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8/29【NOAH】全試合が20周年記念試合 ヒデオ戦は「保険なし」で実現 両国直前・丸藤正道インタビュー

 9月1日、両国国技館でのデビュー20周年興行をいよいよ目前とした丸藤正道。天才と呼ばれ、マット界を股にかけて活躍した20年。幾多の怪我や別れなど、あらゆる荒波を乗り越えてきた20年。その“20年の歩み"すべてを両国に込めた。特例で実現した“永遠のライバル"ヒデオ・イタミとの一騎打ち、ノア退団以降初のノア参戦となる秋山準、青木篤志、鈴木鼓太郎らへの思い。20周年の大きな節目に向けた直前の心境を丸藤に聞いた――。


【丸藤正道インタビュー】

――まず、改めてデビュー20周年を迎えるにあたっての率直な気持ちというのは?

▼丸藤「気がつけばあっという間だったかな…と。思い起こせば良いこともあり、悪いこともあり。激動といえば激動の20年だったとは思うんですけど、ひじょうに充実した20年を過ごすことができたんじゃないかな…とは思いますね」

――プロレスラーを志した当時は20周年まで現役を続けられると思いましたか?

▼丸藤「そもそもレスラーになった時点でゴールは決めてないから。当時はとにかく無我夢中でやっていた18歳の少年がこうして20年やれた…っていうのは、デビューしたての俺に言ってあげたいね。『20年やれたよ』って」

――体も決して大きくないなかで、20年後は“団体を引っ張るヘビー級のトップ選手"であることは予想できなかったのでは?

▼丸藤「そうだね。体が小さいっていう部分はどうしようもなくて。でも、俺はプロレスラーになったからには、埋もれたくない。そう思ってやってきた。体が大きな人間のなかに入っても埋もれないようなレスラーになりたいとは思っていたんで」

――多くの怪我も乗り越えてきました

▼丸藤「確かに怪我は悪いことではあるんだけど、振り返れば良い部分もあると思っていて。プロフェッショナルとして試合に穴を開けてしまうことは良くないことなんだけど、そういう時って自分が何かの“タイミング"や“きっかけ"が欲しい時と重なることもあったんで。怪我に関してはすべてがすべて“悪いこと"としては処理してないっていうか。それで実際、実になったこともたくさんあったしね」

――亡くなったり、引退したり、退団したり…と、ここ10年は多くの別れが重なって、あらゆる意味で中心として団体を背負い続ける状況が続いてきたが、辛いと感じたことは…?

▼丸藤「辛いとは感じなかったですけど…なんていうか全部が“プロレスラー丸藤正道"のストーリーだと思ってるんで。言ってしまえば“受け入れるしかない"のが現実で。何かが起きた時、確かに心の動揺だったり、悩んだりすることもあるけど、“受け入れること"と“受け止めること"のほうが大事だと俺は思っているので。そっちに方に強く気持ちをもっていったかな」

――今回の20周年興行は今までの“ストーリー"をなるべく多く落とし込んだもの?

▼丸藤「そうだね。今回の20周年興行はメインだけが“丸藤正道デビュー20周年記念試合"じゃないから。だったら、どこかの興行でその試合1試合だけをやればいいワケで」

――その中で改めてメインに“丸藤正道vsヒデオ・イタミ"を選んだ理由というのは?

▼丸藤「さっきも言った“プロレスラー丸藤正道"のストーリーを考えた時に、やっぱり『彼しかいないでしょ』っていうのは、俺も思ったけど、おそらく皆さんもそう思ったんじゃないかな」

――WWEは基本他団体に選手を出場させないだけに、かなり難しいプランにチャレンジした形となったが?

▼丸藤「実現できたから言うわけじゃないですけど、根拠のない自信みたいなものが、なぜかどこかにあった。だからほかに“保険"をかけてなかったんですよね」

――え…?

▼丸藤「ぶっちゃけ。だから会社にも言ってた。『これがダメだったらどうしましょうね?』って(笑)」

――ヒデオ選手もWWEで決して満足できぬ状況にいて、丸藤さんの20周年を彩りたい思いと同時に『自分がまだどれだけやれるか』を知りたい部分もあるようです

▼丸藤「うん。彼(ヒデオ)に関しては、アメリカに行った時点で『俺とは別の道だな』とは思ったし、多少なりともジェラシーも感じたけど、俺は“こっち"でやるって決めたからには、アメリカに行く彼よりもいろんな意味で負けないようにしよう…って思い続けてきた。せっかくこれだけ盛り上がってきてるんで、それに見合うだけの内容と、そして何よりも“結果"で見せたいなと。そこを譲るような彼では無いとも思うし、しっかり実力で勝ちを取りにいきたいと思います。彼が今、抱いている思いはいろいろあると思うんだけど、後楽園で彼がモニターに映し出された時のファンの人たちの反応。それが一番の“リアル"だと思うから。彼にあの会場に居て欲しかったくらいの爆発だったんで。みんな彼には期待してる。それの何よりの証明だったんじゃないかな」

――その後楽園では“ヒデオ"ではなく“KENTA"コールが起こったことも意味深い

▼丸藤「そうだね。当日どうなるんだろうね…? マルフジコールとKENTAコールとヒデオコールが交錯して、変な空気になったりしないかな?(笑)」

――丸藤さんと関係が深いのは“KENTA"ではあります

▼丸藤「でも、今回俺が対決するのはヒデオ・イタミなわけでしょう? 言ってみれば初対決でもあるワケで。…どうなるんだろう。俺自身も分からない。だから楽しみだね。カーン!ってゴングが鳴った瞬間から楽しみだね」

――その時の観衆の皆さんが何を生み出すのか、想像がつかない楽しみがある?

▼丸藤「うん。でも、この20周年興行のカードが発表されて、秋山(準)さんが上がったりだとか、いろんなカードがあって、そこに向けた期待感の高まり…“本来プロレスの興行に向けて必要なもの"ができてるなって感覚がありますね。俺もやっぱり子供の頃に、ビッグマッチがあって誰と誰が戦うことが決まって…ってなったら、その日まで凄い楽しみで、そしてその日を迎える。本来のプロレスの楽しみ方のひとつなんじゃないかなと思うんだよね。それがなかなか今のノアではできてないって部分で、そういった意味でもなにか良い形を創れたらなぁって。今のノアは、観に来れば確かに良い試合はしてる。でも…っていう部分があって」

――確かに今のノアは“ネームバリュー"を創り上げていっている段階でもあるだけに、ノアの選手にとっても両国クラスの大会場での試合経験は意味が大きい?

▼丸藤「そう。だからいろんな意味でプラスになって欲しいと思っていて。普段のノアを観ていない人たちも来てくれるだろうし、離れていった人たちも来てくれると思う。そして、大きな会場で試合をしたことがない若い選手たちにも、大きい会場で、たくさんの試合をするっていう経験をしてもらいたい。俺はそういう部分では恵まれていて、いろいろな舞台でやらせてもらったし」

――レスラーの経験値は、大舞台でないと得難いものもあると

▼丸藤「そうだね。大きい舞台で魅せられるレスラーは、どんな舞台でも魅せられると思うんで」

――改めてカード編成に触れると、すべての試合を丸藤さんがプロデュースしたということですが…

▼丸藤「うん。第1試合からメインまで全部。完全にキーワードは“俺の20年のなかで関わってきた人たち"。その人たちがいたから、今の俺がある…っていう人たち」

――セミファイナルでは全日本の秋山準、青木篤志両選手がノア退団以降、初めてノアのマットに上がります。そこにノアの杉浦貴&原田大輔組を当てようと思った意図というのは?

▼丸藤「秋山さんがウチに上がるとすれば、いの一番に観たいのは対杉浦貴だと俺は思うし。そして青木の性格とかを考えて、負けん気の強さだったりとか、ヘビー級をも凌駕しようとする人間…ということで原田。特に原田は昔のKENTA(ヒデオ)とかぶったりする部分があって。試合をみてると。そして何より、杉浦さんも原田もシングルのGHCのチャンピオンですからね。ノア的にも自信を持ってぶつけるトップ2。絶対負けられないからこそ」

――秋山さんらの退団が浮上したのは今から6年前の両国。あれ以来となるノアの両国大会で再会するような構図にもなります

▼丸藤「そうだね…それも含めて“Destiny"(運命) 俺としては今年、全日本のチャンピオンカーニバルにも参戦して、三冠にも挑戦して…って部分で、俺のなかではその期間でいろんなものを気持ちの部分では清算したと思ってるんで。だけどそれは俺だけであって、他の人間は分からない。お客さんの気持ちも分からない。だから…より楽しみですね」

――第7試合ではDDTから高木三四郎&HARASHIMA&男色ディーノが参戦。マイバッハ谷口&拳王&小峠篤司組が迎え撃ちます

▼丸藤「明らかにいつもと違う化学反応が起きるでしょう。ディーノと拳王が相対する。考えただけで面白い。拳王に関しては、あえて“真逆"にいる人間を選んだというか」

――鈴木鼓太郎もノア退団以降、初めてノアのマットに上がります。カードは鼓太郎&Hi69&田中稔vs大原はじめ&熊野準&諸橋晴也…と、こちらは現ノアジュニアの戦力のなかに飛び込む形になります

▼丸藤「鼓太郎と試合することによって得るものはあると思う。良い選手なんでね、鼓太郎は。そこから何かが始まるのか、始まらないのかは分からないけど、“何かのきっかけ"になれば…っていう思いもあってのマッチメーク。ウチの選手にとっても、そして鼓太郎にとっても、良い刺激をし合えるんじゃないかな、と」

――ノアを退団した経緯のある鼓太郎については感情的には整理できている?

▼丸藤「俺はね。だから今回の俺の20周年っていうのは、都合よく使って欲しいんだよね。何かを起こせば響きやすい部分もあるし」

――WRESTLE-1からは近藤修司&黒潮“イケメン"二郎の二人が参戦、HAYATA&YO-HEYと対決します

▼丸藤「もともとはイケメン選手じゃなくて、カズ選手だったんだけどね。近藤選手はやっぱり世界ジュニアの時に彼との試合で(プロレス大賞)ベストバウトが獲れた。そしてその世界ジュニアを俺から奪ったのがカズ選手だった。カズさんは今回残念ながら欠場となったんだけど、近藤選手に当てたいと思ったのが、HAYATA&YO-HEY。俺、彼らには凄く期待してるんで。あの二人は“何かをやれる"二人だと思ってるし。いつも100%で試合してるとは思うけど、もしかしたら“100%以上"のものを出して、それをたくさんの人たちに観てもらえることになれば…っていう期待もあって」

――HAYATA選手、YO-HEY選手も両国クラスの会場で試合をした経験は少ないはずです

▼丸藤「だからプロレスラーとしての価値を、一段階、二段階上げて欲しいんだよね。レスラー全員の価値が上がることによって、団体の価値も上がっていくと思うから。くどいけど、あの二人にはホントに期待してますよ。俺がジュニアだった頃より全然いい」

――そして第1試合には百田光雄さんも参戦。こちらもノア退団以降、初のノア参戦です

▼丸藤「今回は3時スタートだけど、6時半の男といえば百田光雄さんですよ。だから今回は“3時の男"として務めていただこうかなと」

――ほかにも本田多門、佐野巧真、菊地毅、川畑輝鎮…と完全に“ノア同窓会"的な顔ぶれが集まる興行となりました?

▼丸藤「だってそうなるでしょ。(キャリアをほぼノアに費やしてきた)俺の20周年興行だもん。コンセプトをズラしてしまうと、意味がなくなってしまうというか。だったら丸藤20周年興行じゃなくていいじゃんってなっちゃう。丸藤20周年記念マッチがあればいいじゃんって話になるから。今回は全体を通して“丸藤20周年興行"としてやるんで、第1試合からメインまでそのコンセプトはブレずに」

――そして今回は三沢さんのご縁で両国国技館を特例で借りられた形に…

▼丸藤「そもそも会場自体を使うことが難しいタイミングだったんで。そこで今回動いてくれた方が、三沢さんが生きていた時にいつも一緒にいた方で。『丸藤君が20周年ってことなら頑張るよ』ってことで動いてくださって。今回はプロレス関係者ではない方々も動いてくださって、こういうところでも結果、三沢さんにお世話になってるな…と」

――では会場も含めて全試合が“20周年記念試合"だと?

▼丸藤「そう。今回のすべてが僕にとって“記念"です」



【NOAH】9/1(土)東京・両国国技館『サミー ぱちんこCR真・北斗無双第2章 presents 丸藤正道20周年記念大会 “飛翔"』13:30開場、15:00開始

◇第1試合◇
菊地毅
百田光雄
vs
宮脇純太
モハメド ヨネ

◇第2試合◇
越中詩郎
本田多聞
佐野巧真
vs
川畑輝鎮
井上雅央
齋藤彰俊

◇第3試合◇
コーディ・ホール
大森隆男
vs
タダスケ
クワイエット・ストーム

◇第4試合◇
黒潮“イケメン"二郎
近藤修司
vs
YO-HEY
HAYATA

◇第5試合◇
諸橋晴也
熊野準
大原はじめ
vs
鈴木鼓太郎
田中稔
Hi69

◇第6試合◇
KAZMA SAKAMOTO
清宮海斗
潮崎豪
vs
太陽ケア
マサ北宮
中嶋勝彦

◇第7試合◇
男色ディーノ
HARASHIMA
高木三四郎
vs
マイバッハ谷口
小峠篤司
拳王

◇第8試合◇
青木篤志
秋山準
vs
原田大輔
杉浦貴

◇第9試合◇
ヒデオ・イタミ
vs
丸藤正道
※レフェリー:和田京平

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