【新日本】棚橋が引退会見 1・4ドームでのEVIL討伐宣言、中邑、柴田との対戦実現、IWGP世界ヘビー初戴冠に前向き 2024/10/23

 棚橋弘至が23日、東京・中野坂上の新日本事務所で引退会見。2026年1月4日の引退までに所属全選手とシングルマッチで対戦する意向を示し、来年1・4東京ドーム大会でのEVIL討伐を宣言。引退ロードへ向けて中邑真輔、柴田勝頼との対戦実現、IWGP世界ヘビー級王座初戴冠にも前向きな姿勢を見せた。

 棚橋は10・14両国大会で2026年1月4日引退を発表。1999年10月のデビューから26年3ヵ月でプロレスラー人生に終止符を打つ。両国大会から9日が経過したこの日、「(両国大会の)リング上とバックステージコメントでは十分な説明ができませんでした」とし、会見に臨んだ。

 「ここ数年、ヒザの状態だったり、腹筋がなかなか割れないというか、良いコンディションに戻せませんでした。何とかもう一度トップへという思いがありましたが、社長就任のタイミングで自分自身に期限を決めて、最後の力を振り絞ってみようと思いました」と引退を決断した理由を話した棚橋は「これから1年2ヵ月の間、日本中できるだけ多くの場所でたくさんの皆様の前で試合をしたい」と可能な限り試合に出場するつもり。年内は今月24日に開幕する『SUPER Jr.TAG LEAGUE 2024』には出場しないものの、それ以外の大会に参戦する予定となっている。

 引退ロードが始まる棚橋には「今どうしても倒さないといけない相手」がいる。怨敵・EVILだ。「今年、特に前半なんかはやはり乱入、介入、反則決着とかで、なかなかファンの方に喜んでいただける試合ができなかったので、まずEVILをどっか大きい会場で。2025年の東京ドームでもいいかもしれないですけど、まずEVILを倒します」と来年1・4ドーム大会での対戦を見据えた。

 すると会見終了後にEVILが乱入。「てめえの死に場所はよ、俺の手のひらの中なんだよ。おめえに意見なんかねえんだよ。何でかわかるか? この会社はよ、俺の会社なんだよ」と言い放った。さらに「いいか、てめえの死に場所はよ、2025年1月4日、東京ドーム。そこですべては終わりだ。お前がよ、思い描いた思い出作りなんかよ、すべてぶち壊してやるからな。分かったか、よく覚えとけ」と通告された棚橋は「1月4日でEVILをぶっ倒して、2025年最高のスタートを切ります」と宣言。EVIL討伐で引退ロードへ向けて勢いを加速させる構えをみせた。

 2025年の出場予定はこれから調整することになるが、棚橋は「所属選手、全員とシングルマッチできたらなと。デビューしたてのヤングライオンから先輩レスラーまで、何か残せるものがあるんじゃないかなと考えてます」との意向を示した。となればシングル王者との対戦も実現することになり、「IWGP世界ヘビーは僕一回挑戦して負けてしまって、まだ巻いてないので、引退試合までにIWGP世界ヘビーにたどり着く」と至宝ベルト獲りに色気たっぷり。「引退試合がIWGP世界ヘビーで勝ってしまったら、どうしようっていう思いはあるんですけど。そしたら現役続行って言うかもしれないし。そういうのが勝手に思い描いてる理想の引退」とIWGP世界ヘビー初戴冠による有終の美を描いた。

 DRAGONGATE12・17後楽園大会では同じ岐阜出身でもあるこのまま市川の引退試合の相手を務める。引退前にさらなる他団体勢との対戦も期待されるところで、棚橋自身も「本当にプロレス界のお役に立てるなら、ファンの方が喜ぶならどんどんやってみたい」と積極的。中でもかつて新闘魂三銃士と称されたライバルの中邑、柴田との再会対決も期待されるところで、「同じ時代を本当に生きてきたライバルなんで、いろんな問題をクリアできれば」と前向きな姿勢を見せた。

 「自分自身が納得して、そして誇れる姿で終わりたい」と最後まで輝きを放ってリングを降りるつもりの棚橋。約1年3ヵ月の引退ロードが間もなく始まる。

【会見の模様】

▼棚橋「新日本プロレス、100年に一人の逸材、そして代表取締役社長・棚橋弘至です。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、配信をご覧いただき、ありがとうございます。10月14日、両国のリングで2026年1月4日を棚橋のゴールに決めたと発表いたしました。様々な反響がありましたが、リング上とバックステージコメントでは十分な説明ができませんでしたので、本日あらためて会見を開かせていただきました。まずゴールを決意するに至った経緯についてご説明します。ここ数年、ヒザの状態だったり、腹筋がなかなか割れないというか、良いコンディションに戻せませんでした。何とかもう一度トップへという思いがありましたが、社長就任のタイミングで自分自身に期限を決めて、最後の力を振り絞ってみようと思いました。引退を発表してから毎日がさらに早く過ぎていくように感じます。自分自身が納得して、そして誇れる姿で終わりたいので、現在、集中力が増している感覚はあります。デビューから25年、引退を発表して振り返りますと、一番に思い出すのはチャンピオンとして防衛して、エアギターをして、『愛してます』を言って、コーナーに上がって見渡すファンの皆様の表情というか、お顔というか。本当に一人ひとりの喜んでくださっている顔が見えて、本当にプロレスラー冥利に尽きる光景でした。その光景が何度も僕を甦らせてくれたんだと思います。このレスラー生活は本当に毎日、何かしら感情が振り切れます。いいことも悪いことも、うれしいことも、悲しいことも、悔しいことも、情けないことも、本当に全感情がフル稼働してました。なかなかできない経験だったと思います。今後の試合についてですが、これから1年2ヵ月の間、日本中できるだけ多くの場所でたくさんの皆様の前で試合をしたいと考えてます。まだ僕の中のアイデアなんですけども、今年のシリーズについてはジュニアタッグのシリーズ以外のシリーズは出ますね。そして1月の東京ドームにも参戦します。そのあとについては、これから相談して決めていきますが、所属選手全員とシングルマッチできたらなと。デビューしたてのヤングライオンから先輩レスラーまで、何か残せるものがあるんじゃないかなと考えてます。来年ですね。2025年の試合の参戦スケジュールについてはこれからご相談して決めていきますが、最後まで全力で戦っていきますので、皆さん、見届けてください。よろしくお願いします」

――最後の引退試合で戦いたい相手、それまでに戦いたい相手はいる?

▼棚橋「そうですね。もちろん自分が戦いたい相手もいますし、ファンの皆様が最後にこの選手と戦ってほしいという対戦ができたらと思ってます。でもね、今どうしても倒さないといけない相手がいて、EVIL。今年、特に前半なんかはやはり乱入、介入、反則決着とかで、なかなかファンの方に喜んでいただける試合ができなかったので、まずEVILをどっか大きい会場で。2025年の東京ドームでもいいかもしれないですけど、まずEVILを倒します」

――NEVER6人タッグ王座の今後については?

▼棚橋「矢野とボルチンとも話し合いますけども、ずっと勝ち続ければ引退までチャンピオンということで、同時進行でやっていきます」

――他団体の選手とやりたい気持ちはある?

▼棚橋「多くの選手がSNSで『最後に一回どうだ?』みたいな対戦要求も来てますし、今年は年末にDRAGONGATEさんで(このまま)市川選手と戦いますので。本当にプロレス界のお役に立てるなら、ファンの方が喜ぶならどんどんやってみたいと思います」

――中邑、柴田との対戦を期待されるが?

▼棚橋「そうですね。同じ時代を本当に生きてきたライバルなんで、いろんな問題をクリアできればということですかね。はい」

――引退後、社長に専念する姿は想像できる?

▼棚橋「この社長兼レスラーという期間は本当に大学を卒業して、社会人を経験しないままプロレスラーになってっていう準備期間だと思って、本当に日々勉強することばかりです。引退する頃には一人前の社長になっていると思います」

――今現在の新日本を見て、引退しても団体は大丈夫という確信はある?

▼棚橋「はい、あります。十分すぎるぐらいの人材がそろってますので、社長として過去最高の新日本プロレスを目指せると思います」

――今回の発表を受けてご家族、ご両親の反応は?

▼棚橋「両親からは岐阜弁で『あんた、小さい体でよう頑張ったね』と言われました(笑) 僕よりゴールデンタイムを見てた世代の方っていうのは大型の外国人選手とか猪木さんとか、190とかそういう選手がいる世界で。180ぐらいの僕が心配だったんじゃないですかね。でも心配だったんですけども、最後の方はご近所さんとか、いろんな仲間に『弘至君よう頑張っとるね』と言われて喜んでいただいたみたいで。プロレスラーになって、ちょっとは親孝行できたかなと思いますね」

――昨年は武藤が引退し、先輩たちの引退を多く見てきたと思うが、自分がその境地に入った思うところは?

▼棚橋「新日本入門して以来、多くの選手の引退試合というのを見てきましたし、引退のテンカウントゴングもリングサイドに整列してきましたが、そのたびにその選手との戦いとか、道場とかの思い出が甦って、僕は毎回泣いてたんですけども、こと自分のことに関しては本当にそんなに湿っぽくならないですね。最後、笑顔でいれたらいいなと思います」

――東京ドームは特別な会場だと思うが、東京ドームを超満員にするのを目標に頑張ってきて、2026年1月4日、東京ドームでどういう光景を想定している?

▼棚橋「一人でも多くの方に最後の戦う姿を見ていただきたいなと思いますね。僕自身もね、猪木さんの引退試合を学生時代に東京ドームまで観に行って、花道沿いの席で見てましたので。はい、そんな感じです」

――所属全員とシングルということはシングル王者との対戦もあると思うが、引退までにシングルベルトを狙いたい気持ちはある?

▼棚橋「僕はどうしたら引退するって気持ちになるのかなと思ったんですね。やっぱりレスラーとしては一番を目指さなくなった時が引退を決意するタイミングかなと思ってまして。なのでIWGP世界ヘビーは僕一回挑戦して負けてしまって、まだ巻いてないので、引退試合までにIWGP世界ヘビーにたどり着く。引退試合がIWGP世界ヘビーで勝ってしまったら、どうしようっていう思いはあるんですけど。そしたら現役続行って言うかもしれないし(笑) そういうのが勝手に思い描いてる理想の引退ですかね」

――藤波、藤原ら先輩たちのように衰えを受け入れながら現役を続ける選択肢はなかった?

▼棚橋「はい。プロレスラーっていうのはやっぱり20代、30代を境に体力が落ちてくるんですけども、その分、技術力は上がってくるんですね。なので体力の衰えを技術、テクニック、インサイドワークとかでカバーできるっていうのはもちろんあるんですけど、先ほども言いましたけど、僕は一番を目指さなくなった時が引退のタイミングだっていうのはずっと思ってましたので、そこに迷いはないです」

※写真撮影を前にEVILが現れる

▼EVIL「おい、棚橋コラ。何てめえ勝手に偉そうな口きいてんだ? てめえみてえなよ、クソ弱え引退に追い込まれたレスラーがこんな会見開いて、何偉そうなこと抜かしてんだって聞いてんだ、このヤロー! いいか、両国でも言ってやっただろ? てめえの死に場所はよ、俺の手のひらの中なんだよ。おめえに意見なんかねえんだよ。何でかわかるか? この会社はよ、俺の会社なんだよ、このヤロー。いいか、おい。てめえの死に場所はよ、2025年1月4日、東京ドーム。そこですべては終わりだ。お前がよ、思い描いた思い出作りなんてよ、すべてぶち壊してやるからな。分かったか、よく覚えとけ」

※EVILが去ると

▼棚橋「1月4日でEVILをぶっ倒して、2025年最高のスタートを切ります。それで引退ロードに勢いつけて、コンディションも上がっていって。まあ、見ててくださいよ。僕の調子のバロメーターは腹筋が割れてるかどうかなんで、まずはバキバキの腹筋でEVILを威嚇したいと思います」

――残り2ヵ月だが大丈夫?

▼棚橋「大丈夫です。今ずっと(腹筋に)力入れてますんで。もう始まってます。アイソレーションは始まってます」