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10/26【ZERO1】大地が5年7ヵ月ぶり靖国で師匠・大谷と熱戦ドロー

『靖国神社創設150年記念奉納プロレス 第17回大和神州ちから祭り』東京・靖国神社相撲場(2019年10月26日)
△大谷晋二郎vs橋本大地△

 大地が古巣・ZERO1マットに参戦し、5年7ヵ月ぶりの靖国でかつての師匠・大谷と熱戦ドロー。古巣再登場に前向きな姿勢をみせたうえで大谷超えを誓った。

 現在、大日本で活躍し、ストロングBJの頂点であるBJW認定世界ストロングヘビー級王座を戴冠したこともある大地。プロレスラーとしてのスタート地点はこのZERO1で、2011年3・6両国大会で蝶野正洋を相手にデビュー。2014年3月いっぱいで退団したが、この日、久々の古巣マット登場を果たし、かつての師匠・大谷との一騎打ちが実現した。靖国大会出場は退団直前の2014年3月30日(田中と組んで大谷&天龍源一郎に敗れる)以来5年7ヵ月ぶりとなった。

 まずはじっくりとした展開で幕を開けると、大地がミドルキックを打ち込んだが、大谷は腕ひしぎ逆十字で左腕を絞め上げて応戦。ここから腕固め、腕ひしぎ逆十字と徹底した腕攻めで流れを作る。耐える大地の左腕に張り手を連打し、挑発するように何度も頭部を蹴りつけた。

 その後も大谷の腕攻めが続いたが、大地はスリーパーで絞め上げ、コーナーに追い込んでのミドルキック速射砲でようやく主導権を奪い返す。サッカーボールキックを連発するなど左足に攻撃の的を絞り、大谷がチョップ合戦に持ち込んでもミドルキック連打を見舞った。

 すると大谷は前進して真っ向から受け止め、顔面ウォッシュを狙う。阻止した大地は大谷のチョップを真っ向から受け止めると、自らコーナーに座って顔面ウォッシュを何発も食らう。ジャーマンで投げた大谷は腕ひしぎ逆十字、チキンウイングアームロックと再び左腕攻めを展開。耐えた大地はミドルキックを連発し、串刺しシャイニングウィザードでやり返す。STFで絞め上げ、ランニングローキックで蹴り飛ばした。

 ここから両者はエルボー合戦で意地を張り合う。大地がミドルキックを打ち込めば、大谷は橋本真也さんばりの水面蹴りで徹底抗戦。大地がミドルキック、ローリングソバット、ニーリフトを浴びせ、シャイニングウィザードをぶち込むと、大谷は橋本さんばりのケサ斬りチョップをさく裂させ、コブラホールドで絞め上げた。

 大地が耐えると両者は再び意地の打撃戦へ。大地がエルボーを打ち込めば、大谷は張り手でやり返す。さらにチョップを連発すると、仁王立ちで受け止めた大地はミドルキック、ローリングソバット、DDT、ファルコンアローの波状攻撃に出る。大谷もニールキック、ジャーマン、ドラゴンスープレックスで譲らず。意地で立ち上がった大地がシャイニングウィザードをさく裂させ、大谷が2カウントで返したところでタイムアップを告げるゴングが鳴らされた。

 ZERO1イズム、破壊王イズムをみせつけるような熱戦となったが、決着つかず時間切れドロー。里帰りを果たした大地の大谷超えはならなかった。「昔よりパワーとかもなかったんだろうけど、それでも体力的な面とか、耐久度というか、そういうのは凄い感じたな」と師匠に一目を置いた大地は、「今日はいい俺の経験値になった」とキッパリ。ホームリングの大日本11・4両国大会でZERO1時代の先輩・耕平が保持するストロング王座への挑戦を控え、「これをバネにして、ストロングのベルトをしっかり獲りにいこうと思ってます」と宣言した。

 「もしね、ZERO1のお客さんも求めるんであれば、大谷晋二郎が求めるんであれば、またいつでも」。そう古巣マット再登場に前向きな姿勢をみせた大地は、「その時までにまた鍛えて、新しい橋本大地を確立しておくから。その時は、引き分けとかじゃなくて、ギブアップでもなくて、しっかり大谷晋二郎から(カウント)3を取って、大谷晋二郎超えをします」と誓ってみせた。

【試合後の大地】
――改めて大谷選手と戦った気持ちは?

▼大地「そうね…まあ、ねちっこかったというか、しつこかったですね。なかなか勝ちを譲ってくれないし。凄いと思ったよ。俺がZERO1時代にやった時から…俺も入場して思ったけど、最後やった時もここだったんじゃないかなって(※2014年3月30日)。大谷さんも階級を変えちゃったりしてさ。昔よりパワーとかもなかったんだろうけど、それでも体力的な面とか、耐久度というか、そういうのは凄い感じたな。あの頃と俺も体重が変わっているからさ。佐藤耕平のエルボーを普段から受けているだけあるな。本当はここでうちの11・4に繋げたかったけど、まあまあ、勝てなかったけど、負けもしてないから。もうしょうがない。引き分けになっちゃったのはしょうがない。結果はこうなっちゃったんだから、次は俺はもう、これをバネにして、11・4のうちの両国に行って、佐藤耕平の持つうちのベルト、ストロングのベルトをしっかり獲りにいこうと思ってます。今日はいい俺の経験値になったから。なんかね、途中から2人だけの空間になっちゃってるなと思ったよ。お客さんを置いてっちゃっているんじゃないかなって思ったんだけど。ZERO1の人はあれを求めてくれてたのかな? もしね、ZERO1のお客さんも求めるんであれば、大谷晋二郎が求めるんであれば、またいつでも…いつでもと言うと、大谷晋二郎がこれを聞いてたら、たぶん『明日にでも』とか言うから、言わないでおくけど、またしかるべき時が来て。何かの周年でもいいよ。その時までにまた鍛えて、新しい橋本大地を確立しておくから。その時は、引き分けとかじゃなくて、ギブアップでもなくて、しっかり大谷晋二郎から(カウント)3を取って、大谷晋二郎超えをします。今日はもう、俺の力不足か技術不足かわからないけど。時間が足りなかったのかもしれないけど、わからないけど…と思ったけど、力不足だったんだね。時間が足りなかったのも、勝てなかったのも。次は1つ1つ、技1個1個にしても、ちゃんとダメージを与えてからとか。大谷晋二郎の技をもっと受けきった上で、今日以上に受けきった上で、しっかり勝ちますよ」

――試合前に猪木さんが挨拶して、橋本真也さんの名前も出したが、その話をどういう気持ちで聞いていた?

▼大地「相変わらずだな、会長と思って見てましたよ。いやあ、さすがだなって。ステッキのくだりとか。凄いなあ、さすがだなって。そう思いました。別にここのお客さんとか、大谷晋二郎が、俺の後ろに橋本真也を映すのは別に何だっていいさ。何だっていいけど、今戦っているのは俺だしさ。試合してるのも俺だから。そこは勘違いしないでほしいし。別に重ねるなとも言ってないし、重ねてくれとも言ってないし。それは見る人の自由なんだよ」

【大谷の話】「まあ、ありきたりかもしれないけど、僕の知らない橋本大地がいたね。あいつもおそらくさ、いつまでも思い出に浸ろうと思ってないだろうから。今日の心意気でいいんじゃないかな。あいつはあれでいいよ。まだまださ、上だけ見ている時だろ? 俺もそういう時があったからわかるんだ。いいよ、あれで。それでいい。ただ『なにくそ、大谷、コノヤロー』って。いい、それで。ただ…今さらってあいつは思うかもしれないけど、あいつをデビュー前から見て、デビューしてから3年ずっと側で見て、ともにリングに上がっていた俺としてはさ、浸っちゃうよ、思い出に。でも、それは僕の闘争心の中のごく一部。あれだけのエルボーにしても蹴りにしても全て力強い橋本大地を見せられたら、なにくそって向かっていくのは当然でしょ。でも、心の奥深くにある僕の思い出は消えねえよ。あいつがどれだけガンガン来ても。でも、あいつの中では完全な大日本プロレスだから。橋本大地として向かってきたのはわかったからね。俺もだからしっかり途中から…途中からじゃないな。気持ちの半分以上はZERO1の大谷晋二郎だから。どこかZERO1と大日本の看板を背負っている部分はあったと思うからね。お互いに意地でも負けられなかったんだと思いますね。いやでも、デカくなったね、あいつ。たぶん僕よりあるんじゃない、体重は。似てきたなあ、あの人に…。太り方も。ずっと側にいた俺はわかるよ。これは冷やかしでも何でもないよ。あの腹の出方とか、胸の筋肉の付き方とか。親子だね。時より大地が吠える表情があの人に見えて、途中たまらなかったな。もっともっと似てくるんだろうねえ。もっともっと似てきたら、もっともっと戦いづらくなるだろうし、戦いたくなるだろうね。昔のこと抜きにして言えば、大日本プロレスの橋本大地。ZERO1の大切な、普段は年に一度の靖国大会に上がって、大谷晋二郎との勝負を受けてくれてありがとう。またやる時が来るだろう。俺は皆さんが望んだ時にやりたいと思います。皆さんも、大地も、僕も望んだ時にまたやりたいですね。ずるいな、しかし。段々似てくるのは。生きてるんだねえ、あの人はまだ。息子の身体を借りて、生きているんだね、あの人は。今日は猪木さんも橋本さんのことを言ったから、なんか無性に近くにいる気がしてたまらない。でもね、あの人にいつ会っても、僕は胸を張って言うから。『ありますよ、あなたが作ったZERO1は』って。いつ現れてくれてもいいですよ、真也さん。橋本さん。ちょっとそんなセンチな気持ちになりました。でも、大地とやれてよかったと思います」

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