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3/23【全日本】26日ぶり興行再開で激闘三冠戦 諏訪魔が最多7度目の戴冠で2度目の5冠達成

『2020 DREAM POWER SERIES〜ReOStaff株式会社 presents〜』東京・後楽園ホール(2020年3月23日)
三冠ヘビー級選手権試合 ○諏訪魔vs宮原健斗×

 諏訪魔が26日ぶりの興行再開となった後楽園大会で宮原の防衛記録を10で止め、最多記録更新となる7度目の三冠王座戴冠と2度目の5冠制覇を成し遂げた。

 新型コロナウイルス感染拡大の中、全日本は興行を自粛していたが、この日2・26新木場大会以来26日ぶりに再開。メインイベントは第32代王者・川田利明と並ぶ三冠最多防衛タイ記録V10を達成した王者・宮原に諏訪魔が満を持して挑戦する三冠戦だ。「全日本の顔」を決める天下分け目の大一番で、宮原が勝てば最多防衛記録、諏訪魔が勝てば最多戴冠記録をそれぞれ更新する、歴史もかかった一戦となった。

 試合は“頂上決戦"と呼ぶに相応しい激闘となった。のっけから意地と意地とがぶつかり合う。宮原が場外戦で頭突きやフェンスへのスタンガンを放つが、諏訪魔も譲らず。ラフファイトだけでなく、フロントスープレックスなどで投げまくると、エプロンに退避した王者をロープ越しのスリーパーで絞め上げた。しかし、宮原もロープ越しのスリーパーで逆襲。エプロンで倒れ込んだ諏訪魔にブラックアウトをぶち込んで押し返す。諏訪魔がジャーマンで抵抗すれば、宮原もジャーマンで応戦。宮原はすかさずブラックアウトに繋げるが、キャッチした諏訪魔はショートレンジラリアットを発射…と試合はシーソーゲームの様相に。

 壮絶なエルボー合戦に雪崩れ込むと、宮原がフロントハイキックで諏訪魔を蹴り倒し、延髄ブラックアウト、ジャーマンと畳みかけ、シャットダウンスープレックスで勝負に出る。しかし振り払った諏訪魔が、宮原の蹴り足をキャッチすると、そこから強引にラストライドを敢行。ラストジャーマンも火を噴いた。沈まない宮原も正調ラストライドを不時着して切り返し、カウンターのスタンディングブラックアウトをズバリ。ともに大の字になると、死闘に興奮した客席から健斗コール、諏訪魔コールが同時に巻き起こった。

 三冠への思いを爆発させた諏訪魔はダブルチョップを乱れ打ち、ショートレンジラリアットを3連発で放つが、宮原は感情むき出しで仁王立ち。ローリングラリアットに合わせてスタンディング式のブラックアウトをぶち込んで怒とうの追い上げに打って出る。間髪入れずに正調ブラックアウトに繋げ、またもシャットダウンの構えに。だが、ここでも防いだ諏訪魔はかんぬきスープレックスで投げ捨て、こん身のラリアットを振り抜いた。場内は沸騰する。

 最後まで諏訪魔は止まらなかった。急角度のバックドロップを連発すると、それでも王者が沈まないとみるや、なおもバックドロップの構えに。勝負を捨てない宮原は空中でヒザを利かせ、ブラックアウト2連打で猛追するが、倒れなかった諏訪魔は助走をつけて豪快なドロップキックを発射。不意の一撃で最高男を蹴り倒すと、最後はバックドロップホールドで遂に宮原に土をつけた。

 宮原政権は1年5ヵ月で幕。第63代王者に返り咲いた諏訪魔が自身の持つ最多記録を更新する7度目の三冠ベルト戴冠を果たした。

 同時に保持している世界タッグを含めて、2013年10月以来、6年5ヵ月ぶりに五冠王に。諏訪魔は「三冠ベルト、獲ったぞ、オイッ! タッグのベルトと合わせて五冠を達成した。正直に嬉しいよ」と喜びを爆発させたが、「今日対戦相手だった宮原。やっぱ強えな。今日はどっちが全日本の顔か決める試合だったんだけど…宮原、お前全日本プロレスだよ」と素直に宮原を称えた。そして、「ただ、俺が五冠になったんで、これからは全日本プロレスの象徴として活躍していきたいと思う」と所信表明。「まずは4月、チャンピオン・カーニバル。優勝するのはこの俺だよ」と次なる目標を掲げた。

 そんな諏訪魔の言葉を聞いたチャンピオン・カーニバル出場者がリングに次々と登場し、マイクを奪い合ってアピール合戦に。諏訪魔の盟友・石川も「こんな時だからこそ、今日の試合を見て、やっぱ俺たちレスラーはリング上で生きるしかねえなって思ってます。この強いメンバー、そいつらみんなぶっ倒して、あんたもぶっ倒して、そのベルトに挑戦するのはこの俺だから」と宣言した。

 狙われる立場となった諏訪魔だったが、主役を譲るわけにはいかない。2年後には全日本プロレス50周年が待っているからだ。全日本一筋16年の諏訪魔は「50周年までこの三冠のベルト、世界タッグもそうだし、全日本プロレスという看板をもっともっと盛り上げて、50周年を成功に導きたいと思います」と誓ってみせた。

 今宵は新型コロナウイルス禍の最中での興行となったが、「今、全日本プロレス、他のスポーツも緊急事態だと思う。ただ、そんな時だからこそ、全日本プロレス、俺はプロレスを通じて守っていきたいと思う」と決意をみなぎらせ、最後はマスクをつけた観客たちとともに「後楽園ホールの皆さん、そして五冠になった俺は全盛期だ、オイッ!」の大合唱で後楽園大会を締めくくった。

 バックステージでも「マスクしていると、当然声もなかなか出にくくなっちゃうかもしれないけどさ、それでもみんなプロレスに…。その期待に応えるしか俺にはできない」と語った諏訪魔。「みんな予防して、最後の『全盛期だ、オイッ!』やって。世界一清潔だよ。世界一清潔な締め方をしたプロレス、いいんじゃないですか。堂々と清潔にしたプロレスだっていいじゃん? 換気だって凄いしてたよね。お客さんは寒かったかもしれないけど、それでもやっぱし見たいんだなって思うんだよね。マスク越しの声援って貴重なことだったな、今日は。マスクなかったら、本当にできないかもしれないよ」と非常事態で行われた試合を振り返ると、「でも、気持ちは今日が一番最高だったんじゃないかな。宮原の言葉を使うとしたらさ。よかった、チャンピオンになれて」と気持ちを吐露した。

 全日本の底上げも予告したが、まずはチャンピオン・カーニバルに照準。王者として、全日本の象徴として、2008年以来遠ざかっている優勝を狙う。

【試合後の諏訪魔】
▼諏訪魔「しんどい。相手が強いな。最後はどっちが全日本プロレスの顔なのかというその意地だけ。技をかけても返すし、こん身の技を気持ち込めて仕掛けるし。宮原、こんなに改めて成長しているというより、俺が本当にチャレンジャーだったな。さすがだな。あいつは全日本プロレスの顔で。かと言って、俺だって顔だよ。顔が何個あったっていいだろ? 全日本プロレスがあと2年で50周年なんだよ。それを聞いた時に、俺がやらなきゃダメだなって思ったんだよ。今日はその50周年を成功したい。その思いがこうして今、五冠というものに結びついたのかなって思います」

――これでチャンピオン・カーニバルに勢いづく?

▼諏訪魔「俺自身さ、リーグ戦の厳しさっていうのはわかるから。2008年から優勝してないんだ。それはもう毎日あのひと月はさ、地獄なんだよね。今日は約1ヵ月ぶりに相手と一発勝負。だからこういう結果になっているんだけどさ。これが毎日やるってなった時は、俺の身体がもつかどうかわからないんだ。ただ、俺自身、チャンピオンになってさ。もう何回もなってるよ。今、俺自身がやるべきことはさ、究極の五冠戦というのは俺のワガママなんだけどね。全日本プロレスのことを一番考えているんだったらさ、下を底上げするというか。ドンドンドンドン俺が叩き潰してやるよ。下を底上げして、活性化していく。それが今、俺に残された役目なんじゃないかと思うね。やっぱ今日みたいな意地の張り合いするのが全日本プロレスだと俺は思ってんだ。どっちが立ってられるのかのね。そこだよね。ただ、今日はたまたま宮原と激しい試合になったけど、これが全日本プロレスだよっていう証明をした形になったというだけだね。ドンドンドンドン激しいぶつかり合うプロレスをやっていきたいと思いますよ」

――久々の試合で、紙テープ禁止などいつもと違う状況だったが、リング上で感じたことはある?

▼諏訪魔「お客さんが全員マスクしているという。凄い予防を心がけているんだなって一番感じたし、マスコミさんもみんなマスクしているしさ。ただ、マスクしていると、当然声もなかなか出にくくなっちゃうかもしれないけどさ、それでもみんなプロレスに…。その期待に応えるしか俺にはできない。みんな予防して、最後の『全盛期だ、オイッ!』やって。世界一清潔だよ。世界一清潔な締め方をしたプロレス、いいんじゃないですか。堂々と清潔にしたプロレスだっていいじゃん? 換気だって凄いしてたよね。お客さんは寒かったかもしれないけど、それでもやっぱし見たいんだなって思うんだよね。マスク越しの声援って貴重なことだったな、今日は。マスクなかったら、本当にできないかもしれないよ。でも、気持ちは今日が一番最高だったんじゃないかな。宮原の言葉を使うとしたらさ。よかった、チャンピオンになれて」

※ここで同期の雷陣明が姿を現す

▼雷陣「来ましたよ」

▼諏訪魔「なんだよ、お前はよ(笑)」

▼雷陣「自慢の同期や」

▼諏訪魔「お前が言っているだけだろ? 嬉しいなあ」

▼雷陣「自慢の同期」

※セコンドの岡田が乾杯を促す

▼岡田「乾杯しましょう。諏訪魔さんが今日、全日本プロレスの顔になった日ですから、乾杯しましょう。今日は雷陣さんも来ていただいたんで。諏訪魔さんの三冠を祝って乾杯!」

※雷陣も含めて乾杯すると

▼雷陣「おめでとうございます」

▼岡田「おめでとうございます」

▼諏訪魔「嬉しいねえ」

▼雷陣「こんな記録のかかった一戦を見逃すわけにはいかないんで」

▼諏訪魔「なんだよ、応援しに来てくれたんじゃないの?」

▼雷陣「いや、同期として、もちろん応援に」

▼諏訪魔「ありがとう。嬉しいなあ。頑張ろうな?」

▼雷陣「はい、頑張ります」

▼諏訪魔「俺ももっともっと頑張るよ」

※宮原はノーコメント

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