プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

12/31【RIZIN】45歳・山本美憂が再起戦で進化証明 20代タイ人ファイターに完封勝利

『RIZIN.20』さいたまスーパーアリーナ(2019年12月31日)
RIZIN女子MMAルール(49.0kg) ○山本美憂vsアム・ザ・ロケット×

 45歳の美憂が再起戦で完封勝利。22歳年下のタイ人ファイターとスタンドで果敢に打ち合い、終盤には腕ひしぎ十字固めで一本勝ちを狙うなど今もなお進化し続けていることを証明した。完璧な勝利を息子の山本アーセンも祝福した。

 42歳で総合に転向した直後こそ戦績が振るわなかった美憂だが、昨年の夏以降はスーパーアトム級GP覇者の浅倉カンナを完封するなど4連勝を飾り、一気にトップ戦線に浮上した。しかし、今年10月に世界ランキング2位のハム・ソヒにTKO負け。今宵は再起戦として、ムエタイで80戦の経験があり、柔術の黒帯を持つタイ人ファイター・ロケットと激突した。

 ロケットは6戦4勝で全てが一本勝ちというアグレッシブな選手。ムエタイ仕込みの打撃で前に出てくるが、息子のアーセンをセコンドにつけた美憂は冷静に間合いを取る。1Rでも2Rでもキッチリとテイクダウンを奪うと、ポジションを保ちながら、的確にパウンドを発射。スタンドでも自信を持って踏み込み、パンチをまとめてロケットを下がらせる場面も。守勢に回ったロケットはガードポジションで下から関節を狙うが、美憂を崩せない。

 3Rには警戒するロケットを教科書のような完璧なタックルや首投げでテイクダウン。サイドポジションから鉄槌やヒザ蹴りで顔面を何度も射抜く。終了間際には腕ひしぎ十字固めにもトライ。残念ながら一本勝ちは奪えなかったが、判定3-0で完勝した。

 ムエタイ出身のロケットに打撃で打ち負けず、アグレッシブに動き続けて完封勝利。45歳にしてなお進化し続けていることを証明した。「こんばんは。今日は大晦日で忙しい中、足を運んでいただいてありがとうございました」とマイクであいさつした美憂は、「前回の負けはとっても悔しくて。これまでいろんな方の力を借りてここまできました。ボクシングのコーチ、長谷川穂積さん。いろんな方にお世話になって。ありがとうございます。私の家族、本当にありがとう」と感謝の言葉を重ねると、息子のアーセンも勝利を祝福。2人は抱擁を交わして喜んだ。

 「やっぱり前回負けてたので、その負けが続かなくてよかったと思ってます」とホッとした様子の美憂は、「確かに22歳年下だということで、自分でも驚きだったんですが、ただ試合後に“お母さん"と呼んできて、とてもほほえましかったです」とロケットとのエピソードを明かして笑顔を覗かせた。試合では進化を見せたものの、「終わってからのコーチ陣との反省会が凄く厳しかったです。ずっと、ずっと。ああすればよかった、こうすればよかったって。1つ1つ本当に勉強ですね。1試合1試合が私にとって本当にいい勉強になっています」と本人は反省の弁。「試合中もキムラ、キムラと聞こえていたんですが、まだもうちょっと自分のグラップリング技術に自信がなかったので。でも、次はぜひ極めたいと思っています」と次戦での一本勝ちを誓った。

 29日に日本ラストマッチを行ったエメリヤーエンコ・ヒョードルは現在43歳で美憂よりも年下にあたる。それを伝え聞き、「自分がこの年齢でもまだ戦えていることは自分でも嬉しいことです。裏を返せば、彼らよりも若く見えるってことですよね(笑)」と笑い飛ばすと、「今回はクリスマスを返上してトレーニングをしてたので、子供たちとの約束で、試合が終わったら、クリスマスをまたどこかでちゃんとやろうねと。それが楽しみです」と母親の顔を垣間見せた。「言われればまた飛んできます」と早くも次戦を視野に。アラフィフに突入しても美憂の進化は続きそうだ。

【試合後の美憂】
――試合後の率直な感想は?

▼美憂「やっぱり前回負けてたので、その負けが続かなくてよかったと思ってます」

――対戦を終えて、相手の印象は違っていた?

▼美憂「もうちょっと蹴りが来ると思っていたので、それにパンチを合わせていこうと、最初の1R目は硬くなりすぎてしまったな、見すぎてしまったなと。立ち技で私は凄く行きたくて、でもなかなか前に自分が出れなかったことは悔しくてしょうがないんですけど。グラウンドは本当に今までやってきた選手の中で、一番忙しいというか、次から次へと手がいろんなところから入ってくるので、集中しないと極められてしまうという危機感はありました」

――今後の展望は?

▼美憂「もう私の場合は1戦1戦目の前の試合を勝つだけですね。で、あとからいろいろついてくると思います」

――今年を振り返るとどんな1年だった?

▼美憂「本当に素晴らしい1年だったと思っています。残念ながら家族を亡くしてしまったことがありますが、それ以外は素晴らしい1年でした」

――相手は22歳年下だったが?

▼美憂「確かに22歳年下だということで、自分でも驚きだったんですが、ただ試合後に"お母さん"と呼んできて、とてもほほえましかったです。そういった選手に勝ててよかったですし、彼女もタフでグラップリングが素晴らしかったので、いい戦いだったかなと思っています」

――MMAの選手として今年は進化したと思う?

▼美憂「本当に満足しています。29日はチームメイトが勝っているので、あとは私に重圧がかかっているなと思ってたんですけど、KRAZY BEE、SPIKE22としてもよかったと思っています」

――今日の試合を振り返ると、何度かチャンスがあったが最終的に判定勝ちになった。気持ちの整理はまだついてないと思うが、自分としては決めたかった? それともファイトプラン通りに終えられてよかった?

▼美憂「ゲームプランはこんな感じではなかったですね。もっともっと蹴りが来た中で合わせていくというプランだったんですけど、まあ、全てが思い通りに行くわけではないので、よかったと思うんですけど。終わってからのコーチ陣との反省会が凄く厳しかったです。ずっと、ずっと。ああすればよかった、こうすればよかったって。1つ1つ本当に勉強ですね。1試合1試合が私にとって本当にいい勉強になっています」

――あい選手、ジョン・タック選手、矢地祐介選手が29日勝ったが、自分も勝ててどうだった?

▼美憂「確かに最後の自分に大きなプレッシャーがあったんですけども、みんな勝つことができて、力強くKRAZY BEEとして終われて、本当によかったと思っています」

――3Rはもう少しで極められそうだったが?

▼美憂「確かにもう少しでした。コーチを含めてみんなから厳しく試合後に言われてしまいました。試合中もキムラ、キムラと聞こえていたんですが、まだもうちょっと自分のグラップリング技術に自信がなかったので。でも、次はぜひ極めたいと思っています」

――29日にヒョードル選手とジャクソン選手の試合があったが、二人は43歳、41歳で、美優選手は45歳になる。その年齢でも多くの人にインスピレーションを与えていることはどう思う?

▼美憂「彼らは私より若いんですか? まだ赤ちゃんじゃない(笑) ただ、自分がこの年齢でもまだ戦えていることは自分でも嬉しいことです。裏を返せば、彼らよりも若く見えるってことですよね(笑) 非常に満足しています」

――これからお正月をどのように過ごす? 次の試合までにしたいことは?

▼美憂「今回はクリスマスを返上してトレーニングをしてたので、子供たちとの約束で、試合が終わったら、クリスマスをまたどこかでちゃんとやろうねと。それが楽しみです。またグアムに戻って、トレーニングを一からやりたいです」

――次の試合はいつ頃やりたい?

▼美憂「いや、言われればまた飛んできます」

――RIZINの全選手の中で戦いの総時間数が2番目に長いことはどう思う?

▼美憂「ええ、本当に? 自分がそれほどスタミナがあるという証でもあると思います」

プロ格 情報局