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12/16【NOAH】杉浦超えで新世代エースへ、清宮がGHCヘビー最年少戴冠! 「台本通り」に反発の拳王迎撃へ

『GREAT VOYAGE 2018 in YOKOHAMA vol.2』神奈川・横浜文化体育館(2018年12月16日)
GHCヘビー級選手権試合 ○清宮海斗vs杉浦貴×

 清宮が30分を超える激闘の末に杉浦超えを達成。史上最年少でGHCヘビー級王座戴冠を果たし、“ホープ"から“新世代エース"への歩みをさらに進めた。試合後には「台本通り」と禁断マイクを展開した拳王が挑戦を表明し、年初1・6後楽園大会での激突が決定的となった。

 コスチュームに“三沢グリーン"を引き継ぎ、物心ついた頃からノア入団を志していた方舟の申し子が、キャリア3年、22歳でノア暮れの大舞台で至宝に挑んだ。

 立ちふさがった王者は2年前の成人式を欠席してまで「強くなりたい」と師事した師匠格の杉浦。今年は“48歳の全盛期"を自認し、潮崎豪、中嶋勝彦、拳王、マサ北宮、小峠篤司の新世代軍をことごとく蹴散らして、上位世代最強の壁としてノアマットに君臨し続けてきた。

 父と子ほどに年齢がはなれたGHC戦。序盤から“親父"杉浦の猛攻が続いた。開始直後に清宮が鉄柵超えのサマーソルトアタックを敢行して場内をどよめかせたものの、杉浦も場外マットを剥がした床へのネックスクリューで倍返し。そのまま猛攻に猛攻を重ね、やはり清宮はマットを這う展開が続いた。

 清宮も杉浦が仕掛けた非情の断崖式中年ズリフトを不時着して切り抜けると、エプロンからの三沢さんを思わせるウルトラタイガードロップを発射。さらには変型ペディグリーも繰り出してジャーマンも放ったが、まだまだ屈さぬ杉浦もハイクラッチジャーマンで返礼して両者大の字となった。

 そのまま両者はリング中央で壮絶なエルボー合戦を展開。清宮が強烈なビンタを叩き込めば、杉浦は非情なストレートパンチを叩き込む。ターンバックルへのジャーマンに繋げるや、馬乗りになって鬼の暴走エルボーを乱打し、なおも抵抗する清宮を鬼の左ラリアットで鎮圧。予選スラムにつなげて勝負あった…かと思われた。

 だが、清宮はギリギリでキックアウト。杉浦もさすがに驚き、場内には「海斗」コールが響き渡った。ならばと杉浦は雪崩式の予選スラムで仕留めにかかったものの、コーナー上で抵抗した清宮は変型雪崩式リバースDDTで大逆転。ジャーマンやタイガースープレックスで投げまくると、新兵器の変型フェイスロックに捕獲し、全身全霊で絞め上げた。

 杉浦も意地のエスケープ。ならばと清宮は投げ捨てジャーマンと後頭部へのドロップキックをこれでもかと連発だ。不死身の杉浦はフラフラになりながらも立ち上がり、エルボーを振り回したが、清宮は顔面へのドロップキックでシャットアウト。タイガースープレックス、変型エメラルドフロウジョンと畳みかけるや、なおも抵抗する杉浦の腕を絡め取り、タイガースープレックスで投げきって、3カウントをもぎ取った。

 新世代軍の誰もが超えられなかった杉浦を超えてみせたのは22歳の清宮。丸藤が持つ最年少戴冠記録(26歳11ヶ月)を大幅に更新してのGHCヘビー級王座初戴冠を果たした。雄叫びを上げて喜びを爆発させた若き王者は、「試合始まる前、みんなが投げてくれた紙テープの多さが…今日の試合中にも応援してくれたのが、本当に何より嬉しいです」と声を震わせながら、胸いっぱいの感謝をマイクに込めた。

 次期挑戦者には拳王が名乗り。「感動的なところ、失礼します。いやあ、今日もてめえの試合、面白くなかったな。誰とでもスゲエ心の響く試合ができる杉浦相手でも、心に響かなかったな」と切り捨てると、「会社が描いた『お前をノアの顔にさせる』という台本通り進めて、何が刺激あるんだよ? おい、てめえらに聞くぞ。いや、プロレスリング・ノア、会社に聞くぞ。こいつが今、チャンピオンでいいのか? 俺はダメだと思う! だからな、そのベルトに挑戦させろ」とある種の禁断マイクを展開して若き王者に迫った。

 清宮としても年初の後楽園大会で時の王者・拳王に挑戦して敗れ去った今年。年初に獲れなかった王座を、1年かけて暮れにつかみとった形となる。「拳王さん。あなたに負けたから、俺はここまで来れたんですよ。今までの俺じゃない! 次の試合であなたの心に響かせますよ」と清宮が受諾するや、拳王は来年1・6後楽園を舞台に指定し、立場を逆にしての1年越しの王座戦が決定的となった。

 ともあれ、ノアの“ホープ"から“新世代エース"への歩みをさらに進めた清宮。「ここが出発地点です。ここがスタートです。どこまで行けるかは僕もわかりません。でも、今日みたいな応援があれば、僕はどこまででも行けると思ってます! プロレスリング・ノア、新しい顔は俺だ!」と感情のこもった実直な決意を叫んで、横浜文体大会を締めくくった。“三沢グリーン"を背負う若き王者の初陣とともに、方舟マットは2019年の航海を迎える。

【試合後の清宮】
――今の心境は?

▼清宮「さっきもリング上で言ったんですけど、本当に僕1人じゃここまでこれなかったんで。今日来てくれたお客さん全員に感謝しています」

――杉浦選手と戦ってみてどうだった?

▼清宮「途中、本当に何度も心は折れましたけど、でも背中を支えてくれたのはみんなの声だと思っています」

――ファンの声が聞こえた?

▼清宮「はい。この声があれば、本当にいくらだって力が湧くし、遠くの未来だって見えてくると思います」

――拳王選手から宣戦布告されたが?

▼清宮「帰ってきて、拳王さんにこのベルト、僕が挑戦して負けて。そこからずっと悔しい思いをしてたので。絶対に次の1月、後楽園ホールで借りを返します」

――拳王選手からは「心に響かないプロレス」と言われたが?

▼清宮「拳王さんの描いているものに僕はまだ達してないかもしれないです。でも、あの人と戦うことで僕も自分のレベルが上がると思うので。お互いそこは勝負したいなと思っています」

――最年少戴冠記録を更新したが?

▼清宮「もう本当に杉浦さんしか、それとこのベルトしか目の前にはなかったので、そこまで自分で気持ちは行ってなかったですけど、そういう記録もこれから作っていきたいなと思っているので、注目してほしいです」

――ベルトを手にして、重さも感じて、率直な感想は?

▼清宮「持ってみて凄く責任感を感じます。それはリーグ戦を通してですけど、先輩方1人1人と戦って感じたことは責任感の強さです」

【杉浦の話】「今日は負けた。でも譲ったつもりはないぞ」

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