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6/20【リアルジャパン】6・23後楽園でヒートとマスクマンタッグ結成 リアルジャパン提供・ウルティモインタビュー

 6・23後楽園大会でヒートとマスクマンタッグを結成し、折原昌夫&ケンドー・ナカザキと対戦するウルティモ・ドラゴン。リアルジャパン提供のインタビューは以下の通り。

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 来年でデビュー30周年を迎えるウルティモ・ドラゴンが充実の季節を迎えている。リアルジャパンマットで様々なタイプの選手を相手に好勝負を展開。継続参戦する全日本プロレスやみちのくプロレスでも確かな存在感を発揮している。

 リアルジャパン『初代タイガーマスク黄金伝説〜LEGEND OF THE GOLD V』6・23後楽園ホール大会ではヒートと組み、折原昌夫&ケンドー・ナカザキ組と対戦することが決定。プロレス観がまったく違うという因縁の折原を相手にしても、たとえ総合格闘技出身のレスラーと対戦しても、異国の地で無名の巨漢レスラーと激突しても、ウルティモ・ドラゴンが動じることはない。長いキャリアを経ても未だに進化を続ける“究極龍"はどんな思いでプロレスと向かい合っているのだろうか? 本人に今の心境を聞いた。

――5月28日にアレナ・メヒコで恒例の『DRAGOMANIA XI』が開催されましたね。

▼ウルティモ「自分自身にとって30周年という節目の1年前なんですけど、今年は全日本プロレスから秋山準社長が参戦してくれまして。対戦相手が中島洋平ということで、『これが全日本プロレスだ』という試合をしてくれました。やっぱりメキシコのほうでも全日本プロレスという名前は大きいですからね。メキシコのファンも地元の日本企業の方たちも喜んでくれたみたいですし、いい興行だったと思います」

――秋山選手は日本と変わらないファイトを披露したそうですね。

▼ウルティモ「正直、お客さんの反応は微妙だったと思うんですよ。ただ、どういう微妙かというと、お客さんがたぶんああいう試合を見たことがないので、リアクションが取れなかっただけなんです。シビアな攻撃をしていましたけど、そういうのは伝わってましたし。他の試合は全てメキシコのルチャ・リブレで、その中でいきなりああいう試合が始まったので、お客さんは見入っていたんだと思います」

――興行のアクセントとしては凄くいい形だったと。

▼ウルティモ「はい。全部が全部同じ試合じゃ面白くないので」

――全日本プロレスに定期参戦するようになって、約2年半経ちました。全日本マットにもすっかり馴染んできましたね。

▼ウルティモ「全日本の木原(文人)リングアナは友人なんですけど、彼と僕の中でいつか仕事をしたいという夢をずっと持っていたんですね。ただ、実際の仕事と友情関係は別じゃないですか。だからなかなか実現しなかったんですけど、全日本プロレスの体制が変わった時に『参戦してくれないか?』という話があって。最初は断ったんです。年齢的にも僕は辞めていく選手ですし、そろそろフェードアウトかなという気持ちもあったんです。ただ、その時に金丸(義信)とか、青木(篤志)とか、鈴木鼓太郎とか、僕から見ると若い選手たちがジュニアを引っ張っていて、僕のやる試合とは違うスタイル……全日本からノアに引き継がれた向こうのジュニアのスタイルでやっていたから、これも面白いなと思って」

――それで継続的な参戦を決意されたと。

▼ウルティモ「それで『もう1回気合いを入れ直して練習しよう』とトレーニングを再開しました。やっぱり巡業に出て試合をこなすことによって、自分の中で意識が変わり、体も何か若返ったんじゃないかなと。こんなことを言うと選手のみんなには申し訳ないですけど、自分にとって最高のアンチエイジングになったんじゃないかなって。本当にこれはお金のためだけじゃなくてね。その場にいることが大事なんで。よく『バス移動とか大変なんじゃないですか?』って言われるんですけど、みんなとバスの中でいろんな話をしたり、サービスエリアでご飯を食べたりするのも楽しいんです」

――実際に参戦するようになって、全日本プロレスのスタイルをどう感じました?

▼ウルティモ「自分が体感するのはジュニアですけど、ヘビー級はやっぱり老舗団体だなと思います。他の団体でもヘビー級の試合は見ますけど、全日本プロレスのヘビー級は違いますよね。それはなぜかわからないんですけど。今はいろんな団体の選手が出ているじゃないですか。でも、他の団体から来ても、あのリングでヘビー級の大一番があると、なんか重く感じるというかな。それはちょっと言葉で説明が付かないんですけど」

――ジュニアヘビー級に関してはどうでしょう?

▼ウルティモ「これはどこの団体にも言えるんですけど、昔のジュニアの流れから変わったなって。良いか悪いかはわからないですけどね。判断するのはお客さんなんで。ただ、全日本のジュニアに今必要なのは、強烈なオーラを放つようなスター選手だと思います。それはどんなスタイルだっていいんですよ。空中殺法じゃなくても関係なく」

――渕正信選手のような大ベテランとウルティモ選手が並んでいるのも不思議な感覚がします。

▼ウルティモ「もともと渕さんともずっと仕事をしたかったんですよ。あの絡みができるのは、たぶん僕と井上雅央ぐらいじゃないかなって(笑)」

――全日本マットでは今、宮原健斗選手が三冠王者として日に日に成長を見せています。

▼ウルティモ「でも、健斗はまだまだ改善の余地があると思います。まだまだ彼はもっと上に行く選手ですよ。まだまだ上に行けます。健斗は自己顕示欲が強いじゃないですか。大人しい選手もいますけど、これは悪い意味じゃなく、リングに上がったらやるかやられるかだから、自分が一番目立っていいんですよ」

――最近のウルティモ選手の試合を見ていると、やることを凄く抑えていて、基本は定番の動きを見せているのだけれど、どの団体のどんなシチュエーションでも声援を集めている印象があります。初めてプロレスを見るお客さんの目も惹きつけられるというか」

▼ウルティモ「若い選手には理解できないかもしれないですけど、お客さんはリングに上がったレスラーの、もちろん技もそうなんですが、立ち姿とかそういうものを観に来ているんですよ。なのに、あんまりバタバタ動いたら、お客さんがジーッとリングを見れないじゃないですか。あとはみんな見た感じ、プロフェッショナルに見えないというか。ちょっと悪い言い方ですけど、アマチュアの選手が趣味でプロレスをやっているみたいに見えると思うんです。昔だったらみんなカッコ良かったじゃないですか。馬場さんや猪木さんはもちろん、佐山先生もマスカラスもリングに上がったらみんなカッコ良かった。でも、今はそういう人が少ないですね」

――全日本マットとはまったく違って、リアルジャパンのリングではありえないような対戦カードが実現しています。格闘技色の強い長谷川秀彦選手や小笠原和彦選手と組んだり、大仁田厚選手や若翔洋選手との対戦も実現しました。

▼ウルティモ「平井代表の陰謀かなとも思うんですけどね(笑)。リアルジャパンさんには、2005年の旗揚げ以来、出させてもらっていますけど、会場の中にも控え室にも緊張感があります。自分ぐらいのキャリアになっても感じるんですよ。そういう感覚はレスラーに必要ですし、非常にいい経験を毎回させていただいているなと思います」

――格闘技出身の選手と絡んで、難しさを感じることもありますか?

▼ウルティモ「自分は自分ですから。僕は誰とやろうと全然気にならないですね。まったく気にならないです。いつも考えているんですけど、どんな相手でも100点の試合をするのは難しいと思うんです。それは相手次第だから。だけど、70点ぐらいの試合は常にしたいなと考えてやっているので」

――そうやって対応できるのもキャリアがあるからこそなんでしょうね。

▼ウルティモ「自分って海外もいろんなところに行くじゃないですか。わけのわからないレスラーがたくさんいるんですよ。この間もイギリスに行ったら、3代目ケンドー・ナガサキと言って、体重230kgぐらいのレスラーがいたんですよ。こんなヤツとやるなんてどうしようかなと思いましたけど、リングに上がったらしょうがないじゃないですか。変な話、アクシデントがあるかもしれない。それでも覚悟を決めて試合をしました。何が起こるかわからないのは日本でもそうだし、格闘技出身の選手とやる時も緊張感はありますけど、リングに上がったらみんな一緒ですから」

――6・23後楽園ホール大会ではヒート選手と組んで、折原昌夫&ケンドー・ナカザキ組と対戦します。折原選手とは因縁の深い不思議な関係ですよね。

▼ウルティモ「僕はあんまり関わり合いたくないんですけどね(苦笑)。やっぱり平井代表の陰謀かなって思うんですけど。田中稔選手はハンサムなのに、覆面を被って出るのも、平井代表が女性ファンを持って行かれるのを心配したんじゃないかって(笑)。まあ、ヒート選手はスタイル的にも似ているんで心配ないです」

――折原選手とは若い時にメキシコで接点が生まれて、WAR時代には対新日本でタッグを組んだこともありますし、時に戦い、時に組んで来た相手です。

▼ウルティモ「彼とは腐れ縁なんですよ。折原はハートの強い選手で、パートナーとしては頼もしいです。ただ、対戦相手としては嫌ですね。彼のプロレス観というのは自分とまったく違うところにあるんです。アイツは試合でよく“トンパチ"って言われるじゃないですか。普段もトンパチで、プロレスをやる時もトンパチで、ムチャクチャなんですよ。とんでもなく素晴らしい試合をする時もあれば、とんでもなくダメな試合の時もあるんです。それは日本だったら通用するけど、外国だったら次は呼んでもらえないじゃないですか。自分の中にはさっき言ったように、常に70〜80点ぐらいの試合をしろよって思うんですけど、彼はたまに150点や200点の試合をするけど、20〜30点の試合も多いんです。それが彼の魅力なんですけどね」

――そういうイデオロギーの違いが感じられる本当にリアルジャパンらしい対戦カードですね。先ほど話に出たように、来年はデビュー30周年となります。20周年、25周年と記念大会を行いましたが、来年も何か考えていらっしゃいますか?

▼ウルティモ「計画をしています。来年は日本で『LUCHA FIESTA』を復活させようかなと」

――25周年の時はオーストラリア式6人タッグマッチという日本では馴染みのない複雑なルールの試合をしました。今回もそんな直輸入の試合をやろうと?

▼ウルティモ「自分が日本でやろうと思っているのは、いわゆるメキシコのルチャ・リブレです。飛んだり跳ねたりするだけじゃない、自分が思うところのクラシックなルチャをやりたいですね」

――20周年の際には「たくさんの人と戦って、味のある選手になりたい」と仰ってました。もうすぐそれから10年になりますが、ご自分としてはその目標は達成できたと思いますか?

▼ウルティモ「味のあるレスラーになったんじゃないですかね。昔はある試合ある試合をこなしていただけだったと思うんです。本当に忙しすぎて。今はそんなに仕事がタイトじゃないんで、1日1日ゆとりがあるし。リアルジャパンにも参戦してますし、全日本のシリーズでは地方にも行ってますが、お客さんがいる前での話なので語弊があるかもしれないですけど、毎日の試合が勉強だと思うんですよ。自分らぐらいのキャリアになっても。僕の場合、未だに新しい発見があるんです。常にいろんなことを考えて、『こういう風にしたほうがいいな』って考えるようにしていて。それは凄く大切だと思うんです。さっきのアンチエイジングじゃないですけど、常に脳味噌を動かして」

――長州選手、藤波選手に初代タイガーマスク選手と、現役の先輩がたくさんいる業界なのでそこまで意識はしていなかったんですが、ウルティモ選手も今や“レジェンド"という言葉がピッタリとハマるレスラーになっているんじゃないかと思います。

▼ウルティモ「それはどこでどうやって見せるかですよね。僕らはファイターでありますけど、エンターテイメントを見せる立場でもあるんで。強い・弱いは大切なことなんですけど、プラスアルファで『この人は凄いな』と思わせないとダメなんです。『カッコいいな』とか、『憎たらしいな』とか、いろんな表現があって。それはお客さんが判断してくれればいいことなんですけど、パッと見て、素人のように見られてしまったらつまらないじゃないですか」

――そういう考えの元、デビューしてから30年近く経っても、未だに日々チューンナップして成長しているわけですね。

▼ウルティモ「もちろん。自分は10年前より完成しているんじゃないかと思っています。人間っていろんなことを経験してドンドン成長していく。男の中には年を取ってもカッコ良くなっていく人っているじゃないですか。そういう風になりたいんですよ。肉体的には確かに衰えているんだけど、自分の場合は全てがいい方向に行っていて。例えば、ドロップキックなんか昔と変わってないでしょ? たぶん50歳でこんなにキレイに飛べる人ってなかなかいないと思うんです」

――ウルティモ選手は同世代のレスラーよりも“現役感"を感じますね。

▼ウルティモ「素顔の人たちは顔を見たら『年を取ったなあ』って思われちゃうけど、僕はマスクを被っているし、コスチュームはいつもあんな感じじゃないですか。ちょっと体をシェイプして、昔と変わらない試合をしていたら、青木とかあの辺と同い年ぐらいに思うんじゃないですかね? いろんなことで運が良かったと思うんです。そして、自分が今まで見てきたもの、経験してきたもの全てがリングの上のウルティモ・ドラゴンというキャラクターに反映されているんじゃないですかね。今の若い選手たちはなかなかチャンスがないかもしれないし、経済的な問題もあるけど、なるべくいろんな人に会って話したり、いろんなところに行ったりしたほうがいいと思います。ただ単純に体が強いとか、プロレスの技術が高いとか、それじゃダメなんですよ。何が悲壮感があったり、常に緊張感を持っていたり、そういう部分がないと、お客さんには伝わらないんじゃないですかね」

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