【新日本】棚橋が最後の大阪城で上村に逆転勝利 「ファイナルロードは思い出作りじゃない」 2025/6/15

『DOMINION 6.15 in OSAKA-JO HALL』大阪城ホール(2025年6月15日)
棚橋弘至ファイナルロード〜継(つなぐ) ○棚橋弘至vs上村優也×

 棚橋が一瞬のスキを突いて上村に逆転勝利。キャリア最後の大阪城ホールで白星を挙げた逸材は「ファイナルロードは思い出作りじゃない」と断言し、「夏場を迎えて、代謝も上がって、仕上がってくる棚橋は……手強いぞ」とアピールした。

 来年の1・4東京ドーム大会で引退する棚橋は「棚橋弘至ファイナルロード〜継」として想いを伝えたい選手との対戦を続けてきた。そんな逸材とのシングルを上村が熱望し、棚橋にとって最後の出場となる大阪城ホール大会で一騎打ちが実現。上村は「今まで背負ってきたすべてを僕にぶつけてください。余力を残さず、もう引退試合のつもりでリングに上がってください」と求めていた。

 まずはお互いの力を確認し合うかのように、レスリングやグラウンドの攻防から幕開け。アームドラッグ合戦も繰り広げる。上村は左腕に照準。キーロックで長時間絞め上げるなど一点集中攻撃を仕掛けるが、棚橋はフライングフォアアームを叩き込み、ショルダースルーで投げ飛ばして譲らず。ドラゴンスクリューからスリングブレイドの構えに。

 上村はカンヌキスープレックスで切り返そうとするも、投げさせない棚橋はツイスト&シャウト、スリングブレイドからハイフライフローアタックへ。これを自爆させた上村もダイビングボディアタックを敢行。今度は棚橋が避けて上村も自爆に終わり、どちらもは倒れ込んだ。

 どちらも懸命に立ち上がると、エルボー合戦へ。「来いよ!」と叫んで気持ちをぶつけ合う。上村はアームドラッグから左腕を腕ひしぎ十字固めに捕獲。そこからカンヌキスープレックスの体勢に。ビンタで防いだ棚橋は投げ捨てドラゴンスープレックスを繰り出した。引かない上村はカウンターのフランケンから腕ひしぎ十字固めへに再捕獲したものの、動きを読んだ棚橋はガッチリと押さえ込み、3カウントをもぎ取った。

 棚橋が最後の大阪城ホール大会でスキを突いて技あり勝利。上村はヒザをついて悔しがる一方、棚橋は見せつけるようにコーナーに上がって歓声に応えてみせた。棚橋は上村の肩を叩いてからリングを去っていった。

 「勝ったから、あらためて言っとこうか。棚橋ファイナルロード、ただ単に、俺のレスラーとしての最後、やっておきたいとかじゃないから。思い出作りじゃないから」と棚橋。「1月4日まで、最後の日まで、いま一番何ができるか、そればっかり考えているから。気合いっていう部分では、今の所属選手にも絶対負けない、気持ちがあるから」と力強くアピールしてみせた。

 そして、「俺がこんだけの思いで臨んでんだからな。いいか、これから闘う選手たち、夏場を迎えて、代謝も上がって、仕上がってくる棚橋は……手強いぞ」と全方位に宣戦布告。今大会では最後のG1出場も発表となり、夏に向けて一気にアクセルを踏む構えだ。

 一方、敗れた上村は「あんたに勝つまでは、引退させない。俺があんたを、リング上で超えるまでは、何度だってやってやる。これで終わりじゃない」と再戦を熱望。上村はG1で棚橋と同じAブロックにエントリーしており、公式戦で再戦が行われることになりそうだ。


【試合後の棚橋】

▼棚橋「勝ったね。勝ったから、あらためて言っとこうか。棚橋ファイナルロード、ただ単に、俺のレスラーとしての最後、やっときたいとかじゃないから。思い出作りじゃないから。俺はこの1試合1試合に、魂を込めて、数少ない、もうあと1回できるかできないか、っていうラストのワンチャンスに懸けて、いま俺ができること、最後、この1月4日まで、最後の日まで、いま一番何ができるか、そればっかり考えてるから。気合っていう部分では、今の所属選手に絶対負けない、気持ちがあるから。俺が、こんだけの思いで臨んでんだからな。いいか、これから闘う選手たち、夏場を迎えて、代謝も上がって、仕上がってくる棚橋は……手ごわいぞ」

――闘いを通じて上村選手から感じ取ったことは何だった?

▼棚橋「気の強さ。その、俺がプロレス界を引っ張っていくんだという思い。そういうのはひしひし感じてる。ひしひし感じてる。けど、現状で満足しちゃいけないということを。常に、常に上を見て。すごい、上村は今、プロモーションも一生懸命やって、重なる部分があって、もっと世に、もっと世間に、もっといろんな人にプロレスを知ってもらいたい、その想い、しっかり続けていくことで、いろんな方に伝わるから。すぐやって、すぐ伝わるものじゃない。僕は“3年後理論"といってます。3年後、新日本プロレス、ホントに楽しみじゃないですか……」

【上村の話】「……(※しばらくの沈黙ののち)こんな、あっさり負けるとは……。ああ、もう言葉が出ないです。……まだまだ棚橋弘至、あんたに勝つまでは、引退させない。俺があんたを、リング上で超えるまでは、何度だってやってやる。これで終わりじゃない。必ず、チャンスをつかみ取って、俺が勝つまで。もう1回! 棚橋弘至、棚橋さん! もう1回シングル、やってください。……まだまだ俺は、終わっちゃいない」