【新日本】ゲイブが辻との激闘制してGLOBAL王座奪取 棚橋を指名 2025/6/15

『DOMINION 6.15 in OSAKA-JO HALL』大阪城ホール(2025年6月15日)
IWGP GLOBALヘビー級選手権試合 ○ゲイブ・キッドvs辻陽太×

 ゲイブが辻との激闘を制してGLOBAL王座を奪取。IWGPタイトル初戴冠を果たしたゲイブは棚橋を挑戦者に指名した。

 両者は2・11大阪大会でGLOBAL王座を懸けて激突。壮絶な攻防の末に両者KO決着となった。試合後、EVILらが乱入したため、辻もゲイブもHOUSE OF TORTUREとの抗争に突入したが、5・4福岡大会で辻が上村優也を下し、4度目の防衛に成功すると、ゲイブが改めて挑戦表明。4ヵ月ぶりの決着戦が大阪城ホールで行われる運びとなった。

 ゲイブが右手を差し出す形で握手を交わして開始のゴングが鳴った。開始早々、張り手を見舞ったゲイブが高速バックドロップでぶん投げて先制。たまらず場外に転がり下りた辻にトペコンヒーロで突っ込む。負けじと辻もブエロ・デ・アギラで応戦した。

 リングに戻っても辻がジャンピングボディプレスなどで攻勢を続けて主導権を握り、エルボー連打でゲイブをねじ伏せる。ゲイブもトップロープ越しに辻を場外に突き落とすと、リングに戻ったところにラリアットを叩き込む。逆水平連打、ショートレンジラリアット、フライングボディアタックの波状攻撃で流れを変え、串刺しラリアット、エクスプロイダーの連続攻撃に出た。

 辻もコンプリートショット、ジャーマンの連続攻撃で応戦。串刺しジャンピングニーを突き刺し、マーロウクラッシュが不発に終わってもトラースキックをお見舞い。ゲイブも辻をトップロープに乗せると、ダイビングセントーンを投下するものの、当たりは浅く自らも後頭部を痛打してしまった。

 それでもゲイブは高速バックドロップでぶん投げ、「タッテコイ!」と日本語で挑発。「ナメテンノカ、コノヤロー!」と張り手をぶち込む。辻も胸板へのチョップで応戦。フェースバスター、ストンプ攻撃の連続攻撃に出る。場外に転落したゲイブにトペスイシーダで突っ込んだが、すぐさま立ち上がったゲイブはフロントハイキックで反撃。コーナーからのラ・ケブラーダを放ち、ツームストンパイルドライバーで突き刺した。

 勝機とみたゲイブはリングに戻ると垂直落下式ブレーンバスターで追い討ち。ジャイアントスイングでぶん回してから逆エビ固めで絞め上げる。耐えた辻が打撃戦に持ち込み、強烈なチョップを打ち込んでもナックルパンチで徹底抗戦。辻もノーモーション頭突きでやり返したが、ゲイブはコブラツイストで絡みつく。パイルドライバーは辻がデュードバスターで切り返し、逆にパイルドライバーで突き刺した。

 すかさず辻はカーブストンプで追い討ち。マーロウクラッシュをさく裂させたが、ゲイブも3カウントを許さない。ならばと辻はジーンブラスターを狙って突っ込んだが、ゲイブは飛びヒザ蹴りで撃墜。トーキックで蹴り上げると、レッグトラップパイルドライバーで突き刺す。今度は辻がギリギリでキックアウト。ならばとゲイブは剥き出しの右ヒザによるランニングニーを繰り出したが、キャッチした辻はニーアッパー、パワーボムの猛攻に出た。

 負けじとゲイブはジーンブラスター狙いをラリアットで迎撃。張り手を叩き込むと、辻は飛びヒザ蹴りをぶち込んだが、ゲイブはカウンターのラリアットをさく裂。再びランニングニーを狙って突っ込むと、辻はジーンブラスターでねじ伏せる。ゲイブもギリギリで肩を上げ、2発目のジーンブラスターをキャッチするや、AEWで共闘するジョン・モクスリーばりのデスライダーでグサリ。間髪入れずレッグトラップパイルドライバーでダメ押しして3カウントを奪った。

 激闘の末に辻を破ったゲイブがGLOBAL王座を奪取。これがIWGPの名の付くタイトル初戴冠となった。試合後、マイクを手にしたゲイブは日本語で「新日本プロレスの90年代は橋本(真也)と武藤(敬司)。2000年代は棚橋と(中邑)真輔。10年代はオカダ(・カズチカ)、ケニー(・オメガ)。今、20年代は辻陽太、ゲイブ・キット」と言い切り、「辻、また会おうぜ」と投げかけた。

 「今、俺はIWGP GLOBALヘビーウェイトチャンピオンだ!」。そう叫んだゲイブは「ゲイブ!」コールの大合唱に包まれる中、「誰か最初挑戦? 誰か? 誰か? おい! ヒロシ・タナハシ」と初防衛戦の相手を指名した。呼応した棚橋が現れると、ゲイブはロープを広げて迎え入れた。そして近距離でにらみ合うと、「行くぞ、社長。以上だ!」と宣戦布告。棚橋は無言のままゲイブと拳を交わしてタイトルマッチに合意した。

【ゲイブの話】「正直に言う。何が起きたか憶えていたかったけど、あのトップロープからのセントーンで記憶が飛んでしまった。自ら進んでやったにも関わらず、後はおぼろげな記憶しかない。凄え旅路だったよ……(※と言って鼻を啜る)これは母に、そして故郷の友人に捧げる。クレイグ、デイブ、ショーン、ベイ、彼女に……俺を信じてくれた皆に捧げる。俺はプロレスラーかもしれない。俺は最高のプロレスラーかもしれない。実際、俺は最高のプロレスラーだ。でも俺は人間でもある。皆それぞれ、毎日苦しいことがある。今日の観客の中にも、俺よりもクソみたいな経験をしてきた人が必ずいると思う。この2〜3年は人生で一番辛い時期だった。でもリングで言っただろう。リングで言ったように、そんなこと何一つと関係ない。今、重要なことは俺が王者であるということ。この会社を牽引するのは誰かという答えを出しただろう。俺はずっと分かっていた。野毛道場を初めて訪れた日から、LA道場へ行った時から、俺はずっとその存在が俺であることを知っていた。ずっと。これ以上の瞬間はない。これを見てる人にも俺の今の気持ちを経験してほしい。決しておぼろげじゃない。これは純粋な喜びの気持ちだ。純粋な喜び。いろんな苦難もあったけど、いろんな辛い経験をしてきたけど……俺、やったぜ。自分で自分を褒めたいよ。(※目の前に置かれた缶ビールに手を伸ばして)俺にはもうこれは必要ない。酒は辞める。俺には責任があるんだ。自分の責務でもなく、WAR DOGSとしての責務でもない。これは会社を背負うという責務だ。だから俺に必要なのは(※自分の胸を指差し)これと(※頭を指差し)これだけだ。そしてトップロープからのセントーンはもう封印しないとな。馬鹿げたことをした。俺は頂点に立つ男で、新日本プロレスを牽引して行くんだ。(※日本語で)イジョー!」

【辻の話】「(※嘉藤の肩を借りて現れると用意されていたイスに座り)ゲイブ、お前はIWGPを背負うのに相応しい人間だ。お前の手でその背中でIWGPを背負ってみろ。気抜くなよ。IWGPはいつも俺の目の前にある、GLOBALだろうが世界だろうが」