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9/16【NOAH】原田陥落…小峠が笑顔なきIPWジュニア奪取 「勝ったけど嬉しくない」

『N-1 VICTORY 2019 GRAND FINAL』エディオンアリーナ大阪第1競技場(2019年9月16日)
IPWジュニアヘビー級選手権試合 ○小峠篤司vs原田大輔×

 小峠が原田を下してIPWジュニア王座を奪取。しかし、最後まで笑顔はなく、「勝ってるのに、嬉しくない試合って何なんですかね? こんな試合、ダメだよ。気持ちよくないもん。やっぱお互い、怨みとか、憎しみとか、お互いそんなんでしか表現できなくなっちゃってるから」とうなだれるばかりだった。

 IPWジュニア王座を懸けて、“元・桃の青春タッグ対決"が実現。王者・原田に小峠が挑戦した。両者の一騎打ちは2016年11月の新潟大会おけるGHCジュニアヘビー級選手権試合以来、約2年10ヶ月ぶり。小峠は2017年からヘビー級に転向してジュニア二冠王座を返上。ジュニアにこだわる原田は“絶縁"を通告していたが、今夏小峠は2年半ぶりにジュニア回帰した。「本当はやりたくない、あいつとはプロレスしたくない」(原田)、「いい試合をしようとは1ミリも思ってない」(小峠)と生々しい感情が交錯するなかでの“再会マッチ"となった。

 ゴングが鳴っても2人は微動だにせず、距離を取ってにらみ合う。中山レフェリーに促されてやっと動き出すと、いきなり感情的なエルボー合戦で火花を散らした。離れているとはいえ元パートナーだけに、互いの動きは手にとるようにわかる。どちらも決定打は奪えず、読み合いが続いた。

 戦場がエプロンに移動すると試合は大きく動く。小峠がコーナーに上がったところで原田がデッドリードライブでエプロンに投げ捨てたのだ。場内は大きくどよめく。カウントアウト寸前にどうにかリングに滑り込んだ小峠はぶら下がり式首4の字固めやマグザムなどで反抗するも、続くダイビングボディプレスは原田が剣山で撃墜した。

 感情むき出しになった2人は互いに頬を突きだして、壮絶なビンタ合戦になだれこむ。激しい乱打戦から相打ちが続くと、小峠がニーアッパーを読んでの飛びヒザ蹴りを突き刺したが、原田もラリアットを振り抜いて両者大の字に。同時に対角線のコーナーで立ち上がると、猛然と2人はダッシュしたが、小峠のジャンピングフロントハイキックがここでクリーンヒットした。一気に雪崩式フランケンをお見舞いする。

 意地の原田は負けじと雪崩式ジャーマンで逆襲。脇腹に連続してエルボーを突き刺し、肩車からの変型山折りで追い討ちする。粘る小峠も先読み合戦からキルスイッチやキドクラッチを狙うが、ことごとく防いだ原田は大☆中西ジャーマン、ニーアッパーと大技で畳みかけた。

 しかし、小峠は沈まなかった。片山ジャーマンを阻止して、ムーンサルトプレスを投下。原田の高速カサドーラをギリギリでキックアウトすると、シュバイン、頭突き、キルスイッチと猛ラッシュに出る。それでも原田が沈まないとみるや、2014年12月の有明、2015年1月の大阪での一騎打ちでも繰り出した対原田戦用の秘密兵器・オーバーキルスイッチ(リバースゴリースペシャルからの変型キルスイッチ)で3カウントを奪い取った。

 小峠がIPWジュニア王座戴冠。それでも表情は冴えない。一方、敗れた原田はタダスケに背負われて無言で控え室へと消えていく。バックステージでは「ありがとうございます。とりあえず大阪で勝てたことが嬉しいです」と一旦は喜びを口にした小峠だったが、「もうお互い考えとかカットして気持ちぶつけているだけなんで。なんかもう痛すぎて…。痛いとかわからないですね、もう」と複雑な心境を告白。「せっかくインタビューしてもらったりとか、応援してもらってこれを言うのも失礼ですけど、やっぱ俺ら2人にしかわからない世界なんで。やりたくないとか、プロが言っちゃダメなんですけどね。そういうことです、我々は」とこぼした。

 「勝ってるのに、嬉しくない試合って何なんですかね? こんな試合、ダメだよ。気持ちよくないもん。やっぱお互い、怨みとか、憎しみとか、お互いそんなんでしか表現できなくなっちゃってるから。ダメだよ、俺たちみたいな試合組んじゃ」と締めくくった小峠。タイトル奪取を果たしたにもかかわらず、その後の展望を語ることもなく、最後まで笑顔は見せなかった。

【試合後の小峠】
▼小峠「苦しい…」

※小峠がリングに座り込む

――新チャンピオン、おめでとうございます

▼小峠「ありがとうございます。とりあえず大阪で勝てたことが嬉しいです」

――殺伐とした怖さが漂うような試合だったが?

▼小峠「わかんないですね。もうお互い考えとかカットして気持ちぶつけているだけなんで。なんかもう痛すぎて…。痛いとかわからないですね、もう。疲れた…」

――原田選手は試合前に、「もうこの一戦で小峠選手とは終わりにしたい」と話していたが、今後については?

▼小峠「それはもう何年も前から言ってるやんけ。誰やねん? 誰がこのカードを組んだんやっていうのもおかしな話やけど。まあ、大阪のお客さんが気持ちで組んでくれた試合やから。なんでしょうね? せっかくインタビューしてもらったりとか、応援してもらってこれを言うのも失礼ですけど、やっぱ俺ら2人にしかわからない世界なんで。やりたくないとか、プロが言っちゃダメなんですけどね。そういうことです、我々は」

――それでも凄い試合だったが

▼小峠「(立ち上がりながら)なんやろう? 勝ってるのに、勝ってるのに、嬉しくない試合って何なんですかね? こんな試合、ダメだよ。気持ちよくないもん。やっぱお互い、怨みとか、憎しみとか、お互いそんなんでしか表現できなくなっちゃってるから。ダメだよ、俺たちみたいな試合組んじゃ」

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