プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

6/8【ハードヒット】青木さんに捧げる魂の真っ向勝負 佐藤がシュレックと熱戦ドロー

 『ニコプロpresentsハードヒット「JUST DO IT」』新木場大会が8日、行われ、主宰者・佐藤光留が関根“シュレック"秀樹とメインイベントで対戦。盟友・青木篤志さんの死から5日が経過したこの日、佐藤は魂の真っ向勝負でシュレックと15分時間切れ引き分けの熱戦を繰り広げた。

 佐藤の盟友・青木さんが今月3日、不慮の交通事故によって41歳の若さで亡くなった。佐藤は全日本で青木さんと“変態自衛隊"を結成(青木さんはこのチーム名を認めず)し、アジアタッグ王座を2度戴冠。一方で世界ジュニアヘビー級王座を巡って何度も戦ってきた。

 青木さんの死から5日が経過したこの日、佐藤は自ら主宰するハードヒットの新木場大会を開催。メインイベントでシュレックと対戦した。体格差は歴然だが、佐藤は真っ向勝負を挑んだ。シュレックの巨体を切り崩そうと何度もローキックで蹴り込み、飛びつきヒザ十字や腕ひしぎ逆十字に捕まりかけても、ローキックやミドルキックで攻め入り、左の掌底でファーストダウンを奪ってみせた。

 その後も佐藤は左右のミドルキックを連発して正面突破を図ったが、ついに腕ひしぎ逆十字固めに捕まってエスケープ。ミドルキックを連発しても、頑丈なシュレックは動じず。ならばとフロントネックロックや胴締めスリーパーを仕掛けたものの、逆にレッグロックで絞め上げられて2度目のエスケープを喫した。

 負けじと佐藤は左の掌底で3度目のダウンを奪い、打撃ラッシュでたたみかけたものの、今度はヒザ十字固めに捕まってしまう。必死に耐えながらグラウンドで対応した佐藤はアキレス腱固めで絞め上げてシュレックをエスケープに追い込む。シュレックが掌底で前に出て、水車落としを敢行されたが、引かない佐藤はコーナーに追いつめて掌底、ミドルキックを乱れ打ち。左ハイキックで3度目のダウンを奪った。

 だが、シュレックも掌底連打で反撃し、ヒザ十字固めで佐藤を3度目のエスケープに追い込む。続くジャーマン狙いをヒザ十字固めで切り返した佐藤だが、極められず。それでもミドルキックを連打し、掌底を真っ向から打ち合ったものの、時間切れを告げるゴングが鳴らされた。

 今大会名は『JUST DO IT』。亡き青木さんに会いに行った際、「まさにいいからやれって顔していて。隊長ごめんなさいね、そうだよね。いいからやれだよね」との思いを強くし、「死ぬまでプロレスラー」と決意した。だからこそ体格差をものともせず小細工なしの真っ向勝負を挑み、15分の熱戦を繰り広げた。

 試合中は戦いに没頭していたが、終了のゴングが鳴った時、「チラっと頭の中に見えましたね。不思議だなと思いました。もう息も絶え絶え、腕も痛い、足も痛い、あぁもう疲れた、ゴング鳴った、あれ、どうなってるんだろうと思った時にスッとこのへんに青木さんがふらっといた」という。控室には青木さんの写真を置き、大会を見守ってもらった。「青木さんが遠くに行ってしまって」人一倍、悲しいのは言うまでもないが、佐藤は「全部自然だから。そう思うようにしてるんですよ。生まれることも自然なら死んじゃうことも自然だし、雨が降ったり風が吹くのと同じことだと思ってるんで。ただ、悲しいのも自然だし、悔いが残るのも自然」と考えている。悲しみが癒える日がくることはないのかもしれないが、佐藤は「黙ってやれ、JUST DO IT。これからもJUST DO IT、黙ってやる、いいからやれで頑張ります」と亡き青木さんに誓うように言い切った。

【試合後の佐藤】
▼佐藤「ありがとうございました」

――大会を総括すると?

▼佐藤「疲れました。でも疲れないプロレスなんかクソ食らえ。まぁ、第1試合は秀樹さんが疲れなかったかもしれないけど、あれは勝負だから。長い時間やりゃあいいってもんじゃないし、短けりゃ疲れねぇってわけじゃない。でも人の心、体、いろんなものを切り売りして我々プロレスラーって生きてるからさ」

――シュレックと戦った感想は?

▼佐藤「でかい。何蹴ってるかわからなかった。独特の間合いでシュレックさんは入って打つじゃなくて、自分がもらうかもしれないってところにずっといてうかがってるから、こっちもこれ引いたらずっと引かなきゃいけないと思って。いたらホントに二人ともいつでも当たる距離にいたんで。僕のも当たったんですけど、何蹴ってるかわからなかったですね」

――シュレックといずれ再戦はある?

▼佐藤「はい、あると思います。約束したんで。みんな死ぬまでプロレスラーなんで」

――このタイミングで開催し、超満員となったが、ハードヒットらしさは出せた?

▼佐藤「最後こんなハッピーエンド感満載で終わるのがハードヒットらしくねぇなってプロデューサーが言ってるのがよくわかんないですね(苦笑) ハッピーエンドだったら現実じゃねぇみたいにひねくれてるから。それも青木さんと常々、全日本プロレスの控室の横っちょでみんながよかったよかったって言ってるところで顔を毒霧に染めて、頭かち割られてイスで。誰も喜んでない、変態自衛隊終わったなって言われてる中でずっと言ってたことだから。その価値観にブレはないです。むしろ導いてもらったんだなって思ってますから」

――次回大会はいつごろを考えている?

▼佐藤「全日本のない秋の日にやります。もうカード案はなんとなく決まってるんで、発表したかったんで、それこそ青木さんが急に遠くに行っちゃったんでズレこんだりしましたけど、正直年に4回か5回、新木場をいっぱいにしてやってたんですけど、大きくしていきたいっていう心もあるし。その思いも何度も挫折してきて、DDTのいろんなブランドが横を通り過ぎて後楽園を当たり前のようにやってる。そういう団体なんで、本腰を入れて、今しかないかなと。頑張りたいと思います。でも次も新木場だと思います。好きなんですよ」

――戦いながら青木さんがよぎった場面はあった?

▼佐藤「青木さんはそういうの嫌いだから。でも終わった時にチラっと頭の中に見えましたね。不思議だなと思いました。もう息も絶え絶え、腕も痛い、足も痛い、あぁもう疲れた、ゴング鳴った、あれ、どうなってるんだろうと思った時にスッとこのへんに青木さんがふらっといて。今日も控室に写真を置いてるんですよ。いろんな思いがあると思うんですけど、今日リングで出した思いがみんなすべてだと思うし、クソ出なかった、俺もっと青木篤志に思い届けたかったって人は死ぬまでやればいいと思うし、もし死ぬまでやらなくてもそれがその人のプロレスだから。全部自然だから。そう思うようにしてるんですよ。生まれることも自然なら死んじゃうことも自然だし、雨が降ったり風が吹くのと同じことだと思ってるんで。ただ、悲しいのも自然だし、悔いが残るのも自然だし、全てを乗り越えるって言い方は強い奴のアレかもしれないけど、黙ってやれ、JUST DO IT。これからもJUST DO IT、黙ってやる、いいからやれで頑張ります」

プロ格 情報局