7/25【全日本】岩本がススムに雪辱で1年2ヵ月ぶり世界ジュニア奪還、田村が挑戦表明
『2020 SUMMER ACTION SERIES』最終戦 東京・後楽園ホール(2020年7月25日)
世界ジュニアヘビー級選手権試合 ○岩本煌史vs横須賀ススム×
岩本がススムに雪辱を遂げ、1年2ヵ月ぶりに世界ジュニア王座を奪還。Evolution入りしたばかりの田村が挑戦を表明した。
昨年5月、岩本は故・青木篤志さんに敗れ、世界ジュニアのベルトを失った。今年1月の世界ジュニア決定トーナメントではススムに敗れ、準決勝敗退に終わったが、児玉との挑戦者決定戦を制し、1年2ヵ月ぶりの返り咲きのチャンスをつかんだ。
新コスチュームで出陣した岩本だが、試合後に「凄いことはわかってたけど、やっぱり凄いし、1月の時に思った凄いとまた桁違いに違う」と振り返ったように、ススムの前に苦闘を強いられた。腹部攻め、腰攻めで着実に消耗させられ、エルボー合戦でも圧倒されてしまう。一本背負いで反撃し、エプロン上で大外刈りを敢行して流れをつかんだかに思われたが、ターンバックル、雪崩式とエクスプロイダーを連発された。
それでも岩本は横須賀カッターを食い止め、ニーアッパー、ジャーマン、ハリケーンドライバーの猛攻に出る。孤高の芸術は決められず、ジャンボの勝ち!、横須賀カッターで3カウント寸前に追い込まれてしまう。なおもジャンボの勝ち!を3発食らったものの、孤高の芸術をカウンターでさく裂。間髪入れず2発目の孤高の芸術でダメ押しして熱戦に終止符を打った。
岩本がススムに6ヵ月前の雪辱を遂げ、1年2ヵ月ぶりの返り咲きとなる世界ジュニア3度目の戴冠を果たした。「本当にここまでいろいろあったし、悔しい思いしか残ってないからね、世界ジュニアに対しては」と回想したように、過去2度の戴冠時はいずれも短命に終わった。今度こそジュニアの至宝とともに岩本時代を確立させるつもりで、「児玉は全日本ジュニアに新世界を作るって言ってた。俺はまだ作ってないんだよ。俺が作るんだよ、新世界は。これからこのベルトとともに、俺は全日本プロレスジュニアで新世界を作り上げていく」と高らかに誓った。
そんな新王者にさっそく挑戦者が現れた。あすなろ杯に全勝優勝し、Evolution入りを果たしたばかりの田村だ。この日、第1試合の6人タッグで先輩・めんそーれに勝利した田村は岩本の前に立つと「あすなろ杯全勝優勝して、今は俺、勢いに乗ってます。その世界ジュニアのベルトに挑戦させてください」とストレートに挑戦表明。岩本も「無観客の期間で成長して、あすなろ杯で全勝した田村男児。俺はふさわしいと思うよ。勝負しよう」と受けて立った。
これで田村の世界ジュニア初挑戦が決定的となった。岩本が目指す「全日ジュニアの新世界」へ向けた第一歩にふさわしい新風景の戦いとなるのは間違いない。
【試合後の岩本】
▼岩本「やっと…やっと…やっと世界ジュニアのベルトを全日本プロレスに、そして俺の腰に1年2ヵ月ぶりに取り戻した。本当にここまでいろいろあったし、悔しい思いしか残ってないからね、世界ジュニアに対しては。初戴冠して、防衛回数0。2度目戴冠して、防衛回数2回。今日、3度目の戴冠で『また岩本か?』って言うヤツ絶対少なからずいるかもしれないけど、初戴冠から防衛回数は2回。まだ何にもしてないんだよ、俺は世界ジュニアを巻いてから。何にもしてない。前に新木場で児玉裕輔とシングルをしたあとに、こう言ってた。児玉は全日本ジュニアに新世界を作るって言ってた。俺はまだ作ってないんだよ。俺が作るんだよ、新世界は。これからこのベルトとともに、俺は全日本プロレスジュニアで新世界を作り上げていく。その新世界を作り上げる1人目、田村男児。いいんじゃないの? あすなろ杯、新しい力、全勝優勝、文句ねえよ。ふさわしいと思うよ、俺は。新しい力を示していかないと、全日本の未来は見えてこない。田村男児、正々堂々と受けてやるよ」
――ススム選手の印象は?
▼岩本「本当に1月に戦って、とてつもないパワーをジャンボの勝ち!に感じました。今日また戦って、凄いことはわかってたけど、やっぱり凄いし、1月の時に思った凄いとまた桁違いに違う。よく俺も耐えれたなと自分で思います。でも、本当に横須賀選手は戦っててメチャクチャ気持ちいい選手なんで。俺は今年、ジュニアのリーグ戦とか、タッグリーグがあるかないかもわからないし、この1年に残された時間でできるかどうかもわからないけど、来年以降にジュニアリーグ、ジュニアタッグリーグがあれば、ぜひとも横須賀選手にまた全日本プロレスに戻ってきてほしい、出てほしい。パートナーは誰でもいいし、1人で乗り込んできてもいいし、全日本にパートナーを探しに来てもいいんじゃないの? 横須賀選手は本当に気持ちいい選手です。ただ、明日たぶん相当、首、お腹、腰のダメージが凄いと思いますけど、戦ってて、ランナーズハイじゃなくて、レスラーズハイみたいな。やってて気持ちよくなる、楽しくなる、もっとやっていたくなる。でも、ヤバい、強いから早く終わらせたいっていうね。なんだか不思議な感情になりましたね」
――新コスチュームは決意の表れ?
▼岩本「そうですね。やっぱり何かこの全世界を巻き込むコロナウイルスっていうのがあって、今まで続いてきたものがリセットされたような気がしたんです。ユニットもできたばっかりで、志半ばでユニットが揃わない。ジェイク・リーと岩本煌史、この2人だけで無観客の期間は活動してたし、ユニットの活動もできない。思うように試合も全国各地でできない。リセットされたと思って、俺自身、新しい気持ちで臨みたいと思って、全部変えました、コスチューム。全て変えて、新しい気持ちで臨みました。そういう気持ちの変化ですね」
【試合後のススム】
※コメントブースのイスに倒れ込むと
▼ススム「6回目でしたっけ? 僕はね、まだまだこの世界ジュニアと一緒に旅をして、僕の中にずっと眠らせてある野望をいつか自分が納得いく形で口に出す時まで、まだまだ防衛するつもりでしたけど、今日は岩本選手の気持ちが一発一発の技に込められていて。終盤、頭真っ白になって、何が何だかわからなかったですけど、最後、自分が下になって、3つ取られた以上は俺の負けですよ。岩本選手、強かったと思います。僕に1回トーナメントで負けている分、より今日に懸ける気持ちは強かったと思いますけど、それが本当に僕にダメージとして与えてくれました。これで僕、全日本プロレスとはとりあえずお別れになると思いますけど、自分が小さい時に憧れた団体にこうやって出て、そして、昔見ていた世界ジュニアのベルトを巻いて、こうして全日本プロレスの会場でも試合ができて、本当に僕はキャリア22年で最高の時間を味わうことができました。まぁまぁ、僕から獲ったわけですから、これから岩本選手の世界ジュニアというのを、団体は違いますけど、ちょっと注目していきたいなと。また何かチャンスがあれば、お客さんがそれをまた望んでくれれば、また僕はこの全日本プロレスのリングにフラッと帰ってきたいなと思います」
――試合中にジャイアントバックブリーカーを出す場面があったが?
▼ススム「僕はどっか全日本プロレス育ちなんで。あれは馬場さんから見て学んだ部分があるんで。見て学んだというか、勝手にやっているだけですけど。直伝でもないですし。でも、それぐらい馬場さんと全くああいう形が同じにできるぐらい僕は全日本プロレスを見てたんで。世界ジュニアも、渕さんがジュニア王者として君臨していた頃をモロに見てますから。ベルトの形は変わりましたけど、その同じタイトルを巻けたことは本当に光栄でした」
――世界ジュニアの歴史に確かな足跡を残したのでは?
▼ススム「1回こうやって名前を残せて。また…でもわからないです。どこかでまた、何代かわからないですけど、この全日本プロレスが元気ないようでしたら、また僕はフラッと戻ってきますんで。気持ち的には、次回の大会、青木さんの大会にチャンピオンとして、その次に(ベルトを)巻いてた人間として戻ってきたかったですけど、岩本選手がそうさせてくれなかったということですね。でも、それはある意味、逆に嬉しく思いますし、全日本プロレスにとって、それがいい方向になれば、僕は上げてもらったことに関して(恩を)返せたかなと思います。僕から獲ったわけですから。とりあえず、このあとはTwitterでもフォローしておこうかなと。岩本選手の今後を見るために。それが前王者としての宿命じゃないかと。ダメだったらリプライしますんで。活を入れます」