昨年覇者エル・デスペラードラードは史上3人目の連覇、12年ぶり史上5人目となるIWGPジュニアヘビー級王者の優勝がかかる。だが、デスペラードにとって最大のモチベーションは記録ではなく葛西純の存在。6・24後楽園大会での一騎打ちが決まり、「ベルトと優勝旗を持って葛西純の前に立ちたい」との強い思いでジュニアの祭典に臨む。『BEST OF THE SUPER Jr.32』開幕を目前にした思いを王者に聞いた。
▼デスペラード「うーん、立ち位置だけで言えば、そうなるのかもしれないですけど、あまり興味ないかな。だって高橋ヒロムが3連覇に4度の優勝じゃないですか。これって、おいそれと抜かれることってないと思うんですよね。で、今、高橋ヒロムってジュニアで何してるかっつうと、一生懸命頑張って石井さんとシングルやろうとしたりとか、内藤さんとヘビーのタッグ獲ったりとか、ジュニアにこだわらないけど、ジュニアにこだわってる。そういう分野もあるから。別にジュニアの中でお山の大将決めるつもりはないけど、ジュニアにプライドを持ったまんまヘビーともちゃんと戦えるっていうのも凄く大事なことなんじゃないかなと。先日、Aoi選手と(タカタイチマニア5・7後楽園大会で)戦ってみて、まあ軽いんですよ。ビックリしたのがマフラーホールドとか普段通りに取ってたり、最初のチェーンレスリングでリストロック…リストロックって(相手の)手のひらを開かないと手首が絞まらないから、手のひらを開いてキュっとひねったら、どこまでも回るんですよ。ええ?ってなって。単純に女の子だからとか、筋量とか、いろんなものがあると思うんですけど、大きいと小さいって、これぐらい違うんで、戦い方もそりゃ変わるわと。マフラーホールド絞ったら柔らかくて取りすぎて足が抜けた瞬間、嘘でしょってかけてる側が焦りましたよ。感覚が違うんですよ。もっとエグくやんないといけないとか、戸惑う瞬間が出てくるんですね。だから凄くヒントをもらいましたよね。彼女みたいに僕とやることを夢だとまで言ってくれた子と戦っていた時に、葛西純と初めてシングルやらせてもらった時に、結果アゴ折れて、それが縁になってこんにちがあるんですけど。自分がやりたい、なりたいと思ってたものにかける、大事な柱っていうものを思い出させてもらって。自分の中の考えの整理というか。その気持ちを忘れた気はなかったけど、当たり前と思ってたな、俺は、と思っちゃったんで、凄くいい経験だった。BEST OF THE SUPER Jr.に向けて優勝目指してますし、優勝した時にベルト持って2連覇だったらトップなんじゃないかって言ってもらえても、そこが僕の夢じゃないから。なったらなったで次の目標も出てくるんですよね。僕は石井智宏に『シングルで勝つまでなんべんもやってくださいね』って言って。STRONG STYLEがなくなって石井さんと合流した時に『お前、俺に言ったこと忘れてねえよな? お前、俺に勝つまでなんべんでもやるんだろ?』って石井さんから言われたんですよ。僕はそれを忘れてませんから。でも石井さんとシングルできることが当たり前じゃないと今はちゃんと思ってますから。だから僕はもっともっとやりたいことがこのリングにあるんで。優勝してもまだやりたいこと、やんなきゃいけないことはいっぱいありますよって感じですかね」
昨年覇者エル・デスペラードラードは史上3人目の連覇、12年ぶり史上5人目となるIWGPジュニアヘビー級王者の優勝がかかる。だが、デスペラードにとって最大のモチベーションは記録ではなく葛西純の存在。6・24後楽園大会での一騎打ちが決まり、「ベルトと優勝旗を持って葛西純の前に立ちたい」との強い思いでジュニアの祭典に臨む。『BEST OF THE SUPER Jr.32』開幕を目前にした思いを王者に聞いた。
【エル・デスペラード インタビュー】
――デスペラード選手にとってスーパージュニアという大会自体にどんな思いがありますか?
▼デスペラード「まず出れることがありがたい。僕は出れない時間が長かったし、優勝するって言って優勝するまでも時間がかかってる。一筋縄じゃいかないし、強い、巧いだけじゃ優勝できないし。ジュニアだから思い入れが強いというのも加味してだと思うんですけど、僕はG1より面白いと思う。これはやっぱり業界のジュニア全体で対ヘビーが意識の中にある、なしっていうのもそれぞれだと思うんですけど、心のどこかに刺さってると思う。佐藤光留さんの凄く好きな言葉で『インディーはメジャーを許さない』というのがあって。これ凄くいいなと思って。何かに似てるなって思った時に『ジュニアはヘビーを許さない』というのがあって。そういう意味で俺はスーパージュニアはG1の上位互換だと勝手に思っていて。それぐらい大事ですね」
――どうしても試合順だったりでジュニアよりヘビーが上という位置になりますね。
▼デスペラード「少しスーパージュニアの話と離れるけど、僕はその団体が持ってるベルト、新日本でいえばIWGP世界ヘビー級じゃないですか。それがどんな理由があっても僕はメインを外れるべきじゃないと思うんですね。挑戦者がどうだとか、チャンピオンがどうだとか、他の試合に対する思い入れがどうだとか…そういえば昔、インターコンチがあった時、インターコンチがどうだとか、ありましたけど、そんなこと言ってたらIWGP世界ヘビーというものが思い入れより下なんだってなるじゃないですか。そういう意味でIWGP世界ヘビーというものは新日本のトップ・オブ・トップであっていいとは思ってる。ジュニアのタイトルマッチがセミになって、メインにIWGP世界ヘビー。俺はそこに会社的な意味合いでは何の問題も持ってない。ただし、試合内容で負ける気はさらさらない。っていうプライドだけですね」
――今年のスーパージュニアはIWGPジュニア王者、そして昨年覇者として連覇もかかる立場で出場します。それを踏まえてどんな思いで臨みますか?
▼デスペラード「以前、ベルトを持って出させてもらった時に言ってた『全試合が防衛戦のつもりで』っていうのもあるし、もちろんジュニアの挑戦者決定戦ってわけじゃないし、IWGPジュニアチャンピオンでも一参加者でしかない。数はみんな平らねって大会だから、非常に挑みがいというか。僕は誰かがかかってくるのを待ってるっていうよりは、好きなように動きたい人間だから、こういう大会は好きなんですよね。持ってる以上、タイトルっていう意識がなくなることはないんですけど。それも含めていろんな意味で楽しみですね」
――連覇を果たせば史上3人目で、IWGPジュニア王者の優勝は2013年のプリンス・デヴィット以来、12年ぶり史上5人目となります。
▼デスペラード「そっかあ。デヴィットさん以来か」
――今の新日ジュニアのメンバーではまだ誰も成し遂げていないということになりますが、記録は意識しますか?
▼デスペラード「全然興味ない。記録が欲しいからというのはまったくなくて、そういうリーグ戦で優勝したいというのは参加者全員が思ってることですから。そこを意識しないというのは無理だけど、お客さんが好きに見てくれていいと思う。ベルト持ったまま優勝できたら気持ちよかろうなあとは思いますけどね。実際、僕がやりたいこと…ビデオメッセージで葛西(純)さんと6月24日にやるってことも発表してるんですよ。そこに繋げて、優勝してタイトル持ったまんま、そこに出てタイトルマッチをやりたいっていう気持ちはあるんですよね。僕に全部、役を乗っけたうえで葛西純の前に立ちたいという思いがある。僕個人の名誉みたいなもんのために、その役を乗せたいというのはあんまないですかね。今やってるシリーズだから、そのシリーズに優勝したい、勝ちにいきたいはあるけど。引退する時に自分が優勝した時のトロフィー、写真を並べてボーっとしたりとか、僕そういう趣味一切ないんで。マジで家にプロレス関連が一切ない。自分の記録にまったく興味がないんで。人からいただいたものだけですね、あるのは。竹田誠志さんからいただいた入場のマスクとか、メキシコ人からいただいたマスクとか、葛西さんからいただいたものだったりとか、(ビオレント・)ジャックからもらったものとか。思い出作りでプロレスやってるわけじゃないんで。ずっと前に前に進んでいきてえなあって。そこで手に入れたものは凄く大事だけど、それは僕を見てくれてる人が凄く大事に持ってくれてれば、それでいいんですよ」
――リーグ戦のように平等な立場で戦うのが好きと言われましたが、今年のスーパージュニアで大きなモチベーションになるのはどんなものがありますか?
▼デスペラード「さっき言ったことと重複しちゃうのが、葛西さんの前にベルトと優勝旗を持って現れたいということはあるんですけど、単純にやっぱり、とにかくシングルマッチがたくさんできることが楽しみなんですよね。去年、出なかった田口(隆祐)、YOHっていうのが二人ともBブロックってのが驚いたし、これなんか宮城で固まりすぎ。絶対、意図されたブロックじゃないですか。田口さんの地元(5・11)岩沼で石森(太二)さんとやるっていう。胸焼けするほどの宮城。MAOとYOHは(5・18)八王子か。YOHのことはすげえ気になってるんですよね。特殊な人間で、僕のことをずーっとイライライライラさせるタイプの人間って今まであんまいなかったんですけど、こいつは本当に対角にいても横にいてもイライラするんで。ワトとはまた違ったイライラ。あいつはわかってやってますからね。ワトの怖いところは悪気がなくて無邪気。怒るに怒れないけど、しびれを切らして怒ることになる。YOHは悪い。わかってやってるから」
――YOH選手との公式戦は5・22大阪大会で組まれていますね。
▼デスペラード「まあ、どうなることやら。あんまり考えてもイライラさせられそうだから、自然体でいきますよ」
――他にBブロックで対戦が楽しみな選手はいますか?
▼デスペラード「ハッキリ言ってBブロックは、これ俺のために組まれたのかってぐらい全員が全員、楽しみな人ばっかりですね。ニック・ウェインとMAOっていうね。ニック・ウェインは日本での知名度ってのが…インディーファンはね、自分たちがニッチな人種だと自覚した方がいい(笑) アメリカンインディーまで追っかけてるヤツが日本のプロレスファン人口の何割を占めてるかって言ったら、そんなにお前ら多くないからな。っていうのも自覚したうえで言うんであれば、ニック・ウェイン、MAO、この二人とだったらアメリカンインディーファンも納得するぐらいの、大喜びできるようなものを見せられるんじゃないかなと思ってる。ニック・ウェインとMAO、この二人もタッグで対戦経験がある。ニック・ウェインがジョーダン・オリバーってのと組んで、イースト・ウェスト・エクスプレスといういいチームがあって、それとMAOとマイク・ベイリーが組んで何回か試合してる。全員が全員、名手だから会場が爆発するぐらいの試合をしてる。僕とMAOが組んで“ドラゴン・クエスト5"というチームで、イースト・ウェスト・エクスプレスとアメリカ版ジュニアの祭典でやったこともある。ジョーダン・オリバーはケガして1年ぐらい欠場してて、ぜひ来年のスーパージュニアは推薦枠があるんだったら出てもらいたい。そんなもんないけど」
――ニック・ウェイン選手はROH世界TV王者になりましたね。
▼デスペラード「クリスチャン・ケイジに『ベルトよこせ』って言われて取られそうになったりしてましたね。パトリアーキーが今どうなることやら、メチャクチャ面白いんですけど、AEWの日本語通訳実況がなくなってしまったんでね」
――デスペラード選手もニッチですね。
▼デスペラード「そうですよ。僕が知ってることは当たり前だと思わないで発信してますから。だからって通ぶる気もないですしね。プロレスファンの中のニッチなヤツらはもうちょっと外交力を見せないと。当たり前だと思うな。マウント取ったところで何の役にも立たねえからな(笑)」
――今回、王者として優勝、連覇の結果を出せば、現時点で新日ジュニアで完全無欠のトップと言えると思います。
▼デスペラード「うーん、立ち位置だけで言えば、そうなるのかもしれないですけど、あまり興味ないかな。だって高橋ヒロムが3連覇に4度の優勝じゃないですか。これって、おいそれと抜かれることってないと思うんですよね。で、今、高橋ヒロムってジュニアで何してるかっつうと、一生懸命頑張って石井さんとシングルやろうとしたりとか、内藤さんとヘビーのタッグ獲ったりとか、ジュニアにこだわらないけど、ジュニアにこだわってる。そういう分野もあるから。別にジュニアの中でお山の大将決めるつもりはないけど、ジュニアにプライドを持ったまんまヘビーともちゃんと戦えるっていうのも凄く大事なことなんじゃないかなと。先日、Aoi選手と(タカタイチマニア5・7後楽園大会で)戦ってみて、まあ軽いんですよ。ビックリしたのがマフラーホールドとか普段通りに取ってたり、最初のチェーンレスリングでリストロック…リストロックって(相手の)手のひらを開かないと手首が絞まらないから、手のひらを開いてキュっとひねったら、どこまでも回るんですよ。ええ?ってなって。単純に女の子だからとか、筋量とか、いろんなものがあると思うんですけど、大きいと小さいって、これぐらい違うんで、戦い方もそりゃ変わるわと。マフラーホールド絞ったら柔らかくて取りすぎて足が抜けた瞬間、嘘でしょってかけてる側が焦りましたよ。感覚が違うんですよ。もっとエグくやんないといけないとか、戸惑う瞬間が出てくるんですね。だから凄くヒントをもらいましたよね。彼女みたいに僕とやることを夢だとまで言ってくれた子と戦っていた時に、葛西純と初めてシングルやらせてもらった時に、結果アゴ折れて、それが縁になってこんにちがあるんですけど。自分がやりたい、なりたいと思ってたものにかける、大事な柱っていうものを思い出させてもらって。自分の中の考えの整理というか。その気持ちを忘れた気はなかったけど、当たり前と思ってたな、俺は、と思っちゃったんで、凄くいい経験だった。BEST OF THE SUPER Jr.に向けて優勝目指してますし、優勝した時にベルト持って2連覇だったらトップなんじゃないかって言ってもらえても、そこが僕の夢じゃないから。なったらなったで次の目標も出てくるんですよね。僕は石井智宏に『シングルで勝つまでなんべんもやってくださいね』って言って。STRONG STYLEがなくなって石井さんと合流した時に『お前、俺に言ったこと忘れてねえよな? お前、俺に勝つまでなんべんでもやるんだろ?』って石井さんから言われたんですよ。僕はそれを忘れてませんから。でも石井さんとシングルできることが当たり前じゃないと今はちゃんと思ってますから。だから僕はもっともっとやりたいことがこのリングにあるんで。優勝してもまだやりたいこと、やんなきゃいけないことはいっぱいありますよって感じですかね」
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