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8/18【新日本】オスプレイと大死闘…オカダ史上4人目のG1連覇で問題提起 「チャンピオン」で1・4ドームへ

『G1 CLIMAX 32』東京・日本武道館(2022年8月18日)
「G1 CLIMAX 32」ファイナルトーナメント決勝戦 ○オカダ・カズチカvsウィル・オスプレイ×

 オカダがオスプレイとの大死闘を制して、史上4人目となるG1連覇。覇者として問題提起し、例年の権利証争いをなくして、G1の“チャンピオン"として直行で来年1・4東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王座に挑戦できるよう求めた。

 史上最多となる28人参加・4ブロック制で行われた今年のG1 CLIMAX。決勝戦は連覇を狙うオカダと、史上2人目となる外国人制覇を見定めるオスプレイによって争われた。両者は今年の1・5東京ドーム大会で対戦し、オカダがレインメーカーで勝利している。過去の戦績も6勝1敗とオカダが圧倒的有利。しかし、決勝初出場となったオスプレイはその牙城に肉薄した。

 “記録的猛勝負"最後の一戦は、オカダが場外DDTを連発して先制。レインメーカーにつなげるべく、テーピングが施されたオスプレイの首を攻めて序盤戦をリードする。しかし、オスプレイは空中戦で反撃。コークスクリュー式ケブラーダを敢行すると、鉄柵に飛び乗ってのオスカッターも繰り出した。負けじと首攻めに着手し、主導権を奪い取る。引かないオカダはマネークリップに捕らえて反攻すると、試合は首狙いの壮絶な消耗戦となった。

 戦場がエプロンに移動にすると、オスプレイが捨て身のエプロンオスカッターでチャンスをこじ開ける。空中殺法でオカダの首を狙い撃ちにすると、完璧なオスカッターも火を吹いた。しかし、オカダは沈まない。ストームブレイカーを不時着して切り返すと、手首を掴んでラリアットを乱射。止まらないオカダはオスプレイがサマーソルトキックを放った直後に、さらにはオスカッターを狙った瞬間に、それぞれドロップキックを発射。旋回式ツームストンパイルドライバーでマットに突き刺した。

 粘るオスプレイはフックキック、チェルシーグリーン(後頭部へのエルボー)とエグい攻撃を首めがけて連発して逆襲。ヒドゥンブレードはドロップキックで迎撃されたものの、即座に立ち上がると、前夜の準決勝で公開した新兵器・両足クロス式ツームストンでマットをズバリ。すかさず後頭部にヒドゥンブレードをぶち込んだ。これでもオカダが沈まないとみるや、棚橋弘至のハイフライフロー、AJスタイルズのスタイルズクラッシュ…とかつてオカダが敗北を喫した技を再現。ケニー・オメガばりのVトリガーから片翼の天使の体勢に。逃れたオカダは開脚ドライバーから一気にレインメーカーをぶち込んだものの、オスプレイは意地のキックアウト。拍手と重低音ストンピングが発生し、武道館は沸騰した。

 オカダはジャーマンから再びレインメーカーで勝負に出るが、オスプレイはカウンターのその場飛びスパニッシュフライで切り返す離れ技を披露。壮絶なエルボー合戦で削り合っても2人のスピードは衰えず、ハイレベルな先読み合戦になだれ込む。オカダはリバースネックブリーカーや延髄斬りで攻勢。オスプレイもエグいホイップ式エルボーを叩き込んだものの、サポーターを外してのヒドゥンブレードを狙って走り込んだ刹那、その体をキャッチしたオカダは勢いを利用し、高速旋回式エメラルドフロウジョンをズバリ。間髪入れずにレインメーカーを振り抜いて、激闘に終止符を打った。

 オカダが蝶野正洋、天山広吉、飯伏幸太に続き史上4人目の連覇達成。5度の優勝を誇る蝶野に次ぐ記録となる4度目のG1制覇を成し遂げた。“モンスターブロック"と称された巨漢外国人揃いのAブロックから勝ち上がり、準決勝で昨年敗北を喫したタマ・トンガを撃破。決勝ではかつての兄弟分から実力者に変貌したオスプレイも下し、50周年を迎えた新日本の主役がオカダだと改めて満天下に知らしめた。

 33分を超す死闘を繰り広げた両者はしばし大の字。それでもオカダは優勝トロフィーと優勝旗を受け取ると、マイクを掴む。「武道館! 今日も熱い熱い熱い声援本当にありがとうございました!」と最初に観客への感謝をあらわにしたオカダは「オスプレイ、最高だよ、お前。お前もかなり熱いよ。でもさ、お前が俺が倒すまで何回も壁になってやるからな」とオスプレイにメッセージを送った。

 その後も感謝の言葉を重ねたオカダの口から出てきたのは、G1覇者恒例になっていた挑戦権利証争いへの問題提起だった。「僕も11回G1 CLIMAX出てますけど、今年のG1 CLIMAXは本当に過酷でした」と振り返ったオカダは「去年優勝して、G1 CLIMAXの価値ってこれでいいのかなと思いました。優勝して、権利証守って、G1の価値ってそんなもんじゃないでしょ?」と投げかけた。

 G1覇者は翌年の新春東京ドーム大会におけるIWGP世界ヘビー級王座挑戦権を与えられるのが習わしで、その権利証の争奪戦を重ねてドーム大会へと向かうのが例年の道筋だった。この慣例を作ったのが2012年にG1初制覇を成し遂げたオカダ。それまではG1直後にタイトルに挑戦するパターンが多かったが、オカダが翌年のドーム大会を舞台に指定し、それを確約してもらうために明文化を求めて権利証が生まれた。しかし、権利証がG1覇者以外の手に移った例はほとんどない。オカダはそんな状況で自ら作った制度に疑問を呈したのだ。

 「IWGPみたいに何回もチャンピオンが変わるベルトの戦いじゃない。1年に1人しか出てこない最強を決める大会。そのG1の価値が終わったら、『はい、IWGP世界ヘビーの次(の挑戦者)です、頑張ってください』というのはこのG1を否定しているようにしか感じられません」と指摘。「だから、俺はこのG1 CLIMAXの価値を上げます。イコール、挑戦権利証の価値も上げます。挑戦権利証の価値を上げるイコール、2023年1・4東京ドーム、メインイベント、IWGP世界ヘビー級チャンピオン対G1 CLIMAXチャンピオンオカダ・カズチカでいいだろ、バカヤロー!」と感情をあらわにし、団体側に検討を求めた。

 新日本プロレス50周年イヤーも後半戦となるが、オカダは「まだまだプロレスを知らない人が僕のプロレスを通してもっと知ってもらえるように、今この会場にいるプロレスを好きな人がもっと好きになってもらえるように、新日本プロレス、オカダ・カズチカ、まだまだプロレス界を盛り上げていきますんで、新日本プロレスの下半期、まだまだよろしくお願いします!」と決意をあらわに。「皆さん、本当にありがとうしか出てこない…。ありがとうございました」と涙をにじませたオカダは、「僕だけじゃなく、新日本プロレスだけじゃなく、皆さんに東京ドームの超満員を味わっていただけるように、まだまだしっかりと戦っていきますんで、応援よろしくお願いします」と誓いを立てると、最後に「新日本プロレス50周年下半期、そしてプロレス界に金の雨が降るぞ!」と絶叫して、記録的猛勝負を締めくくった。

 権利証のあり方に踏み込んだのもオカダの決意の表れ。東京ドームを超満員にし、プロレス界に金の雨を降らすべく、レインメーカーは新日本をリング内外からけん引していく覚悟だ。


【試合後のオカダ】

※CHAOSのメンバーに祝福され、缶ビールで乾杯すると

――おめでとうございます

▼オカダ「ありがとうございます」

――今の率直は思いは?

▼オカダ「ちょっとやっぱ寂しいですかね。こんだけ1ヵ月熱い戦いをしてた中で、今日で終わってしまうんだなっていう。優勝して安心した部分もありますし。まあ、悔いなく終われたっていうのが一番ですかね。しっかり優勝できて、やっぱ嬉しいですね。その嬉しさっていうのはもう少し落ち着いたら出てくるのかなと。今はまだ興奮しているんで」

――これまでで最も過酷だと話していた今年のG1だったが、モンスターブロックと言われたAブロックを勝ち抜いて、タマ・トンガ選手を破り、今日はウィル・オスプレイ選手を破った。何がここまで力を発揮させてくれた?

▼オカダ「わからないです、もう。本当にオスプレイが勝つチャンスっていうのはもちろんあったと思いますし、タマもそうですし、Aブロックもたくさん強い相手がいましたし。まあ、経験の差なのかなと。いろんなキツい戦いを…今いるメンバーの中では確実に修羅場の数という意味では僕が一番だと思うんで、その差が出たんじゃないかなと思います」

――対戦したオスプレイ選手は試合中にハイフライフロー、スタイルズクラッシュ、Vトリガー、そして片翼の天使まで出そうとしていた。これまでオカダ選手を破ってきた選手たちの技を研究して出してきた。そうまでしてオカダ選手を倒したいという強い思いを、リング上でどのように感じた?

▼オカダ「そこがある意味、オスプレイの迷いだったかもしれないのかなと思います。いくらオカダ・カズチカを倒した相手の技を使ったとはいえ、勝てるわけではないですし。もちろんどの技も効きましたよ。かなり効きましたし、凄いダメージがあった中で、オスプレイが迷って、そこで勝てない中で一瞬のスキが出て、レインメーカーにつながったのかなと思いますし。そのレインメーカーも返されてしまったんで。まあ、強かった。本当に過酷でした。1試合もこれなら楽で勝てるだろうという試合もなく、G1らしい本当に熱い戦いができたんじゃないかと思います」

――リング上で権利証に対する今の思いを語っていたが、改めてどういうこと?

▼オカダ「権利証というシステムは10年前僕が作って始めて。権利証がこの10年で動いたことは1回ぐらいですかね? 守れてますし、ほぼ。そしてね、優勝したあとに、これだけの戦いをやって、権利証を戦って守っていくって。じゃあ、このG1 CLIMAXの価値って何なんだろうなって改めて思いましたし。勝ったからこそ、そこはすんなりと2023年の1・4東京ドームで決定でいいんじゃないかなと。そこはG1 CLIMAXの価値を上げるという意味でも、東京ドームでその時のIWGP世界ヘビー級チャンピオンとG1 CLIMAXのチャンピオンが戦うっていう。そういう中で、素晴らしい東京ドーム大会にできたらいいんじゃないかなと思いますんで。価値を上げる。もちろん権利証がなくなるわけじゃなく、それをすぐ使って東京ドームで挑戦する。それだけG1の価値を上げたいなと思いましたんで、あとは会社にしっかりと考えていただけたらなと思います」

――最後に1つだけ。リング上で思いを叫ぶ中で、最後の最後で目にこみ上げるものがあったように見えた。厳しいG1を戦い抜いて、どんな思いだった?

▼オカダ「やっぱり去年もこのG1で武道館で戦って。ああ、G1でもお客さんがこんな少ないんだなって思った中でね。超満員にはなってないですけど、こんな中でもしっかりと会場に来て応援してくれる、声が出せない中でも応援してくれるお客さんにこんだけ来てもらっているというのは感謝しかないですし。今日はしっかりと熱い戦いでお返しできたんじゃないかなと思いますし。また改めてもっともっと熱い戦いをして、今日は超満員になってないですけど、来月には声出しの大会も行われますし、そこから一歩ずつまた進んでいって、東京ドームを超満員にして。またプロレス好きでよかったなと思ってもらいたいし、もっと好きになってもらいたいし、もっともっといろんな人にプロレスを知ってもらいたいし。本当に今日は感謝しかなかったですね」

──去年の優勝決定戦でレフェリーストップっていう決着があって、オカダ選手としては不完全燃焼というか、「まだG1が終わってない」という発言もあったが、今日の優勝決定戦を経て、その思いはスッキリした?

▼オカダ「もちろんスッキリした部分もありますけど、やっぱり飯伏幸太とやってないですから。肩の調子がどうなるか分からないですけど、そこはまたどこかでしっかりと闘って、飯伏さんを倒してね。G1 CLIMAXは一区切りつきましたから、飯伏幸太を倒して、まだ残ってるモヤモヤっていうのは解消するんじゃないかなと思います。会社がOKなら下半期も自由な時間もできると思いますし、そこはしっかりとプロレス総選挙第1位としてプロレスをいろんな人に届けつつ、まだジョナにも1敗してますんで、まあ権利証じゃなくてもスペシャルシングルマッチとしても僕は借りを返したいんで、まだまだ下半期は盛り上げて行きますんで、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました!」


【試合後のオスプレイ、フィンレー】
※オスプレイがコメントスペースに現われ、壁を背にうなだれながら座っていると、フィンレーが突然入ってきて

▼フィンレー「ビリー! 残念な敗戦だったな。まあ、頑張ったんじゃないの? いい勝負だったよ。俺がここに何のために来ているか分かっているよな? 俺はお前のUSヘビー級王座が欲しい。分かっているだろうな?」

▼オスプレイ「ふざけてんのか? 今日、今このタイミングでそんなことを言うか? 俺の今日の試合、全てを台無しにしやがったな!」

▼フィンレー「(オスプレイの首を掴みながら)いいからよく聞け! 俺は何を言われようと続けるぞ。お前は早くこの負けを乗り越えて、残念パーティーも終わらせて、次の試合の準備をするんだ。いいか?」

▼オスプレイ「いつだ?」

▼フィンレー「いつでもいいぞ。お前は世界最強なんだろ? だったら俺と闘えよ。またな(と立ち去る)」

▼オスプレイ「(フィンレーがいなくなった後、呆然としながら)何なんだ? このタイミングで来やがって。とんでもねえな。明日、俺はイギリスに飛ぶ。そして一日だけ休みがあり、その後の試合を挟んでブリティッシュヘビー級のタイトルマッチ。それが終わったらAEWだ。そこまで俺はG1のトロフィーを持って行きたかったけど、それは叶わなかった。もうゴメンだよ。全てが嫌になっている。(立ち上がって迎えに来たオーカーンとヘナーレに向かって)みんなゴメンな」

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