【新日本】“無所属”で「覚悟のスーパージュニア」へ、「ユニット体験入門」も視野に 高橋ヒロム インタビュー 2025/5/9

 『BEST OF THE SUPER Jr.』において3連覇、4度の最多優勝と二つの記録を樹立している高橋ヒロム。1年半も遠ざかっているIWGPジュニアヘビー級王座戴冠を見据え、不退転の覚悟でジュニアの祭典に臨む。そして開幕を前に“無所属"の立場となったことで、「最近、ちょっと視線を感じる」というヒロムは各ユニットから勧誘の手が伸びていると判断。「ユニット体験入門」も視野に入れつつ、自身の価値をさらに高めるためにも記録更新となるV5を成し遂げるつもりでいる。スーパージュニア開幕目前の心境を聞いた。

【高橋ヒロム インタビュー】

――IWGPタッグを獲ったり、石井選手にシングルを要求したりと、対ヘビー級が続いてきた中で迎えるスーパージュニア。開幕が目前に迫った今の心境はいかがですか?

▼ヒロム「まずは新日本プロレス、元ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン、現在、無所属の高橋ヒロムです。よろしくお願いします。そのうえで、こうやって取材とかをいただいて、今やっとスイッチが入ったって感じですね。SNSとかでメンバー発表とかっていうのが流れてきたりしましたけど、今回は無視しようと思って。直前までスーパージュニア・モードのスイッチ切ってやろうと思って。だから俺はあえて何も反応してなかったんです。で、やっとこういうスーパージュニアの取材とかをいただいた時にスイッチを切り替えようと思って。なので今、スイッチが入りました。今スーパージュニア・モードになりました」

――ジュニアが主役のシリーズであるスーパージュニアはヒロム選手にも思い入れの強い大会だと思います。どんな戦いを見せていきたいですか?

▼ヒロム「スーパージュニアとは何なのかと言われると、自分でも未だに答えみたいなものが…スーパージュニアとは?って結構、聞かれることがあるんですけど、それに対する答えを用意してなくて。その時その時に感じるものがあったりするんですけど、今年は対新世代っていうのが自分の中では結構大きなテーマなのかなと。ブロック分けを見た中でも新世代…っていうかキャリアでいったら俺はかなり上なんじゃないかなと。上から数えた方が早いんじゃないかなという感じで。何より新日本プロレス自体が『新世代』を、あまりにも新世代、新世代と言いすぎている。この感じが自分の中では『いや、分かるけど』っていう。俺たちの中途半端世代…ベテランともいえるけど、中堅っていうのがいいんでしょうね。新日本プロレスを盛り上げてきましたあ、の中堅世代がいるんだけど、2009年に新日本プロレスに入って、(事業が)上がってきた2016年ぐらいに帰ってきて押し上げることをやってきた世代の人間もいる中、もう新世代の話をしてくるのかと。それって俺がプロレスファンだった頃も、全レスラーがたぶん感じてきたことなんだろうなと。新世代、新しい世代がやってくる。でも、それは当たり前であって、凄くいいことなんだなと、ここ1日、2日で気づきました。それまでは何でこれだけ新世代、新世代ってずっと言われなきゃいけないんだと。新世代に任せろ? 新世代が引っ張っていく? わかるけど…って思ってたんですけど、それって今まで歴代の選手全員が新世代だったりっていう波があったんだなと。自分ももちろん元々は新世代の一人だったわけで、これをどう迎え撃つかっていうのが自分の中で今回のスーパージュニアなんだなって思ってます」

――世代闘争はプロレス界の常で、ヒロム選手が受けて立つ上の立場になったと言えますね。

▼ヒロム「そうですね。自分が凱旋してすぐIWGPジュニアを獲って、次の年ですかね。スーパージュニアで優勝したりしたので、俺はずっと凱旋してからトップを張ってた自覚がありますよ。だからこそ、俺がずっとトップでいるのはダメなんだ、でも俺がトップじゃなきゃダメなんだ。そういう気持ちになりつつ、下からの追い上げだったりっていうのは『あ、俺ってまだこんなに悔しがれるんだ』みたいな、凄く新鮮な気持ちでスーパージュニアに出られるなってワクワクがありますね」

――ヒロム選手がまだ気持ち的に引いていないという裏返しになりますね。

▼ヒロム「引いてないんですよ。俺ってもう、一歩引いてんのかなって思うこともあったんですけど、悔しいって気持ちがあるということは、やっぱり俺は性格上、常に目立ってないと気が済まない人間なんだなと。新しいことだったり、人がやらないことをやってきた自信があるので、今回のスーパージュニアは逆に新しい新鮮な気持ちでできるなと。中間世代としてできるなと。俺よりもベテランの人もいるわけで、その人たちはもっと違うことを考えてる、もういいなと思ってる選手もいるかもしれない。その中で俺はまだまだこれだけ欲を出せるんだって」

――目立つという意味で3連覇、4度の最多優勝を成し遂げているのはヒロム選手だけですね。

▼ヒロム「さらに遠ざけさせるつもりですよ。5度目の優勝でね。『もうヒロムは出なくてよくない?』って会社がそのような判断をするぐらい出たいなと思いますね。殿堂入りしちゃうぐらいの感じまでいきたいですね」

――今回、最多優勝記録を更新した先に何が開けると思いますか?

▼ヒロム「自分の中でやりたいなと思ってることは結構あるんですね。それにはやっぱりIWGPジュニアのベルトっていうのが必要だなと凄く思いますね。2年近くIWGPジュニア戦線から離れてるんですけど、そこで思ったのが、やっぱりどこに行っても、プライベートでも『あれ? チャンピオンじゃないんですか?』『チャンピオンだと思ってました』みたいなことを言ってくださる人がいて。俺ってチャンピオンのイメージなんだな、俺ってベルトを持ってないといけない人間なんだなって、いろんなとこに行く度時に思いましたね。やっぱり俺にはベルトが必要だなと思ったので、間違いなく優勝したらベルトを獲りにいきます。こういうトーナメントとかリーグ戦って、よくベルトの挑戦者決定戦みたいな感じのことを言う人いるじゃないですか。ナンセンスなんですよね。要は。そんなの当たり前で、リーグ戦に優勝して、次、何に行くっていったら、持ってないベルトっていうのは当たり前のことで。スーパージュニア5度目の優勝をして、そして正々堂々と真ん中からIWGPジュニアに挑戦したいですね。だから自分の中でもこれだけジュニア戦線から離れていたので、もし今回、優勝できないのであれば、挑戦にふさわしい結果が出るまでは、逆に遠ざかってもいいのかな、ぐらいの覚悟はありますね」

――ジュニアと距離を置くということですか?

▼ヒロム「ジュニアとは距離を置かないですけど、ベルトへの距離っていうのは慎重になった方がいいのかなと。次、挑戦する時は一発で獲らないといけないと思ってるので、優勝してジュニアのベルトを獲ると。もしものことがあった場合は、そんな簡単に挑戦したくない気持ちがあるので。もう今1年半、2年弱遠ざかってますけど、さらに距離を置かなきゃいけなくなるなというのがありますね。だから自分の中では結構、覚悟のスーパージュニアですね」

――王者がデスペラード選手であることはモチベーションに繋がりますか?

▼ヒロム「誰がっていうのは特にはないですね。ただ、今って98代じゃないですか。次99代なので、これ100代もいいな、とかいう、しょうもないことを考えてしまうぐらい余裕があるのが中間世代なのかなと。俺はすべてを、IWGPジュニアもスーパージュニアも堪能してきたからこそ、この余裕なのかなと。別に余裕があるわけじゃないんですけどね。100代って気になりますよね。ただ、99代は99代で逆にいいんじゃないかなと」

――99代王者になって、返上して100代王者になる手もありますね。

▼ヒロム「そういう手もあるのか。なかなかのヤツですね。99代、自分で返上して100代を目指す。それはなかなかのプランですね。返上して、また獲ればいいんですもんね。勝ちゃあいいって話ですよね。それもありかもしれないですね。検討します(笑)」

――スーパージュニアに話を戻しますが、同じAブロックで気になる選手、楽しみな選手は誰でしょうか?

▼ヒロム「ダントツで藤田(晃生)ですね。今の藤田を味わってみたいなと。これだけ勢いのある、まだ22、3ですよね。思いきり戦ってみたいなというのがありますね。(5・14)後楽園ホールのメインですよね。俺、今回、結構、意外とメインイベントが多いのかな。これはみんな俺のこと好きなんだなって思っちゃいましたね」

――ヒロム選手への信頼だと思います。

▼ヒロム「そうなっちゃいますかね。好きなんでしょうね、たぶん」

――地元凱旋となる5・18八王子大会はクラーク・コナーズ戦がメインですね。

▼ヒロム「ヒロムマニアが内部にいるんでしょうけど、毎回、八王子で悪いヤツ当ててくるんですよね。何で今回、クラーク・コナーズなんだと。よっぽどヒロムのことが好きな人が中にいるんだろうなと、前向きに見てますけどね」

――愛されたいタイプなんですね?

▼ヒロム「俺、今、無所属なんですよね。一人なんでね。好かれたいですね。最近、ちょっと視線を感じるんですよ。5月4日以降、見られてる気がして。ユニットのオファーとか結構くるんじゃないかなって思ってるんですね。無所属ですし、いろいろ試したい気持ちもあるんで、俺はいろんなユニット体験入門じゃないですけど、それも逆にありかなと。高橋ヒロムだからこそ楽しめるかなと。視線を感じるんですよね。みんな言いたいけど、言えないみたいな。言ってくれてもいいんですけどね」

――求められて声かけられた方がうれしいですよね?

▼ヒロム「そうなんですよ。だから俺は声かけられ待ちではあるんですけどね。行ってあげてもいいよっていう。好きなんでしょ? みんな俺のこと」

――ヒロム選手が各ユニットに対して、より魅力的に映るためにもスーパージュニア優勝という意味も大きくなりそうですね?

▼ヒロム「それはでかいですね。でかいですし、チャンスだよと。これだけの人材が今、無所属だよと。(スーパージュニアの公式資料を見ながら)無所属というユニットなんじゃないかってぐらいの書かれ方ですよね。新日本プロレスでいいんじゃないかなと思うんですけどね。これ逆に無所属というユニットの可能性が出てきたんじゃないかなと。今までロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの高橋ヒロムでしたけど、無所属の高橋ヒロムって、新日本プロレスにも所属してないんじゃないか、フリーの人間なんじゃないかみたいに思われそうで怖いですけどね。『新日本プロレス、無所属の高橋ヒロムです』って言うのも、それはそれで違和感ありますしね。まあ、オファーは待ってます」

――ベルト戦線、ユニットと、ヒロム選手の今後を左右するスーパージュニアになりそうですね?

▼ヒロム「そうですね。このスーパージュニアは自分にとって一戦一戦が、公式戦以外のタッグマッチも含めて結構いろいろと考える時間、考えさせられる時間なのかなと。そして他の選手にとっても高橋ヒロムを獲得するチャンスなのかなと思いますよ」