2/24【全日本】吉岡との刺激的対決制す 岩本が2年ぶり2度目のJr.リーグ制覇
『2019 EXCITE SERIES』最終戦 神奈川・横浜文化体育館(2019年2月24日)
2019 Jr.BATTLE OF GLORY優勝決定戦=○岩本煌史vs吉岡世起×
岩本がWRESTLE-1吉岡との刺激的対決を制し、2年ぶり2度目のジュニアリーグ戦制覇。大会史上初となる世界ジュニア王者の優勝を成し遂げ、歴史に名を刻んだ。
2・7後楽園で始まった「2019 Jr.BATTLE OF GLORY」もいよいよ優勝戦。Aブロックを1位通過し、3年連続決勝進出を果たした世界ジュニア王者・岩本と、Bブロックを1位で突破したWRESTLE-1の元クルーザー王者・吉岡が栄冠を争った。
序盤から岩本が孤高の芸術、吉岡がS・K(スライディングキック)を狙うスリリングな展開に。そんな中、ケブラーダで先制した吉岡は得意の蹴りを効果的にぶち込んで主導権を握る。岩本の反撃をカカト落としで黙らせ、みちのくドライバーIIを決めると、ジャンピングニー、ジャンピングハイキック、低空画面ドロップキックと串刺し攻撃3連発で畳みかけた。
負けられない岩本もネックスクリューからの肩固めで立て直しを図るが、孤高の芸術は時期尚早で決まらず。スピーディな先読み合戦からトラースキックなどを突き刺した吉岡は、岩本のラリアットを食らっても止まらず、clock strike、FUMIEと大技で一気に追い詰めた。
大ダメージを負ってフラフラの岩本だったが、大外刈りで奇襲。「吉岡!」と絶叫しながら3連発で繰り出して流れを押し戻す。高角度のジャーマンスープレックスもさく裂。やっとチャンスを掴んだ。
粘る吉岡もドラゴンスープレックスを前方に丸め込むと、凄まじいスピードのトルベジーノで腕を絡め取ってマットに叩きつける。片ヒザをついた岩本の側頭部をミドルキックで射貫くと、旋回式の変型ファルコンアローも完璧に決まり、ジュニア王者を土俵際まで攻め込んだ。
しかし、吉岡がコーナーに上がったところで、岩本は雪崩式一本背追いを繰り出して再逆転。吉岡が再びトルベジーノを狙っても、岩本はギリギリで踏ん張り、カウンターの孤高の芸術を爆発させる。吉岡は必死に肩を上げたものの、岩本は高速ドラゴンスープレックスで追い討ち。なおも吉岡はハイキックで抵抗を見せたが、岩本は倒れず、ドンピシャのタイミングで再度孤高の芸術を敢行し、こん身の一発で3カウントをもぎ取った。
吉岡との刺激的な熱戦を制して、岩本が2年ぶり2度目のジュニアリーグ制覇。大会史上初となる世界ジュニア王者としての優勝を果たした。試合後、岩本は王者として挑むリーグ戦にプレッシャーがあったことを告白。公式戦は毎回ベルトを腰に巻いて入場していたが、「チャンピオンが誰かっていうのは自分で腰に巻いて示したかったし、そして試合を通じて、全日本の世界ジュニアのチャンピオンは強いなっていうのを証明して、『全日本は面白いな。もっと見てみたいな』って、他団体のお客さんにもそう思わせたかった。その意味があって、俺は今回全部ベルトを巻いて入場してきました」とその真意を明かし、王者としてのプライドを垣間見せた。
チャンピオンとしてリーグ戦を制し、その威厳を知らしめる結果となったが、王者に休息はない。今回のリーグ戦では鈴木鼓太郎に敗北しているだけに、そのリベンジも果たさなくてはならない。「数少ない1敗だからこそ、自分の頭にこびりついてはいますね」と敗戦の重みを強調した岩本は、「まだダメージもあって、ちょっと頭が真っ白なんで、一息ついて、すぐにでも考えて、答えを出したいなと思いますね」と明言は避けたものの、「ただ、逃げはしないです、自分は」と断言した。
【試合後の岩本】
――チャンピオンとしてリーグ戦を制したが?
▼岩本「チャンピオンとしてこのリーグに参戦するというのが初めてのことで。リーグが始まってから、正直、ベルトを持っていない時よりやっぱり見えない重圧というのは、かかってなかったと言ったらウソになります」
――チャンピオンベルトを巻いて試合に臨んだことからも覚悟を感じたが?
▼岩本「開幕戦から自分はこのベルトを腰に巻いて、ずっとリーグ戦を戦ってきました。今日も含め。なんでか? それはなんでか? 全日本プロレスのジュニアの証明だから。WRESTLE-1のファン、#STRONG HEARTSのファン、力選手のファン…いろんな他団体の選手のファンが来ている。少なからず全日本のことを知らないお客さんだって中にはいると思う。その中で、チャンピオンが誰かっていうのは自分で腰に巻いて示したかったし、そして試合を通じて、全日本の世界ジュニアのチャンピオンは強いなっていうのを証明して、『全日本は面白いな。もっと見てみたいな』って、他団体のお客さんにもそう思わせたかった。その意味があって、俺は今回全部ベルトを巻いて入場してきました。それなりのリスクもありますけど、リスク無くして利益無しなんで」
――吉岡選手の印象は?
▼岩本「まだ自分が全日本に入る前…4年前とかですかね。まだいろんな団体に参戦させてもらっている時にWRESTLE-1も2、3回ほど出たことあります。その時に、吉岡選手を見て、経歴を知って。同じような境遇を過ごしてきた選手、とても他人事とは思えない選手で。何かこう、知らない間に意識している部分っていうのはあって。4年前の自分が吉岡選手に戦いを挑んだら、たぶん今日のような結果にはなってなかったと。やっぱり全日本プロレスに入団して、戦って、潰されて、揉まれて、強くなってきた結果が今日吉岡選手に勝てた。そういうことだと思います」
――公式戦で1敗を喫した相手については?
▼岩本「やっぱりチャンピオンとして出場してたというのもあったので、1敗でもしたらダメだって自分の中でも思ってたし、リーグを見ても、リーグを通過している選手はたった1敗。こんな過酷なリーグ戦でした。その1敗、だから数少ない1敗だからこそ、自分の頭にこびりついてはいますね」
――必然的に次の防衛戦の候補になる?
▼岩本「今はでも、吉岡選手に勝ったので。まだダメージもあって、ちょっと頭が真っ白なんで、一息ついて、すぐにでも考えて、答えを出したいなと思いますね。ただ、逃げはしないです、自分は」
【吉岡の話】「効いたな、効いたな。なんだっけ、孤高の芸術? 芸術かなんか知らねえけど、警戒してたんだ。警戒してたけど、一発目で完全に食いつかれたな。首が変な風に曲がっちまった。負けは負けで、素直に認めるけど、俺のプロレス人生はまだ終わりじゃないんで。あのベルトを諦めたわけじゃないんでね。俺の刺激を受け入れたファンも全日ジュニアの選手もいるんじゃねえの? 刺激が欲しかったら、個人でもチームでもいいよ。またジュニアの季節に会いましょう」