9/26【ストロングスタイル】村上が船木を劇的蹴殺でレジェンド王座死守 永田との防衛戦に意欲
『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.30』後楽園ホール(2024年9月26日)
レジェンド選手権試合 ○村上和成vs船木誠勝×
村上が18年越しに実現した船木との一騎打ちに劇的蹴殺で激勝。レジェンド王座を死守し、新日本・永田裕志との防衛戦実現に意欲を見せた。
村上は6・20後楽園大会で王者・間下隼人の指名を受けてレジェンド王座に挑戦。顔面蹴りで間下を粉砕し、同王座初戴冠を果たした。村上は初防衛戦として船木戦を熱望。2006年にビッグマウスラウドで一騎打ちを行う予定だった両者だが、団体内のトラブルのため立ち消えになった経緯があった。元レジェンド王者である船木も対戦を受諾し、18年越しの一騎打ちが実現した。
序盤は意外にも静かな立ち上がりに。村上はいつもの暴走ファイトを封印し、船木とグラウンドでのポジション争いを繰り広げた。船木がアグレッシブに展開し、三角絞めや腕ひしぎ十字固めで絞めに絞める。
ロープに逃れた村上は、強引に組みついて打撃を狙うも、コーナーに押し込んだ船木が掌底を一閃。直撃を受けた村上だったが、表情を一変させ、自らの頬を張って雄叫びを上げた。引かない船木は掌底やランニングローキックでたたみかけると、ハイブリッドブラスターの構えに。不発に終わっても、打撃の雨あられを降らせ、クロスヒールホールドでギブアップを迫った。
気持ちで引かない村上は何度も絶叫。船木は蹴り技で押し切りにかかるも、蹴り足を掴んだ村上は、一瞬のスキを逃さずにストレートパンチを叩き込む。不意を突かれて崩れ落ちた船木に顔面蹴りを一閃。一気に押さえ込んで、3カウントを奪った。
劇的な勝利を掴んで村上がレジェンド王座初防衛。船木はセコンドの肩を借りてリングを去っていく。村上は「今日も一言だけ。18年間の思い、テーマは全部受け切るでしたが、きつかったです。信念を背負っていくので、今後もプロレスの王者として、このリングに立ち続けます」とマイクで語って締めくくった。
「あの短い時間でしたが、4度ほど心が折れそうになりました。しかし、自分のうちの中に1つ、己に勝つというテーマ。これを貫いて、あのラッキーなパンチが当たって、僕に勝利というものが傾いた。実際は試合で9割以上押されていたと思います」と試合を振り返った村上。今後の防衛ロードについて問われると、「この一戦だけに身を置いてきたから考えたくもないですけど、1つ言えるなら、次の防衛戦は……たまたま今日このリングに、なんでかこの拍子に降りてきた“あの男"。あいつがよしと言えるか、会社がよしと言えるかわからないですけど、この男と勝負したいねえ」と永田ばりの敬礼ポーズを披露した。
村上にとって永田と言えば、新日本マットで抗争を繰り広げた因縁の相手。「あの大阪でのタイトルマッチの借りを返したいなあと今思いました」と2002年12月10日、新日本・大阪府立体育会館大会で行われたIWGP世界ヘビー級王座戦を引き合いに出して、怨敵を挑発した。
【試合後の村上】
▼村上「先ほどリングで言ったように、18年の思い、全部受ける。受けきったうえで絶対に勝つという気持ちでした。あの短い時間でしたが、4度ほど心が折れそうになりました。しかし、自分のうちの中に1つ、己に勝つというテーマ。これを貫いて、あのラッキーなパンチが当たって、僕に勝利というものが傾いた。実際は試合で9割以上押されていたと思います。まあでも、チャンピオンになったことは間違いないので、またここにいる僕にいるタッグパートナーの皆様は、今後も呼びつけますけど、また好き放題に書いてください。今日の試合のことも好き放題に書いてください。好き嫌いは絶対にあるんで。それは僕からの皆様へのお願いと、今後ともよろしくお願いしますという激励です」
――蹴りをキャッチしてパンチを出すというのは思い描いていたパターン?
▼村上「いえ、思い描いてないです。本当に苦肉の策だったと思います。僕の中ではハッキリ言って、最初にローキックで倒された時点で、心はもう8割以上折れてました。最後、どこかにスキができます、お互い。そのスキを僕は見逃さず、ラッキーなところに行ったという。これは本能だと思うんですけど、本能のまま戦っていった結果がこうだったのかという気もしますし。本当に紙一重だと思います」
――18年越しに戦った船木選手はどうだった?
▼村上「いや、本当にケンカ売ってましたけど、日々弱い自分と戦うのに必死でした。なので、実は猛練習しすぎて、オーバーワークって散々言われたんですけど。でも、オーバーワークをして、そこまで自分を追い込めたというのは、船木さんがいなければできなかったことですし、まだまだできるなっていう自信をくれたのも船木さんだと思いますんで。この勝利を無駄にせず、まあ、他のリングもそうですけど、このリングではチャンピオンなんで、チャンピオンとしての風格を。もっともっとブチ切れて、血ヘド吐くぐらいしばき回したいなと思います」
――今後の防衛戦について思うところは?
▼村上「今日はこの一戦だけに身を置いてきたから考えたくもないですけど、1つ言えるなら、次の防衛戦は……たまたま今日このリングに、なんでかこの拍子に降りてきた"あの男"。あいつがよしと言えるか、会社がよしと言えるかわからないですけど、(敬礼ポーズを決めながら)この男と勝負したいねえ。あの大阪でのタイトルマッチの借りを返したいなあと今思いました。質問してくれてありがとう。だから、この俺のタッグパートナーたち、一生懸命俺のタッグパートナーだから、本音を届けてくれ」
――途中まで船木選手のペースだったが、危ない感じはあった?
▼村上「僕は自分で受けきろうと。今日上げたテーマは『弱い自分に勝つ』というのと『受けきる』という2つだったんですけど、それを貫くことだけ。それで負けたらそれはそれまでという気持ちだったんで。相手の土俵に降りてみた時に、それも1つのテーマだったので、ああいう形になりました」
――一瞬のスキを逃さずに逆転勝ちをした?
▼村上「あれが本当に最後のワンチャンスだと思ったし、僕が唯一、猪木さんに言われた『本能のまま戦え』というところの1つのターニングポイントだと思います」