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10/21【全日本】TAJIRIが予告通りの右腕攻めで力撃破、GAORA王座V3 挑戦者にクレイジー指名

『2018旗揚げ記念シリーズ』最終戦 神奈川・横浜文化体育館(2018年10月21日)
GAORA TVチャンピオンシップ=○TAJIRIvs力×

 TAJIRIが力の空手チョップ、セーバーチョップに苦戦しながらも、予告通りの右腕攻めでGAORA王座3度目の防衛に成功。11・3後楽園での対決が決まっているかつての好敵手スペル・クレイジーを次期挑戦者に指名した。

 TAJIRIが挑戦者を募り、力が履歴書送付で挑戦を表明して決まったこの日のGAORA王座戦。10・10後楽園で実現した唯一の前哨戦で力に肩すかしを食らわせたTAJIRIは空手チョップ封じの右腕破壊を予告していた。

 序盤からTAJIRIは右腕を狙いにいくが、警戒する力も容易に飛び込ませない。ショルダータックルで先手を取ると、コーナーに追い込んでの空手チョップ連打を浴びせた。力は場外戦でも空手チョップを何発も振り回したが、TAJIRIが鉄柱への誤爆を2度誘っていよいよ右腕攻め地獄に引き込んだ。

 腕固め、変型脇固めで絞め上げ、ミドルキックで狙い撃ち。それでも力はブレーンバスターで反撃するものの、TAJIRIはチキンウイングアームロックで捕獲。何度も右腕を蹴り飛ばした。

 右腕のダメージが蓄積しても力は力道山家の血筋を持つ男の誇りからか、空手チョップにこだわる。フロントハイキックで反撃すると、逆水平をこれでもかと連射。「パワー!」と叫んでの倒れ込みヘッドバットを投下すると、セーバーチョップを発射。TAJIRIも真剣白刃取りでキャッチしようとしたが、それを突き破って脳天に叩き込んだ。

 力に勝機が舞い込んだかに思われたが、3カウント寸前で返したTAJIRIが再びチキンウイングアームロックで捕獲。絞めに絞めるが、力は意地でもギブアップしない。それでもTAJIRIは絞める力を緩めず、危険と見たレフェリーが試合を止めた。

 TAJIRIが予告通りの右腕破壊で力を返り討ち。GAORA王座3度目の防衛を果たした。試合後、「まだ終わってない!」と叫ぶ力を抱き起し、握手を交わしたTAJIRI。「久しぶりに疲労困ぱいしましたね、やる前から。いろいろ使った。身体だけじゃなくて、心を使った」と振り返り、「彼は絶対避けられて鉄柱に右手をぶつけるってわかってても2回も…。ジャンケンでグーを出したら負けるってわかってるのに、グーしか出さない生き様を貫いてやってくれましたね」と力を称えた。

 力道山家の血筋と戦い、勝利。GAORAベルトを死守したTAJIRIは自ら次期挑戦者を指名した。11・3後楽園大会で再会対決が決まっているクレイジーだ。アメリカECW時代のライバルで、対戦するのはSMASH時代以来となる。「俺たちECWでも数え切れないぐらいやっているんですけど、ベルトを懸かっている試合のほうがね、やっぱいい試合をしてきたような感じが何か俺はするんですよ」というのが理由で、TAJIRIは往年の名勝負を再現するつもりだ。

【試合後のTAJIRI】
▼TAJIRI「いやなんか、久しぶりに疲労困ぱいしましたね、やる前から。いろいろ使った。身体だけじゃなくて、心を使った」

――宣言通りに右腕を破壊したが?

▼TAJIRI「その右腕を破壊するキッカケなんですけど、彼は絶対避けられて鉄柱に右手をぶつけるってわかってても2回も…。ジャンケンでグーを出したら負けるってわかってるのに、グーしか出さない生き様を貫いてやってくれましたね。よく格闘技の世界で、戦い終わったら即友情が芽生えるってあるじゃないですか。なんかね、俺たちは一生付き合う関係になったような気がした。今日終わって。これがプロレスをやる上で凄く大事なことだと僕は思う」

――真剣白刃取りは失敗してしまったが?

▼TAIJRI「失敗しましたね。何かで俺は読んだんですけど、力道山って木槌でここ(手のひらの側面)を叩いて鍛えてたんです。今日ね、ずっとやってたわけじゃないですけど、彼がゴングの木槌でやっているんですよ、見たら。ビックリしちゃって。デカいアメリカ人のチョップとか、今まで痛いのをいっぱい食らってきましたけど、なんて言うのかな…歴史のあるチョップ。歴史がこもってますよね。長い時間がこもっている。あれが力って言うんじゃないかな。で、このGAORA選手権、また防衛しました。次の挑戦者は俺から逆指名させてもらいます。もう決まっている試合なんですけど、11月3日、後楽園、スペル・クレイジーを相手にこのベルトを懸けたいと思います。なんでかってね、俺たちECWでも数え切れないぐらいやっているんですけど、ベルトを懸かっている試合のほうがね、やっぱいい試合をしてきたような感じが何か俺はするんですよ。だから、懸けたほうがいいような感じが。一番この試合をよくわかっている俺が言うんで、懸けたほうがいいです」

――今の姿は15ラウンドを戦い終えたホセ・メンドーサと被るが?

▼TAJIRI「そこまでではないです(笑)」

――真っ白になるまではいかない?

▼TAJIRI「まだいかないな、正直」

――充実感とプレッシャーから解き放たれた感覚?

▼TAJIRI「いや、プレッシャーではないんですよ。彼はね、もっとクレイジーかと思ってたんですよ。意外とそうでもなかった。勝手に力幻想を持たせる力が彼にはあるんですよね。もっとメチャクチャな人間かと思ってたんです。ちゃんと冷静さの中にあるんですよ、全て。動きも。まだまだ小っちゃいと思う。もっと暴れていいと思う。まだ4年しかやってないんですよね。まだ自分のスタイルも確立されてないんですよ、それだと。けど、俺は今日、うちの中2のチビを連れて会場に来たんですよ。チビと一緒に電車に乗ってたら、彼(力)もこうやってお父さんの光雄さんと一緒にいたんだろうなと思って。だけど、本当にその時に気がついたんですけど、俺は子供のこれからも背負っていっているつもりでいるんですけど、子供は子供で…。うちのチビは聞いたら違うと思うんですけど、ああいう力道山家に生まれた子っていうのは、きっと家柄という大きいものを背負って生きてきているんですね。だから、彼はそうやって生きてきたんですよね。彼は子供の頃から力道山の一族というのを背負って、そのプレッシャーの中で今日も生きているんですよ。みんな力道山三世って言うけど、ただ言っているだけで、そこまで俺は実感したことなかったなって思って。実は凄い大変な人生を送ってきているんじゃないかなって。ある意味、いろんなプレッシャーは、俺たち普通の一般庶民の倍ぐらい持ってプロレスやっているんじゃないかなと思って。大変な頑張りをきっとしているんだろうなと思いましたね、彼は」

【力の話】「今日はありがとうございました。前回の前哨戦ではTAJIRI選手にちょっと(逆水平を)避けられてしまって、毒霧を食らったりしてしまったんですが、今回は真っ向からTAJIRI選手にぶつかって、真っ向から倒すつもりで向かっていったんですが、TAJIRI選手のテクニックの凄さに右腕を完全に破壊されてしまいました。右腕がダメになっても左ですとか、ヘッドバットとか、何でもいいから向かっていこうとして。痛くても右のチョップも…多少痛めてもいいんで、とにかくぶつかって倒そうと思ったんですが、およびませんでした。やはりTAJIRI選手は世界のTAJIRI選手。自分なんかじゃまだまだおよばなかったです。でも、まだまだ自分は、年齢は36ですが、デビュー4年目でほとんど新人に近い者です。これからもっともっといろんな選手と試合して、また練習して磨いて、絶対にTAJIRI選手を超えられるように頑張ります。GAORA王座、必ずいつかまた挑戦させていただきます。パワー!」

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