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6/8【ハードヒット】青木さん代打・田村がグラップリング戦で奮闘、TAJIRIは「鏡を相手に戦った」? SUSHIは空手エキシビションで意地みせた

 『ニコプロpresentsハードヒット「JUST DO IT」』新木場大会が8日、行われ、出場予定だった故・青木篤志さんの代わりに出場した全日本の新鋭・田村男児がTAJIRIと組んでKEI山宮&ロッキー川村とグラップリングタッグマッチで対戦。レスリング仕込みのテクニックで奮戦した。TAJIRIは自分そっくりのコスチュームの山宮相手に「鏡を相手に戦うような」感覚を味わい、次回大会でのタッグ結成に色気。SUSHIは青木さんからもらったTシャツを着て出陣し、菊野克紀との空手エキシビションマッチで意地をみせた。

 今月3日、交通事故により41歳の若さで亡くなった青木さん。この日の新木場大会に出場予定だったが、代わりに全日本の若手・田村が参戦。TAJIRIと組んで山宮&川村とグラップリングタッグマッチで対戦した。

 田村はレスリングがバックボーン。相手は初代ライトヘビー級キング・オブ・パンクラス王者・山宮、第4代ライトヘビー級、第11、13代ミドル級キング・オブ・パンクラス王者・川村でともに強敵だったが、グラウンド戦で果敢に挑みかかった。川村相手にタックルで何度も飛びつき、そのたびに食い止められてもあきらめず。グラウンドヘッドロックで捕らえ、獲り逃しても強引なジャーマンで引っこ抜いて見せ場も作った。その後も山宮のバックを取ってローリングするなどレスリングテクニックを披露し、フロントネックロックを仕掛けたが、山宮のローリングクレイドルでコントロールされると、最後は腕ひしぎ逆十字に捕まってタップした。

 青木さんの“欠場"によって急きょハードヒット初参戦。完敗を喫したものの随所で持ち味を発揮した。「青木さんからもらったこのチャンス、活かしきれず負けてしまって、まだまだ自分は弱いなって」と悔しさとともに痛感したが、この経験がこれからの田村にとって大きな糧となるのは間違いなし。田村も「まだまだ未熟だし、全然、何もできないですけど、もっともっとこれから上を目指して、この経験を活かして頑張っていけたら」と誓った。

 田村のパートナーとなったTAJIRIもハードヒット初参戦。自分と同じようなコスチュームを着用してきた山宮との接触を避けると、レフェリーの死角を突いて川村の右足にグリーンミストを噴射。いざ山宮と向き合うとプロレス流のトーホールドで絞め上げ、相手の股間を潜り抜けて翻ろう。山宮に捕まりかけてもエプロンに退避し、リングインと同時に相手の腕を絞め上げる巧者ぶりも発揮した。

 組み技のみのルールでも独自の世界を貫いたTAJIRIは試合後、「プロレスの原点というか、プロレスを始めた時の、プロレスって競技の原点じゃなくて各選手の原点というか、新人時代の緊張感、そういうのを凄く思い出したステージでしたね」と振り返った。珍しい元パンクラス王者二人との対戦とルールに「また、たまにこういう刺激ホントあった方がいいと思いました」と感じるものがあったようだ。

 中でも山宮はTAJIRIそっくりのコスチュームで登場。二人が対峙する姿はまるで合わせ鏡のようだった。「一瞬、現実か虚構かわかんなくなって、まるで鏡を相手に戦うような」とさすがのTAJIRIも困惑したが、「けど、そのスタイルは対極というですね。実は意外とタッグを組んだらもっと面白いかもしれない。よく双子が場外でグルグル回って入れ替わるってあるじゃないですか」とタッグ結成に色気。往年のマスクマンタッグチーム、ブラックハーツばりの入れ替わり術のイメージを今から描いていた。

 元全日本で青木さんと何度も対戦したSUSHIも参戦。DREAM、DEEP、UFCなどで活躍した総合格闘家・菊野克紀と10分間の空手エキシビジョンマッチに臨んだ。空手をバックボーンに持つ菊野に対し、SUSHIの中身とされる選手は寸止め空手の経験しかない。実力差は明らかで、SUSHIは菊野の強烈な中段回し蹴りや正拳突きを何発も食らって苦もん。逆に中段回し蹴りをヒットさせる場面もあったが、最後は左の中段回し蹴りをモロに食らって3度目のダウンを喫し、エキシビションながら途中でストップがかかった。

 内容的には惨敗だったが、何度倒されても立ち上がり、最後まで前のめりで立ち向かった。その原動力となったのは青木さんへの思い。「ハードヒットの時、青木さんが会場でいつも見て声出して応援してくれてたから、そのつもりでやりました」というSUSHIはかつて青木さんからもらったTシャツを空手着の上に着用して出陣。これまでと同じように青木さんが見守ってくれていると思って戦った。そして「耐えるしかできへんから俺。蹴られてもホンマやったらダウンするところかなって思うだろうけど、そう簡単に倒れられへん」との意地だけは貫いた。

 青木さんの中学生時代の同級生・和田拓也はセミファイナルに登場。HEAT-UPの飯塚優と対戦した。「不満しかない by青木」Tシャツで登場した和田はローキックで攻め入る飯塚がグラウンドに持ち込もうとしてもことごとく阻止。足関節も食い止めると、電光石火のアサルトポイントをさく裂。青木さんの必殺技で一気に流れを引き寄せると、胴締めスリーパーで絞め上げて飯塚をタップさせた。

 試合後、マイクを持った和田は青木さんへの思いを口に。「月曜の夜に僕の家族で親友でもある青木篤志があんなことになってしまって、今日、何でここにいないのかって意味がわかんなくて…」と悔しげに切り出し、「青木は子供の頃からかっこよくて、強くて、男前で、運動神経も凄くて、女の子にモテてて、ホントに自分なんてジェラシーばっかりで、結局レスリングも一回も勝てないで逝っちゃいましたから」と青木さんのことを思い返す。今年3月に札幌へジンギスカンと動物園に行った思い出も披露すると、「これから篤志を背負ってとか、篤志の分もとか言わないです。もっと遊びたかった。もっと話したかったし、今日もこれ終わったら銭湯一緒に行こうといってたし」と続け、「篤志! いつかまた一緒に銭湯行こう! 俺は青木篤志を誰よりも最高に愛してるから! またいつか遊んでくれ!」と青木さんにメッセージを送ると、「明日からまた生きるぞ!」と叫んだ。

【田村の話】「(青木さんの代わりに急きょ出場となったが?)青木さんからもらったこのチャンス、活かしきれず負けてしまって、まだまだ自分は弱いなって。まだまだ未熟だし、全然、何もできないですけど、もっともっとこれから上を目指して、この経験を活かして頑張っていけたらと思います。今日は本当にありがとうございました」

【TAJIRIの話】「非常に何て言うのかな。プロレスの原点というか、プロレスを始めた時の、プロレスって競技の原点じゃなくて各選手の原点というか、新人時代の緊張感、そういうのを凄く思い出したステージでしたね。また、たまにこういう刺激ホントあった方がいいと思いました。(山宮選手がそっくりのコスチュームだったが?)何かね、一瞬、現実か虚構かわかんなくなって、まるで鏡を相手に戦うような(苦笑) けど、そのスタイルは対極というですね。実は意外とタッグを組んだらもっと面白いかもしれない。よく双子が場外でグルグル回って入れ替わるってあるじゃないですか。(では次回ハードヒット参戦は)タッグで(笑)」

【SUSHIの話】「(空手エキシビションという形式で戦ったが?)終わったから言うけど、正直、菊野選手が対戦相手に決まってから、何回もビデオ観て、菊野選手が出てる試合全部チェックしたけど、観る試合全部、相手がうずくまっていて。正直めっちゃ怖かった。ビデオとか観るたびに余計恐怖心が増して。今日も現実に何もできんかったし。けど耐えるしかできへんから俺。蹴られてもホンマやったらダウンするところかなって思うだろうけど、そう簡単に倒れられへんし。せっかく今日、青木さんから直接もらったTシャツ着て出るからには。別に話題作りのつもりでやってるわけじゃないし、ハードヒットの時、青木さんが会場でいつも見て声出して応援してくれてたから、そのつもりでやりました。でもやっぱり強いわ。何もできへんもん。(中段回し蹴りが一発入ったが?)みぞおちかわからんけどアバラのとこかな。ガードしても手が痛い。あんな蹴り初めてや俺。でもホント、自分との対戦、受けてくれて本当にありがとうございました。こういう対戦相手と当ててくれた佐藤さん、ありがとうございました。また出してもらえるんだったら、精いっぱい頑張るんでよろしくお願いします。ありがとうございました」

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