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2/19【G馬場追善興行】ライバルたちに囲まれて…ブッチャーが笑顔と感謝でマットに別れ

『ジャイアント馬場没20年追善興行〜王者の魂〜アブドーラ・ザ・ブッチャー引退記念〜さらば呪術師〜』東京・両国国技館(2019年2月19日)

 昔年のライバルたちに囲まれて、ブッチャーが笑顔と感謝でマットに別れを告げた。

 1961年デビューのブッチャーは70年、日本プロレスに初来日。72年に全日本プロレスが旗揚げすると常連となり、ジャイアント馬場と死闘を繰り広げた。81年に新日本へ移籍したが、87年に全日本へ復帰。第一線を退いたあとも、馬場と常に戦い続けた終生のライバルだった。90年代後半以降はインディー団体にも出場。2012年1月、全日本に4年ぶりに出場したブッチャーだったが、自力でリングに上がれず、満身創痍ぶりをあらわにし、現役引退を発表。それから7年経った今日、馬場追善興行に合わせて、日本マットで引退セレモニーを行うことになった。

 78歳のブッチャーは『吹けよ風、呼べよ嵐』に乗って入場。ガウンに身を包み、大日本のアブドーラ小林とジョー・ディートンに車椅子を押されてリングに上がると、引退セレモニーに。

 同時期に日本で暴れ回ったドリー・ファンクJr.やスタン・ハンセン、ミル・マスカラス、ドス・カラスのほか、外国人選手たちを迎え撃った坂口征二がそれぞれのテーマ曲に乗り、大声援を浴びてリングイン。かつては悪行の限りを尽くしたブッチャーだが、花束を贈呈されると、今宵は笑顔でかつてのライバルたちを抱擁を交わした。かつてブッチャーと血で血を洗う抗争を繰り広げたドリーは、華麗なムチ裁きを披露。驚きの表情を浮かべたブッチャーだったが、最後はドリーと恩讐を超えて握手を交わした。

 新日本マットで対戦経験のある初代タイガーマスクも新間寿氏(元新日本営業本部長)とともにリングに上がって、ねぎらいの言葉をかけた。後輩の秋山準、武藤敬司も登場。武藤はブッチャーの眼前でプロレスLOVEポーズを作り、かかってこいと挑発してどよめきを誘った。また、各マスコミのほか、『全日本プロレス中継』の実況を担当していた倉持隆夫アナや松永二三男アナ、徳光和夫アナからも花束が贈呈された。

 ザ・デストロイヤーからは引退を惜しむ手紙が届いた。「私の終生のライバル」とブッチャーに声をかけたデストロイヤーは「お前のスタイルはとてもユニークで誰も真似できない。他にも真似しようとしたレスラーはいたが、あのスタイルはアブドーラだけのものだ」と称えると、「お前を一生忘れない。もう戦えないことは寂しい。あの試合が懐かしい。出来ることなら、もう一度あの頃に戻って試合をしたい。お前もきっと同じ気持ちだろう。引退おめでとう」と締めくくった。

 全日本マットでタッグを組んでいた鈴木みのるからもVTRメッセージが届き、「アブドーラ・ザ・ブッチャーと一緒にタッグを組んで戦って、たった数週間だけど物凄く大きなものをそこで…もらったとも言わない、教えてもらったとも言えないけど、俺はお前から盗んだ。だから安心して辞めちまえ」と鈴木流の言い回しで惜別の言葉を送った。

 記念撮影が終わると、ブッチャーが自らの言葉で別れ。「ファンの皆さん、帰ってきました。1つだけ足りないことがあります。ここにジャイアント馬場がいてくれたら完璧でした。3日前にマネージャーでもあり、長年の友人でしたオネスト・ジョンが天国に旅立ちました。それも凄く悲しくて、一緒に日本に来たかったんですが、それはもうしょうがないです」と寂しそうにこぼすと、「若い人たちに言いたいです。自分の親が歳を取っても、決して老人ホームにぶち込んで忘れるようなことをするな。ちゃんと親を大事にしろ。忘れるんじゃないぞ」とブッチャーらしからぬ真面目なメッセージを口にすると、最後は「皆さん本当にありがとうございました」と感謝の言葉で締めくくり、何度も「サンキュー」と連呼した。

 引退の10カウントゴングが打ち鳴らされ、最後に「360パウンド、アブドーラ・ザ・ブッチャー!」と選手コールを受ける。観客からは別れを惜しむように大きな「ブッチャー」コールが巻き起こると、ブッチャーは笑顔でマットに別れを告げた。

【ブッチャーの話】「最高でした。残念ながら昔のレジェンドたちはこの世にいなくて天国に旅立った人がいっぱいいる。でもみんないつかあの世に行くわけですから、いつか僕も行きます。でも近い将来というのは嫌ですね。もうちょっとここにいたいです。先ほどもリング上で言いましたが、長年のマネージャーで友人のオネスト・ジョンが他界しました。彼の告別式が実は明日で、彼の奥さんが教会の牧師さん。皆さん、彼のために祈ってあげてください。お願いします。ありがとうございました。皆さん、これからもご自愛ください。リング上でも言いましたけど、自分のご両親を大切にしてあげてください。老人ホームなどの施設に入れることはやめてください。最後の最後までご両親の面倒をみてあげてください。サンキュー」

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