの決め技(Do it now=リストクラッチ式フィッシャーマンバスター)を出したんですね。ほかに僕の技といえば、ムイビエンとフィンランド式フォアアーム。僕のグッズのTシャツには、この3つの技名が描かれているんですけど、一つの試合ですべての技を出したことが、いままでノアのリングではなかったんです。つまり、あの大阪で新しい大原はじめが誕生したというか。今後はこの3つの技が、王者としての大きな武器になっていくと思います」

――“ケンオーハラ"時代のコミカルな部分も薄れてきた感もあるが?

▼大原「たしかにそうなんですけど、僕自身はコミカルなもの自体を悪いものだとは思っていなくて。これは海外で教えてもらった言葉なんですが、『人の心に残るには、コミカルやユニークが3割必要だ』と。ディズニーの映画でも感動だけじゃなく、ユニークな動きが必ず含まれていますし、プロレスもいろんな感情を試合に落とし込むことが大事だと思っています」

――自分なりのプロレス哲学があると

▼大原「それと、ケンオーハラ時代は自分が拳王の引き立て役じゃないですけど、ノア全体として考えたときに“女房"に徹したほうが、個人得点ではなく総合得点が上がると思っていて」

――そしていま、自分が主役になる出番が回ってきたというか

▼大原「そうですね。結局、ケンオーハラとしてやってきた2年の積み重ねがあって、いまがあるんだと思います。もし、そういったものがなく、僕がベルトを巻いていたとしても、周りに響かないチャンピオンになっていたと思いますし。僕はほかの選手に比べれば周り道をしたように見えるかも知れませんが、自分にとってはすべて必要な道だったと思います」

――そして3・12横浜文体では熊野を迎え撃つことになった

▼大原「熊野は変わろうとしているのが凄く伝わってきますね。彼はまだ、結果こそ残せてないですけど、いまのノアでそういうポジティブな姿勢を見せるのはいいことだと思います」

――『ノア生え抜きの意地を見せてみろ』という言葉を投げかけていますが、逆に自分が外様の王者であるということについては、どう捉えていますか?

▼大原「大原はじめというレスラーはメキシコ生まれのメキシコ育ちなんですけど、向こうだと生え抜きだとか外様だとか、あんまり関係ないんですよね。でも、日本に帰ってきてから、けっこう周りは気にするんだなと思って。だから、お客さん目線に立ったときに、この試合は外様と生え抜きの対立軸を打ち出したほうが、伝わりやすいなと思ったんです。きっと、お客さんも『熊野、生え抜きなんだからがんばれ!』っていうかたちになるでしょうし」

――会見でも『熊野を引っ張り上げる』という発言があったりと余裕が感じられるが、逆に挑戦者としてはある種の屈辱だと思います

▼大原「ウン、そうでしょうね。でも、やっぱり内に眠っている力を、誰がどう引き出すかなんですよ。だから、もしかしたら僕との対戦で、いままで見えなかった熊野の一面が出てくるかもしれないし。そうなれば、チャンピオンとしてもおいしいし、ノアにとってもおいしいはずなんですよ」

――相乗効果が生まれてくる、と。

▼大原「それをただ、相手を闇雲に叩き潰すようなファイトを仕掛けても、僕もノアも、もちろん熊野も得はしないわけで。とにかく熊野がこの王座戦をきっかけに変わることを、僕は望んでいます。もし、ここで変わらなければ、彼は終わりだなとも思うし」

――熊野選手はかなり身体を大きくして、パワーの増強を図っていますが、警戒するポイントは?

▼大原「やっぱり、若さがあるので、体力的な面では彼のほうが優れているでしょう。あとはどんな手を使ってでも勝とうという気持ちは強いと思うので、そのあたりは警戒したいと思います」

――最後に改めて意気込みを

▼大原「とにかく、2月シリーズの前哨戦で、熊野、いかに変わっていくかがキーポイントになると思います。そのピークを横浜文体に持っていけるかどうか。そして、シリーズ中に自分が勝つパターンを見せられるかどうか。『こういう試合になれば熊野が勝つぞ』っていうふうに、お客さんに感情移入してもらえるようにならないと。僕だってムイビエンに至る流れを、何年もかけてここまで創り上げたてきた。そういったものを、これから熊野が創れるかですよね」

――今回はある種、熊野選手次第の王座戦となりそうですね

▼大原「そうですね。王座戦はもちろん、まずは2月が熊野にとっては大きな勝負になると思います」

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