プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

1/31【WRESTLE-1】「1回戦・カズ戦しか頭にない」 W-1提供『CRUISER FES 2018』出場者インタビュー(3)土方隆司

 昨年11月からWRESTLE-1マットに参戦している土方隆司は2・14後楽園大会で開幕する『CRUISER FES 2018』にエントリーされた。1回戦の相手はカズ・ハヤシ。全日本ジュニア時代から強く意識した存在で、かつて土方がノア・丸藤正道に敗れて流出させてしまった世界ジュニアヘビー級王座をカズが奪還したという因縁もある。「もうトーナメントに挑むという気持ちが持てないです。対カズ・ハヤシということしか頭にない」と言い切った土方は、「現在のW-1のファンの方々が見たことのない試合をしなくてはいけないという責任感、そしてお互いに立場が代わったからこそ、当時を超えるような試合をしたい」と意気込んでいる。W-1提供の土方インタビューは以下の通り。

【土方インタビュー】
──土方選手は11月よりW-1のリングに参戦されていますが、改めてその印象を教えてくれますか?

▼土方「W-1のリングには昔から知っているメンバーがいるので懐かしさというのは感じました。そのうえで若い選手が多いですから、新しさであったり、未来というものを感じていますね」

──その若い選手の一人である吉岡選手が現在のクルーザーのチャンピオンであり、土方選手も12月の後楽園大会で挑戦されたわけですけど、どのような印象を受けましたか?

▼土方「率直にいい選手だなと思いました。スピードもあるし、華やかさもあるし、W-1のリングにある新しい闘いを体現している選手だなと思いましたね」

──でも、その新しい闘いの中に、土方選手は非常に泥臭いと言ったらあれですけど、情念を注入するような闘いを見せてくれましたよね。

▼土方「それしか私はできないので(笑)。相手が吉岡選手だったからっていうわけでもないし、違う相手だったらやり方を変えていたっていうわけでもないです。私はこれで20年間、プロレス界で生きてきたので」

──20年培ってきた土方隆司をW-1のリングで見せつけたということですね。さて、そんな土方選手も2月14日から始まる『CRUISER FES』にもエントリーされました。参戦するメンバーを見てどのような印象を受けました?

▼土方「やっぱり私が一緒にやったことのない人がほとんどですので、抱く印象というのは新しいというか新鮮さを感じますね」

──そして、1回戦の相手として抽選で決まったのがカズ選手でした。

▼土方「カズさんに相手が決まって、トーナメントの見方がガラッと変わりました。むしろトーナメントとして見れなくなりましたね。全日本時代からカズ・ハヤシという選手を知っていますので、トーナメント全体を見渡してだとか、この先の闘いを見越してだとか、そういったことを考えて勝てるほど、カズというレスラーは甘くないです」

──この一戦しか見えなくなってしまったということですか?

▼土方「もうトーナメントに挑むという気持ちが持てないです。対カズ・ハヤシということしか頭にないので。この状況で2回戦をどうしようとか、決勝が誰かなんてことは考えられないです。そんなことを考えていたら間違いなく負けます」

──カズ選手とのシングルマッチということに関しては、世界ジュニアのベルトを懸けて何度か対戦していると思いますけど、最近のカズ選手に対してはどのような印象を持たれていますか?

▼土方「簡単に言うと丸さを感じます」

──丸さ?

▼土方「丸くなったと言っても悪い意味ではないです。上に立つ人間として下を育てないといけないという責任感が当時より強いんじゃないですかね?」

──現在は社長も務められていますし、当然強いでしょうね。

▼土方「そういう意味で言ったら、プレイヤーとしては爪を隠している状況なんじゃないですか?」

──最近はタッグのベルトを獲ったりはしているんですけど、クルーザー戦線には顔を出さないですし、ちょっと一歩引いている感じはありますね。

▼土方「それはありますね。だからこそ、このトーナメントはカズ・ハヤシが怖いんですよ。引いているのと退いているのとでは違うんですよね。一歩引いているからこそ見えるものだったり、気づく点があったりするんですよ」

──力が衰えたから一戦から退いているというわけではなく、社長という立場になったことであえて一歩引いてW-1のリングを俯瞰して見ているということですか?

▼土方「そうだと思います。前に進むためには時には立ち止まることも必要だし、社長という立場になったことで、自分自身を見つめ直すいい機会になっていると思うんですよね。このトーナメントはシングルで勝負できるわけですから、一人の競技者として腹をくくって挑んでくると思いますよ」

──しかも、1回戦の相手が若い選手ではなく、勝手知ったる土方選手だからこそっていうのもありますよね。
▼土方「余計に火を点けたと思いますよ。だから、自分が今抱いているのは、現在のW-1のファンの方々が見たことのない試合をしなくてはいけないという責任感、そしてお互いに立場が代わったからこそ、当時を超えるような試合をしたいなという思いですよね。それができたら、このうえなく名誉なことだと思います」

──なるほど。全日本ジュニアで闘っていた当時のカズ・ハヤシという選手は、土方選手にとってどういう存在でしたか?

▼土方「目の上のたんこぶと呼ぶにはあまりにも大きな存在でしたね。まず歳も上、キャリアも上、実績も上なわけじゃないですか? その中で、私が奪われた世界ジュニアのベルトを取り返した男ですから」

──2008年9月28日の横浜文化体育館大会で丸藤正道選手に敗れて、土方選手が世界ジュニアをノアに流出させてしまったんですよね。それを2009年2月6日の後楽園大会で奪回したのがカズ選手でした。

▼土方「そうです。その結果、全日本ジュニアの中のライバルだとか、目の上のたんこぶだとか、そういう言葉で表現できないぐらいカズさんとの差がついたと思います。もちろん、それは自分の実力がないゆえに招いたことだと思いますけど」

──その一連の出来事は土方選手にとってプロレス人生の中で引っかかっているものですか?

▼土方「一生消えないでしょうね。だから、ある意味、皆さんが思っている以上にこの試合に懸ける私の思いは大きいですよ」

──『CRUISER FES』の1回戦はカズ選手が世界ジュニアを奪回してから約9年で、奇しくも同じ2月の後楽園大会ですから、ある意味それを精算するにはうってつけの舞台だと思います。

▼土方「理想とすれば、奪われたベルトは自分で取り返しにいければよかったですよ。でも、そこは当時の自分の実力のなさが原因なので、カズ・ハヤシに恨みつらみは一切ないです。ただ、現実として取り返したのはカズ・ハヤシでしたし、あの出来事は忘れたことがないです。だから、まずこの後楽園で、自分の中でカズ・ハヤシに対する呪縛を終わりにしたいですね」

──呪縛ですか。何かしら縛られていたものを精算しないと、レスラーとして前に進めないということですか?

▼土方「ここで結果を残せないなら、もう終わったほうがいいですよ。自分でそう思います。やっぱりあれ程大きな出来事はなかったし、カズ・ハヤシほど大きな存在というのもいませんよ。これから先、歳を取って、自分の人生を振り返った時に、きっとそう思える一戦だと思います」

──相当な決意を持ってこのカズ選手との1回戦に挑むということですね。では、改めてファンの方にメッセージをお願いします。

▼土方「私の中のカズ・ハヤシに対する呪縛も終わらせたいですし、そのうえでW-1のファンの皆さんが見たことのない試合、そして当時を超える試合をしたいと思いますので、是非見に来てください。皆さんの目で確かめてください、俺らのプロレスを」

プロ格 情報局