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7/1【GLEAT】新日本SHOが“UWF戦"でメイン激勝、苦杯船出も伊藤「ばく進」誓う リデット社新団体・GLEAT旗揚げ

『GLEAT Ver.1』東京ドームシティホール(2021年7月1日)
○SHOvs伊藤貴則×

 GLEATがついに本格旗揚げ。伊藤がメインで新日本のSHOとLIDET UWFルールで対戦したものの、最後はレフェリーストップ負けを喫して惜敗。大事な旗揚げ戦を勝利で締めくくれず、苦しい船出となったが、伊藤は「俺もGLEATもここから這い上がるしかないから!」と誓った。

 ノア元親会社『リデット・エンターテインメント』社が仕掛ける新団体『GLEAT』。昨年10月のプレ旗揚げ戦後、プロレス部門の『G PROWRESTLING』と進化版UWFを目指す『LIDET UWF』の2ブランドが始動し、『Ver.0』の大会が続いてきたが、ついにこの日、本格旗揚げ戦となる『GLEAT Ver.1』が開催された。

 後半戦はGLEATエグゼクティブディレクターの田村潔司か監修・育成に携わり、田中稔がテクニカルオフィサーを務める『LIDET UWF』の試合が組まれた。ヒジ打ち禁止で3カウント決着はなく、5ロストポイント制を採用した形式だ。メインに登場したのは、“若大将"を自認する伊藤。元WRESTLE-1で、『LIDET UWF』の中心になることを期待されている。対戦相手として、新日本ジュニアの最前線で活躍するSHOのサプライズ参戦が実現し、注目の一騎打ちが行われた。

 打撃でもスタンドでも先制争いは互角。リング上は異様な緊張感に包まれる。試合が動きだしたのは5分を経過してから。SHOが寝技に引きずり込み、腕ひしぎ十字固めとチキンウイングアームロックで連続してエスケープを奪取した。

 対する伊藤は打撃勝負を選択。SHOのタックルにカウンターのヒザを合わせてチャンスを掴むと、豪快なスパインバスターから逆エビ固めに捕らえてエスケープを奪う。冷静なSHOは再び関節技に持ち込み、三角絞めに捕らえたものの、伊藤は担ぎ上げてのパワーボムで強引に脱出。即座にジャーマンでぶん投げて、ダウンをもぎ取り、ロストポイントで並んだ。

 勢いに乗った伊藤はローキックでぐらつかせ、左右の掌底を連打していくが、SHOも気持ちで引かずに掌底で抵抗。壮絶な打ち合いに発展すると、場内は熱を帯びる。互いにジャーマンで投げ合うと、再び乱打戦に。伊藤はローキックで注意を下に向けると、右ハイキックでダウンをもぎ取り、ついにポイントでリードした。

 ここがチャンスと、ヒザ蹴りを連打した伊藤だったが、SHOはショートレンジのラリアットで不意を突き、ジャーマンから腕十字、そして三角絞めに移行する。伊藤は再び抱え上げようとしたものの、SHOが死力を尽くして絞め続けると、ここでレフェリーが試合をストップ。SHOが勝利した。

 1000人(札止め)の観客が集まった旗揚げ戦のメインで、伊藤が悔しい敗戦。肩を落とした若大将だが、それでもSHOとは握手を交わした。SHOが去っていくと、所属選手たちがリングに集結し、伊藤を激励する。それを受けて、伊藤は「GLEATの一度きりの旗揚げ戦のメインで、負けて情けないという言葉しか浮かんでこないけど、こうやって人生一度の旗揚げ戦、俺もGLEATもここから這い上がるしかないから! これからどんどんどんどんばく進していくのでみんなついてきてください!」とマイクで再起を誓った。観客たちも大きな拍手を送ってそれを後押しする。

 最後はリンダマンが「負けて悔しいかもしれないですけど、まだ歴史の1ページ目ですから。物語の1ページ目から大成功してたら面白くないでしょ? これから大逆襲するのがGLEATなんですよ」と選手たちを鼓舞。「まだまだGLEATの物語は始まったばかりだ。いくぞ、GLEATについてこい!」の号令に合わせて選手たちが拳を突き上げて、大会はエンディングとなった。

 「大将とか言って、勝手に責任感持ってたけど、その大将というのも必ず周り全員に認めさせて、そして必ずニュージャパンにも、そして今日俺の試合を見て、LIDET UWF、GLEATはこんなもんかと思ったヤツ全員を絶対に見返してやるから」とバックステージでも誓った伊藤は、「必ずリベンジする。それだけをSHO選手に言いたいです」とSHOとの再戦も視野に入れた。

 一方、勝利したSHOは「俺がやることはただひとつ。相手が新日本の選手だろうが、こうして他団体の選手だろうが、俺は反対コーナーに立つ相手を、どんなルールだろうが、どんな体重してようが、なに人だろうが関係ねえ。倒すだけだ」と強気に語ったものの、「伊藤選手、いいね。これを点で終わらすか。それとも線につなげるか。伊藤選手、いや、伊藤! お前次第だ」と伊藤にはエールを送った。

 全試合終了後、田村潔司が大会を総括。「今日は全選手全体的にはよかったと思います」としながらも、UWFを知る選手として完璧な試合を披露した船木、そしてセンダイガールズの橋本とその対戦相手だった福田を高く評価し、「GLEATの選手は船木、橋本、福田のいいところを…3人を3で割って1にしたような選手がいいんじゃないかなと」と所属選手たちには投げかけた。

 新日本から参戦したSHOも「伊藤が勝ってたら、『新日本、あんなもんか』と一言言いたかったんですけど、そういう発言もできなかったんで。いい選手ですね。気迫が出てて、あんまりまだ認めたくはないですけど、新日本にもああいう選手がいるんだなと思いました」と高評価。それでも「新日本さんは新日本さんで頑張ってくださいと。GLEATはGLEATで頑張っていきますんでっていう。お互いその中で、部分部分で協力し合うことがあれば、プロレス界を盛り上げていけばいいと思うんで。反発するところは反発する、協力するところは協力するというのがいいんじゃないかと思います」と今後の交流については慎重な姿勢を見せた。

 ついに本格旗揚げを果たしたGLEAT。最高の船出とはいかなかったが、それでもコロナ禍の最中でたくさんの観衆が集まったのは期待の表れだろう。伊藤の言葉のように「ばく進」するべく、これからも『G PROWRESTLING』と『LIDET UWF』を両輪とし、令和のプロレス界を突き進んでいく。

【試合後のSHO】
▼SHO「どうも。GLEATファンの皆さん、新日本プロレスのSHOです。俺がやることはただひとつ。相手が新日本の選手だろうが、こうして他団体の選手だろうが、俺は反対コーナーに立つ相手を、どんなルールだろうが、どんな体重してようが、なに人だろうが関係ねえ。倒すだけだ。俺のやれることはそれだけだ。ただそれをやっただけだ。でも、伊藤選手、いいね。これを点で終わらすか。それとも線につなげるか。伊藤選手、いや、伊藤! お前次第だ」

――参戦した印象は?

▼SHO「強い先輩たちともやっていますし、自分の団体には自分より強い選手は何人でもいますし、ただただいつも通り試合をしただけです。でも、このGLEATに参戦させていただいて、何年経っても、『俺のレスラーキャリアで、あの時、2021年にここに参戦しておいてよかった』って、この先何度も何度も思い返すと思います。それぐらいの戦い。それぐらいの気持ちで僕は挑みました」

――参戦に至った理由は?

▼SHO「いや、僕に関してはそういう話が来た時点で、イヤですって言うようなレスラーじゃないですし、いつ何時どんなルールだって戦う準備はできてます。その覚悟で新日本のリングに上がっているんで。それだけです」

【試合後の伊藤】
▼伊藤「悔しい。本当に悔しいです。生涯一度の旗揚げ戦、しかもメインイベントを任されて。悔しいって言葉しか出てこない。でも、必ず…。『1』だから今は。ここから始まったばっかりだから。どんどんどんどん上に上に。大将とか言って、勝手に責任感持ってたけど、その大将というのも必ず周り全員に認めさせて、そして必ずニュージャパンにも、そして今日俺の試合を見て、LIDET UWF、GLEATはこんなもんかと思ったヤツ全員を絶対に見返してやるから。伊藤貴則、これからどんどんどんどんばく進します。ありがとうございました!」

――SHO選手の強さはどの辺に感じた?

▼伊藤「やっぱり新日本プロレスという大きな組織を代表して来ているという覚悟。それはすごい感じました。でも、自分だってGLEATを背負って、そういう覚悟でやって、絶対倒れない、ギブアップしないと思ったけど、落とされたら何も言うことはないですね。必ずリベンジする。それだけをSHO選手に言いたいです」

――相手は新日本プロレス、自分はUWFというのは意識した?

▼伊藤「正直、周りがすごい騒いでて。自分自身はUWF対新日本プロレスは生まれてすぐのことだったので、映像でしかその熱さはわからないんですけど、そうやって世間が騒ぐということは、そういう熱いものがあったんじゃないかと。そして、この令和にそういう試合が組まれたということは、何かあるんじゃないかということで。これからもその関係じゃないですけど、そういう熱いものを自分が、そしてLIDET UWFが生み出していけたらと思います」

【田村潔司総括】
――正式な旗揚げ戦でUWFルール4試合を見てどうだった?

▼田村「ずっと今、なんて言おうかすごい悩んでて。ちょっとなんて言おうか悩んでいるところです。でも、細かい技術とかは伊藤とか、壮馬とか、そういう若い選手にはもっともっと僕が教えなきゃいけない立場であるということを改めて認識したということと、船木さんはやっぱり断トツでそういうオーラもあるし、試合運びでもそうですし、何も言うことはないです。気になったのはセンダイガールズの橋本選手。もちろんメインの新日本のSHO選手ですか。単身乗り込んで。ちょっと伊藤が負けちゃったんで、何も言うことはないので。新日本の圧勝ということだったんで。伊藤が勝ってたら、『新日本、あんなもんか』と一言言いたかったんですけど、そういう発言もできなかったんで。いい選手ですね。気迫が出てて、あんまりまだ認めたくはないですけど、新日本にもああいう選手がいるんだなと思いました」

――橋本選手とSHO選手はこのスタイルへの適正がかなりありそう?

▼田村「かなりありますね。全然あります。ただ、今日は全選手全体的にはよかったと思います」

――デビュー戦で橋本選手と戦った福田選手については?

▼田村「よかったと思います。まだまだテクニックがない分、未熟な部分ではあるんですけど、彼女自身の気持ちが前に出ていたんで。だから、そこはすごくいいなと思いましたね。まとめると、GLEATの選手は船木、橋本、福田のいいところを…3人を3で割って1にしたような選手がいいんじゃないかなと」

――田村さんの希望としては、対新日本を続けていきたい?

▼田村「いや、ないです。それはないです。GLEATは客観的に演出面でも、演出チームがいるんでしょうね。僕はまったく関わってないですけど、すごく演出面では素晴らしいの一言で。別に僕自身の発想ですけど、よそを気にしてもしょうがないんで。といいつつも、新日本の選手がなぜ来てたんだというのはあります。そこの矛盾はありますけど、僕の気持ちというか、考え方は、よそじゃなくて、GLEATの選手をいかに世に出して、好きになってもらうか、好きにさせるかだと思うんで。その中で、新日本さんの選手とか、スポットで参戦していただいたりというのはありだと思いますけど。もうジャンルが違うと僕は思っているので。新日本さんは新日本さんで頑張ってくださいと。GLEATはGLEATで頑張っていきますんでっていう。お互いその中で、部分部分で協力し合うことがあれば、プロレス界を盛り上げていけばいいと思うんで。反発するところは反発する、協力するところは協力するというのがいいんじゃないかと思います」

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