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2/13【2AW】タンク完全燃焼で9年間のレスラー人生に幕 「やりたいこと全部やれた」

『GRAND SLAM in TKP ガーデンシティ千葉』千葉・TKPガーデンシティ千葉 4Fコンチェルト(2022年2月13日)
タンク永井引退試合 ○吉野コータローvsタンク永井×

 タンクが引退試合で完全燃焼し、約9年間に及ぶプロレスラー人生に幕を下ろした。

 現在37歳のタンクは2012年10月14日、2AWの前身であるKAIENTAI DOJOでデビュー。STRONGEST-K王座を2度戴冠し、2AWでは初代タッグ王者(パートナーは吉田綾斗)に君臨。団体の主力選手として活躍してきたが、紫雷美央夫人の第3子懐妊を機に、「プロレスという職業は本当に毎試合、毎試合、ケガのリスクのある職業ですので、これから家族を支えていくにあたって続けていくのが厳しい」とリングを離れる決断をした。

 昨年12月から引退ロードを戦ってきたタンクはついにこの日、引退試合を迎えた。相手はTollGlanzで共闘してきた後輩・吉野。「最後にタンク永井っていう先輩が培ってきたものを全部受け止めてもらって、何か吉野の今後のプロレス人生にプラスになってくれることを願って」と試合タイトルに「犀魂継承」の4文字を冠した。

 最後のリングに立ったタンクは開始早々、タックル合戦で渡り合い、エルボー、ヒザ蹴りと打撃で圧倒。ダイビングショルダーを放って先制した。さらにシュミット流バックブリーカーでパワーを見せつけたが、串刺しスピアーは鉄柱に誤爆してしまった。

 勢いが止まったタンクは一転して劣勢に。吉野に左腕を狙い撃ちされ、キチンシンク、ボディプレス、ボディシザース、ベアハッグと腹部攻めに苦もんする。ワンツーエルボーで反撃してもボディエルボーで返り討ちにされ、ジャンピングボディプレスを被弾。串刺しラリアットを叩き込まれた。

 それでもタンクはリバーススプラッシュをバックブリーカーで切り返し、キャメルクラッチで捕獲し、腰攻めに活路を求めた。エルボー、フライングショルダーで腰を狙い撃ちしたが、スピアータックルは吉野がニーリフトで迎撃。ストマックブロックからの変型ネックロックで絞め上げた。

 バックフリップも豪快に決まったが、タンクはコーナーに上がった吉野を雪崩式ストマックブロックで叩き落とした。吉野が空中胴締め落としをカウンターで放っても、タンクはロックボトム式バックブリーカー、セントーン、ロックボトムの連続攻撃で押し返し、ダイビングセントーンで勝負に出たが、これが痛恨の自爆に終わった。

 正面飛びドロップキックを食らったタンクはパワースラムで意地の反撃。エルボー合戦で真っ向から火花を散らし、張り手を食らってもヘッドバットで応戦。吉野を受け止めるようにタックル合戦で正面衝突を繰り返した。競り勝ったのは吉野。スパインバスター、フロッグスプラッシュ、変型フェースバスターの猛攻に出た。タンクが雄たけびとともに立ち上がった次の瞬間、吉野のスピアータックルがさく裂。タンクは自身の技によって3カウントを聞いた。

 タンク引退試合は16分12秒で幕。後輩・吉野に介錯された形となった。試合後も倒れたままのタンクに吉野が歩み寄って二人は抱擁。ようやく立ち上がったタンクはTollGlanzの盟友・吉野、笹村、同期・ユーマ24、十枝利樹会長、そして母と二人の子供から花束を贈呈された。

 そしてマイクを手にしたタンクがプロレスラーとして最後のあいさつ。「自分が引退するっていうふうに決めて、家族のためっていう私的な理由で辞めるっていうのを決めた時に、一番はじめは会長に話をして、どこかのきっかけでひどく負けた時とかに次の試合を引退試合にしますって去って消えていくつもりだったんですけど、この2AWの団体のみんなに話をした時に、十嶋さんに『お前の後悔が残るような辞め方をしたら絶対にこの先いいことねぇよ』みたいなことを言われてから、俺が最後にやりたいのって何なんだろうってめちゃくちゃ考えて、自分が本当にやりたいように、この2AWには無理を言って、この引退ロードを組んでもらいました」と引退に至る心境を口にすると、「この引退ロードをどんどん積み重ねていくうちに、自分のためにお客さんが来て、全部自分を見に来てくれてるんだなっていう考えになって、俺だけ目立てばいいやって、そういう試合をしてたらめちゃくちゃ楽しくなってきて。いつまでもこのプロレス、戦いが続いたらいいのになって思ってる時にYOSHIYAさんと連絡したら『引退決めてからのやつめちゃくちゃ楽しいよね』って言われて。YOSHIYAさんは俺がデビューした日に引退した人なんですけど、YOSHIYAさんと同じ気持ちになれたわって思って。この引退ロードをそのまま突き進んでいって、2日前に完全燃焼って2AWのみんなに付き合ってもらって、俺だけが主役の、俺だけ見てくれ、俺をボロボロにしてくれよっていうような大会もやって、めちゃくちゃその日、燃え尽きて、昨日は死人みたいだったんですけど、こうやってまたみんなの前に立つぞってなったら、徐々に復活していって、俺まだプロレスラーだよと思って」とこの日を迎えるまでの思いを明かした。

 引退試合を終えて「今日、吉野とガッチリやり合って、思い切り負けて、その時に今、YOSHIYAさんの気持ちから美央が引退した時の気持ちも俺の中に入ってきてて。美央が引退の時に言ってたのは『やり切った、悔いはねぇ』だったんですね。だから俺、この引退ロードを通して最後の最後にプロレスラーとしてやりたいことを全部やれたなと思いました」と完全燃焼を噛み締めたタンク。「今日でタンク永井はいなくなりますけど、この俺を育ててくれて、俺を最後までこうやって美しく送り出してくれたこの2AWっていう団体の戦いはずっと続いていくし、このまま2AWは千葉をどんどん盛り上げていくし、今日来てくれたお客さん一人一人がもっともっと2AWを応援してくれたら本当に最高だなっていうふうに思ってます」と団体愛を口にすると、「最後、こうやって俺のわがまま、引退ロードに付き合ってくれた団体も、こうやって俺のことを最後に見に来てくれたみんなに本当に感謝の気持ちを伝えて、タンク永井の最後のあいさつとさせていただきます。今までタンク永井を応援してくれて、本当にありがとうございました!」と感謝を述べた。

 場内には温かい拍手がしばし鳴り続いた。そして引退テンカウントゴング、リングアナによる最後のコールを聞いたタンクは高々と拳を突き上げてからリングを降り、TollGlanz勢による騎馬に乗ってリングサイドを周回してから最後の花道を下がった。

 これにてタンクのプロレスラー人生は幕。「人間はみんな自分でやろうと思えば完全燃焼できる! それは俺が証明した。今日、会場に来てくれたみんな、PPV見てくれたみんなに犀魂継承したいと思います! 今日はありがとうございました!」とファンに最後のメッセージを送ったタンクはこれから美央夫人、二人の子供、そしてこれから生まれてくる第3子と愛する家族を支えることに専念する。

【試合後のタンク】
▼タンク「本当に最後の相手を吉野と思いっきりぶつかれて、すげぇよかったと思います。これからの2AWを担っていく人の中に、もしかするとプロレスファンの中に吉野も笹村も今そんな一番上ってとこじゃなかったかもしれないけど、俺はここから先、吉野と笹村でこの2AWを思い切り天下獲ってもらってガラっと変えていってくれると信じてます。そういう素晴らしい仲間たちだなって思います。最後の最後、俺が引退するって決まってからも二人は俺についてきてくれたんで、本当に二人にはめちゃくちゃ期待してます。今日は本当にありがとうございました」

――何も思い残すこともなく終われた?

▼タンク「本当にここ2大会…前回、完全燃焼って名前つけて興行したんですけど、大会の途中、23人掛けやってる途中に『うわ、本当に俺はいま心の底から燃え尽きてる』というのを、痛みとかで記憶があやふやになったとこもあったんですけど、その時点で感じれたんですよね。この間の興行をやり切って今日もう一度、俺の気持ち燃やして、吉野と思い切りぶつかったんで。本当に今は悔いねぇなって感じですね。これが3日前の俺とは意見が違います、きっと」

――全盛期を最後に見せられた?

▼タンク「それは正直、見てる人の判断になるかなと思いますけど、俺はマジで今日が一番強いタンク永井と感じてるんで、俺の体感としては全盛期、思い切り燃え尽きた。そういう男もいるっていうのだけ覚えとかなくてもいいんですけど、そんなヤツいたなって思ってくれたらいいです。たぶん自分で決めて自分の引退ロードを走って、自分で完全燃焼したいって決めてやったので。人間ってたぶん自分で決めたことで自分を追い込んだ場合、本当に完全燃焼ができるんだと思うんですよね。俺と同じように岐路に立つ人がいるとしたら、自分で何かを決めてそこに向かってポンといけば、きっと燃え尽き方が、自分で倒れられる、変な感覚が味わえると思うんで、そういう気持ちの人がいたら試してもらいたいなと思います」

――ご家族がリングに上がったが?

▼タンク「それも最後に上がってくれたウチの母親ももともと俺がプロレスやる、新日本の門を叩いた時にクソ反対して、勘当だぐらいのこと言われて。それなのに、おめおめと戻って、それでも温かく迎えてくれて。2回目KAIENTAI行くときは『ちょっと大工の修行にいってくるわ』って姿を消したんですよ。そんなふうにしても、それも自分で決めたことなんで。今日もリングに上がってくれてたんで、自分勝手に生きても許されるんだなってみんな思えたらいいなと思います。こんなの言ってていいんですかね?(苦笑)」

――奥様からは何と言われそう?

▼タンク「あそこのたたみかけが弱ぇから、あんた最後も勝てないんだねってバシっと言われるんでしょうけど…言われる未来は見えます(苦笑) でも最後に吉野の引き出しも引き出せた、引き出したよ俺はって胸を張って美央に報告したいと思います」

――今までのプロレスラーの経験の中でこれからの人生に活かせそうなものは?

▼タンク「何でしょうね。うーん、何でしょう? すっげぇくだらないことになっちゃうんですけど、引退に向けて今までやってた縄跳びの量を2倍ぐらいにした。そしたら普段から楽ですね。それ活かせないな。もうちょっとカッコいいこと言いてぇ! 活かせること? なんでしょうね。そうですね。最後の最後に俺が主役の完全燃焼やらせてもらって、全部、俺がやりたいこと詰め込んだんですけど、事前に自分が成功させたいことに対して思いを巡らせて生きるっていうことは、そこに至るまでの成功につながっていくなっていうのを肌で感じたので、これからの人生でたとえば別の仕事でもそういうふうにつなげて生きていきたいかなって。いいこと言えたかな…?」

――プロレスラー・タンク永井として最後に一言

▼タンク「人間はみんな自分でやろうと思えば完全燃焼できる! それは俺が証明した。今日、会場に来てくれたみんな、PPV見てくれたみんなに犀魂継承したいと思います! 今日はありがとうございました!」

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