12/29【ハードヒット】佐藤がメイン快勝で2016年締め、全日勢に参戦呼びかけ 青木は平とのエキシビションで新たな刺激 新宿大会
『ニコプロpresentsハードヒット 月になる男達in新宿』が29日、東京・新宿FACEで開催され、主催者の佐藤光留がジョシュア・ロビンソンに快勝。2017年もハードヒットを継続開催していく意向を示し、「俺を出せって奴、どこのチームだっていいから出てくりゃいいんだよ」と全日本勢に参戦を呼びかけた。
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佐藤が主宰するハードヒット。2016年最終興行となったこの日は新宿FACEに進出。ダークマッチ3試合を含む全11試合が行われた。
プロデューサーの佐藤はメインイベントに登場。パンクラス、グラチャンなどで活動する総合格闘家・ロビンソンと対決した。刺青だらけのいかつい風貌のロビンソンに対し、佐藤は掌底をかいくぐってタックルを敢行。ロビンソンががぶっても反転し、フロントネックロックで絡みつく。振りほどかれても、グラウンドに引き込み、バックに回ったロビンソンの左腕をアームロックで固めた。
耐えたロビンソンもバックに回って反撃を狙ったが、佐藤は左足を取ると、ヒザ十字固めで捕獲。ヒールホールドに移行してひねり上げ、あっという間にギブアップを奪った。
2016年ラスト興行のメインで快勝。申し分なしの結果で締めてみせた。「力強ぇ。腕パンパンです」とロビンソンの強さを評した佐藤は、「今年もこれで最後なんで、最悪どうなってもいいと思ってました。でもそれは2016年、いや2015年も、その前も、そしてこれからもです」と戦う姿勢を強調。「僕はプロレスに命かけてます。人生預けてます。だって大好きなんだもん、プロレスが!」と魂の叫びを上げると、「そのプロレスの形が時代とともにいろんな方向に変わってきました。でも変わったのを戻すのもプロレスの力だと思います」と力強く言い切った。
それを表現していく手段の一つがハードヒットという舞台であることは言うまでもない。「2日ばかり休んで、ちょっと横浜ランドクルーズに釣りに行って、気持ちを整えて、もう一度2017年もハードヒット頑張ってやっていこうと思いますので、また見てください」と2017年もハードヒットを開催していく意向を示した佐藤は、バックステージに戻ると、「次は川村中心にして、僕は前半戦で。ダークマッチで服部健太とでもいいです」とのプランを披露。「別に青木さんじゃなくてもいいですよ。俺を出せって奴、どこのチームだっていいから出てくりゃいいんだよ」と全日勢に参戦を呼びかけていた。
全日本の青木篤志はエキシビションマッチに登場。相手はシュートボクシング、リングスなどで活躍した平直行だ。平は佐山サトルが立ち上げたシューティング(現・修斗)の黎明期に在籍し、シュートボクシングでは主力選手として活躍した。2003年に現役を引退後はレフェリーとして活躍。現在はブラジリアン柔術アカデミー「ストライプル」の代表を務めている。
長らくリングを離れていた平だが、ブランクを微塵も感じさせない動きをみせた。シューティング時代の盟友・北原光騎氏がセコンドにつく中、タックルを狙う青木を掌底、ミドルキック、ハイキックとキレのある打撃でけん制。かいくぐった青木がタックルで飛びついても、アームロックで切り返しにかかり、上の体勢から掌底を振り下ろした。
その後も平は青木のタックルをことごとく切り、右の掌底でダウンを奪取。意地の青木がタックルでテイクダウンを奪い、アキレス腱固めで絞め上げても、ヒザ十字で切り返してエスケープに追い込む。さらには左ハイキックをぶち込んで2度目のダウンを奪った。
それでも青木はスピンキックをかいくぐって組みつくと、バックドロップを狙う。平が踏ん張り通すとベアハッグで絞め上げたままテイクダウン。腕関節に持ち込もうとしたが、平がひっくり返して極めさせない。そのまま腕ひしぎ逆十字を仕掛けたところでタイムアップのゴングが鳴らされた。
平のハイキックによって眉間から出血し、赤く腫れ上がった。「いやぁ恐ろしいね。無制限でやったら危なかったね」と振り返った青木は、「やっぱり打撃がうまいね。もともとシュートボクシングやったり、打撃の強い、いい選手だけど、俺は打撃はゼロ。はっきり言って耐久力だけだよね、俺が勝ったのは」と平に敬意を表した。「俺としてはいい経験だし、むしろ俺の方が収穫あったんじゃないかな。自分にとってプラスになるものが山ほどあるから。それができたのが一番」と充実感たっぷりに話したように、青木にとって刺激的な戦いとなったようだった。
帝王・高山善廣は青木の同級生で、第4代ウェルター級キング・オブ・パンクラシストの和田拓也と対決した。レスリング、サンボ、修斗をバックボーンに持つ和田は開始早々、タックルで飛びついて仕掛けた。テイクダウンを阻止した高山がヒザ十字固めを仕掛けても極めさせない。ローキック、ミドルキックを打ち合うと、バックドロップで帝王を投げて沸かせた。
すかさず和田が腕ひしぎ逆十字を仕掛けたが、高山も阻止。逆にフェースロックで絞め上げてファーストエスケープに追い込む。負けじと和田もミドルキックのフェイントからジャンピングミドルキックをさく裂。高山をダウンに追い込む。ならばと高山が強烈なヒザ蹴りでダウンを奪い返しても、引かない和田はスリーパーやフロントネックロックで絡みつく。高山がアキレス腱固めで捕らえても、クロスヒールホールドで絞め返してエスケープに追い込んだ。
だが、ここから高山が猛攻。掌底連打で和田をコーナーに追い込み、ヒザ蹴りでダウンを奪う。カウント9で何とか立ち上がった和田だったが、高山がジャーマンで強引に投げつけて勝負あり。ダウンカウント10が数えられ、帝王が豪快なKO勝利を決めた。
2017年1月1日付で全日本所属となる岩本煌史は元UWFインターナショナル出身で、PRIDEなど総合格闘技で活躍したベテラン・松井大二郎に挑んだ。積極果敢な岩本は序盤から孤高の芸術を仕掛けていったが、阻止した松井がグラウンドに引き込むとヒザ十字固めで絞め上げ、岩本はたまらずロープエスケープ。それでも孤高の芸術を鮮やかに決め、ケサ固めを仕掛けたが、松井は巧みに反転。腕ひしぎ逆十字は岩本が食い止めても、チキンウイングアームロック、ケサ固めで絞め上げた。
すると岩本は腕ひしぎ逆十字固めで切り返してエスケープを奪い返してみせた。が、松井も深入りさせない。飛びつきヒザ十字で絡みつき、岩本がロープに逃れても、コーナーに追い込んでヒザ蹴り、ミドルキックと打撃の雨を降らせる。背負い投げで転がすと、腕ひしぎ逆十字固めで捕獲。たまらず岩本はギブアップ。善戦空しく敗戦に終わった。
【佐藤の話】「もう腕パンパンです。もう絶対やらねぇ。(リング上で来年もハードヒットをやっていくと宣言したが?)言っちゃった。じゃあやります。次は川村中心にして、僕は前半戦で。ダークマッチで服部健太とでもいいです。(具体的に開催時期は?)予定は立ったんですけど、全日本プロレスがいろいろ忙しくなってくるんで合間をみて。別に青木さんじゃなくてもいいですよ。俺を出せって奴、どこのチームだっていいから出てくりゃいいんだよ。全部そう。今日だってそう。俺、出してくれって言ってきて出さなかった奴、今まで何人もいないよ。言ってこいよ、誰でも。ルールさえ守れば何でもいいよ。今日セントーンやった奴(政宗)いたけど、あれでいいんですよ。自由なんだ。何で決められたことを破っちゃいけない前提で…もちろん守らなきゃいけないんだけど、その前提でみんなやるんですかね。何か作ればいいんだよ。自分でやればいいじゃん。それだけの話ですよ。プロレスは型がない。人生、生き方。(ハードヒットを通して今年も佐藤光留のプロレスを表現できた?)よくわかんないですね、表現できたかどうかっていうのは。僕がやることだけがハードヒットじゃないですから。UWFスタイルも始めた時からUWFスタイルじゃなかったから。やっていくうちにああなったんですよ。ハードヒットもそうですよ。急にカタい試合やるのも、それもハードヒット」
【青木の話】「いやぁ恐ろしいね。無制限でやったら危なかったね。(強烈なハイキックでダウンも奪われたが?)やっぱり打撃がうまいね。もともとシュートボクシングやったり、打撃の強い、いい選手だけど、俺は打撃はゼロ。はっきり言って耐久力だけだよね、俺が勝ったのは。そういう意味でうまいし、いい経験になりましたね。(寝技で決めたかった?)そうだね。本当は持ち上げて投げたかったんだけどね。向こうも投げさせてくれなかったのがあるし。俺としてはいい経験だし、むしろ俺の方が収穫あったんじゃないかなって。(2016年の最後に刺激的な戦いができたのでは?)大みそ日もあるけど、それとは違うものだからね。自分にとってプラスになるものが山ほどあるから。それができたのが一番かな。出てきてくれた平さんに感謝したいし、受けてくれたのも凄くうれしいし。セコンドに北原さんがいらっしゃったからね。シューティングのその時代の人だから、ちょっと俺もあっと思ったしね。そういうのも含めて自分にとっていいエキシビションだったし、これがハードヒットのためになれば一番いいし、いい経験させてもらいました。悔しいけどね。(ハードヒットのリングでまたこういう刺劇的な戦いをやりたい?)やりたいね。でも、やりたいねと言うとプロデューサーがまためちゃくちゃやるから(苦笑)」