5/29【NOAH】桜庭和志インタビュー 腹黒さに磨き? “ささやき戦術"で杉浦攻略へ
5・31後楽園大会で杉浦貴の持つGHCナショナル王座に挑戦する桜庭和志が、腹黒さ?に磨きをかけた“ささやき戦術"での王座奪取を見据えた。
昨年プロレス大賞最優秀タッグ賞も獲得した杉浦と桜庭のシングル初対決が、タイトルマッチを舞台に実現。4・29名古屋大会のナショナル王座戦「杉浦貴vs藤田和之」に続く杉浦軍・同門対決となるが、壮絶な真っ向勝負となった名古屋決戦とは“真逆"な展開を桜庭は思い描いている。
テーマは“いかにスカすか"。先日の調印式でも杉浦提案のビール一気飲みをスカしたばかり。そして故・野村克也さんもビックリの“ささやき戦術"も予告した。杉浦戦を前にIQレスラーが見据えるキャリアと技術の蓄積が織りなす腹黒さのハーモニーとは――。
【桜庭和志インタビュー】
――なぜナショナル王座に挑戦しようと?
▼桜庭「一回拳王選手とやって獲れなかった…っていうのもあるんですけど、なんか杉浦さんからだったら獲れそうな気がして…。で『欲しいなあ』って言ったら、じゃんけんで勝てたので」
――意外にもシングルのベルトは獲ったことがない
▼桜庭「まぁ、コレを言ったらアレかもしれないですけど、実は昔からベルトとかメダルとかそういうモンにあんま興味ないんですよね。杉浦さんとシングルやれるってことが何より楽しみ。毎回毎回言うこと一緒ですけど、そういうタイトルっていうのは一個一個積み重ねていった先についてくるものだと思うんで。今回も杉浦さんと試合をして、楽しみながら最後にオイシイところを取っちゃえば…勝手にベルトがついてくるんじゃないですかね」
――杉浦と対戦したのは1回のみ(2016年5月の鈴木軍興行)で、あとはずっと組んできた。対戦相手として杉浦貴を見た場合の印象というのは?
▼桜庭「やっぱりパワーありますよね。杉浦さんが藤田とやったタイトルマッチを見ても、藤田と互角のパワーがあると思うんで。もともとレスリングのグレコローマン出身ですし、やっぱりグレコの選手はパワーあるんで。僕としては、そのパワーをいかにスカしていくか…って感じですかね。僕はこの間の杉浦vs藤田戦みたいな真っ向勝負をやるタイプではないんで、どう受け流しながら、向こうの力の入らない部分にビャっと行けるか…っていう」
――いかに一瞬のスキをこじ開けるか
▼桜庭「そうですね。子供の頃に見ていたプロレスでも、小さい選手が大きい選手に勝つのが好きだったんで。UWFにしても藤原さんとか木戸さんみたいに、ボコボコにされながらも最後にキュッ!とやって勝つのが好きでした。それが今の僕のスタイルにもやっぱり合うと思うんで、やっぱりどんだけスカすか…っていう」
――スカせばスカすほど…
▼桜庭「ハイ、やっぱり相手はイラついて、それだけスキも生まれますから。ただ、ノアに上がる前から一緒に練習とかしてましたし、お互いの手の内は分かってるんで、やっぱり簡単にはいかないでしょうね」
――駆け引きが重要になると
▼桜庭「ハイ、逆にバチバチにやり合うかもしれませんよ。すべてをスカすワケではないんで。殴られたら殴り返すかもしれないし…。でも、向こうもスカそうとしてくれれば、それこそ僕の“ツボ"ですね。『ああ、こうやってスカそうとしてるんだな』って分かるんで、さらにその先を読むのが楽しくなってくる」
――キャリアを重ねたからこその腹黒さというか…
▼桜庭「そうそう(笑) 『右狙ってるフリして左狙ってんな…』とか分かりますよ。で、僕あえてそれを試合中にしゃべりますんで。口に出して、相手が目を逸したりして。スパーリングとかでも、相手と組み合いながら言うんですよ。『自分、実は腕を狙ってるんですよ』とか。それで動揺誘いながら、相手の反応をみる」
――故・野村克也さんの“ささやき戦術"のようだ…
▼桜庭「だから当日も胸にテープでピンマイクとかつけてやったら面白いかもしれないですよ(笑) 寝技で組み合いながら『杉浦さん、なんか狙ってるでしょ? 足でしょ?』とか言いながら。僕、昔以上に試合中にしゃべるようになったんですよね。今日も練習してから来たんですけど、相手に『左のストレート狙ってるでしょ? あからさまに分かるんだもん!』とか言ったら、相手も一瞬ひるんで『あ゛あ゛〜っ』って(※ストレートは打たずに)組みついてきましたから。あとは『三角(絞め)入っちゃったな〜でもこのままじゃ極まんないからな〜』とか言いながら、グワッと腕取りにいったり。プロレスでも“しゃべっちゃダメ"ってルールはないでしょう?」
――コメントで相手を罵る“口撃"ではなく、試合中のしゃべりを攻防につなげる“口撃"だと…
▼桜庭「そう、これも技術です(笑) でも今“楽しめてる"っていうのはあると思いますね。ふざけてるとか、緊張感を壊す…って意味じゃないんですけど」
――当日は三沢光晴さんのメモリアル大会でもある
▼桜庭「三沢さんとは一度もお会いしたことがないので、自分が言うことは無いのかもしれないんですけど、さっき言ったことと同じですね。ひとつひとつやっていって、結果良い試合になって、良い大会になれば。あまりにもそこを考えすぎると、自分の試合じゃなくなるんで。でも“気持ち"は持ってリングには上がりたいですね、ハイ」