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6/3【新日本】ヒロムが前人未到の3連覇 デスペ激闘粉砕で「これが俺たちのスーパージュニアだ!」

『BEST OF THE SUPER Jr.29』日本武道館(2022年6月3日)
「BEST OF THE SUPER Jr.29」優勝決定戦 ○高橋ヒロムvsエル・デスペラード×

 デスペラードを激闘の末に粉砕し、ヒロムが前人未到のスーパージュニア3連覇を達成。歴史に名を刻んだヒロムは「これが俺たちのスーパージュニアだ!」と絶叫した。

 3年ぶりの単独開催となった今年の「BEST OF THE SUPER Jr.」。2ブロック制が復活し、外国人選手や他団体のレスラーも出場して、全国全13大会で刺激的な戦いが続出したが、優勝決定戦は記録更新となる3連覇&4度目の優勝を狙うヒロムと、悲願の初優勝を目指すデスペラードによって争われた。

 2年前の決勝ではヒロムが勝利、昨年の公式戦は30分ドロー、今年の1・4東京ドーム大会ではデスペラードが返り討ち…と幾度となく激闘を繰り広げてきた宿命のライバル対決は今宵もし烈を極めた。

 特別立会人として、新日本ジュニアの礎を築いた藤波辰爾が登場して2人を激励。3520人の観衆が見守る中、決戦のゴングが打ち鳴らされた。序盤は静かな立ち上がり。それでものっけから関節技を狙うなど緊張感溢れる攻防を展開する。

 デスペラードが執ような左ヒザ攻めで先に主導権。蹴り技に絞め技、ラフファイトとあらゆる手段を駆使して攻めに攻める。苦しい時間が続いたヒロムだったが、エプロンから捨て身のショットガンドロップキックを発射して逆襲。ファルコンアローでマットに叩きつけると、デスペラードのスピアーを読んで、D(三角絞め)に捕獲した。

 流れに乗ったように見えたヒロムだったが、サンセットフリップパワーボムを狙って場外に着地した瞬間、ヒザに痛みが走って悲鳴。すかさずデスペラードはトペコンヒーロで巻き返しに転じた。大技を連発すると、藤波の眼前でグラウンド式ドラゴンスクリューを決め、ヌメロ・ドスでギブアップを迫る。だが、耐え抜いたヒロムもDに再捕獲し、試合は大接戦に。

 2人は感情むき出しのエルボー&チョップ合戦で火花。お互いを知り尽くしているだけに、どちらの大技も不発に終わるが、前に出たヒロムは頭突き、トラースキック、ラリアットと真っ向からたたみかける。TIME BOMBIIは未遂となるも、またもDを狙って飛びついた。

 こらえたデスペラードはスパインバスター、ギター・ラ・デ・アンヘルと投げ技を連発。こん身のエルボーからリバースタイガードライバーにつなげると、クラッチを解かずに必殺のピンチェロコがさく裂する。決定的な場面だったが、ヒロムは間一髪で肩を上げると、日本武道館は観客の重低音ストンピングに包まれた。ならばとデスペラードはヒザ攻めにシフト。グラウンドドラゴンスクリュー乱射からまたまたヌメロ・ドスに捕らえる。

 抵抗をやめないヒロムはカナディアンデストロイヤーで逆転。丸め込みで揺さぶりをかけ、トラースキック、ラリアットと猛ラッシュに転じると、必殺のTIME BOMB2でマットに突き刺した。今度はデスペラードが肩を上げると、場内はさらに沸騰する。

 互いの必殺技でも勝負は決せず、死闘はさらに激化した。ヒロムは右の拳を握りしめて、そのままアゴを打ち抜くが、デスペラードもロコモノで殴り返し、カウンターで再度一撃。雄叫びを上げて立ち上がると、ピンチェ・ロコの体勢に。だが、切り抜けたヒロムは首を固めたままスタナーを連発。正調TIME BOMBを爆発させると、新兵器のTIME BOMB2.5(コブラクラッチ式TIME BOMB2)で死闘に終止符を打った。

 初優勝を狙うデスペラードを粉砕し、ヒロムが前人未到の3連覇達成。同時に4度目の優勝を果たし、獣神サンダー・ライガー、金本浩二を抜いて最多優勝記録も樹立した。立会人の藤波からトロフィーを受け取ると、ヒロムは深々と一礼。大きな拍手に包まれると、トロフィーを抱きしめて喜びの咆哮を上げる。

 「俺は物凄く楽しくて、物凄く刺激的だった。ありがとうございました」とリングを去っていくデスペラードにメッセージを送ったヒロムは、立会人の藤波にも「ジュニアヘビー級を広めていただき、本当にありがとうございます。そのおかげで、世界からこれだけ凄い…いや、こんなに凄すぎるジュニアヘビー級選手たちが揃って、こんな素晴らしい大会ができました。改めてありがとうございました」と感謝の意を伝える。そのうえで、思いの丈を口にした。

 「昔のプロレスは凄かったなあ。昔のプロレスは良かったなあ。昔、プロレス見てました。よく言われます。確かに30年前、40年前、そして50年前とは試合、コスチューム、体の大きさ、いろんなことが変わってきたと思います。でもな、俺たちレスラーの根底にある闘魂は何一つ変わってねえんだよ!」。令和のリングで戦い続けるレスラーたちの矜持をあらわにしたヒロムは、「50周年なんてな、ただの始まりだ! この先の明るい…いや、明るすぎる未来を、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと…まだまだいけるか! もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、みんなで! 楽しもうぜ!!」と絶叫した。

 ヒロムの3連覇を祝福するように、銀のテープがリング上を舞うと、さらに観客の拍手は大きくなる。改めてマイクを持ったヒロムは「最後に1つだけ言わせてくれ。みんな見ただろ? これが俺たちのスーパージュニアだ!」と叫び、激闘が続いたスーパージュニアを完璧に締めくくってみせた。

 リングを降りた際には、藤波に「いつの日か俺と戦ってください」と伝えたヒロム。次に狙うのは当然、IWGPジュニアのベルトになるだろう。石森太二が5・1福岡ドーム大会でデスペラードを下し、王者になったばかり。ヒロムは公式戦で石森を破っており、挑戦資格は十二分すぎるほどあるが、バックステージでは明言を避けた。

 とはいえ、50周年を迎えた新日本マットのジュニア戦線で主役になるのはヒロム以外考えられない。これから未来の礎となる新たな歴史を築いていくことだろう。

【試合後のヒロム】
▼ヒロム「(※お祝い用の缶ビールを飲むと)効いたぁ……これは効いたぁ……。(※ため息をつきながら着席すると)いきなりの質問タ〜イム」

──ヒロム選手、再びこのトロフィーを手にした心境の違いは?

▼ヒロム「心境の違いはないですよ。前回、デスペラードとこの日本武道館でやったのはもう大昔かなと思ったんですけど、この間、去年のYOHとの試合(昨年のスーパージュニア決勝戦)が無料で新日本プロレスワールドのYouTubeチャンネルに上がっててさ、『ああ、もう1年経つのか』って思ったら、『まだ半年なんだ。え、じゃあ何? デスペラードとやったのって1年半前なの?』って。まだ1年半しか経ってないんですよ。石森戦の後にも言いましたけど、高橋ヒロム、エル・デスペラード、石森太二は誰もが認める新日本ジュニアのトップでしょ? そのトップがコロコロ変わって、勢力図がコロコロ変わって面白いですか? たった1年半の間でそんなコロコロ変わっちゃいけないと思いながら……意地ですよね。守りきりましたよ。3連覇、誰も望んでなかったんじゃないですかね、今日来てたお客さん。ほとんどがデスペラード推してたでしょう。分かるよ、そういうのは。3連覇、4度目の優勝、素直に嬉しい」

──デスペラード選手は1年半の間に限らず、このシリーズを通しても意識してきた存在かと思うが、再びこの武道館の決勝の舞台で戦ってみて、感じたものは?

▼ヒロム「だって、自分で言うのも悔しいけどさ、自分の立ち位置、パラメーターっていうのは自分で理解してなきゃ上に上がれないんですよ。俺は自分の位置を理解している。人気、会社の貢献度、全てにおいて、今ジュニアのトップはエル・デスペラード。それは間違いない。俺は今日勝ったけど、実力があるのはデスペラード。あいつはこんなこと言われたくないだろう。でも、俺はちゃんと自分の立ち位置を全て理解した上で真実を言ってる。だから、今日やることは……凄いメンバーだったけど、正直凄いメンバー、誰が上がってきてもおかしくなかったかもしれないけど、なんとなく始まる前から、決勝でやるならデスペラードなのかなって、なんとなく思ってました」

──今回は世界中から最高峰の選手が集まった中で、長い歴史の中で史上初の歴史を作った点については?

▼ヒロム「これから実感してくるんじゃないですかね? これだけ長い歴史のあるBEST OF THE SUPER Jr.、29回、来年は30回、その中で3連覇っていう人間はいない。そして4度目の優勝という男もいない。そういう歴史を作れたっていうのは一つ、俺も改めて結果を出せたのかなって、素直に思いますね」

──そして、最後に改めてマイクを手にして、「これが俺たちのスーパージュニア」という言葉を残した。どんな思いを込めた?

▼ヒロム「いや、2018年かな? 対石森、このBEST OF THE SUPER Jr.のことを俺は同じセリフを言いました。『これが俺たちのシューパージュニアだ』。なんか久しぶりじゃないですか? これだけ本当に世界の強豪が集まってやれた。20名でのBEST OF THE SUPER Jr.。これで『俺たちのスーパージュニア』って言わないで、なんて言うのかなと。去年、一昨年、コロナの影響で所属選手のみのままワンリーグでの開催での2連覇でしたけど、やっぱり改めて凄いなと。今回のスーパージュニアを盛り上げたのは、間違いなく外国人選手、そしてGLEATからのエル・リンダマン選手、そしてもちろん新日本プロレスの選手。そう思った時にさ、目の前に藤波辰爾さんがいるんだよ。新日本プロレスのジュニアヘビー級の第一人者・藤波辰爾さんあっての俺たちジュニアなのかなって思ったんで、お礼を言いました」

──この50周年という特別な年にこのタイトルを獲った。この先に向けては?

▼ヒロム「この先はまだまだ……ちょっとやめてくださいよ〜! 俺にもさ、また3連覇も4度目の優勝もちょっと実感してないっていうかさ。この体も……ねえ? 分かるでしょ? この先のプランだとかそういうのはさあ、まあ後で東スポさんにでもお話しようかなと。なんかそんなふうに思います。ちょっとゆっくりとね。そんな、そんな焦らさないでくださいよ。言うてもトランキーロですよ。言ってるじゃないですか、ウチのあの人がね。名前は忘れちゃいましたけど、あの人がトランキーロって言ってるじゃないですか? 待ってください」

──焦ってしまった

▼ヒロム「焦り過ぎですよ。(※代表質問が終わると)いいんですか、皆さん? いいですか、帰っちゃいますよ? ラストチャンス! チチチチチチチ! (※誰も手を挙げないと)じゃあ、本当にいいのか? 本当にいいんですね。助かります! 言いたいことは言いました。(※帰り際にもう1本、缶ビールを手に持ち)ありがとうございました〜。ああキツい、ああ疲れた……。(※記者陣から拍手が起きると)ありがとうございます!」

【デスペラードの話】「(※コメントスペースに現れると床に伏しながら、若干涙声で)クソッ! 勝てなかった…。勝ちたかった……クソッ! (立ち上がって)葛西さん、葛西さん、すんません。約束守れませんでした。ファンタズモ、大事なとこでいつもポカするしょっぱいレスラーが……すまんな、また失敗したよ。でもよ、いいか? 大事なとこで失敗するのはもうおしまいだ。次は俺が勝つ!」

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