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11/21【全日本】「阿部しか見えなかった」 岩本が元スポルティーバ対決制して初戦突破

『2019世界最強タッグ決定リーグ戦』東京・後楽園ホール(2019年11月21日)
「世界ジュニアヘビー級王座決定トーナメント」1回戦 ○岩本煌史vs阿部史典×

 岩本が阿部との元スポルティーバ対決を制し、世界ジュニア王座決定トーナメント1回戦を突破した。

 第51代王者・青木篤志さんの返上によって開催された世界ジュニア王座決定トーナメント。5・20後楽園で青木さんに敗れ、ベルトを失った岩本にとっては返り咲きのチャンスだ。しかも初戦の相手は旧知の間柄にあるスポルティーバ時代の後輩・阿部だった。

 ロード・トゥ・世界ジュニアの戦いだが、両者は“二人の世界"に没頭するような熱戦を繰り広げた。低空ドロップキック、サッカーボールキックで阿部が先制すると、これが合図になったかのように、両者は早くもエルボー合戦で火花を散らす。岩本が肩固めで捕らえても、逃れた阿部はランニングローキックで応戦した。ここから阿部が左腕攻めで主導権を握る。青木さんが得意とした前方回転しながらのリストロックや、腕へのオーバーヘッドキックを披露し、脇固め、腹固めで絞め上げた。

 守勢に回った岩本は起死回生の一本背負いで逆襲。ネックスクリューを敢行し、エプロン、リング上と大外刈りを連発したが、孤高の芸術は阿部が阻止してドロップキックで反撃。意地のエルボー合戦で渡り合い、フランケンシュタイナー、回転浄土宗で攻めまくる。さらに伊良部パンチで岩本の顔面をぶち抜き、お卍固めで勝機を作った。

 これを耐えた岩本は阿部の丸め込みもクリアすると、ハリケーンドライバーで突き刺して反撃ののろし。すかさず孤高の芸術を連発して一気に3カウントを奪った。

 岩本がかつての後輩・阿部を熱戦の末に下し、1回戦を突破。8ヵ月ぶりの頂点返り咲きへ向けて第一歩を踏み出した。試合後、ノーサイドで阿部と何度も握手を交わした岩本は「名古屋で産声を上げた無名レスラー2人が全日本プロレスの後楽園ホールのリングでシングルマッチができて、俺は幸せです」と満足げな表情を見せた。旧知の間柄にある阿部が相手とあって「世界ジュニアを獲ることわかっているけど、わかっているけど、阿部を前にすると、やっぱね、ちょっと阿部しか見えなくなっちゃったね」と試合中はベルトの存在が頭から離れていた。

 「メチャクチャ楽しかった。久々にボコボコに殴り合って、投げ合って。なんか空白が1年間ぐらいあったけど、元々のルーツとかやっぱ何も変わってねえなって思ったね」。そう振り返った岩本は「このままじゃ終わりたくないなって。戦うにしても、それ以外でも」と続きを熱望。「どっちも違和感なかった。組むにしても戦うにしても。必ずいい効果が生まれると思うんで。これはちょっとね、阿部史典を水面下で調査しようと思います」と意味深長な言葉を口にした。

 ともあれ、これで1回戦突破。1・2後楽園での準決勝では「丸山vs横須賀ススム」(12・17後楽園)の勝者と対決する。

【試合後の岩本】
▼岩本「まず一言。名古屋で産声を上げた無名レスラー2人が全日本プロレスの後楽園ホールのリングでシングルマッチができて、俺は幸せです。正直ね、世界ジュニアを獲ることわかっているけど、わかっているけど、阿部を前にすると、やっぱね、ちょっと阿部しか見えなくなっちゃったね。メチャクチャ楽しかった。久々にボコボコに殴り合って、投げ合って。なんか空白が1年間ぐらいあったけど、元々のルーツとかやっぱ何も変わってねえなって思ったね。このままじゃ終わりたくないなって。戦うにしても、それ以外でも。つい最近、俺の周りでね。もともとあったユニット、Sweeperが解散しました。何の異論もないから。Sweeper解散しても。何の異論もない。何か成し遂げたかって言ったら、成し遂げないし。このまま宙ぶらりんでうやむやにね、たまにしか人数が揃わないユニットでいさせる理由はないしね。そこをスパッと言ってくれたジェイクさんには逆に感謝しているし、最強タッグ中だからこそね、そういう中途半端なのをジェイク・リーはたぶん取っ払いたかったんでしょう。俺はついていくよ、ジェイクに。ただ、その時も言ったように、俺も俺自身で動かしてもらう。ジェイク・リーもたぶん俺のことを信頼しているし、その信頼を裏切ることは絶対にない。次、世界ジュニア準決勝。年明けでしょ? ゆっくりゆっくりと準決勝に誰が進出するか、しっかりと見届けて、しっかりと研究して。ゼッテエ負けねえから。阿部のためにも俺は負けない」

――試合後に何回も阿部選手と握手を交わしていたが?

▼岩本「まあ、久しぶりだし、本当にね、リング上では『お互いホントに楽しかったっすね』っていう言葉しか交わしてなくて。ただ、『またやろう』って俺も言ったし。実際、今日戦うにあたって、それまでに組んだりもしてたし。やっぱどっちも違和感なかった。組むにしても戦うにしても。必ずいい効果が生まれると思うんで。これはちょっとね、阿部史典を水面下で調査しようと思います」

【試合後の阿部】
▼阿部「いや、久々の岩本さんとのシングルは凄かったですね。強かった。何回も言いますけど、名古屋で本当に10人、20人でやってて、ウンともスンとも入らない時もあったし。それが聖地、全日本プロレスで、巡り巡ってやれたってこと、これは本当に1つの目的地だったし、嬉しいです。負けたから、まだ満足はしてないです。途中で青木さんに…。青木さんにね、昨日連絡したんですけど、青木さんは連絡返さないから。『今日、あなたの技、パクります』って言ったんですけどね。『だせえな。ヘタクソだよ』って言って、見ててくれたのかなと思いますけど。僕は1回戦で敗退したんで。まあでも、1回で終わるわけじゃないんで。今日で引退じゃないんで。今日は本当に嬉しかったですね。勝ったらもっと最高だったんでしょうけど、今日は本当に最高の気分です。こんなに話を聞いてくれる人がいて、最高です。最高でしたね。勝ちたかった、でも。勝ちたかった。すいません。ありがとうございました。もっと練習します」

――イラブパンチを1発決めたが?

▼阿部「やっぱね伊良部パンチにこだわり過ぎるというのもあるんですけど、いかんせん伊良部パンチが好きなもんですから。ああいう意味のわからない技。無意味な動作。そういうのが僕は大好きなんで。僕はそういうのがプロレスの醍醐味だと思っているんで。でも、その中にもレスリングの技術というのが大事で、レスリングをしっかりしつつ、やるからいいのかなと思います。岩本さんは全部できるから。今日はやってて最高でした。ただ勝ちたかったですね」

――最後は自分が実験台になった孤高の芸術だった

▼阿部「孤高の芸術、メチャクチャ痛かった。その前のSTO? 大外刈り? あれもヤバかったんですけど。(孤高の芸術は)しかも2連続で来たでしょ? あれはヤバかったですね。ヤバかった。きつかった。でも、俺が実見されてた頃よりも上手になりましたよ、煌史は。煌史の孤高の芸術は強力になりましたよ。俺、3年前にあれをキックアウトしたんだから。もうキックアウトできないぐらい成長しました、煌史はね」

――2発出させたのは、成長を認めてくれたのでは?

▼阿部「それはありがたいですけど、正直勝てると思ってたんで。なんか僕も並大抵ならぬ経験はしている自信があるので、勝てると思ってたんで。やっぱり岩本さんはチャンピオンの風格というか、間が全日本でした。間の使い方が全日本でした。全然違いました。これは戦っている人にしかわからないと思うんですけど、メジャーな人だなみたいな間を使ってましたね」

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