8/10【新日本】棚橋3年ぶりG1制覇へ王手 オカダと激闘フルタイムで決勝進出
『戦国炎舞-KIZNA- Presents G1 CLIMAX 28』(2018年8月10日)東京・日本武道館
Aブロック公式戦 △棚橋弘至vsオカダ・カズチカ△
棚橋がオカダの公式戦は激闘の末に決着つかず、時間切れ引き分けに。この結果、棚橋の優勝決定戦進出が決定。3年ぶりのG1制覇に王手をかけた。
6勝2敗のオカダと7勝1敗の棚橋がAブロック最後の公式戦で激突した。セミファイナルでジェイ・ホワイトが敗北したことで、Aブロック突破の可能性を持つのはこの2人だけに。勝ったほうが文句なしで優勝戦進出が決定。引き分けた場合、棚橋が勝ち上がる。
両者は5・4博多で対戦。オカダが棚橋を破り、当時保持していたIWGPヘビー級王座を防衛した。棚橋にとっては雪辱戦となる。勝負の分かれ目になるのは試合時間。2人のシングル戦は8試合連続で30分以上のロングマッチが続いている。G1でも2013年、2016年と2回連続で時間切れ引き分けになっていた。
両者への大歓声が交錯する中、20時38分にゴングが打ち鳴らされる。これまで幾度となく激闘を繰り広げてきただけに、互いに積極的に技を仕掛けるがすべて不発に終わった。棚橋が珍しいトライアングルスコーピオンなどで左ヒザ攻めに出れば、オカダも右ヒザ狙いで呼応。お株を奪うドラゴンスクリューを皮切りに、ニークラッシャーや低空ドロップキックで追撃した。
棚橋も意地のドラゴンスクリューやフェイント式の低空ドロップキックでヒザ攻め再開。オカダにツームストンパイルドライバーを狙われた場面では、ポジションを入れ換え、逆に頭からレインメーカーをマットに突き刺した。
試合をリードした棚橋はさらに動く。上手くエプロンに追い込むと、ドロップキックを一閃。オカダを場外の鉄柵に激突させた。そして、コーナー最上段から場外ハイフライフローアタックを敢行。止まらない棚橋は、オカダがリングアウトギリギリでエプロンに戻ったところで、ドラゴンスクリュー、低空ドロップキック、逆回転ドラゴンスクリューと右ヒザ攻めに切り換えて波状攻撃を浴びせ、テキサスクローバーホールドで勝負に出る。
残り時間はあと10分。棚橋は腰をドッシリと下ろして絞めに絞める。オカダが必死に返そうとすると、それを利用してスタイルズクラッシュをズバリ。猛攻の総仕上げを狙って、ハイフライフローを投下した。
しかし、オカダは間一髪で回避。自爆を誘う。オカダはヒザを気にしながらも、後頭部にドロップキックをお見舞い。一旦は切り返されながらも、カウンターのドロップキックを放ち、レインメーカーの構えに。
ここでも棚橋はアグレッシブに前に出た。カウンターのスリングブレイドで返り討ちにすると、ツイスト&シャウト3連発を敢行。試合時間が残り5分を切ったところで、スリングブレイドを再び決めると、コーナーを駆け上がり、ハイフライフローアタックで飛翔する。
オカダはこれをドロップキックで撃墜。土手っ腹に強烈な一撃をねじ込んだ。オカダは今度こそツームストンパイルドライバーをグサリ。残り時間3分のコールに合わせて、レインメーカーに。2連続で空転するが、ドロップキックで黙らせると、このG1で効果を発揮したローリングレインメーカーをねじ込む。そして、あくまでもレインメーカーで勝利することにこだわった。
だが、棚橋はその後もレインメーカーをことごとく切り返す。首固めで丸め込むと、さらには腕を絡め取ってドラゴンスープレックスをズバリ。残り時間が1分を切ったところで、オカダはまたまたレインメーカーを狙ったが、棚橋はカウンターの張り手で返り討ち。前のめりに倒れたオカダの背中にハイフライフローを投下すると、正調ハイフライフローを浴びせるべく、コーナーに上がろうとしたところで、無常にも時間切れ引き分けのゴングが打ち鳴らされた。
試合はフルタイムドローに終わったが、棚橋の決勝進出が決定。疲労困憊の棚橋だったが、それでもコーナーで拳を突き上げて、歓声に応える。「GO ACE」コールを浴びると、「皆さん、今日は最後まで応援ありがとうございました。まだAブロックを突破しただけです」とあいさつした。何度も噛んで歓声を浴びると、「一言だけ…ちょっくら優勝してきます」と宣言。あえて「愛してま〜す!」の雄叫びも、エアギターもかき鳴らさずに、武道館3連戦初日を締めくくった。
Aブロックの激闘を「G1、17回目の出場だけれど、今までの中で充実感が一番です」と振り返った棚橋は「『棚橋、もう無理しなくていいよ』って言われて、気持ちばっか焦って。でも、そんな体でも俺のために一生懸命動こうとしてくれて。だから、1回この体を受け入れて。できる技で、できる戦略で、今の棚橋弘至で戦えばいいんだと。だから、焦りもないし、使える技は限られるかもしれないけど、自分の想い描く戦いができてる」とその理由を説明した。
意外にも今日の試合が日本武道館での初シングル戦。その手応えに笑顔を覗かせた棚橋だったが、最後は「プロレスにたくさんのファンの方が来てくれて、盛り上がってきて、凄く嬉しい。けど、“ちょっと棚橋ご苦労さんって空気"、止めてくれるかな? 俺の夢はまた続いているから!」と3年ぶりのG1制覇に向けて、決意をあらわにした。
【試合後の棚橋】
※コメントブースに座り込む
――優勝決定戦進出を決めた今の気持ちは?
▼棚橋「G1、17回目の出場だけれど、今までの中で充実感が一番です」
――オカダ選手とはG1で3回目の引き分けとなった。改めてどんな相手だと感じた?
▼棚橋「Aブロックトップで来てたから。一番条件的には有利だったから。これで、5月の『どんたく』と変わってないようだったら、何のために練習して…。でも、今日というか今シリーズは、心と体と技が揃いました」
――今日の試合はオカダ選手が得意とするツームストンパイルドライバーやスタイルズクラッシュなど、あまり見せない技も出た。それについては?
▼棚橋「とにかく必死でした」
――「充実感が一番」と感じた理由はどこにある?
▼棚橋「怪我で苦しんで、年に何回も欠場して。『棚橋、もう無理しなくていいよ』って言われて、気持ちばっか焦って。でも、そんな体でも俺のために一生懸命動こうとしてくれて。だから、1回この体を受け入れて。できる技で、できる戦略で、今の棚橋弘至で戦えばいいんだと。だから、焦りもないし、使える技は限られるかもしれないけど、自分の想い描く戦いができてる。そういう意味での充実感です」
――試合中はもちろん、優勝決定戦進出を決めたあとも、ファンの声援が大きく聞こえたと思うが?
▼棚橋「日本武道館でシングルマッチは初めてなんですよ。どうなるかなと。勝てなかったけど、日本武道館がとても好きになりました」
※自分で立ち上がると
▼棚橋「トライアングルスコーピンを仕掛けようとしたら、自分のヒザを痛めました…笑うところです(笑)」
――明後日はどんな戦いを見せてくれる?
▼棚橋「プロレスにたくさんのファンの方が来てくれて、盛り上がってきて、凄く嬉しい。けど、“ちょっと棚橋ご苦労さんって空気"、止めてくれるかな? 俺の夢はまた続いているから!」
【オカダの話】「(コメントブースに座り込み、しばらく沈黙すると)すいません」