【TAKAYAMANIA】高山提案で「鈴木&丸藤vs柴田&KENTA」実現も熱戦ドロー 恩讐を超えて握手、棚橋もサプライズ登場 2025/9/3
『TAKAYAMANIA EMPIRE IV』後楽園ホール(2025年9月3日) △鈴木みのる&丸藤正道vs柴田勝頼&KENTA△ 高山善廣の提案により、「鈴木&丸藤vs柴田&KENTA」が実現。4選手が真っ向からチョップを打ち合うと、小橋建太も逆水平で参加したが、時間切れ引き分けに。試合後、遺恨を引きずる鈴木と丸藤、柴田とKENTAは恩讐を超えて握手を交わした。 2017年5月に頸髄完全損傷の重傷を負い、リハビリを続ける高山を支援すべく行われている『TAKAYAMANIA』。昨年に続き、4度目の大会が開催された。前回のメインイベントでは、高山の盟友・鈴木と、2017年に急性硬膜下血腫の重傷を負いながらも現在はAEWで活躍する柴田の一騎打ちが行われた。 今回はその2人に加えて、高山とNO MERCYで共闘していたGHCヘビー級王者のKENTA、高山と何度も対戦経験がある丸藤がNOAHマットから参戦。組み合わせは当日高山本人が発表するという異例の形でタッグマッチが実現することに。それぞれに絆や遺恨があるだけに、どんなカードになるのか注目が集まっていた。 試合に先立ち、車イスに乗ってリングサイドに高山が現れると、新日本の棚橋弘至がサプライズ登場した。「本当に若い時に高山さんが強大な壁として新日本プロレスに参戦していただいて、その戦いの中でいろんなことを学ばせていただきました。今日参戦した選手、会場にいらっしゃるお客様、本当に高山さんのお人柄、人望だと思います。少しでも力になれるように、新日本プロレスも協力してまいりますのでよろしくお願いします。ということで、会場の皆様、愛してま〜す!」。高山の前で力強くあいさつした。 棚橋が去っていくと、メインイベントに登場する4選手が個別にリングイン。入場時からKENTAと柴田はにらみ合う。そこで高山から発表されたのは「柴田&KENTAvs鈴木&丸藤」というカードだった。 柴田とKENTAはかつて“ソウルメイト"としてNOAH、新日本でタッグを結成。しかし、2019年にKENTAが柴田を裏切り、BULLET CLUB入りを果たしてからは関係が断絶していた。一方、鈴木と丸藤はかつて共闘し、GHCタッグ王座を保持していた時期があるものの、2015年に鈴木軍としてNOAHに襲来してからは激しい抗争を繰り広げた間柄で、刺激的なカードが実現することに。鈴木と丸藤が握手を交わした一方、柴田はKENTAにAEWトリオ王座のベルトをこれ見よがしに見せつけ、先発を巡って言い争いを始める。 ゴングが鳴ると、柴田がパートナーのKENTAに襲いかかり、場外乱闘になだれ込む波乱の幕開け。そこに鈴木と丸藤が割って入るが、気にせず柴田とKENTAはリングインしてもエルボー合戦を繰り広げる。柴田が串刺し顔面低空ドロップキックを放つと、掟破りのgo 2 sleepの体勢に。丸藤がトラースキックでカットすると、鈴木も柴田にアキレス腱固めを仕掛けて、ようやく混乱が収束した。 柴田は丸藤、さらには昨年同様に鈴木と逆水平合戦で火花を散らす。鈴木&丸藤はチームとして機能する一方、柴田とKENTAはいがみ合うばかり。KENTAが強引に体を叩いてタッチを交わし、柴田を場外に蹴落とせば、柴田もKENTAのピンチにカットに入り、元ソウルメイトにストンピングを叩き込んだ。 その後もKENTAは孤立したものの、意地になって柴田にタッチせず。鈴木&丸藤の波状攻撃を受けて、ピンチが続く。見かねた柴田がサッカーボールキックを鈴木に叩き込んでカットに入ると、ブチ切れた鈴木が柴田を南側スタンド席に連行。丸藤もKENTAを同じくスタンド席に連行し、観客席のど真ん中で4選手がチョップ合戦を展開した。4人は北側に移動し、試合を見守る高山の眼前でもチョップ合戦で火花。さらに、鈴木は柴田を羽交い締めにし、テレビ解説席にいた小橋に逆水平を要求する。だが、柴田が回避したため、鈴木に逆水平がさく裂。さらに、歓声に押された柴田やKENTA、丸藤も小橋の逆水平を真っ向から受けとめてみせた。これには高山も笑顔を見せる。 残り時間3分がコールされると、意を決して柴田とKENTAがようやく連係へ。柴田が鈴木を肩車して、合体技タッチ・ザ・スカイの構えに。これは丸藤が妨害。その後も4選手が勝利を目指してせめぎ合う。鈴木がスリーパーから柴田にゴッチ式パイルドライバーを狙ったものの、KENTAがブサイクへのヒザ蹴りでカットイン。丸藤のフックキック、柴田の武者返しが連鎖して4選手が大の字に。柴田とKENTAが鈴木にチョップを連打すると、丸藤も裏切ってチョップで加勢。3選手がメッタ打ちにする中、鈴木が耐え抜いて、時間切れ引き分けとなった。 熱戦ドロー決着となったが、鈴木は自分が勝者だと言わんばかりに両手を掲げる。柴田とKENTAはなおもチョップを打ち合うが、その後にガッチリと握手して抱擁を交わした。 マイクを持った鈴木は「お前ら(柴田&KENTA)もいろいろあったあろうけどよ。お前(丸藤)とは会社の潰し合いしたな。まあ、いいか」とつぶやき、丸藤と握手。4人で両手を掲げて歓声に応えた。 【試合後の鈴木】 ▼鈴木「結局、ホントにあのリングに上がって高山が言うまで教えてくんねえんだよ。あいつが。『これは俺の嫌がらせだ』って。だから腹くくって誰と組もうが何しようが構わないと思ってリングに上がった。面白いよ」 ――小橋さんのチョップを何発も食らったが? ▼鈴木「全部あいつが悪いんだよ。小橋が悪いんだ。あのヤロー、俺にばっかやりやがって。回を重ねるごとにTAKAYAMANIA、このチャリティイベントの意義ってのが逆にどんどん薄れていくと思うんで、それを絶対絶やさないように、消さないように。高山が立ち上がって俺の顔面蹴っ飛ばすまで続けたいなと思います、これは。あいつが言ったんだからね。蹴っ飛ばすって」 ――高山さんから憎まれ口を叩かれたが? ▼鈴木「関係ねえよ。返り討ちにしてやる」 ――久しぶりにああいうやり取りをした? ▼鈴木「いや、いつもだよ。いつもこんなこと言ってるから、別に久々でもないし。でも人前でああいうことが言えるようになってきたな。心は元気なんで」 ――解説も復活したが? ▼鈴木「それは俺の知ったこっちゃないんで知らない。俺は全力で戦いを人に見せる。俺は別にこのチャリティイベントだからじゃなく、プロレスラーとしてやるべき仕事が全力で戦うっていうこと」 ――高山さんとの闘いの続きが前進した手応えは? ▼鈴木「あのヤロー、口が生意気になったな。蹴っ飛ばしがいのある言葉が出てきたんで、少しずつ少しずつ一緒に前に進んでいきたいなと思います」 ――鈴木さんが勝って泣かすか、高山さんが勝って男泣きするかのテーマができたが? ▼鈴木「まあ泣かせてやるよ」 ――TAKAYAMANIAを続けるために必要なことは? ▼鈴木「TAKAYAMANIAを続けていくこと? 俺がプロレス王であり続けること。これが一番。今年も残すところ9、10、11、12、4ヵ月。国内もそうだし、海外もまだ行ったことない国からオファーとかもあるんで、うまく回っていければなと思ってるんだけど。あと来年以降も、今本当に一人で世界中回ってるんで、プロレスの王様、どこの国に行ってもザ・キングと当たり前のように呼んでくれるんで」 ――その状態を続けていくと? ▼鈴木「当たり前だろ。ここまで来たらあいつのことぶっ飛ばさないとな、ちゃんと。それまで続けようと思ってます。選手、今日、目新しい選手とかも参加してくれて、これから変化もあると思うし、高山とかかわりのあった選手で、もう一線を退いちゃってる人もいるから。これからは新しい、高山が作り出す高山帝国、帝王が作り出す帝国というのを、新しい人材もこれから増えていくかもしれない。わかんない。今回もこれだけのお客さんが来て、これだけのお金をたくさんの人が募金してくれて。それをもとに次やるわけじゃないんで、これはあいつがこれから生きていくためのお金なんで、またゼロからのスタートです。またいろんな処理をして、来年になって、さあ、どうしようっていうところから、ゼロから始めるんで。また来年、状況が整えば、また大会が開けたらいいなと思いますけど。興行会社じゃないんで、選手には高山の気持ちで全員プロの選手なんだから全員必ずギャラを受け取って帰ってくれと。受け取ったあと何に使うか本人の自由だけど、別に何に使おうが自由だけど、それ以外のスタッフは全員ボランティアなんで。運営はボランティア、俺も含めて。たくさんの人の気持ちで動いてるグループなんで、また高山がトップロープまたいでリングに上がる姿を見たい人がまだまだたくさんいるんで。その人たちの力を借りて、また前進していきたいなと思います」 【試合後の丸藤】 ――カードを聞いた瞬間の気持ちは? ▼丸藤「今回の4人の中だったら、僕は一番大人だと自分で認識しているんで。誰と組んでも誰と戦っても全然大丈夫だったんですけど、やっぱ思った通り、我が強い3人なんで、グチャグチャになっちゃいましたね。俺がいなかったら、もっとまとまらなかったんじゃないですか。完全に高山さんはその役割で俺を入れたと思いますね。でしょ? みんな頷いてるもん」 ――高山さんが見ている前での試合だったが? ▼丸藤「なんかいい刺激…なんでもいいですよ。小っちゃい刺激でも、大きい刺激でも何でもいいから、高山さんに刺激与えて楽しんでもらって。また日々の活力にしてもらえればいいかなって思うんで。本当に18、19の頃から高山さんと出会っているんで。何でも協力しますよ」 ――来年もあると思うが、当然参戦したい? ▼丸藤「そうですね。必要あらばぜひ協力させてください。まさにプロレスの力が見せられるんじゃないですか」 【試合後の柴田】 ――今日のカードを聞いてどう思った? ▼柴田「いやあ、そうですね。希望としては戦いたい相手だったというか。そこが一番。なんならもう、何年前ですかね。6年前かな。新日本プロレスにお互いいた頃、自分がKENTAを連れてきて。で、その流れがあって裏切られて、そのまま時間が止まっていたんで。我々の時間というのが、そこから何も一切流れてなかったんで。それをなんかなかったことにはさすがに自分の中でできなかったので」 ――BULLET CLUB入りの怒りというか ▼柴田「恨みとかというか、これでなんか仲良くできるわけがなくて。じゃあ、団体が変わって、仲良くできるかって言ったら、それはそうじゃないなとも思うし。そこは消化できないものがあったんで。まあ、今回こういう形で高山さんが引き寄せてくれた形だと思うんです。自分自身も発表された時、『ああ、組むほうか』とはなりましたね。誰がどういうカードで組んでも、面白いちゃあ面白いかなとは思いましたけど」 ――最後、抱擁された理由は? ▼柴田「なんかやっぱり戦っているうちに。魂ぶつけ合うのがプロレスだと思うんで。そういうものが今の日本にというわけではないですけど、今のプロレス界にメチャクチャ足りてない。今回のTAKAYAMANIAって、去年もそうなんですけど、プロレスのその本来持てるエネルギーっていうのは。会社がどうとか、団体がどうとか、選手がどうとかじゃなくて、プロレスが持つエネルギーそのものだと思っているんで。それが本当に高山さんがいて、そこに集まる選手がいて、プロレスラーがいて成り立っている興行なんで。もちろんプロっていうのはお金というものが評価になるんで、もちろん大事なんですけど、今一度プロレス界、日本プロレス界、もう一度プロレスというものを見つめ直したほうがいいと思いますよ。自分はそれをアメリカから、海外から見てて思うんです。本当にこのままでいいのかなって思う。どこのとか言わないですけどね。ちょっとあまりにも見ている人を置いてけぼりというか。やっているレスラーたちって何のためにプロレスやっているんだろう、何のためにプロレスラーを目指して、プロレスラーになって試合をしているんだろうというのを。本当に基本的なことだと思うんです。それがなんかいっぱい詰まっている大会だっていうのが。自分の中ではTAKAYAMANIAっていうのは特別で」 ――プロレスの魂が詰まっているのをKENTA選手から感じ取った ▼柴田「だから、結局2人ともホームじゃないわけですよ。もともとというか。だけど、交わるのがここだったというのは、なんか運命的なものを感じますね。高山さんのイベント、大会で。ないと思っていたんで。一生もうないと思っていたんで。やるならシングルマッチしかないと思ったら、こういう形になったのは、本当に高山さんあっての大会だから。すごく自分自身もいい経験になりました」 ――試合前にはAEWのベルトを見せて、GHCのベルトを見せられてというシチュエーションもあったが? ▼柴田「まあ、チャンピオンですから」 ――そこが絡むのもここならでは? ▼柴田「そうですね、ここしかできないですよ。まあ、よかったかな。今日は本当になんか、やっぱり魂ぶつけ合う、魂をぶつけ合うっていうのがプロレスの根本的なものだと思うんで。そこを忘れちゃいけないよっていうのを。別に今の人とか、今の若い人とかどうでもいいんですよ、ぶっちゃけ。これが大事だよっていうのはやってなきゃダメ、自分はイヤだっていう。これがプロレスなんだって。いろんな形ありますけど、そもそもはそこです」 ――シングルマッチという言葉が出たが、KENTA選手との続きは? 今日で終わり? ▼柴田「どうだろうね。もう半分試合しちゃったようなもんだから。やっぱりやってる中で、お互い交換し合って。エルボーだったり、チョップだったり。やっぱり響くものというのがあったから、ああいう形になったのかなと思います。どうなんだろう? もうないのかもしれない、シングルは。そもそも機会が恵まれないと思いますよ、なかなか。俺はAEWだし。そういうものを取っ払ってできる唯一のニュートラルな…」 ――やるとしたら1年後のここしかない? ▼柴田「わかんないです。やるかどうかはわからないです。まあでも、来年は来年で参加できればいいかなとは思います」 ――高山さんの目の前でチョップの打ち合いをしていたが、どういう思いを込めた? ▼柴田「高山さんに近くで、最前列でチョップを。汚い汗が飛び散っていると思いますけど、それって絶対エネルギーになると思うんで。高山さん、明日熱を出すんじゃないですかね? でも、去年の高山さんより、今年の高山さんのほうが前進しているんで。これってすごいことなんですよ。俺は本当にプロレスにしかないエネルギーかなとは思います」 【KENTAの話】「いや、今日はね、久しぶりというか、初めて…。なんで今、久しぶりって言っちゃったのかわからないけど、初めて高山さんの大会に参加することができて。今までなかなかタイミングが合わなくて参加することができなかったんですけど、今日こうやって参加することができて、すごい高山さんが立ち向かっている姿みたいなものを目の当たりにして。また僕らも、来ている人ももちろんそうだし、たくさん感じること、勇気をもらったりとかもあったと思うし、高山さんもしっかり絶対後押しされたと思うし。それとプラスアルファで、試合の中で、なんかこうしばらく昔にケンカしていた恋人と仲直りしたような、そんなシーンもあったりして。なんかすごいいい一日でした。またね、次があればぜひ。タイミングが合えば参加したいと思います」
『TAKAYAMANIA EMPIRE IV』後楽園ホール(2025年9月3日)
△鈴木みのる&丸藤正道vs柴田勝頼&KENTA△
高山善廣の提案により、「鈴木&丸藤vs柴田&KENTA」が実現。4選手が真っ向からチョップを打ち合うと、小橋建太も逆水平で参加したが、時間切れ引き分けに。試合後、遺恨を引きずる鈴木と丸藤、柴田とKENTAは恩讐を超えて握手を交わした。
2017年5月に頸髄完全損傷の重傷を負い、リハビリを続ける高山を支援すべく行われている『TAKAYAMANIA』。昨年に続き、4度目の大会が開催された。前回のメインイベントでは、高山の盟友・鈴木と、2017年に急性硬膜下血腫の重傷を負いながらも現在はAEWで活躍する柴田の一騎打ちが行われた。
今回はその2人に加えて、高山とNO MERCYで共闘していたGHCヘビー級王者のKENTA、高山と何度も対戦経験がある丸藤がNOAHマットから参戦。組み合わせは当日高山本人が発表するという異例の形でタッグマッチが実現することに。それぞれに絆や遺恨があるだけに、どんなカードになるのか注目が集まっていた。
試合に先立ち、車イスに乗ってリングサイドに高山が現れると、新日本の棚橋弘至がサプライズ登場した。「本当に若い時に高山さんが強大な壁として新日本プロレスに参戦していただいて、その戦いの中でいろんなことを学ばせていただきました。今日参戦した選手、会場にいらっしゃるお客様、本当に高山さんのお人柄、人望だと思います。少しでも力になれるように、新日本プロレスも協力してまいりますのでよろしくお願いします。ということで、会場の皆様、愛してま〜す!」。高山の前で力強くあいさつした。
棚橋が去っていくと、メインイベントに登場する4選手が個別にリングイン。入場時からKENTAと柴田はにらみ合う。そこで高山から発表されたのは「柴田&KENTAvs鈴木&丸藤」というカードだった。
柴田とKENTAはかつて“ソウルメイト"としてNOAH、新日本でタッグを結成。しかし、2019年にKENTAが柴田を裏切り、BULLET CLUB入りを果たしてからは関係が断絶していた。一方、鈴木と丸藤はかつて共闘し、GHCタッグ王座を保持していた時期があるものの、2015年に鈴木軍としてNOAHに襲来してからは激しい抗争を繰り広げた間柄で、刺激的なカードが実現することに。鈴木と丸藤が握手を交わした一方、柴田はKENTAにAEWトリオ王座のベルトをこれ見よがしに見せつけ、先発を巡って言い争いを始める。
ゴングが鳴ると、柴田がパートナーのKENTAに襲いかかり、場外乱闘になだれ込む波乱の幕開け。そこに鈴木と丸藤が割って入るが、気にせず柴田とKENTAはリングインしてもエルボー合戦を繰り広げる。柴田が串刺し顔面低空ドロップキックを放つと、掟破りのgo 2 sleepの体勢に。丸藤がトラースキックでカットすると、鈴木も柴田にアキレス腱固めを仕掛けて、ようやく混乱が収束した。
柴田は丸藤、さらには昨年同様に鈴木と逆水平合戦で火花を散らす。鈴木&丸藤はチームとして機能する一方、柴田とKENTAはいがみ合うばかり。KENTAが強引に体を叩いてタッチを交わし、柴田を場外に蹴落とせば、柴田もKENTAのピンチにカットに入り、元ソウルメイトにストンピングを叩き込んだ。
その後もKENTAは孤立したものの、意地になって柴田にタッチせず。鈴木&丸藤の波状攻撃を受けて、ピンチが続く。見かねた柴田がサッカーボールキックを鈴木に叩き込んでカットに入ると、ブチ切れた鈴木が柴田を南側スタンド席に連行。丸藤もKENTAを同じくスタンド席に連行し、観客席のど真ん中で4選手がチョップ合戦を展開した。4人は北側に移動し、試合を見守る高山の眼前でもチョップ合戦で火花。さらに、鈴木は柴田を羽交い締めにし、テレビ解説席にいた小橋に逆水平を要求する。だが、柴田が回避したため、鈴木に逆水平がさく裂。さらに、歓声に押された柴田やKENTA、丸藤も小橋の逆水平を真っ向から受けとめてみせた。これには高山も笑顔を見せる。
残り時間3分がコールされると、意を決して柴田とKENTAがようやく連係へ。柴田が鈴木を肩車して、合体技タッチ・ザ・スカイの構えに。これは丸藤が妨害。その後も4選手が勝利を目指してせめぎ合う。鈴木がスリーパーから柴田にゴッチ式パイルドライバーを狙ったものの、KENTAがブサイクへのヒザ蹴りでカットイン。丸藤のフックキック、柴田の武者返しが連鎖して4選手が大の字に。柴田とKENTAが鈴木にチョップを連打すると、丸藤も裏切ってチョップで加勢。3選手がメッタ打ちにする中、鈴木が耐え抜いて、時間切れ引き分けとなった。
熱戦ドロー決着となったが、鈴木は自分が勝者だと言わんばかりに両手を掲げる。柴田とKENTAはなおもチョップを打ち合うが、その後にガッチリと握手して抱擁を交わした。
マイクを持った鈴木は「お前ら(柴田&KENTA)もいろいろあったあろうけどよ。お前(丸藤)とは会社の潰し合いしたな。まあ、いいか」とつぶやき、丸藤と握手。4人で両手を掲げて歓声に応えた。
【試合後の鈴木】
▼鈴木「結局、ホントにあのリングに上がって高山が言うまで教えてくんねえんだよ。あいつが。『これは俺の嫌がらせだ』って。だから腹くくって誰と組もうが何しようが構わないと思ってリングに上がった。面白いよ」
――小橋さんのチョップを何発も食らったが?
▼鈴木「全部あいつが悪いんだよ。小橋が悪いんだ。あのヤロー、俺にばっかやりやがって。回を重ねるごとにTAKAYAMANIA、このチャリティイベントの意義ってのが逆にどんどん薄れていくと思うんで、それを絶対絶やさないように、消さないように。高山が立ち上がって俺の顔面蹴っ飛ばすまで続けたいなと思います、これは。あいつが言ったんだからね。蹴っ飛ばすって」
――高山さんから憎まれ口を叩かれたが?
▼鈴木「関係ねえよ。返り討ちにしてやる」
――久しぶりにああいうやり取りをした?
▼鈴木「いや、いつもだよ。いつもこんなこと言ってるから、別に久々でもないし。でも人前でああいうことが言えるようになってきたな。心は元気なんで」
――解説も復活したが?
▼鈴木「それは俺の知ったこっちゃないんで知らない。俺は全力で戦いを人に見せる。俺は別にこのチャリティイベントだからじゃなく、プロレスラーとしてやるべき仕事が全力で戦うっていうこと」
――高山さんとの闘いの続きが前進した手応えは?
▼鈴木「あのヤロー、口が生意気になったな。蹴っ飛ばしがいのある言葉が出てきたんで、少しずつ少しずつ一緒に前に進んでいきたいなと思います」
――鈴木さんが勝って泣かすか、高山さんが勝って男泣きするかのテーマができたが?
▼鈴木「まあ泣かせてやるよ」
――TAKAYAMANIAを続けるために必要なことは?
▼鈴木「TAKAYAMANIAを続けていくこと? 俺がプロレス王であり続けること。これが一番。今年も残すところ9、10、11、12、4ヵ月。国内もそうだし、海外もまだ行ったことない国からオファーとかもあるんで、うまく回っていければなと思ってるんだけど。あと来年以降も、今本当に一人で世界中回ってるんで、プロレスの王様、どこの国に行ってもザ・キングと当たり前のように呼んでくれるんで」
――その状態を続けていくと?
▼鈴木「当たり前だろ。ここまで来たらあいつのことぶっ飛ばさないとな、ちゃんと。それまで続けようと思ってます。選手、今日、目新しい選手とかも参加してくれて、これから変化もあると思うし、高山とかかわりのあった選手で、もう一線を退いちゃってる人もいるから。これからは新しい、高山が作り出す高山帝国、帝王が作り出す帝国というのを、新しい人材もこれから増えていくかもしれない。わかんない。今回もこれだけのお客さんが来て、これだけのお金をたくさんの人が募金してくれて。それをもとに次やるわけじゃないんで、これはあいつがこれから生きていくためのお金なんで、またゼロからのスタートです。またいろんな処理をして、来年になって、さあ、どうしようっていうところから、ゼロから始めるんで。また来年、状況が整えば、また大会が開けたらいいなと思いますけど。興行会社じゃないんで、選手には高山の気持ちで全員プロの選手なんだから全員必ずギャラを受け取って帰ってくれと。受け取ったあと何に使うか本人の自由だけど、別に何に使おうが自由だけど、それ以外のスタッフは全員ボランティアなんで。運営はボランティア、俺も含めて。たくさんの人の気持ちで動いてるグループなんで、また高山がトップロープまたいでリングに上がる姿を見たい人がまだまだたくさんいるんで。その人たちの力を借りて、また前進していきたいなと思います」
【試合後の丸藤】
――カードを聞いた瞬間の気持ちは?
▼丸藤「今回の4人の中だったら、僕は一番大人だと自分で認識しているんで。誰と組んでも誰と戦っても全然大丈夫だったんですけど、やっぱ思った通り、我が強い3人なんで、グチャグチャになっちゃいましたね。俺がいなかったら、もっとまとまらなかったんじゃないですか。完全に高山さんはその役割で俺を入れたと思いますね。でしょ? みんな頷いてるもん」
――高山さんが見ている前での試合だったが?
▼丸藤「なんかいい刺激…なんでもいいですよ。小っちゃい刺激でも、大きい刺激でも何でもいいから、高山さんに刺激与えて楽しんでもらって。また日々の活力にしてもらえればいいかなって思うんで。本当に18、19の頃から高山さんと出会っているんで。何でも協力しますよ」
――来年もあると思うが、当然参戦したい?
▼丸藤「そうですね。必要あらばぜひ協力させてください。まさにプロレスの力が見せられるんじゃないですか」
【試合後の柴田】
――今日のカードを聞いてどう思った?
▼柴田「いやあ、そうですね。希望としては戦いたい相手だったというか。そこが一番。なんならもう、何年前ですかね。6年前かな。新日本プロレスにお互いいた頃、自分がKENTAを連れてきて。で、その流れがあって裏切られて、そのまま時間が止まっていたんで。我々の時間というのが、そこから何も一切流れてなかったんで。それをなんかなかったことにはさすがに自分の中でできなかったので」
――BULLET CLUB入りの怒りというか
▼柴田「恨みとかというか、これでなんか仲良くできるわけがなくて。じゃあ、団体が変わって、仲良くできるかって言ったら、それはそうじゃないなとも思うし。そこは消化できないものがあったんで。まあ、今回こういう形で高山さんが引き寄せてくれた形だと思うんです。自分自身も発表された時、『ああ、組むほうか』とはなりましたね。誰がどういうカードで組んでも、面白いちゃあ面白いかなとは思いましたけど」
――最後、抱擁された理由は?
▼柴田「なんかやっぱり戦っているうちに。魂ぶつけ合うのがプロレスだと思うんで。そういうものが今の日本にというわけではないですけど、今のプロレス界にメチャクチャ足りてない。今回のTAKAYAMANIAって、去年もそうなんですけど、プロレスのその本来持てるエネルギーっていうのは。会社がどうとか、団体がどうとか、選手がどうとかじゃなくて、プロレスが持つエネルギーそのものだと思っているんで。それが本当に高山さんがいて、そこに集まる選手がいて、プロレスラーがいて成り立っている興行なんで。もちろんプロっていうのはお金というものが評価になるんで、もちろん大事なんですけど、今一度プロレス界、日本プロレス界、もう一度プロレスというものを見つめ直したほうがいいと思いますよ。自分はそれをアメリカから、海外から見てて思うんです。本当にこのままでいいのかなって思う。どこのとか言わないですけどね。ちょっとあまりにも見ている人を置いてけぼりというか。やっているレスラーたちって何のためにプロレスやっているんだろう、何のためにプロレスラーを目指して、プロレスラーになって試合をしているんだろうというのを。本当に基本的なことだと思うんです。それがなんかいっぱい詰まっている大会だっていうのが。自分の中ではTAKAYAMANIAっていうのは特別で」
――プロレスの魂が詰まっているのをKENTA選手から感じ取った
▼柴田「だから、結局2人ともホームじゃないわけですよ。もともとというか。だけど、交わるのがここだったというのは、なんか運命的なものを感じますね。高山さんのイベント、大会で。ないと思っていたんで。一生もうないと思っていたんで。やるならシングルマッチしかないと思ったら、こういう形になったのは、本当に高山さんあっての大会だから。すごく自分自身もいい経験になりました」
――試合前にはAEWのベルトを見せて、GHCのベルトを見せられてというシチュエーションもあったが?
▼柴田「まあ、チャンピオンですから」
――そこが絡むのもここならでは?
▼柴田「そうですね、ここしかできないですよ。まあ、よかったかな。今日は本当になんか、やっぱり魂ぶつけ合う、魂をぶつけ合うっていうのがプロレスの根本的なものだと思うんで。そこを忘れちゃいけないよっていうのを。別に今の人とか、今の若い人とかどうでもいいんですよ、ぶっちゃけ。これが大事だよっていうのはやってなきゃダメ、自分はイヤだっていう。これがプロレスなんだって。いろんな形ありますけど、そもそもはそこです」
――シングルマッチという言葉が出たが、KENTA選手との続きは? 今日で終わり?
▼柴田「どうだろうね。もう半分試合しちゃったようなもんだから。やっぱりやってる中で、お互い交換し合って。エルボーだったり、チョップだったり。やっぱり響くものというのがあったから、ああいう形になったのかなと思います。どうなんだろう? もうないのかもしれない、シングルは。そもそも機会が恵まれないと思いますよ、なかなか。俺はAEWだし。そういうものを取っ払ってできる唯一のニュートラルな…」
――やるとしたら1年後のここしかない?
▼柴田「わかんないです。やるかどうかはわからないです。まあでも、来年は来年で参加できればいいかなとは思います」
――高山さんの目の前でチョップの打ち合いをしていたが、どういう思いを込めた?
▼柴田「高山さんに近くで、最前列でチョップを。汚い汗が飛び散っていると思いますけど、それって絶対エネルギーになると思うんで。高山さん、明日熱を出すんじゃないですかね? でも、去年の高山さんより、今年の高山さんのほうが前進しているんで。これってすごいことなんですよ。俺は本当にプロレスにしかないエネルギーかなとは思います」
【KENTAの話】「いや、今日はね、久しぶりというか、初めて…。なんで今、久しぶりって言っちゃったのかわからないけど、初めて高山さんの大会に参加することができて。今までなかなかタイミングが合わなくて参加することができなかったんですけど、今日こうやって参加することができて、すごい高山さんが立ち向かっている姿みたいなものを目の当たりにして。また僕らも、来ている人ももちろんそうだし、たくさん感じること、勇気をもらったりとかもあったと思うし、高山さんもしっかり絶対後押しされたと思うし。それとプラスアルファで、試合の中で、なんかこうしばらく昔にケンカしていた恋人と仲直りしたような、そんなシーンもあったりして。なんかすごいいい一日でした。またね、次があればぜひ。タイミングが合えば参加したいと思います」