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5/27【新日本】退団示唆の飯伏と選手契約・対話を継続へ 木谷オーナー、大張社長が会見(全文あり)

 新日本の木谷高明オーナーと大張高己社長が27日、会見し、ツイッターを通じて退団を示唆していた飯伏幸太との選手契約継続と、対話を続けていく意向を表明した。

 右肩の脱臼骨折などで昨年10月から欠場していた飯伏は、今年に入って一旦は3・1日本武道館大会での復帰が決定。だが、大会直前で異例の復帰延期が発表された。一方でその3日後のJUST TAP OUT後楽園大会(3月4日)に私服姿で現れ、セコンドとして試合を見守っていた。

 同時にその頃から「結局その程度の器しかない場所か」「つまらん支配より自由」など、新日本への失望をにおわせる短文をツイッター上に投稿。5月に入ると、選手との連絡役などを務める新日本スタッフとのLINEやり取りのスクリーンショットを公開し、同スタッフから送信された「新日本との契約終わろうか」の文言を“理不尽なパワーハラスメント"だったと主張。退団を示唆しながら「最後まで戦う。あんな奴らには屈しない!」と怒りをあらわにしていた。

 また、23日には「会うこともせずLINEで解雇通告」があったと投稿し、「母はその次の日、自殺未遂をしました」と綴ってネット上には“心配の声"があふれる事態となっていた。

 騒動に対しては“沈黙"してきた新日本も、水面下では事実関係の把握と飯伏との接触を続けてきた。前夜(26日)に木谷オーナー、大張社長が飯伏本人と面会し、互いの意見が交換できたことから、この日「新日本側の考え」を明かす会見を開くに至った。

 まず騒動に関して謝罪した大張社長は、これまでの経緯を説明。飯伏が公開したLINEのやり取りを同スタッフも「事実」と認めたことを明かし、3月31日には大張社長が飯伏の練習場所に出向いて会談を持ち、ともにトレーニングで汗を流したという。

 その後の会食では「TAKAみちのくの招きでJTOの控室を訪れ、そのままの流れでセコンドに就いた」との説明を受けた。飯伏は専属契約選手であることから、セコンドとはいえ、他団体への無断出場は契約違反であることを伝え、飯伏からも謝罪を受けたという。ただ、処分としては“厳重注意"にとどめた。

 それでも5月に入って飯伏の姿勢が著しく硬化したのは、騒動に心を痛めた飯伏の母親が自殺未遂をし、腰の骨を折る重傷を負ったことが背景にあると説明。新日本も法務担当者を含めた対策会議を設置し、飯伏への直接の謝罪と意見交換をしてから“公の発表\"をする方針で固まった。そして前夜の直接会談では、配慮に欠けたLINEでの連絡や謝罪の遅れに関して飯伏に改めて謝罪したという。

 そのうえで会見では新日本としての立場を表明。「無断での他団体出場は専属契約に反する行為。その後行われた内部のやり取りの公開も契約違反」とし、何らかの処分が後日下されることになったものの、選手契約は満了時まで継続したい旨が明確に示された。

 木谷オーナーは「引き続き所属選手として在籍していただきたい」と明言し、大張社長も「飯伏選手は新日本の大事なレスラー、これからも同様です。しっかりと向き合って今後については相談していきたい」と対話継続の意向を示した。木谷オーナーは「まずは怪我の治療と、お母様の治療のサポートに専念してほしい。騒動があっても、飯伏さんの活躍に胸を打たれた“飯伏さん貯金"は容易には減らない残高。輝いてる姿がみたいのはファンの皆様と同じ。個人的にはスターダムを手伝ってもらいたい気持ちもあるが、サイン会やトークショーを行ったりしながら、リング復帰まで活躍してもらいたい。それでも契約を満了して、新日本を離れたいという時期がきたら、もう一度話し合って彼の意思を尊重したい」と話した。

 会見では、誠実に立ち上がって頭を下げ続けた両首脳。木谷オーナーは「リングの外のゴタゴタはこれにて終わりにしたい」と話し、大張社長も「飯伏選手への誹謗中傷にあたるコメント」の自制を求めつつ、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア開催中の騒動を選手に向けても謝罪した。ひとまず穏便に契約と対話の継続が示された形。ゴールデンスターが再びセルリアンブルーのマットで輝く日は来るのか――。


【会見の模様】
▼大張社長「本日は飯伏選手の主張に対する新日本プロレスの考え方をお知らせしたいと思っております。5月10日以降、飯伏選手からツイッター上で当社や一部の関係者に対する批判が発信されました。本件につきましてファンの皆様、そして関係者の皆様にご心配をおかけして誠に申し訳ございませんでした」

※二人が立ち上がって頭を下げる

▼大張社長「その中で当社の担当者から契約を解除するというようなメッセージを受信した旨が画像とともに示されております。これは担当者にも確認したところ事実であるということが判明しております。現在、皆様をご心配させてしまっている本件について、その経緯を含めて現在認識している範囲でお伝えしたいと思います。まず経緯についてご説明いたします。飯伏選手は新日本プロレスの専属契約選手です。その契約の本幹は新日本プロレスの試合に専念をしてもらうことです。ですので、他団体への出場に際しては、事前に会社への連絡や承諾を得るということが義務づけられております。飯伏選手は3月4日にJUST TAP OUTという他団体へセコンドという形ではありますが、無断出場をいたしました。つまり、その専属契約に反する行為をしたことになります。当該担当者は選手との各種連絡を担当しておりますが、新日本プロレスの専属契約選手となる以前から飯伏選手と交流のある者です。この飯伏選手の他団体への無断出場を当社による契約解除を自ら促す行為として捉え、かつ長年この二人の間で醸成された信頼を反故にされた。そういった喪失感とともに前述のメッセージを飯伏選手に送ったとのことでした。また、他団体に出場した際に私からも会社に対する事前の連絡があったのかどうかといった点も含めた状況報告をその担当者に求めましたので、それもあって飯伏選手へその担当者は連絡したのだと思います。そして、その状況報告の中では、飯伏選手から退団やむなしという意向があった旨も報告を受けています。このままでは不本意な形で飯伏選手を失ってしまうという懸念から、形式ばらない場で心を開いて真意を聞きたい。そういう思いで私の方から直接、飯伏選手に連絡を取り、3月31日ですが、飯伏選手の練習場所に出向き、私と飯伏選手は1対1で会っています。短時間ではありましたけれども、雑談もしながら簡単なマット運動ですとか、ジャンプトレーニング、そういったものを一緒に行わせていただきました。飯伏選手の超人的な体力に驚かされましたけど、やはり昨年ケガを負った肩の治りがあまりよくない、可動域が狭いということも飯伏選手はおっしゃってました。そのあと、飯伏選手の車に同乗させていただきまして、場所を移して会食の場を持ちました。一緒に食事をしながら他愛のない話もいたしましたが、無断出場についてですね。飯伏選手よりJUST TAP OUTを運営するTAKAみちのく選手の招きによって会場の控室に行ったという点、そして、そこからは自らの意思で試合中に控室から出ていって、リングサイドにセコンドという形で出場したという経緯も細かく聞いております。私からは他団体へ無断出場することは会社と選手間の契約違反、並びに新日本プロレスから他社様へのライセンス契約違反に相当することを伝えまして、その点につきましては厳重注意を行いました。飯伏選手からはその違反行為について、その場で誠実な謝罪を受けております。なお、厳重注意にとどめた理由は、ヒアリングした経緯や前述の謝罪と合わせて、契約違反に該当するという認識が飯伏選手にはなく、故意の違反ではないと十分推察できたこと。並びに実際にそのリングで試合を行ったというわけではないということなどが挙げられます。この3月末の会食の時点では、後日、飯伏選手のツイートで明かされた担当者から飯伏選手へあてた前述の契約解除をにおわせるLINEの具体的な文章を私自身が把握しておりませんでしたので、その点については、この時点でしっかりとした謝罪ができなかったと記憶しております。そしてしばらく経った5月10日以降、冒頭の担当者とのLINE画像を含んだツイートが飯伏選手のアカウントで出てまいりました。なお、このツイートのきっかけとなったのは5月8日に飯伏選手を心配したお母様からの連絡を受け、飯伏選手がお母様に経緯をお伝えしたところ、お母様が5月9日に自殺未遂をされ、腰の骨を折るなどされたことである、と飯伏選手より聞いております。飯伏選手の一連のツイートを受け、当社としては5月10日より法務担当者も含めた対策会議を持ちました。そして、それまでの経緯を踏まえまして、飯伏選手と、そして当社にとって最善の策は何なのかという点を検討いたしました。その結果、飯伏選手と直接会って謝罪と、お互いの意見交換をしてから必要に応じて公な発表を行うという方針を固めました。よって本日まで皆様には公式な発表を控えておりましたが、昨日、私と新日本プロレスのオーナーである木谷、そして飯伏選手が直接対話の場所をもちまして、本日の会見内容も含めまして、お互いの意見を交換することができましたので、この発表に至っております。これまでの間、ファンの皆様には大変なご心配をおかけしましたことを心からお詫び申し上げたいと思います」

※再び二人が立ち上がって頭を下げる

▼大張社長「次に、当社の考えをお伝えしたいと思います。無断での他団体出場、これは前述のとおり専属契約に反する行為でありますし、その後、行われた内部のやり取りの公開、それも当該契約に反する行為であります。ですので前述の経緯も踏まえたうえで、飯伏選手の処分については後日、決定してまいりたいと思います。一方で選手契約の有無というのはプロレスを生業とするレスラーにとっては死活問題であります。担当者の発言についても容易に許されるべきものではないと思います。そして、そのことが飯伏選手からの一連の批判的なツイートへとつながってしまったのだと思います。飯伏選手へは配慮のない文書にて連絡したことを昨日、心よりお詫び申し上げました。この担当者につきましては、これまでの長年の関係性や理由はあれど、レスラーに対する配慮を欠く発言であったことから、当該担当者に対しても処分を行う予定であります」

▼木谷会長「それでは私から補足させていただきます。まず新日本プロレスとしては今まで多大なる貢献、本当に私個人も飯伏さんの激闘の数々、本当に感動した試合いくつもあります。所属選手として飯伏選手には引き続き在籍していただきたいと考えております。ただ、今はご自身のケガやお母様の治療のサポートに専念してほしいというふうには思っております。契約は継続させていただきますので、そちらの方をしっかりとやられることを願います。これは僕が言うまでもないことではございます。また、多くのファンの皆様のご支援をいただいている選手ですし、まだ試合はできないかもしれません。リングの中はなかなか難しいかもしれませんが、リングの外でたとえばサイン会であるとか、トークショーであるとか、個人的にはちょっとスターダムを手伝ってほしいなと。とにかくリングの中に復帰できるまでは外で活躍していただきたいなというふうに考えております。今後もし飯伏選手が契約を満了になり、新日本を離れたいという時期が来れば、その際には改めて話し合いを持ちたいと思っておりますし、私個人としては彼の意思を尊重したいというふうに考えております。私個人としても今までの飯伏さんが活躍してくれた飯伏さん貯金は(両手を上下に広げて)こんなに貯まってますので。容易には減らない残高でございます。ぜひともまた輝いてる飯伏さんを見たいなと思います。この気持ちはファンの皆様と同じだと思ってますので、リングの外のゴタゴタは、もちろんきっかけは私どもにあると思いますけど、これにて終わりにしたいなと思っております」

▼大張社長「今も飯伏選手は新日本プロレスの大事なレスラーですし、これからも同様です。今回のケースのように会社と選手間、双方の気持ちが行き違うようなことはあってはならないことだと思います。こちらは再発防止に努めてまいります。また、飯伏選手とはしっかりと向き合って今後について相談をしていきたいと思います。ですので飯伏選手本人、それから関係者に対する誹謗中傷にあたるようなコメントはぜひお控えください。まず、ご説明は以上となります。このたびはファンの皆様にご心配をおかけし、大変申し訳ございませんでした」

※二人が立ち上がって頭を下げる

▼大張社長「また現在、BEST OF THE SUPER Jr.シリーズ中でございます。この混乱については選手に向けてもこの場をお借りしてお詫びしたいと思います。申し訳ございませんでした」

※二人が頭を下げる

▼大張社長「それではお答えできる範囲となりますけれども、お集まりの記者の皆様からご質問があればお願いします」

――確認として、飯伏選手は新日本から解雇されたと匂わせるツイートがあったが、新日本としては契約解除した事実はなく今でも契約を継続していることを本人は認識している?

▼大張社長「はい、もちろん」

――そのへんの話し合いの際の飯伏選手の様子は?

▼木谷会長「そうですね。私、実は2回お会いしてまして、両方とも食事を伴って会ってます。昨日は大張と3人で食事をしながら話し合いましたし、その前は共通の知人に同席してもらいつつ話し合いをしましたが、本当に昨日も3時間ぐらい。その前も2時間半ぐらい。いろんな各方面の話になりましたね。プロレスの話中心に、ちょっと格闘技の話に横にずれたりとか。やっぱり本当にプロレスが好きなんだなと。彼はもともとキックボクシング出身ですから、そういった面で直近の大きなイベントの話題になったり。あとレスラーでは、外国人だとトム・ローラーに関心を持ってました。『興味ありますね』とか。『そのうち来るんじゃないですか』という話もしながら。昨日は大張も一緒だったので最初はカタかったのかな、緊張してるのかなっていうふうに思いましたけど、プロレスの話が進んできたりすると、だんだん目が輝いてきて、僕も凄く楽しかったですね。なので必ず元気に、いつになるかはわからないですが、復帰してくれるものと信じてます」

――これで双方わだかまりは解けている状態?

▼木谷会長「そうですね。100%かどうかはわからないです。それは部分的には残ってるかもしれませんが、少なくとも私はないです。元からないし、今もないということを2回お会いしたことで僕は確認しました。これから徐々に組織全体として100%の信頼関係に戻していきたいなと思っております」

――処分という単語も出てきたが?

▼大張社長「飯伏選手についてお話ししたいと思いますが、飯伏選手の今回の経緯、事情を汲めば、今回の件をもって契約解除ということは考えておりません。それにしても無断の出場であったり、その後の内容の秘密の暴露にあたるような部分、そういったところは考慮して、おそらく減俸等の対応になるかと思います」

――飯伏が退団、引退を示唆し、ファンを混乱、心配させたが?

▼大張社長「私は真似事程度しかできなかったですけど、飯伏選手が実際に練習されている間にもお話をしましたが、先ほどおっしゃったような退団、引退ということではなくて、いつ新日本プロレスに戻れるのか、早く戻れるようにという気持ちで練習に打ち込まれていました。その後の会食の際にも、落ち着いて話した際にも、やはり今後ベストな形でリングに戻りたい、新日本プロレスのリングに戻りたいという意向を確認できております。昨日までの会食などの接点でも新日本プロレスでまた活躍したいという意向も聞いております」

▼木谷会長「そうですね」

――担当者の処分については?

▼大張社長「それはまだ最終決定はしておりません」

▼木谷会長「ただ、少なくとも今の立場からの異動は考えております」

――ファンは飯伏選手の声が気になると思うが、今後、発言の場を設ける予定は?

▼木谷会長「この内容は昨日、飯伏選手とも共有しつつ、『事実と合ってますか?』とか、『違和感あるとこないですか?』っていうことをお聞きして、そこから少し修正したものを会見で発表させていただいております。ですので、この内容は彼と共有できたものを発表しております。ただ今後、また会見を開く必要があれば、もしくは飯伏さんがいつからファンにメッセージを伝えたいっていうことがあれば、それは十分検討するべきことかなというふうに考えております。とにかく今回に関しましては会社からオフィシャルにファンの皆さん、もしくはメディアの皆さんに現状のメッセージを伝えるべきだなというふうな思いから、今日がたまたまBEST OF THE SUPER Jr.の試合がない日なんで、今日を選ばせていただきました」

――飯伏選手の復帰見込みは出ている?

▼大張社長「いえ、肩の状況は未だに良くないというふうに聞いております。復帰時期についてはあくまで未定ということでお伝えさせていただきます」

▼木谷会長「そこはあまり焦らない方がいいかなと思いますし、飯伏選手もそこを引け目に感じる必要は僕はないかなというふうに思ってます。新日本には本当に物産貯金、残高が膨大に貯まってますから。リングの中のことは心配せずに、外側のところで少し貢献、何かしてもらえればいいかなと思っております。何ができるかはまた本人と相談しつつ今後やっていただきたいなというふうに考えてます。まずは完治させてほしいなと思います。本日はこのような会見を開かせていただきまして、本当にご心配をおかけした皆様、本当に申し訳なかったと思います。先ほど質問に出たように、必要があれば追加の会見を開きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これを機にというわけではないですが、新日本プロレスようやく上り調子の兆しも見えてきました。今のBEST OF THE SUPER Jr.もひじょうに盛り上がってますし、来月26日はAEWとの合同興行もございます。その結果を受けて、それ以外の未来のことも含めてですね、7月の上旬ぐらいになると思いますが、未来へ向けた新日本プロレスの戦略発表会を開催したいというふうに思ってます。いよいよ新日本プロレスが攻めに転じる時が来たというふうに思ってます。今まで本当に大張社長含め現場に任せてしまったのはちょっと申し訳ないなと思ってます。未来へのこの新日本プロレスの逆襲に関しては、私ももう少し現場に入って、アイデアも出し、いろいろ動き、盛り上げていきたいというふうに考えてます。何卒、引き続きご支援、ご指導のほどよろしくお願いいたします」

▼大張社長「それでは本日の会見は以上となります。ファンの皆様、このたびはご心配をおかけして申し訳ありませんでした。以上をもちまして会見を終了といたします。ありがとうございました」

▼木谷会長「ありがとうございました」

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