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1/4【新日本】ケニーと激闘39分…万感・棚橋4年ぶり8度目のIWGP戴冠 ジェイ表明か

『WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム』東京ドーム(2019年1月4日)
IWGPヘビー級選手権試合 ○棚橋弘至vsケニー・オメガ×

 棚橋がケニーとのイデオロギー闘争に決着。約4年ぶり8度目のIWGPヘビー戴冠を果たした。

 昨夏のG1で3年ぶり3度目の優勝を飾り、プロレス大賞MVPも受賞。2018年に逸材復活を印象づけた棚橋が年頭決戦のドーム大会でIWGPヘビー挑戦を迎えた。王者・ケニーのプロレスを「品がない」と批判し、イデオロギー闘争を繰り広げてきたが、ついにこの日、決着戦を迎えた。

 両者へのコールが飛び交う中、決戦のゴングが鳴った。まずは棚橋があいさつ代わりの張り手を一発お見舞い。怒ったケニーも張り返し、ダイビングボディアタックを狙った棚橋を肩車したが、不時着した棚橋はコブラツイストで絡みついた。フロントインディアンデスロックでケニーの動きを封じ、ここでも張り手を打ち込む。

 ケニーもキチンシンクで反撃を開始し、フラッシングエルボー、サッカーボールキック連打で痛めつける。ベンジュラムバックブリーカー、エルボーと腰攻めを展開。頭を何度も蹴りつけたり、サッカーボールキックを連発したり、顔面を張ったりと挑発行為を連発し、バックドロップで叩きつけると、場外戦でもエプロンへのバックドロップを敢行した。棚橋がドロップキックで反撃しても、実況席にボディスラムで投げつけると、フェンスに飛び乗ってのケブラーダを発射した。

 ここでケニーはリング下からテーブルを持ち出した。リングサイドに設置すると、棚橋がやってきてテーブルに叩きつける素振りをみせたが、リングに戻して正攻法を選択した。エルボーを連発する棚橋に対し、ケニーは逆水平で応戦。棚橋がフライングフォーアームを放ち、ドラゴンスクリュー、ダイビングサマーソルトドロップと得意技を重ねて流れを作った。

 ケニーもスリングブレイドを狙う棚橋を逆水平で迎撃。コタロークラッシャーで叩きつけると、マットを叩いて場外ダイブを予告したが、すぐさまリングに戻った棚橋が低空ドロップキックを見舞う。それでもケニーはフランケンシュタイナーで再び場外に吹き飛ばし、今度こそノータッチトペコンヒーロを発射した。

 再びケニーに流れが傾き、ミサイルキックを棚橋の後頭部に突き刺す。高速ドラゴンスープレックスを連発し、飛びヒザ蹴りをグサリ。片翼の天使が不発に終わってもカナディアンロッキーバスターからのムーンサルトを狙ったが、察知した棚橋はコーナー上のケニーをリバースのドラゴンスクリューで叩き落とし、ツイストアンドシャウトで追撃。テキサスクローバーホールドで捕らえ、逃れようとするジェリコにスタイルズクラッシュを敢行だ。大きくどよめく中、棚橋はハイフライフローを発射した。

 これはケニーが両ヒザで迎撃。それでも棚橋はVトリガーをコーナーに誤爆させ、エプロンに出たケニーにドラゴンスクリューを敢行。エプロンでのスリングブレイドをさく裂させる。リングに戻すと思いきや、テーブルに上にケニーを乗せ、場外ハイフライフローを発射したものの、オメガが回避し、棚橋はテーブルに直撃してしまった。

 何とかエプロンに上がった棚橋だが、ケニーはダイビングフットスタンプで急降下。パワーボムを3連発して一気に流れを引き寄せ、棚橋の首を絞め上げると、Vトリガーを狙ったが、読んだ棚橋は先に動いてスリングブレイドで反撃。エルボー合戦からケニーが左右の張り手や逆水平を打ち込んだが、棚橋は真っ向から受け止めると、張り手を狂ったように連打していく。ケニーはグラウンドでのヒザ蹴りを連発し、ジャーマンで投げたが、棚橋は意地で立ち上がる。ならばとケニーは掟破りの逆スリングブレイドを敢行。これまた掟破りの逆ハイフライフローまで繰り出した。

 すると棚橋は1カウントで意地のキックアウト。大歓声の中、ケニーが飛びヒザ蹴りをぶち込んだが、それでも棚橋は倒れない。張り手で抵抗したが、ヒザ蹴りを食らってついにヒザをついてしまう。ヒザ蹴りを打ち込んだケニーはリバースフランケンシュタイナーで脳天から突き刺し、狙いすましたVトリガーをぶち込んだ。

 勝機と見たケニーは片翼の天使の構えに入ったが、棚橋はリバースフランケンで阻止。ドラゴンスープレックスホールドで追い討ちをかけ、2カウントで返したケニーが立ち上がってもハイフライフローで押し潰す。もう一発ハイフライ弾を放つと、ケニーも2カウントでキックアウト。一気に沸き返る中、棚橋は仕上げの3発目を狙ってコーナーに上がった。

 が、ケニーが飛びヒザ蹴りをぶち込んで食い止めた。すかさずトップロープからの雪崩式ドラゴンスープレックスで叩き落とし、Vトリガーで追い討ち。一気に片翼の天使を狙った。

 すると棚橋はスリングブレイドで切り返し、もう一発スリングブレイドをさく裂。ハイフライフローを発射して一気に3カウントを奪い、39分13秒の激闘に終止符を打った。

 ケニーとのイデオロギー闘争を制した棚橋が新IWGP王者に。2015年2月に第62代王者から陥落以来、約4年ぶり8度目の戴冠となった。黄金の輝くIWGPベルトを久しぶりに巻いた逸材は大歓声の中、マイクを持つと「今日はたくさんのご来場、本当にありがとうございました!」とまずはファンに感謝。「正直、言うと、もうこの舞台には帰ってこれないと思ってました。けど、柴田選手、本間選手、大勢の仲間がエネルギーをくれました。そして最後に僕をここまで持ち上げてくれたファンの皆さん、ありがとうございましたぁ!」と感極まりながら続けた。

 「また、このIWGPのベルトと新しい風景を作っていきます。今日は本当にありがとうございました」。そう誓ってみせた棚橋は「ごめん、今日エアギターやる力残ってないよ。厳しいな」とこぼしながらも、「ドーム!」と連呼してから、「盛り上がっていこうぜ!」と叫び、エアギターを披露。その場に倒れ込んだが、「じゃあ最後に! 会場のみなさーん、愛してまーす!」と右手を突き上げた。万雷の棚橋コールで平成最後の東京ドーム大会は幕を閉じた。

 2019年の幕開けとともに、42歳2ヵ月にして新日本の頂点に返り咲いた棚橋。バックステージではオカダを破り、IWGP挑戦を表明していたジェイから「全然お前なんかより俺は優れている。もう新しい時代、ニューエラなんだ」と挑発されたが、「俺の時代です」と断言してみせた。「もう1回、ゼロから、一から積み上げていきます」、「じっくり腰を据えて、このベルトと向き合って、一歩ずつさらに新日本プロレスを前に進めていきます」と誓ったこの男によって2019年、新日本に“新たな風景"が描かれていく。

【試合後の棚橋】
▼棚橋「お願いします!」

――およそ4年ぶりのIWGPの王座、おめでとうございます

▼棚橋「ありがとうございます」

――そのベルトを手にした今の気持ちは?

▼棚橋「何回も巻いてきたベルトなんですけど、初めてベルトを巻いたような感覚です」

――8度目となるが、今までの7回とは違った感覚?

▼棚橋「これから思い出すこともあるだろうし、また一緒に歩んでいけばいいんじゃないかなと今は思ってます」

――東京ドームのメインは3年ぶりとなったが、どんなリングだった?

▼棚橋「リング上でも言いましたけども、自分1人では戻って来れなかったなと思いますね。他のレスラーからいい刺激を受けたり、本当に頑張ってほしいっていう、なんだろう、祈りに近いというか。みんなの声援が背中を押してくれました」

――リング上でも話していたが、もし名前をあげるならどの選手?

▼棚橋「いや、本当にG1CLIMAX優勝できたのも、セコンドで柴田選手が(感極まりながら)僕にエールを送ってくれたから…。感謝してます」

――今回の試合はイデオロギー闘争だという話もあったが、どんな思いで試合に臨んだ?

▼棚橋「(しばらく沈黙すると)ケニーに対する怒りっていうのは、最初から抱いていたものではなくて。そのケニーが新日本を侵攻していく中で、大事なものが壊されていくんじゃないかって。そういう危機感からなんだけど、これでね、長岡で負けて、ドームで勝って、ケニーとは1勝1敗なんで。さあ、次はいつやりますか、という感じです」

――まだこの闘争は終わっていない?

▼棚橋「まだね、本当に納得いくまでやれてないっていうのが僕の中にあるんで。『ケニー、次いつやるんだ?』って気持ちですね」

――今日の試合後、大きな歓声が起こったが、どう聞こえた?

▼棚橋「本当に壮観でした。それをメインイベントのリングから見れる俺は、本当にタイミングいいなって思います」

――2019年最高のスタートを切ったが、第67代王者としてファンにどんな世界を見せていく?

▼棚橋「(大きく息を吐くと)ベルトっていつぶりでしたっけ? 4年ぶり? もう1回、ゼロから、一から積み上げていきます。そういう気分です」

※次の質問が飛んだところで、拍手しながらジェイが登場。棚橋の前に立って挑発的な言葉を浴びせると、王者を称えてから去っていく

▼棚橋「ジェイは『全然お前なんかより俺は優れている。もう新しい時代、ニューエラなんだ』って言ってましたね」

――今日の第7試合でジェイ選手はオカダ選手を破った。ジェイ選手はどんな存在だと思っている?

▼棚橋「今は細かく言う必要ないけど、俺とオカダをタッグ組ませたっていうのは、今、新日本のキーマンだよね」

――自分の時代だと言っていたが、その言葉については?

▼棚橋「俺の時代です。はい」

――かつてのライバルであるAJスタイルズ選手の技を繰り出したが、AJ選手は品があった?

▼棚橋「AJは品があります」

――今日のケニー選手は品がなかった?

▼棚橋「それも落ち着いてから考えます」

――途中でケニー選手が用意したテーブルを使う場面があったが、それについては?

▼棚橋「明確なイデオロギーの境目をボヤッとさせる。ただ勝つだけじゃない。ただ叩き潰して、焼け野原で終わるんじゃない。試合後に救いを見出す。それが僕が理想とする、理想に近いプロレスなんです」

――平成最後の東京ドームでメインイベントに返り咲き、棚橋選手の勝利で大会が終わったが、新元号最初の東京ドームが2連戦だと発表になった。まだ先の話だが、ドーム2連戦と聞いてどう感じた?

▼棚橋「ちょっとあの…(息を吐くと)ダメだ。大丈夫。俺が何とかします」

――試合後の言葉でも観客への感謝を語っていたが、ケニー選手なら「私は最強だ。最強のレスラーだ」と言ったんじゃないかと思う。その差はどう考えている?

▼棚橋「それは僕がどうして今日のドームのメインイベントに立てたかっていう。それはやっぱり2018年、声援でエネルギーをもらって、本当にかつてないほど追い風を吹かせてもらったんで、そういう意味での感謝ですね」

――40代では初めて巻いたことについては?

▼棚橋「40代だったんですね。また考えます」

――入場してきた時、コーナーポストに昇って、東京ドームの一番遠いところを見ていたと思うが、なぜそこを見た? その時にどういう光景が広がっていた?

▼棚橋「僕はコーナーに昇る時、今日だけじゃなくてどの会場でも、どの体育館でも、とにかくコーナーから一番会場の隅を見るんですよ。で、そこにお客さんがいなくて、空席だった時に、『必ず次にこの会場に来た時は、あそこを埋めるんだ』っていう決意を固めていたので。今日もドームの上のほうまで見た時に、本当にグッと来ました」

――観客動員は去年に比べて3000人以上増えたが、そのことについては?

▼棚橋「本当に選手の頑張り、マスコミの皆さん、ファンの皆さん…。みんなの力で38000人を達成できました」

――平成最後のIWGP王者になるためには、あと4ヵ月守り通さなきゃいけないんですけど、もちろん自信はある?

▼棚橋「あります!」

――棚橋選手もかつてはイデオロギー闘争を乗り越えて新しい時代を切り開いてきたが、今回は守る側になったことに関しては?

▼棚橋「そうなんですよね。新日本らしくない急先鋒だった棚橋が、いつの間にか、新日本側にいるというか、新日本らしさになっていたというか。ずるいっすよね(笑) ずるいと思います。ずるいと思いますけど、G1 CLIMAXで優勝したことでやっと…やっとケニーにものを言ってもいい資格を得たというか。そんな発言をしても、『棚橋、なに言ってんだ』というところで終わってたと思うんですよね、それ以前はね。だから、G1 CLIMAX優勝というのは、本当に価値ある優勝だったと思ってます」

――平成最後のドームを締めて、デビュー20周年の幕開けを告げたが、20周年については?

▼棚橋「あっと言う間でしたね。あっと言う間でしたけど、ただこうしてベルトとともにいいスタートを切れたんで。本当に新日本プロレスはイキのいい選手もいるし、追われる立場になったんですけど、じっくり腰を据えて、このベルトと向き合って、一歩ずつさらに新日本プロレスを前に進めていきます」

※ケニーはノーコメント

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