【新日本】後藤がニューマン返り討ちでIWGP世界ヘビー最多V5 ザック、鷹木の連続挑戦決定的に 2025/5/4

『レスリングどんたく2025』福岡・福岡国際センター(2025年5月4日)
IWGP世界ヘビー級選手権試合 ○後藤洋央紀vsカラム・ニューマン×

 後藤が大奮闘したニューマンを返り討ちにしてIWGP世界ヘビー級王座V5。最多防衛記録を樹立した後藤に対して、ザック・セイバーJr.と鷹木信悟が挑戦表明。2人の連続挑戦が決定的となった。

 ジェフ・コブの新日本退団を受けて、IWGPタッグ王座返上を余儀なくされたニューマンだったが、史上最年少のIWGP世界ヘビー級王座奪取を狙って挑戦表明。最多防衛記録樹立を狙う後藤も受けて立ち、博多2連戦・2日目のメインイベントでタイトルマッチが実現した。

 いきなりニューマンは高速ロープワークで奇襲。その後も積極果敢に仕掛け続けて、プランチャで先制した。サッカーボールキックで連続して蹴り飛ばすが、ダイビングフットスタンプは後藤が回避。反撃に転じると、コーナーに両足を固定してのネックブリーカードロップ、垂直落下式ブレーンバスターと厳しい攻撃を連発する。グラウンド卍固めなど絞め技も利用して首に集中攻撃を仕掛けた。

 一点集中攻撃に苦しんだニューマンだったが、カウンターのドロップキックで後藤を場外に蹴落とすと、躍動感溢れるノータッチトペコンヒーロで反撃ののろし。串刺しドロップキック、タイガースープレックスと攻め立てる。負けじと後藤はニューマンのスピードに同じくスピードで抵抗。追尾式ロープワークで競り合うと、後藤はニューマンを抱え上げて、牛殺しを繰り出した。

 ニューマンも意地を発揮。後藤のエルボーに吹き飛びながらも立ち上がり、両手を後ろで組んであえて真正面から受け止めてみせる。荒武者にツバまで吐きかけると、雄叫びを上げて仁王立ちし、こん身のチョップを一撃。裏GTRを食らっても止まらず、投げ捨てジャーマン、ハイキックとたたみかけたものの、荒武者もGTWで譲らない。

 ならばとニューマンはエプロンで捨て身のオスカッターを敢行する。互いにリングアウト寸前で戻ると、ニューマンはランニングニーからダイビングフットスタンプで急降下。ラリアット合戦になだれ込む。ニューマンはまさかのレインメーカーを振り抜くと、オスカッターが完璧に決まった。カウントの大合唱となるも後藤はキックアウト。ならばとファイヤーボルトで叩きつけるが、ここでも後藤が肩を上げる。場内は大きな「後藤」コールに包まれた。

 ニューマンは必殺のプリンスズカース(変型ブラディサンデー)を狙うも、踏ん張った後藤は負けじとレインメーカーを一閃。なりふり構わず頭突きを連発すると、昇天改からこん身のミドルキックをねじ込み、GTRの構えに。ニューマンは丸め込みなどで抵抗したものの、後藤はラリアットを振り抜くと、GTR改をズバリ。大熱戦を制した。

 潜在能力を思う存分発揮したニューマンを返り討ちにして、後藤がIWGP世界ヘビー王座V5。これまでは最多タイで5選手が並んでいたが、後藤が新記録を樹立した。しかし、敗れたニューマンにも大歓声。ニューマンは一礼してからリングをあとにする。

 マイクを持った後藤は「誰が何と言おうと、今は俺の時代だ!」と咆哮。「次の挑戦者は誰だ? チャンピオンとして誰の挑戦でも…」とアピールすると、前王者のザックが花道から現れた。

 ザックは「ゴトーさん、お疲れ様。素晴らしい試合。ゴトーさん、最近はすごいね。さすがチャンピオンね。でも、俺がお前の次の挑戦者」と流ちょうな日本語で挑戦表明。後藤は「受けてやろうじゃねえか」と即座に受諾し、2人は握手を交わした。

 だが、そこに割って入ったのが鷹木だった。マイクを持つと、「おい、後藤! お前はいいよな。ベルトがあって、嫁も子供もいて。本隊というユニットもある。それに比べてだ。俺はベルトもない、嫁も子供もいない。そして、今日でユニットも終わっちまったよ」と吐露。「だからって、下を向いてもしょうがない。前を、上を見るしかねえだろ。あんた言ってたよな。IWGPのGは後藤のGだと。おいおいおい、それを言うならば、IWGPのGは鷹木のG、信悟のG。2つもあるんだぜ。俺にもIWGP世界ヘビー級のタイトルに挑戦させてくれ」と独自の理論で挑戦表明をぶち上げた。

 だが、「…と言いたかったが、ザックが相手じゃ文句はねえよ。分が悪いな。ザックには昨年タイトルマッチで負けてるからな。だから、ザックと後藤、2人の勝者に俺がチャレンジさせてくれ」とザックに先の挑戦を譲り、その勝者を迎え撃つ形を提案。結果的に鷹木にとって有利な状況を作り出した。

 早くも2人の挑戦者が現れたが、後藤には一切の迷いなし。改めてマイクを持つと、「誰が相手であろうと、俺は負けない。後藤革命はまだまだ終わらない。最後の最後まで後藤革命についてこい!」と雄叫びを上げる。「今シリーズ様々な場所でいろんなGに後押しされてきましたが、福岡にGは入ってません。でも、今この腰にあるのはIWGP。安心してください」と語って笑いを誘うと、「IWGPのGは後藤のG!」の合唱で福岡大会を締めくくった。

 最後は飛行機で1人で福岡にやってきたという次女を抱きかかえて花道をあとに。バックステージでも「この福岡という俺にとって第二の故郷で最多防衛記録更新。その快挙を、またこの年齢にしてやり遂げることができました。非常に嬉しく思います。次から次に挑戦者が出てきますけど、これもチャンピオンに宿命。すべてを受けてやりますよ」と王者らしく豪語した。

 先に挑戦することが決定的となったザックについては「リマッチにはなりますけど、まだまだ後藤革命終わらすつもりはありませんよ。この日本に、この新日本プロレスに夢と希望を俺が与えてやるよ」と断言。鷹木についても「望むところですよ。順番が違えば対戦相手も変わっていたと思うんで。先に出てきたのはザックだった。ただそれだけの話でしょ。負ける気はないんで」と自信に満ちた表情を見せた。

 5・9オンタリオ大会、6・15大阪城ホール大会とビッグマッチが続くが、その中心に立つのはやはり王者の後藤。内藤とBUSHIが退団し、新局面を迎えつつある新日本マットだが、先頭に立って荒武者らしく団体をけん引していく。


【試合後の後藤】

▼後藤「ありがとうございました。この福岡って、俺にとって第二の故郷で、最多防衛記録更新。快挙を、またこの年齢にしてやり遂げることができました。非常にうれしく思います。まあ次から次に挑戦者が出てきますけど、これもチャンピオンの宿命。すべてを受けて、やりますよ。次はまた、やるとすればアメリカ? 俺がこのベルトを獲ったザック。リマッチにはなりますけど、まだまだ後藤革命、終わらすつもりはありませんよ。この日本に、この新日本プロレスに、夢と希望を、俺が与えてやるよ」

――今日の対戦相手のカラム・ニューマン選手については、ものすごい勢いがあったと思うが、改めて試合を振り返ると?

▼後藤「やっぱり若さと勢い。ま、前哨戦ずっと闘ってそれはわかってたけど、素晴らしい選手だね。彼も新日本の未来の1人。いや、間違いないと思う。思ってますよ」

――闘いの中でレインメーカーが出た瞬間もあったと思うが、あの技、どんな思いで出した?

▼後藤「ま、先に出したのはあいつだからね。俺が何度、あの技をくらってきたと思ってんだ。あの技の威力を一番知ってるのはこの俺だろ。またたどり着いてみせるよ、彼に」

――ザック選手の話があったが、鷹木選手が出てきて、ちょっと強引的なところはあったけれども、リング上で話を聞いてどう思った?

▼後藤「望むところですよ。順番が違えば、対戦相手も違ったと思うんで。先に出てきたのがザック。ただそれだけの話でしょう。負ける気はないんで、2人とも闘う気で。年齢だなんだ、そんなちっさなこと言ってられませんからね。期待しててください」

――福岡のファンからも、入場の時も退場の時も大「後藤」コールがあった。そのことについても一言

▼後藤「俺の背中を押しるのは、やっぱあの声援ですよ。見えないところでもたくさん声援もらってますから。やっぱその人たちの思い、常に意識して闘ってます。もう、そういう人たちを裏切りたくないんです。はい、以上です」

※ここでYOSHI-HASHI、YOH、田口が祝福に入ってくる

▼後藤「後藤革命についてきてくれてる仲間たち。こんな仲間にも、俺は背中を押されてる。ありがとう」

※田口が「後藤革命に乾杯!」と音頭を取って勝利の乾杯をする

――2月のベルトを獲ってから、月2回ぐらいのペースで防衛戦をしているが、これだけのハイペースは過去になかったと思う。そのあたりについては?

▼後藤「当たり前ですよ。このベルト獲得が人より遅かったんでね。来る者すべて、受けてやるよ。これが後藤革命の一つでもある」

【ニューマンの話】「ゴトー、言いたいことはただ一つ。闘魂を見せてくれてありがとう。ほかに何を言えばいいのかわからない。言いたいことは言ってきた。次、EMPIREに待ち受けているのは何か? わからない。でも今は新世代だ。(※自身とEMPIREのメンバーを指差して)これが新日本プロレスの新世代。去っていくヤツらのことは考えなくてもいい。ドアの向こう側で叫んでるヤツのことを考えなくてもいい。別の場所へ行きたいヤツのことも考えなくてもいい。俺たちはここにいる。そして俺たちこそがこの新日本プロレスを地球上で最高のプロレス団体にしてやる」

【ザックの話】「OK。俺は辛抱強い男だった。すぐにゴトーに挑戦したくなかった。この3ヵ月、俺は新日本ではあまり目立ってなかったけど、世界を周って忙しくしてた。でも急にヒロオキに挑戦したくなった理由は、防衛記録を破ったから。今年、俺が掲げた目標の一つだ。東京ドームで2つのメイン戦を闘い、王座を守り抜いた俺にとって、次にできることは年間で2番目に大きい大会『DOMINION』を王者として終えることだ。でも王座を獲るのを『DOMINION』まで待つつもりはない。王者として『DOMINION』を迎える。ライシュウノ、オンタリオノ『Resurgence』、カリフォルニアで挑戦だ。過去カリフォルニアでトーナメントを優勝したこともあるし、王座の1つや2つ獲ったこともある。これは新日本プロレスだ。最初の戴冠は日本。2度目の戴冠はアメリカだ。そして『DOMINION』では、俺がドラゴン野郎からの挑戦を受ける。でも今日のところは、オツカレサマデシタ、ゴトーサン。マタライシュウネ」

【鷹木の話】「立ち止まってられないから、俺は。L・I・Jは今日で、ま、一つのピリオド。ま、胸にしまっておくけど、だからって立ち止まってられないよ。進むしかない。我が道を、驀進するしかない。ま、ザックがいたなら分が悪いよな。俺も冷静に考えたんだよ。『NEW JAPAN CUP』、俺もベスト4に残った。後藤は東京ドームの第0試合から、2月、ザックからベルトを奪った。そして『NEW JAPAN CUP』の優勝者、フィンレーからも勝った。準優勝者の海野からも勝った。じゃあ次は俺しかいねえかなと思ったけど、ま、ザック(が次期挑戦者)だったらなあ、ちょっと俺も分が悪いな。昨年、タイトルマッチ負けてるし、2連敗してるしな。だからザック対後藤洋央紀に、俺は異論は全くない。その勝者に、いいよ、後楽園でも大田区でも、どっかの地方でもいい、山梨でもいい、やらしてくれ。やらしてくれよ。な? なにが後藤革命だ、この野郎。IWGPの“G"は、後藤の“G"? なに言ってんだ。鷹木の“G"、信悟の“G"。それから革命? ザ・ドラゴン、ランペイジ・ドラゴンだぞ。本物のレボ“龍"ションを見せてやろうじゃないか。以上」