【新日本】強すぎるヤングライオン誕生…カザフ出身オレッグが規格外デビュー 2023/4/2

『Road to SAKURA GENESIS 2023』後楽園ホール(2023年4月2日)
ボルチン・オレッグ デビュー戦 ○ザック・セイバーJr.&ロビー・イーグルス&藤田晃生vs海野翔太&田口隆祐&ボルチン・オレッグ×

 元レスリング世界5位でカザフスタン出身のオレッグが規格外デビュー。最後はザックの腕ひしぎ十字固めに捕まり惜敗を喫したものの、スープレックスなど投げ技を連発し、“強すぎるヤングライオン"が誕生した。

 オレッグはカザフスタン出身の30歳。2017年からブシロードクラブ(現TEAM NEW JAPAN)に所属して、レスリングで実績を重ねてきたが、東京五輪出場は叶わず。2022年10月のレスリング世界選手権でフリースタイル125kg級で5位に入賞したのを最後にプロレス入りを決意した。今年の1・4東京ドーム大会ではエキシビションマッチに出場。大岩陵平相手に投げ技を連発し、潜在能力の高さを見せつけていた。

 聖地・後楽園大会で正式デビュー。海野&田口と組んで、TMDKのザック&イーグルス&藤田と対戦した。新人離れした体格で、威厳すら漂わせたオレッグは伝統の黒いショートタイツ姿で登場。先発を買って出ると、藤田と対峙し、巨体に似合わぬスピーディなタックルや飛行機投げでどよめきを誘った。プロレス流のリストの取り合いにも順応。一瞬のスキを突いて、フロントスープレックスまで決める。

 4・8両国大会でTV王座戦を控える王者・ザックと挑戦者・海野がエルボースマッシュ合戦や丸め込み合戦など接戦を展開。その後、再びオレッグがリングに飛び込んだ。ザックをショルダータックルで吹き飛ばし、大岩とイーグルスを軽々とぶん投げてまたまた大暴れ。ザックに逆水平を叩き込むと、先輩たちの援護射撃を受けて、再びレスリングの技術を活かして投げを打った。

 フロントスープレックス狙いはザックのフロントネックロックで切り返されたものの、ここでも後方に豪快にぶん投げると、怪力を活かしての逆エビ固めでギブアップを迫る。ザックが腕ひしぎ十字固めを狙ってもオレッグは強引に引っこ抜こうとして場内を沸かした。だが、百戦錬磨のザックは体勢を立て直し、再び腕ひしぎに捕獲。今度こそギブアップを奪った。

 惜しくも敗れたオレッグだったが、新人離れしたファイトでデビュー戦から爪跡を残した。試合後は日本語でコメントを発表。「相手、どれぐらい強くても、絶対勝ちたいと思っていた。自分のいいところ出して、ハァ……勝ちたかったけど……」と肩を落としたものの、「レスリングの技できた、出せたと思うんで、これからもっといっぱい練習して、関節技覚えて、打撃の技覚えて、次の試合向けて、勝ちたいと思うんで、練習します」と前向きに意気込んだ。

 タッチに手間取ったり、リングから帰る方向を間違えたりと、まだプロレスに順応できていない部分こそあったものの、デビュー戦からザックと互角の攻防を繰り広げ、規格外の実力を知らしめた。“強すぎるヤングライオン"が今後の新日本マットに新風を巻き起こしそうだ。


【試合後のザック&イーグルス&藤田】

▼ザック「ギーザー・オブ・スカイの登場だ! (ロビーの肩を叩きながら)チームへようこそ」

▼イーグルス「(ザックの肩を叩いたあと、藤田の肩を叩いて)フジタ」

▼ザック「TMDKヘヨウコソ(ロビーに対して言うように藤田に促す)」

▼藤田「ようこそ」

▼ザック「そうだ、彼にオーストラリア英語を練習させないとな。(藤田に対して)チョット、マエニ(教えた)オージーエイゴの」

▼藤田「(オーストラリアなまりの英語で)ウェイティン、フォア、メイト」

▼イーグルス「おおー!」

▼ザック「(藤田に向かって)今何をしているの?」

▼藤田「(オーストラリアなまりの英語で)ウェイティン、フォア、メイト(仲間を待っています)」

▼イーグルス「おおー! いいじゃないか!」

▼ザック「カンペキ。(オーストラリアは)面白い国だ、いつか案内するよ。オモシロイ」

▼イーグルス「マイキーとシェインはスーパークレイジーだよね」

▼ザック「(藤田に向かって耳をふさぐジェスチャーをしながら)彼らが話す時は耳をふさいで。(藤田耳をふさぐと)OK、それでいい。さて、ロビー」

▼イーグルス「ああ、俺が来たぞ。コスチュームもTMDKの色にして、勝利した。やっとできたんだよ。共に勝利した最高の仲間とエプロンに座れたし。正直言って、ずっとやりたかったんだ。この時を待っていた。TMDKはオーストラリアのレスリングで驚異的な勢いを持っている。だからロビー・イーグルスがTMDKに加入するのは当然のことだ。このあとのSAKURA GENESISシリーズでも調子を伸ばして、最終的にはシガツヨウカ、ヒロムタカハシIWGPジュニア王者に挑戦だ。前回の大きな大会でのVTRで宣言したとおり、お前ノアイテハオレダ。お前は俺をとめられない。なぜならTIME BOMBは不発に終わって、俺が決めて終わる。爆発することもなく、ロビー・イーグルスに獲られるんだ。(3カウントとタップアウトのジェスチャーをしながら)123か、タップタップタップって」

▼ザック「(小声で)タップタップタップ」

▼イーグルス「ああ、そうだろ。待て待て待てタップタップタップって」

▼ザック「いろいろ選択肢があるな。(藤田に向かって)そしてフジタ、新しいライバルだな。大きなオレッグ、スゴイネ」

▼藤田「凄いねパワー……」

▼ザック「(藤田は)イチバンチッチャイ、ヤングライオン。でも、イチバンアタマ(がいい) お前は一番賢いから、俺は選んだんだ。お前ならオレッグに勝てる。次の目標はオレッグ、カトウ。そしたら次にセンパイだ。2ステップの計画だ、トリアエズ。ダイジョウブ?」

▼藤田「大丈夫」

▼ザック「よし。さてショータ、お前は自信満々だな。汚いジャケットを持ち歩いて。俺は考えたんだ。10分未満で俺に勝てたら、俺のジャケットをやろう。オレノジャケット、ギフト。10分未満で倒したら、タイトルもジャケットもお前のものだ。10分未満で負けたら、俺は引退するよ。この仕事を辞める。そんなの面目丸つぶれだからな。ペンライト握ってるんだぞ!」

▼イーグルス「ああ」

▼ザック「90年代かよ!? 白いジャケットに白いズボン、今は2023年だ。ニセンニジュウサン。バカげてる。(ロビーに向かって)オーストラリアではどうなんだ?」

▼イーグルス「マレットは、もしかしたら」

▼ザック「ああ……そうか」

▼イーグルス「背中に名前は書かない」

▼ザック「そりゃそうだ。TMDKは緩いが、第一のルールは、にする」

▼イーグルス「よし、わかった」

▼ザック「OK。(イーグルスに向かって)俺たちが英語で十分しゃべったから、あとは彼(藤田)が日本語を練習する。日本語を忘れずに、日本語クラスにいけるように。(藤田に向かって)チョットニホンゴ。日本語忘れていないね? シャベレマスカ?」

▼藤田「はい」

▼ザック「OK、よし(先に控室へ)」

▼イーグルス「今日はアイスクリームだ。勝ったからアイスクリーム3つだぞ(と言って、あとに続く)」

▼ザック「(声のみで)アイスクリーム、OK。チョット、アイスクリーム」

▼藤田「(1人残って)今日はオレッグ、デビュー戦……自分たちとやって、(勝利を)取ったのはザックさん……(後輩が)デビューしたことが嬉しい、そんなことは思ってないです。ライバルが1人増えた、戦わないといけない、潰さないといけない相手が1人増えた、そう思います。いくつだろうと、どんなに体がデカかろうと、今、TMDKでやらしてもらってる俺が、そんなもの覆すぐらい、これからやっていきます。ただ……デビュー、おめでとう」

【田口の話】「オレッグは今日はね、負けてしまいましたけど、前へ前へっていう気持ちが見えましたね、すごい。それがちょっと焦る、焦るほうに出たから、チョット空回りっていうかね……。まぁデビュー戦ですから、こうやって一つずつ経験積んで、試合慣れしていけば、間違いなくすぐにチャンピオンなりますよ。それだけの素材ですよ。(今の課題は)試合に慣れるだけ、そう思いますよ。海野翔太もいるしね、新日本の未来は明るいですよ」

【海野の話】「あえて自分で言ってやるよ。新日本プロレスの未来は明るいぞ。その意味がわかるか? 今日のオレッグの試合を見てもらえば、わかると思うよ。デビュー戦だから? 関係ない。勝ちたいっていう執念、気持ち、それが仮に空回りでも関係ないよ。その強い気持ちがあれば、必ず近い将来、1勝もできるし、トップに立てる。ただ、その気持ちだけは絶対忘れずに、初心を忘れずに。俺も今いるから。まずは俺が筆頭に、俺が先頭に、新日本プロレスを引っ張って、さらに若手の枠も引っ張ってやるから。そのためにはザックの(持つNJPW WORLD認定)TV王座、必ず獲ってやるよ。あのベルトのコンセプトは、若手にチャンスがあって、地方大会でも、タイトルマッチができないような地方大会でもタイトル(マッチ)をやるベルトだろ? ベルトの意味を間違えんなよ。そのベルトを獲って、必ずチャンピオンとして仕事をして、新日本プロレスの若手のすべてを引っ張ってってやるよ」

【試合後のオレッグ】

▼オレッグ「(すべて日本語で)おつかれさまです。初めてプロレスラーの戦いに出て、すごい嬉しいので、デビューもしてから、ほんとに自分の力だけじゃないから。デビューの準備、みんなのおかげで、先輩のおかげで、会社のおかげでここまできて。で頑張って……。最初、デビュー戦の相手見て、すごいなんか、自分、強い選手と戦うの好きだから、その選手と戦うと自分の強さもわかるし。(対戦相手に)ザックさんがいたから、(ほかの)相手も藤田さんとロビーさん。みんな強い選手だから、仲間(パートナー)も強い選手で、もうすごい気持ち入って。でも相手、どれぐらい強くても、絶対勝ちたいと思っていた。自分のいいところ出して、ハァ(ため息)……勝ちたかったけど……。まぁ……なんかレスリングの技できた、出せたと思うんで、これからもっといっぱい練習して、関節技覚えて、打撃の技覚えて、次の試合向けて、勝ちたいと思うんで、練習します」

――リングの上で戦った感触、お客さんの声援はどうだった?

▼オレッグ「いや、すごい。なんか(アマチュア)レスリングとは違うんで。みんなが応援してくれるから、すごいお客さんが……(会場の雰囲気が)全然違う。全然違う世界なんで、自分のもっといいところを出したかった、勝ちたかったけど……。これからもっと、ほんとにもっともっと頑張りたいと思うんで。もっと強くなりたい。まぁ、すごいプロレスのリングに上がって嬉しかったですけど、でも負けて……(苦笑) その負けを恐れないように、次の試合、次の次の試合、次の戦いに向けて準備して頑張ります。(うまく答えられなくて)すいません」

――目標は?

▼オレッグ「目標は絶対……自分がもちろん強くなるという目標はあるけど、それはもう(自分が)決めるとこじゃないから。どれぐらい強くなっても、もっともっともっといけるとこあるから、それもレスリングの世界でわかったから、プロレスっていう(のに飛び込んだ)のはもっと、もっともっと強くなりたいから。あとレスリングは……前も言った通り、レスリングでいきたいところ(オリンピック)いけなかったから。それ……(出場できなかった理由は)理解したから、プロレスでもっといいとこに……頑張って、プロレスですごいいいとこにいけて、強くなって、またたくさんのお客さんの前で試合したいと思います」

――プロレスラーとしてどういうスタイル、どういうタイプのレスラーを目標にしている?

▼オレッグ「まぁ、強いタイプ。もちろん自分の強さは、レスリングの投げ技とか……なぁでも、レスリング(の技)だけじゃなくて、もっと違う技出したい。レスリングの強さ(を繰り出していきたいというの)は決まってるけど、違うところから自分の強さを出したい。関節技とか、打撃とかそういうの……ファイトの(あふれる)プロレスラーになりたいかなと、そういうふうに思います」

――具体的にあこがれている選手の名前は?

▼オレッグ「選手の名前ですか?(苦笑) 新日本プロレスはみんなかっこいいと思うけど、永田さんとか最近の試合見てたら凄い(んで)……。永田さんと、あれ誰だっけ? レスリングのオリンピック(代表だった)選手と凄い試合を……(しばらく考えるが名前が出てこない)アメリカの選手……」

――カート・アングル?

▼オレッグ「はい。その試合とか凄かった。あと柴田(勝頼)選手とか。柴田さんのすごいファイトの(あふれる闘いぶり)……。まぁいろいろの……誰かの前とかをしたいわけじゃないけど、自分のなんか……新しいプロレスを作りたい。ありがとうございました」