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9/15【NOAH】「負けた数だけ考え、鍛え、強くなってきた」 念願N-1初出場へ稲村愛輝インタビュー

 念願の『N-1 VICTORY』(9・18名古屋大会から開幕)初出場が決まった稲村愛輝。

 背にデカデカと『金剛』と縫い込まれた赤いツーショルダー、“まゆ毛全剃り"のモヒカン頭。インパクト十分な見た目のみならず、恵まれた体格を生かした躍動感あるファイトで、キャリア2年ながらも随所で存在感を残してきた。

 若手ヘビー級のホープとして、清宮海斗の背中を猛追する存在としても認知され、モハメド ヨネや齋藤彰俊らがエントリーしないなかN-1出場キップをつかんだ。

 丸藤正道、杉浦貴、拳王、中嶋勝彦、谷口周平…と所属の強豪ひしめくBブロックにエントリー。足りない実績、負けてきた日々の意味、課題と手応え。リーグ戦出場を目の前にした反骨の若武者に話を聞いた――。


【稲村愛輝インタビュー】

――初出場となるN-1に向けて率直な思いは?

▼稲村「まず、“出場できる"ことに対するうれしさはあります。今年は絶対出るんだ!という気持ちで、(落選した)前回から1年間闘ってきましたし、出るからには絶対に“結果を残す"という気持ちはありますね」

――当然“出場すること"が目的ではないと

▼稲村「はい。N-1出場につなげられるように、あらゆる試合で存在感を示すべく闘ってきたつもりではあるんですが、存在感は残せたのかもしれないけれど、結果はほぼ残せていない。そこを残していかないと、出る意味は無いと思ってます。『選ばれて良かったね』『結果は残せなかったけど頑張ったね』じゃ何の意味もないと思うんで」

――モハメド ヨネや齋藤彰俊らが出場しないなかで選ばれた格好だ

▼稲村「その意味というのは、表には出さずとも自分では感じてるので。そういう部分でも“僕が出た意味"というものを示していきたいと思ってます」

――昨年と比べて一番進化したところというのは?

▼稲村「もともと強みにしたいと思っていたパワー面。(コロナ自粛で)試合が無かった期間とかは、かなり負荷を上げてやっていました。体も重くなってきて、スタミナ面も課題になってきたんですが、今はかなり調子良くスタミナも上がってきてる実感があります。パワーも上がりつつ、以前よりも動ける。それを目標にずっと練習してきましたし、手応えもあります」

――コロナ自粛期間が良い方向に作用した?

▼稲村「それはかなりありますね。トレーニングに打ち込める時間が多かった一方で、定期的に試合もできていたので『今の体重だと、どれくらい動けるのかな?』とか『どれくらいパワーを出していっても息は切れないのかな?』とか、試すこともできた。自分の体と動きを見直せたんで、そこは強みになるかなと思いますね」

――ハタから見るとガムシャラに試合をしているように見えたが、細かく課題を持って取り組んでいたと

▼稲村「そうですね。試合が少なかったんで、その分、一試合一試合に目標や課題を持って試合ができましたね」

――その成果を出す時が来た?

▼稲村「はい。いろんな変化を試しつつ、その変化をうまくつかんで勝ちにつなげていきたいですね」

――とはいえ、どの出場メンバーにもシングルで勝ったことはない

▼稲村「自分よりキャリアが下の選手は、この団体内にはいないワケですし、僕が出ると決まった時点で僕が一番下からのスタートだということは分かりきってること。言ってしまえば常日頃からそうですけど、一度もあきらめたことはない。でもいい加減、上の先輩達に勝たないと…という気持ちはひときわ強くなってます。思っただけで勝てるほど甘くないのも分かってる。だから残りの期間も努力を続けて、何かひとつでもパラメーター的に突き抜けてるモノを作って、一気に勝てるようにしたいですね」

――自身が入ったBブロックのメンバーについての印象は?

▼稲村「“所属の選手だけ"というブロックは、いろんなリーグ戦含めてなかなか無いと思うんで。ここ最近は、フリーや他団体の選手とも当たってきましたけど、所属選手とのシングルはそこまで多くなかった。改めて所属の上の人たちに“変わった"ってことを示していきたいですね」

――丸藤、杉浦というノアを支え続けてきた二人と同じブロックでもある

▼稲村「丸藤さんとはシングルをやったことが無い。団体内でシングルをやったことがないのは丸藤さんだけだと思うんで。タッグも含めて当たる機会自体が少なかったので“蓄積"も少ない。かつ一番引き出しもあって動きも読めない。その状況で初めてシングルをやる形になりますけど、やっぱり不安よりも楽しみのほうが強いですね。そして杉浦さんは敵ながらずっと目標にしている選手。最近も金剛vs杉浦軍のタッグで良く当たって、終盤押し込みながらも一発切り返されて負けてしまう…というパターンが多いので、シングルでは押し切れるように。…そこはもう押し切るしか無いと思ってるんで、勝ちにつなげていきたい。杉浦さんの深みは、押し切れたと思った先にもあると思うんですけど、まだその段階すら自分は見れたことがないので、その壁も破って、さらに今回はその先まで突き破ります」

――拳王との同門対決もある

▼稲村「拳王さんに関しては、ずっと隣で試合をさせてもらって闘うことはなかったんですが、組んでも闘っても拳王さんの持つ闘いの本質は変わらないと思うんで。その強さを隣で見てきた…ということは、いろいろ自分なりに分かることもある。隣で学んできたことを、逆に今回は自分で返していきたいですし、隣で見てきた分、攻略ポイントもその分わかってると自分では思ってるので」

――金剛については、清宮海斗から『そこにいて良いのか?』という問題提起を受けたこともある

▼稲村「金剛にいたからこそ、あらゆる経験ができたと思ってるんで、今はしっかり“金剛の稲村愛輝"として闘いたいですね。金剛が結成された時、拳王さんの呼びかけに自分で出ていった身ですから。自分の意志でやってる。周囲からどう言われても、気持ちが揺らぐことはないですね」

――そして中嶋勝彦ともまさかの“金剛同門対決"となった

▼稲村「びっくりの一言ですけど、最近も8月の新木場で顔面を蹴られて負けていて。もともと残虐性を持ってる方ですが、今この状況になった中嶋さんというのは、かなり危険な状態だと思うので。かといって逃げるワケにもいかないですから、中嶋さんとの闘いこそ、あえて全部受けきって勝ちたいですね。やっぱり、そういう怖い部分とか、危ない部分っていうのから逃げてたら、ずっと自分は変わっていけないと思うんで。あえてそこを受けきって、最後に立っていたいですね」

――激しくやり合う場面が多かった谷口とも同じブロックとなった

▼稲村「ここ最近、顔面を何度も蹴ってくるようになりましたよね。しかも何発も蹴ってくる。当たりが浅いように見えても、ああいう風に蹴られたら、しばらく動けなくなるんで。ガードしても、あれだけのパワーの人が蹴ってきたら…。あの技は耐えようがない部分があるんで、食らったら終わりだと思って対策を立てないと。谷口さんの含めて、上の人たちと当たるたびに『自分が思ってる以上に、先輩であっても止まらずに進化してるんだ』と感じましたし、だからこそ自分はそれ以上に進化していかないと…というのは、この1年間で強く感じましたね」

――改めて負けが続いてきた日々をどう生かす?

▼稲村「“負けること"は成長と隣合わせだと思いますし、勝った時よりも負けた時のほうが考えることも多い。負けた数だけ考えてきましたし、負けた数だけトレーニングもしてきた。一回も意味のない負けは無かったと思うんで、負けた分だけ強くなってきたつもりです。今まで負けた分…タッグでの負け、シングルでの負けすべて含めて、全部、このN-1にぶつけていきたいと思います」

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