プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

5/20【全日本】岩本陥落…青木が9ヵ月ぶり4度目の世界ジュニア奪取 佐藤が挑戦表明

『2019 SUPER POWER SERIES』東京・後楽園ホール(2019年5月20日)
世界ジュニアヘビー級選手権試合=○青木篤志vs岩本煌史×

 岩本無念の陥落。青木が9ヵ月ぶり4度目の世界ジュニア王座戴冠を果たし、頂点に返り咲いた。試合後、佐藤が挑戦の名乗りを上げ、さっそく初防衛戦が決定的となった。

 4月のチャンピオン・カーニバルに出場した青木はヘビー級戦士から4勝を挙げて存在感を示し、世界ジュニア挑戦の名乗りを上げた。岩本が初戴冠を果たした昨年8月以来9か月ぶりに両者がジュニアの至宝ベルトをかけて対決した。

 手の内を知り尽くしたといってもいい両者によるタイトルマッチはハイレベルなせめぎ合いが展開された。青木がトペスイシーダで先手を取ったが、岩本は首攻めですぐさま挽回。肩固めで絞め上げたが、耐えた青木は左腕へのダイビングニードロップ、チキンウイングアームロックといった得意の腕攻めで王者を何度ももん絶させて主導権を奪い返した。

 だが、再び狙った腕へのダイビングニーを阻止した岩本が一本背負いで青木をコーナー上から叩き落として流れを引き寄せた。ニーアッパー、ショートレンジラリアット、ネックスクリューと息もつかせぬ連続攻撃に出て、打撃戦でも青木を圧倒。一本背負いで投げ飛ばすと、孤高の芸術で勝負に出る。青木が阻止しても、スクールボーイからそのまま引っこ抜く変型スープレックスで追い討ち。再び孤高の芸術の構えに入った。

 すると青木は前哨戦でピンフォールを奪った変型エビ固めで切り返す。サムソンクラッチは岩本が読んで高速ドラゴン、ジャーマンとスープレックスを連発したが、2カウントで返した青木はチキンウイングアームロックで捕獲。しのいだ岩本が大外刈りを3連発し、垂直落下式ブレーンバスターで逆襲したが、孤高の芸術はみたび青木が決めさせず。腕ひしぎ逆十字に持ち込むと、トラップオーバーに移行して絞め上げ、岩本をギブアップに追い込んだ。

 9ヵ月前の雪辱を遂げた青木が4度目の世界ジュニア奪取を果たし、全日ジュニアの頂点に返り咲いた。「強い。一筋縄じゃいかないし。あいつもやっぱりベルトを獲って成長した部分もあるし、リーグ戦を勝ち抜いたという実績もちろんある」と認めた岩本を攻略できたのはカーニバルで「ワンチャンスを使うことによって、相手のペースを乱すことができる」ことを痛感したからこそ。「とにかく彼の孤高の芸術潰し。それだけ。それであいつのリズムを全部狂わして」との作戦を一貫した結果、手繰り寄せた勝利だった。

 世界ジュニア王者に返り咲いたが、過去3度の戴冠とは違った思いがある。「今までは俺と佐藤光留の2人で盛り上げよう、俺らが真ん中にいないとって思ってたけど、もう今は俺らが真ん中にいる理由もない。みんなで盛り上げていく」と宣言した青木は、「俺はベルトをまた持った以上、『この世界ジュニアのベルトを獲りたい』、『世界ジュニアで俺は全日本のトップになる。なんだったら世界のトップになる』、こういう志を持った人間と防衛戦をやっていきたい」とこれまでと変わらぬスタンスでこれから始まる防衛ロードを見据えた。

 さっそく新王者に挑戦者が現れた。盟友・佐藤だ。試合後、バックステージに引き揚げた青木と入れ替わるように現れ、王者をリングに呼び戻すと、「全日本ジュニアで誰よりも強くあなたを追っています。絶対にあなたを追い抜いて、僕が勝ちます! 次の初防衛戦の相手、佐藤光留を選んでください! お願いします!」と猛アピール。青木に拒む理由はなくその場で受諾し、握手を交わした。これまで佐藤とは共闘する一方で、何度も世界ジュニアのベルトをかけて戦ってきた。「別に敵対しなくてもいい。仲間同士でやって、切磋琢磨するので全然いい。それができるのは俺と佐藤光留だけ」と言い切った青木は「さっきも言ったように、『本当にこのベルトが欲しい』、『本当にこのベルトを取って世界一になりたい』、そういう志がないと俺は挑戦を受けないつもり。でも、佐藤光留は十分それがあると思う」とし、改めて受けて立つ構えをみせた。

 一方、岩本はアジアタッグに続き、世界ジュニアからも陥落。この5月に丸腰となり、全てを失ってしまった。「根こそぎ取られるどころか、底の底までほじくり取られて、もう何もないよ」と肩を落としたものの、当然これですべてが終わったわけではない。「ターニングポイントで青木さんとのシングルは行われてきた。今日も何かのキッカケになるんじゃないかな。ベルトは全て失ったけど、ベルトがなきゃ価値が無いレスラーになるぐらいなら、俺はプロレスラーを辞めてやるよ。岩本煌史というプロレスラーとしての価値を作り上げていくよ」と前向きに誓ってみせた。

【試合後の青木】
▼青木「まさかの呼び戻し。気を抜いてたところにまさか佐藤光留が来るとは。でも、リング上で言った通り、今までの数年間、ジュニアを俺と佐藤光留の2人で引っ張ってきた。俺らが中心にやってきたという自負がある。そこは申し訳ないけど、誰が何と言おうが、俺らは絶対曲げるつもりはない。ただ、これ(ベルト)を次、どうするか? それは他の人間のやり方と、それからあと実力次第でしょう。でも、俺はベルトをまた持った以上、『この世界ジュニアのベルトを獲りたい』、『世界ジュニアで俺は全日本のトップになる。なんだったら世界のトップになる』、こういう志を持った人間と防衛戦をやっていきたい」

――これまでと今回改めて世界ジュニアを取ったのと心境の違いはある?

▼青木「ありますね。やっぱり今までは“俺が中心に俺が中心に"というのがあって。俺が何とか俺が何とかって。でも、1回、岩本がベルト獲って、そのあとにリーグ戦を連覇したり、タッグリーグを優勝したり。そういうことを考えると、凄い1つずつ懸けてたなと思います。だけど、そこで俺がじゃあ何をするのか? ただ周りで見てて盛り上げるだけじゃ違うなと思ったんで。また俺が中心になってやるしかないと。というか、俺が中心になってやりたいと。だから、今までは俺と佐藤光留の2人で盛り上げよう、俺らが真ん中にいないとって思ってたけど、もう今は俺らが真ん中にいる理由もない。みんなで盛り上げていく。ただ、その代わりにさっきも言ったように、『本当にこのベルトが欲しい』、『本当にこのベルトを取って世界一になりたい』、そういう志がないと俺は挑戦を受けないつもり。でも、佐藤光留は十分それがあると思う」

――初防衛戦の相手が佐藤選手というのは青木選手が見せていく防衛ロードに相応しいと?

▼青木「そうですね。でも、タッグパートナーだからさ。今から対角線に立つかといったら、そうじゃなくてもいいと思う、俺は。佐藤光留と俺の歴史なんて、そんなの超越していると思うからさ。だから別に敵対しなくてもいい。仲間同士でやって、切磋琢磨するので全然いい。それができるのは俺と佐藤光留だけだから。他のヤツはできない。そこまでのチームまで来てない。だったら、悔しいと思うんだったら、そこまで来い。全日本のジュニアのこれからを面白くするためにはどうするか。そこだけ。ただ、俺が面白くしよう、それだけじゃダメ。本人たちの考えと行動と最終的には実力だと思う。それが伴わないと世界ジュニアのベルトは面白くなくなっちゃうから」

――岩本選手はどうだった?

▼青木「いや、強いですよ。強い。一筋縄じゃいかないし。あいつもやっぱりベルトを獲って成長した部分もあるし、リーグ戦を勝ち抜いたという実績もちろんあるし。だけど、今日は執念じゃない? ワンチャンス、ワンチャンス、ワンチャンス。ただそのワンチャンスを使うことによって、相手のペースを乱すことができるって、チャンピオン・カーニバルで俺は経験してわかってきたから。だから、今日もとにかく彼の孤高の芸術潰し。それだけ。それであいつのリズムを全部狂わして。それのみ。でも、岩本は強い」

【岩本の話】「負けちまった。戦前、言っていたように、今日の戦いっていうのは勝ったほうが根こそぎ取って、負けたほうが根こそぎ取られる。去年から俺が積み上げてきたもの…TAJIRIさんとのタッグ、ジュニアタッグリーグ優勝、青木篤志から世界ジュニアのベルト初奪取、近藤修司に取られたけど自分が取り戻した。で、チャンピオンのままジュニアリーグ制覇。そして、アジアタッグ戴冠して、世界ジュニアとアジアの二冠に君臨した。でも、5月入ってからアジアを落として、今日も世界ジュニアを落とした。根こそぎ取られるどころか、底の底までほじくり取られて、もう何もないよ。何もないよ。何かのキッカケ、ターニングポイントで青木さんとのシングルは行われてきた。今日も何かのキッカケになるんじゃないかな。ベルトは全て失ったけど、ベルトがなきゃ価値が無いレスラーになるぐらいなら、俺はプロレスラーを辞めてやるよ。岩本煌史というプロレスラーとしての価値を作り上げていくよ。岩本煌史がスゲエ。そういう岩本煌史っていうブランドをこれから俺は作り上げていくよ。世界ジュニア、すぐ挑戦したいなんて言わないよ。俺は俺のブランドを上げていく。今日は負けた。世界ジュニアが無くなった。それだけ。以上」

プロ格 情報局