【新日本】新旧社長対決実現…棚橋と藤波が握手 初参戦・LEONAは海野にビンタで悔しさあらわ 2025/6/29

『棚橋弘至プロデュース興行 TANAHASHI JAM〜至(いたる)』愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)(2025年6月29日)
○棚橋弘至&海野翔太&田口隆祐vs藤波辰爾&高橋ヒロム&LEONA×

 棚橋と藤波による新日本新旧社長対決が実現。棚橋が新日本初参戦となったLEONAを下すと、藤波とガッチリと握手を交わした。一方、LEONAは握手を求めた海野にビンタを叩き込んで悔しさをあらわにした。

 自身のプロデュース興行の第1試合に棚橋が登場。「時空を超えた縁(えにし)と継(つなぐ)」と題し、若手時代から深い関わりがあり、2022年12月には一騎打ちで勝利している藤波と6人タッグマッチで対戦した。かつて藤波も新日本プロレスの社長を務めており、新旧社長対決が実現する形となった。

 のっけから棚橋と藤波が対峙。場内は早くも沸き返る。ヘッドロックで競り合うと、棚橋はショルダータックルで先制するが、藤波も強烈なビンタで張り倒した。さらに、海野が相手になると早くもドラゴンスリーパーの体勢に入るが、ここは田口がカットに入る。タッチをもらった田口はドラゴンリングインからジャンピングヒップアタックを放つも、藤波は冷静に避けて自爆を誘った。

 先に見せ場を作ったのは藤波。新日本初参戦となったLEONAが田口を攻め立てると、代わった藤波はドラゴンスクリューを繰り出す。カットに入った棚橋にもドラゴンスクリューを決めてみせた。藤波を意識して、ヒロムもリストクラッチ式のドラゴンスクリューを披露する。

 棚橋はLEONAと火花。気迫全開のLEONAはフェイスクラッシャー、ドロップキックと攻め立てると、父譲りのドラゴンスクリューから足4の字固めに捕獲する。藤波は同時にドラゴンスリーパーに捕らえると、ヒロムもアームロックで加勢し、3人による関節技で棚橋を絞め上げた。

 ここがチャンスと、LEONAはドラゴンスープレックスの体勢に。これを防いだ棚橋はツイスト&シャウトで逆転。スリングブレイドでLEONAの動きを止めると、テキサスクローバーホールドに絡め取る。海野がSTFで藤波を、田口がオーマイ&ガーアンクルでヒロムを分断。一気に棚橋がギブアップを奪った。

 試合後、棚橋と藤波はガッチリと握手を交わす。そして2人で並んで花道を下がった。ダブルヘッダーとなる棚橋がオープニングマッチで快勝。藤波の参戦は「もう一度こうやってね、藤波さんと闘うことができたっていうのは一つの喜びだし、田口、そして海野、そういったところも、そうやって選手にも藤波さんに触れてほしかった」との思いで実現させたもので、「まずはTANA JAM、良いスタートが切れました」と大会への手応えをかみしめた。

 藤波は旗揚げ間もない愛知県体育館大会の第1試合を務めたとあって、「なんだか俺が最初で最後なんて泣けるね。新日本プロレスがシャレたオファーをしてくれたね」と感謝。「今日の元気さ見た? どこが引退なの? もう引退撤回(笑) まだまだ十分闘える」と引退を控える棚橋を評し、「みんな新日本のマットを最終的に目指しているっていうかな。やっぱり上がりたいんですよ。それはLEONAだけじゃないでしょうしね。みんな目指しているし、僕も久しぶりに恋しさと若さを感じましたよ」と充実感を漂わせた。

 一方、LEONAは念願の新日マット初参戦。結果は敗戦に終わり、試合後は握手を求めた海野に張り手を叩き込んで悔しさをあらわに。「この血の中に31年間、ずっと生まれたとき、その瞬間からあったこのセルリアンブルー、新日本マットへの憧れ、渇望。その今日は第一歩だと思っています」と言い切ったLEONAは「棚橋さんと最後にリングで向かい合い、そして海野のあの目線、絶対に忘れない」と前を向いていた。


【棚橋の話】「今日という日を迎えられて、僕は本当に嬉しく思います。いろんな選手が参戦してくれて、いろんな協力を経て、今日に至ってます。で、第1試合で藤波さんに出ていただきました。これは本当に、もう一度こうやってね、藤波さんと闘うことができたっていうのは一つの喜びだし、田口、そして海野、そういったところも、そうやって選手にも藤波さんに触れてほしかった。まずはTANA JAM、良いスタートが切れました」

【海野の話】「二世だとかしがらみはたくさんあるけど、同じ境遇というか、悔しい思いをしてきたっていうのはお互いに一緒なんじゃないですかね。別に藤波さんの真似事でも、パクりでもない、LEONAさんの最後の張り手は強烈だったよ」

※田口はノーコメント


【試合後の藤波】

――今の新日本プロレスの若い選手はどうだった?

▼藤波「元気だね。元気があり余っているね。いやぁ、こっちも隣でしょっぱな足がもつれたよ(笑)」

――最後の愛知県体育館のリングはどうだった?

▼藤波「そうなんだよね。なんかあっという間に何年か経った中、聞くところによると新日本プロレスが1972年に(愛知県体育館での)最初の試合が俺だったって? なんだか俺が最初で最後なんて泣けるね。新日本プロレスがシャレたオファーをしてくれたね」

――この体育館にはいろいろと思い出があると思うが

▼藤波「ありますね。いろんな試合をね、何試合もやってきた。ほとんどここでは俺はいろんな選手とのタイトルマッチが多かったな。ダイナマイト・キッドともやったりとかね」

――当時、封印していたドラゴンスープレックスを解禁したのもここだった

▼藤波「あっ、そう! ここだったんだ。『お前、平田だろ?』(言ったとき)じゃないよね(笑)」

――棚橋選手が来年引退を控えている中で、棚橋選手との師弟対決は今日が最後になってしまうかなとも思うが

▼藤波「今日の元気さ見た? どこが引退なの? 昨日、トークショーやったの、棚橋くんとね。もうそこで叫んじゃった。俺が“ドラゴンストップ"ってね。もう引退撤回(笑) でも、もう(引退)間近です。まだまだ充分闘える」

――LEONA選手にとっては初めての新日本プロレスだったが?

▼藤波「緊張していたね。彼がね、夢にまで見た新日本のマットだからね。まあ自分たちが始めた新日本のリングに『自分も上がりたい』って全レスラーがみんなそうでしょうけどね。そういう中でLEONAには特別な想いがあるって部分では、ちょっと緊張気味かな。もっとのびのびとね、やらせてやりたい気もするけどね。まあ、よく頑張ったんじゃないですか?」

――ウルフ アロン選手が入団した。藤波さんから何かアドバイスがあれば

▼藤波「もちろん俺は柔道の経験はないんだけども、寝技は申し分ないでしょうし、あの分厚い身体でね(プロレスを)覚えたら面白いね。変に小細工抜きで彼の持っている、あのパワーで十分強い気がするけどね。楽しみだね。この前のニュースでは1・4(東京ドームでデビュー)とか聞いたけど、まあ、でも基礎は充分あるから。柔道着は着てやるの?」

――わかりません

▼藤波「そこのへん、もし万が一、コスチュームによってはちょっと勝手が違うだろうけど。でも、やるんじゃないんですか? 目が違うもんね。いろいろなインタビューも受けるようなところに行ったときもね。本当にだから、まずはこのプロレスが、このマットが好きだというのがね、何よりもうれしいのと、彼自身が成長する兆しでしょうね。楽しみです」

――やっぱり藤波さんにとって新日本プロレスのリングは特別?

▼藤波「これはね、僕が今さら言うまでもないんだけど、やっぱりレスラーって何団体あるのかわからないけど、みんな新日本のマットを最終的に目指しているっていうかな。やっぱり上がりたいんですよ。それはLEONAだけじゃないでしょうしね。みんな目指しているし、僕も久しぶりに恋しさと若さを感じましたよ。ありがとうございました」

【ヒロムの話】「いやぁ、久しぶりの日本はいいねぇ。先に言っておこうか、大事なことなんでね。たとえこの先、この俺に何があったとしても、俺が一番欲しいのはIWGPジュニアヘビー級の王座。俺が一番欲しいのは新日本プロレスの匂いがするIWGPジュニアヘビー級王座だ。それだけは忘れないでくれ。いやぁ、それにしてもね、良いニュースがあるじゃない。えっと……ウルフ アロン? ウルフ アロン選手です。まあこの業界では俺のほうが先輩だから“アロンちゃん"でもいいのかな? “ウルフちゃん"でもいいのかな? まあいいでしょう。まだデビューしてないからね、あの金メダリストという非常にリスペクトのあるウルフ アロン選手とお呼びさせていただきます。いやぁ、うれしいですよ。何? 新日本プロレス地上波? いい時間帯なのかな? あの言い方は良い時間帯なのであろうね。これで全国ネット深夜2時から放送ですとかだと萎えるからね。俺はもう大いに期待しているよ。すごくあれは良い時間帯だから、ああいう発表の仕方をしたんじゃないかなと俺は思っております。それに関してはね、俺たちがいくら頑張ったところで難しいわけですよ。でも、ああやってね、ウルフ アロン選手、柔道オリンピック金メダリストですよ。そんな素晴らしい選手が新日本プロレスに入るだけで、こうやって話題になる。話題になるということは良いこと。どんなことであろうとね、俺はそこにピョンと乗っかっちゃうから。乗っかっちゃう選手だから。どんな形だろうと新日本プロレスは……そう俺の夢でもあるゴールデンタイムへと近づくのであれば、何でもオッケーでございます。俺はもうゴールデンタイムでやる気でいるからね。つまり、1・4東京ドームで試合をしないといけない。ふぅーっ、燃えてくるでしょう。今のこの何もない、この無所属の高橋ヒロムちゃんは果たして1・4東京ドームに上がれるのかな? いや、俺にもいろんな考えがある。いろんな攻め方がある。俺は必ず1・4東京ドーム……そう、たぶんゴールデンタイムだろうな。これでね、微妙な時間だったら怒るわ、俺。悪いけど。どんな敵だろうと、どんなお偉いさんだろうとな『おい、ちょっと待てよ!』って言いに行くわ。それぐいらいの覚悟があるから……(※テレビカメラに向かって)すいません、ここはカットでいいんで。テレビ朝日さん、本当にいい時間帯期待してるんで、よろしくお願いします。ここカットで。マジでカットでいいんで。ありがとうございました」

【LEONAの話】「負けて話す言葉はない。そう藤波辰爾に教わってきました。でも今日はひとつだけ。この血の中に31年間、ずっと生まれたとき、その瞬間からあったこのセルリアンブルー、新日本マットへの憧れ、渇望。その今日は第一歩だと思っています。そして棚橋さんと最後にリングで向かい合い、そして海野のあの目線、絶対に忘れない」