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11/28【WRESTLE-1】12・10後楽園でクルーザー王者・吉岡に挑戦「彼の想像を超える引き出しが勝負の分かれ目になる」 W-1提供・土方インタビュー

 12・10後楽園大会でWRESTLE-1クルーザーディビジョン王者・吉岡世起に挑戦する土方隆司。11・5後楽園大会でW-1初参戦を果たし、吉岡に挑戦を表明。「吉岡選手の話を聞いていたら、『刺激が欲しい。蹴り合いたい』と言ってたんでね。その要望には素直に応えられるんじゃないかなと思った」という土方は、「明らかに年齢に逆らえなくなってきている分、一瞬の勝負どころには前よりも敏感になった。多分彼の想像を超える引き出しを僕は培ってきたという思いもあるので、そこが勝負の分かれ目になる」と自信を垣間見せ、王者・吉岡にとっての刺激となる構えをみせている。


【土方インタビュー】
──土方選手は先日の11月5日の後楽園ホール大会がW-1初参戦でしたけど、どういう印象を持たれていましたか?

▼土方「やっぱり武藤さんが象徴としている団体ですから、私がいた頃の全日本プロレスと大きな違いはないのかなという印象で初参戦をさせていただきました。それで実際に上がってみて感じたのは、若い選手が凄く多いなと。それが一番の印象でしたね」

──なるほど。W-1はかつて土方選手が全日本のジュニア戦線でしのぎを削ってきたカズ選手や近藤選手が中心になって作り上げてきた団体ですけど、若い選手たちからカズ選手や近藤選手の匂いみたいなものを感じ取れたりはしましたか?

▼土方「そこまで感じ取れる余裕がなかったですね。初参戦で凄く緊張していたというのがあるので(笑)。ただ、当然カズ社長や近藤副社長とは同じリングで闘ってきましたし、河野選手とも一緒にいた時期がありましたし、懐かしさのほうが先に来てたような気がしますね」

──その懐かしさのあるリングでクルーザー王座に12月10日の後楽園大会で挑戦することになりましたけど、やはりかつて闘ってきた同志たちが作ってきた闘いの輪の中に入ってみたいと思われたんですか?

▼土方「もちろん興味が湧きますよね。あとは当日、バックヤードで試合後のチャンピオンの吉岡選手の話を聞いていたら、『刺激が欲しい。蹴り合いたい』と言ってたんでね。その要望には素直に応えられるんじゃないかなと思ったんですよ」

──吉岡選手の言葉が、「これは俺のことを指名しているのか?」みたいに聞こえたと。

▼土方「あえて言ってんのかなっていう気がしないでもなかったですけど、『蹴り合いたい』という言葉が純粋に私のところに届いたかなという気がしましたね」

──元世界ジュニア王者という肩書を持つ土方選手の挑戦表明は、吉岡選手にしても願ったり叶ったりという部分があったと思うんですけど、現在は全日本も辞められて、長らくフリーとして活動されていますよね? やはり、ベルトを持っていた時に比べて、ご自身でもレスラーとしての変化というのはありましたか?

▼土方「人間なのでやっぱり年は取りますよね(笑)。ただ、正直に言うと、プロレスしかやってない時は体調面の部分で、セーブをかけて試合に臨むこともありました。それがプロとして正しいかどうかと言われると意見の分かれるところでしょうけど、私は思い返すとプロ失格だったと思います。当時の全日本が年間100試合以上ある中で、自分の感覚では『たかが1試合』だったんですよね」

──100分の1だったと。

▼土方「でも、何年かぶりに自分の街にプロレスが来て、生観戦ができるというお客さんにとっては、『されど1試合』なんですよ。そういう感覚をフリーになって、自分がプロレスをやりたくてもできないという時に感じました。だから、今の私には調整試合とか消化試合は存在しないし、プロレスに対する思い、試合に対する思い、大切さはおそらく当時を遥かに上回っていますね。また、オファーがあっても今度は自分の公務の都合で出られない場合もありますし、与えられた試合は誠心誠意、全力で取り組むという姿勢で臨んでいますね」

──若い頃よりも、プロレスに対して飢えているというか、貪欲になった部分はありますか?

▼土方「純粋に『プロレスが好きだ』っていう気持ちは当時よりも強いかもしれないです。大事なものって失ってから気づくんですよね(笑)」

──ということは、そういう気持ちの面での変化があって、見たところコンディションも以前と変わらないようですし、ある意味土方隆司というレスラーは世界ジュニア王者時代よりも進化していると言ってもいいんじゃないですか?

▼土方「いや、進化しているとは思わないです(笑)。ただ、明らかに年齢に逆らえなくなってきている分、一瞬の勝負どころには前よりも敏感になったと思いますね。『メリハリのついた試合をしているね』とおっしゃってくれる方もいますから。昔から見ている人は、『突っ張って、一直線のバカみたいなプロレスをやっていたのが、緩急がついて、外角と内角を突けるようになった』っておっしゃてくれる方もいるんですよ」

──だったら、世界ジュニアを巻いていた頃の土方隆司よりも現在の土方隆司のほうが吉岡選手にとっては刺激になると考えてもいいんじゃないですか?

▼土方「そうならなくちゃいけないと思っていますね」

──吉岡選手とは11月12日の伊佐沼大会で闘われましたけど、どのような印象を受けられましたか?

▼土方「非常にスピード感のある選手だなと思います。あとは当然若さがありますし、若さ、スピードは彼のほうが上なんじゃないですか?」

──若さはどうにもならないですからね(笑)。

▼土方「ただ、私は今まで彼が経験したことのない選手だと思っているんですよ。防衛戦を見させていただきましたけど、非常に若い選手と重ねていますよね。そこで年齢が倍ぐらいになるオッサンが相手ですから、多分彼の想像を超える引き出しを僕は培ってきたという思いもあるので、そこが勝負の分かれ目になると思いますね」

──あと、会見の時に印象的だった言葉があるんですけど、「月の暗闇が太陽を食らう」とおっしゃられていたじゃないですか?

▼土方「はい。私が月って言われたのは、丸藤選手と世界ジュニアの防衛戦をする時なんですよ。私と丸藤選手を月と太陽に例えている一文を見たんですね。その通りだと思ったんですけど、星空を見て太陽ばっかりだったら人間、まいっちゃいますよね(笑)。やっぱりプロレスは十人十色じゃないですけど、10人いれば10通りのプロレスがあって、どのプロレスも正解であると思っているんですよ。自分が歩んできたプロレス人生は決して華々しいものではないし、太陽のように眩しい存在もいいかもしれないですけど、時には皆既日食のように月が太陽を隠しちゃうこともあるわけじゃないですか?」

──それこそ太陽を食っているわけですよね。

▼土方「はい。だから、そんなプロレスができたらいいなと思います。光るだけがプロレスじゃないし、私という月が大きければ大きいほど、吉岡世起という太陽も照らしがいがあると思うんですよね」

──ということは吉岡選手は土方選手の目から見たら、光であり、太陽だということですか。

▼土方「だって、あのキャリアで団体のチャンピオンでしょ? 私はあのキャリアでチャンピオンになっていた人たちを見送っていたタイプなんで(笑)」

──ただ、吉岡選手も地方の広島のレッスルゲートという団体からキャリアをスタートさせて、その時期は試合数も少なく、土方選手のように試合に飢えていたって言っていました。もしかしたら、共通する思いがあるのかもしれないですよね。

▼土方「この間、その話を聞いて、バトラーツから全日本に行った私と歩みがそっくりだなと思って。ただ、彼と私の決定的な違いは、彼にはセンスがあって華があったということです(笑)。私はそれで遠回りしましたけど、その遠回りを後悔したこともないですし、それがなかったら現在の私はないですからね」

──すべての歩みが現在の土方隆司というレスラーを作っているということですか?

▼土方「そうです」

──つまり、公務との両立は大変でしょうけど、それがプロレスにプラスになっているということですよね。

▼土方「なってますね。まず、他のプロレスラーじゃできないプロレスの普及活動をしているんだなと思っていますし、政治を通してプロレスを知ってもらえれば幸いだなと思います」

──わかりました。では、最後に吉岡選手とどのような試合を見せたいですか?

▼土方「いずれにしても自分にとって元世界ジュニアチャンピオンというのはついてくる肩書きなので、その肩書きに恥じない試合をしたいと思いますね。で、見たお客さんからプロレスの良さを改めて感じてもらえる試合ができたらと思っています。結果がどう転ぶかはわからないですけど、今日この日、チャレンジャーが土方隆司で良かったと思ってもらえる試合をしたいと思います」

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