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9/21【全日本】日高を熱闘撃破、岩本が世界ジュニアV2 亮生迎撃へ「30代中心」宣言

『2020 Champion Carnival』東京・後楽園ホール(2020年9月21日)
世界ジュニアヘビー級選手権試合 ○岩本煌史vs日高郁人×

 岩本が元ZERO1の日高を突破し、世界ジュニア王座2度目の防衛に成功。V3戦で初挑戦となる亮生迎撃が決まり「世界ジュニアのベルトを回してるのは、30代の俺だ。あとはみんな、その“周り"なんだよ」と豪語してみせた。

 8・30後楽園大会に日高が来場し、世界ジュニア挑戦を表明。この日、王者・岩本への挑戦が実現した。9・15後楽園大会で全日本初参戦を果たした日高は岩本の眼前でショーンキャプチャーをみせつけて前哨戦に快勝。試合後には未遂に終わったものの、王者にもショーンキャプチャーを仕掛けて揺さぶりをかけていた。

 試合の流れを左右したのはキャリアの差。百戦錬磨の日高が序盤から老かいに攻め立て、ロープ越しの攻防でラリアットを食らっても、リングに戻ったり場外に出たりを繰り返して王者を苛立たせ、低空ドロップキックでヒザを射抜いた。すかさずドラゴンスクリュー、ヒザ十字固めと足攻めで主導権を握った。

 負けじと岩本はカウンターの一本背負いで逆襲し、ブレーンバスターやネックスクリューで挽回。肩固めで絞め上げたものの、再び低空ドロップキックを食らって動きが止まる。すかさず日高はドラゴンスクリュー、スワンダイブ式低空ドロップキックで狙い撃ち。満を持してショーンキャプチャーを狙う。岩本が阻止してもロープ越しのDDTでエプロンに突き刺した。

 その後もミサイルキック、リバースDDTと日高の猛攻は続いたが、ミスティフリップは岩本が決めさせない。野良犬ハイキックを食らっても、必殺の石見銀山を阻止。日高がアイルビーバックで幻惑にかかったところを追尾し、逆にトップロープをつかんでリングインする岩本式アイルビーバックでかく乱。大外刈りで叩きつけた。

 すかさず岩本はニーアッパーやジャーマンで一気に勝負をかける。粘る日高が飛びつきミスティフリップや野良犬ハイキックで逆襲しても、石見銀山は再び完封。ラリアット、ドラゴンスープレックス、ラリアットと怒とうの猛攻で完全に流れを引き寄せると、孤高の芸術をさく裂させて3カウントを奪った。

 岩本が難敵・日高を撃破して世界ジュニア2度目の防衛に成功。全日ジュニアの至宝を守り抜いた。「今日も序盤、完全にコントロールされてたし、うまさでは確実にキャリアのある日高選手が上」と称えた岩本。そこで上回ることができたのは「俺には強さがある」との自負と「一発の重み」。勝利の呼び水となったのが岩本式アイルビーバックで、前夜、眠れぬ夜を過ごす中でひらめいた切り返しだった。

 薄氷を踏むような苦闘だったとあって、岩本は「本当に厄介でした。本当に紙一重でした。やっぱきついね」と振り返った。一方で「毎回ね、この重圧を背負って戦うきつさもあるけど、達成した時の気持ちよさ、これはたまらんね。やめられないね。だから何があっても防衛し続ける」と長期政権を誓った。

 そしてV3戦の相手も決定。この日、10人タッグによる挑戦者決定戦で光留に勝利した亮生だ。挑戦権を得た亮生は試合後の岩本と対峙し、「今年のあすなろ杯は最下位。こんな男がまさか挑戦権を取るとは思わなかったんじゃないですか。でも、同期に置いていかれて悔しい思いしてきた。あとはあんたのそのベルトを巻いて全日本ジュニアのトップに立つだけです」と宣戦布告。受けて立つ岩本は「亮生、楽しみにしてるぞ。日高郁人以上、田村男児以上、それ以上も求められるぞ」と初挑戦となる亮生にプレッシャーをかけた。

 「僕がこのベルトを取り返した相手が横須賀ススム。42歳。初防衛戦の相手の田村男児が21歳。今日の日高郁人は48歳。そして次の挑戦者の青柳亮生は20歳。振り幅が凄いでしょ? でも、ひとつ。この世界ジュニアのベルトを回してるのは、30代の俺だ。あとはみんな、その“周り"なんだよ」。そう豪語してみせた岩本は世界ジュニアの防衛を重ね、全日ジュニアの中心であり続ける覚悟だ。

【岩本の話】「無事に2度目の防衛、日高郁人、達成できました。ずっと日高郁人対策を動画で見たり、いろいろしてきましたけど無理ですね。経験が凄い。(動画を)みたところで表面上のものしかたぶん俺は情報を入れられてなかったと思う。今日も序盤、完全にコントロールされてたし、うまさでは確実にキャリアのある日高選手が上だと思います。ただ、俺には強さがあると自負してるんで。一発の重み。日高さんの方が体重軽いでしょ。その数字の重みで俺は対抗したと思ってるし。唯一、攻略できたかなと思うのが、昨日、寝る前に、寝よう寝ようとして眠れず、パッと思いついた日高選手のアイルビーバック。これ厄介だなとふと思いついて、アイルビーバックをアイルビーバックで返したら相手は一瞬だけど動揺するんじゃないかなと思って、今日、岩本式アイルビーバックを出しました。けど、対日高郁人戦でしか使えないでしょうね。他にアイルビーバックする人いないんで。本当に厄介でした。本当に紙一重でした。やっぱきついね。きついわ。毎回ね、この重圧を背負って戦うきつさもあるけど、達成した時の気持ちよさ、これはたまらんね。やめられないね。だから何があっても防衛し続ける。これで2度目の戴冠の防衛回数2回に並んだんで、ここから伸ばしていかないと。ここで終わったら意味ないんで。亮生、楽しみにしてるぞ。日高郁人以上、田村男児以上、それ以上も求められるぞ。俺は堂々と上から目線で待っててやる。以上」

【試合後の日高】
▼日高「挑戦表明のコメントを出した時から岩本君って言ってね、ちょっとチャンピオンをコントロールできるかなと思ったんですけどね。だから、あの日も僕のコメントに対して怒ってたじゃないですか。そういうのもあって、ちょっと前哨戦が一つ飛んじゃったけど、今日までちょっとずつちょっとずつ追いつめて、今日も組み立てとしては序盤じらしてっていうふうに運んでたんですけどね。やっぱ強かったですね。だから僕、最初に来た時に僕の中の王者像はマイティ井上さん。子供の頃から見てる世界ジュニア王座の王者像はもちろんマイティ井上さんが浮かんでくる。でも来る前から今の世界ジュニア王者は岩本煌史だってイメージできてましたね。強いってイメージもあったし。だからいろんなインサイドワークを使って崩していくつもりでしたけど、崩れなかったですね。あと一歩のところが。このままで終わるのは悔しいから、全日本プロレスさん、もう一度挑戦させてくれ。今日、次の挑戦者が決まったと思うけど、最後尾に並ぶから、もう一度挑戦させてください。最後尾から一人一人抜かしていって、もう一度挑戦者の座を獲りにいきます」

――アイルビーバックをアイルビーバックで返されたが?

▼日高「正直、びっくりしましたね。あんなことをしてくる人間はいなかったですから。何でこれがチャンピオンにできたかっていうとね、(9・13)川崎で阿部がやったからですよ。勝手にアイルビーバックを。だからチャンピオンに返すイメージを作らせてしまった。でも、急きょ欠場のところを阿部が2試合やってくれたから、それはしょうがないですね。ごめん、阿部。怒っちゃったけど、やっぱりそんなことないよ。俺が弱かっただけだから。あれはホントにビックリしました。予想つかなかったですね、あんなことやるのは」

――岩本選手は「巧さで負けたけど、一発の重みで勝った」と言っていたが?

▼日高「そうそう。あそこで食らったSTOも頭強く打ったし、ペースを変えられたのかなと思いますね。だからもう一度チャンスがあったら、足なら足、首なら首でね、色気出さずに一点攻撃でいきたいですね。24年目になってもこうやって試合の途中で意識が…こっちいけばとかそういう気持ちになっちゃうからね。ホントにプロレスリングは奥が深い。だからこそ、あの伝統のベルトをどうしても獲りたいですね。この年でも修行してね。僕、ECWに遠征した時、TAJIRIさんにお世話になって、TAJIRIさんが言ったんですよね。『トレーニングして自分を磨いて、自分の仕事を獲るのも自分次第だし、自分を磨かなくて仕事がなくなるのも自分次第だ。全部自分にかかってるんだ』っていうのをアメリカでECWで言われて、それを24年目の今、ショーンキャプチャー所属というフリーレスラーになって、今一度その言葉が身に染みてますよ。だから、48歳、でもね、年齢なんてただの数字の精神で、また一歩一歩磨いて、どうしてもあのベルトにたどりつきたいです」

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