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6/18【全日本】青木さんに捧げる熱戦 佐藤が真っ向勝負で岡田に激勝

『2019 DYNAMITE SERIES』東京・後楽園ホール(2019年6月18日)
○佐藤光留vs岡田佑介×

 故・青木篤志さんに捧げるべく熱い戦いを繰り広げた佐藤が、真っ向勝負の末に岡田を撃破。青木さんのいない全日本ジュニアの中心に立つ覚悟をあらわにした。

 佐藤は当初、今大会で青木さんとの世界ジュニア王座戦が予定されていたが、青木さんが急逝したため中止に。代わって、Evolutionの盟友であり、『Jr.TAG BATTLE OF GLORY』に一緒に出場することになった岡田とメインイベントの特別試合で対戦した。

 佐藤は久々に『恋しさとせつなさと心強さを』に乗って入場。Evolutionの諏訪魔、石川、S・タイガーがセコンドにつき、和田レフェリーも追悼の思いを込めて青いシャツ姿で試合をさばいた。

 まず2人は熱のこもったグラウンド戦を展開。観客たちは固唾をのんで戦いを見守る。そこから気迫全開の打撃戦に移行すると、佐藤は脇固めに捕獲して左腕攻めに打って出た。関節技だけでなく、オーバーヘッドキックやミドルキックもピンポイントで左腕に発射。岡田は苦もんするしかない。佐藤が強烈なミドルキックを土手っ腹にぶち込むと、マットを叩いて悔しさをあらわにした岡田だったが、立ち上がれずにそのまま崩れ落ちた。

 客席から「岡田」コールがこだますると、岡田は頭突きを強引にぶち込んで決死の反撃へ。痛む左腕を気にしながらも、右腕でエルボーを乱れ打つ。ミサイルキックも2連続でさく裂。佐藤がランニングローキックを狙っても、間一髪回避して、丸め込みを連発した。

 佐藤は逆さ押さえ込みを踏ん張って切り抜け、脇固めに持ち込んで左腕攻めを再開。水車落としやバックドロップを敢行すると、リング中央でチキンウィングアームロックに捕獲した。声援に応えようと岡田は脇腹に頭突きを連打して脱出するが、ダイブ攻撃は佐藤がジャンピングハイキックで阻止。コーナー上でもアームロックに捕らえた。

 メインイベントという大舞台でこのまま沈むわけにはいかない岡田は、こん身の頭突きで佐藤を逆さ吊りにすると、そこにダイビングエルボードロップを投下。体勢を崩しながらもインターセプトを繰り出してやっと好機を掴むと、ダイビングヘットバットをお見舞いし、サドンデスの構えに。

 だが、佐藤も意地の抵抗。ビンタ合戦に持ち込むと、ハイキックは頭突きで迎撃されてしまったが、カウンターのジャンピングハイキックで活路を開く。デスバレーボム、ランニングローキック、投げ捨てジャーマンと大技攻勢に出ると、なおも肩を上げた岡田を捕獲式腕ひしぎ逆十字固めで仕留めた。

 熱戦の末に、青木さんに捧ぐ勝利をあげた佐藤は涙ながらに勝ち名乗り。目を真っ赤にした諏訪魔たちも拍手を送る。岡田は顔を押さえて悔しさを爆発させたが、最後は号泣しながら佐藤と抱擁した。

 青木さんの追悼セレモニーでは、パートナーの不在に寂しさを爆発させつつも、「全日本ジュニアは一生、一生明るく激しく楽しく進化し続けます!」と誓った佐藤。バックステージでも、青木さんと一緒に全日本ジュニアで奮闘してきた日々を振り返り、「1回作れたんなら、また青木篤志のプロレスが生き残っているかぎり、もう1回作れると思うし。いつか…いつか僕も岡ちゃんもプロレスのリングからいなくなる日が来るその日まで、作り続ける。進化し続ける。それが全日本ジュニア」と自らが中心に立つ決意をみなぎらせた。

 岡田も気持ちは同じ。「俺はもっともっと青木さんにプロレスを教えてもらいたかった。もっと甘えたかった。でも、今日の試合が終わった瞬間に、もう青木さんはおらへん。もう俺は自分の力でもっとプロレスをわかっていかなあかん」と独り立ちを宣言し、「ここからはもう俺は人に頼っていたらあかん。甘えてたらあかん。俺は自分の力で、もっともっとプロレスを勉強して、もっと高みに行きたいと思います」と思いを新たに。

 佐藤が「この試合順は青木さんがくれたものだから。あの舞台は青木さんがくれたものだろ。次は自分たちの力で取る」と自らに言い聞かせるように言い放つと、岡田も「はい!」と力強く応えた。次は自分たちの力で全日本のメインイベントに立つ……。まずはジュニアタッグリーグ。青木さんの全日本ジュニアに懸ける思いを背負って、2人はこれからも最前線で戦っていく。

【試合後の佐藤&岡田】
――今日は青木さんと戦うはずだったリングで岡田選手と戦って、どういう気持ちだった?

▼佐藤「全日本ジュニアのリングの上には常に戦いがあるだけなんで。ある時、青木篤志はチャンピオンだったし、ある時、チャンピオンではなかったし、ある時は敵だったし。あと、ずっと隣にいたし。『やることは1つです』ってずっと青木さんと話してたんで。ただ、岡田選手を蹴っている時、凄い今日は蹴りが走って。あれ、俺はなんでこんな蹴りが強くなったんだろうって。ああ、そうだ、隊長(青木)を蹴飛ばすためだと思って…。違和感ですね。ここに青木さんが写真になっちゃったんだって、違和感でしかない。俺たち異物だったけど、違和感になったなって」

――岡田選手は?

▼岡田「今日、はっきりわかったことは、俺はまだプロレスが全然わからへん。全然わからへん。だから、もっともっと青木さんに叱られてでも、なにされてでも、もっとプロレスを教わりたかった。今日、光留さんと試合をして、まじまじと自分の力の無さを…。Evolutionに入ったといっても全然自分はまだまだ青木さんにも光留さんにも、足下にも及ばへんというのがホンマにわかった。だから、俺はもっともっと青木さんにプロレスを教えてもらいたかった。もっと甘えたかった。でも、今日の試合が終わった瞬間に、もう青木さんはおらへん。もう俺は自分の力でもっとプロレスをわかっていかなあかん。諏訪魔さん、光留さん、スーパーさん、そして石川さんとかにももっともっとプロレスを教わりたいけど、ここからはもう俺は人に頼っていたらあかん。甘えてたらあかん。俺は自分の力で、もっともっとプロレスを勉強して、もっと高みに行きたいと思います。今日はホンマに光留さん、ありがとうございました」

――青木さんと組んで出る予定だったタッグリーグに、この2人で出場することが決まったが?

▼佐藤「喪失感ハンパないんで。だけど今日、青木さんを見送りに、平日なのにこんなたくさんの人が来た。僕と青木さんがタイトルマッチやった時なんて誰もいなかったんですから。選手もお客さんも。今日は控え室もいっぱいだし、お客さんもいっぱいだし、マスコミの皆さんも一緒にいっぱいだし。そうやって何もないところから作ってきたんで、2人で。さっき、岡ちゃんが『教わりたかったけど、これからは自分で』って言ったように、1回作れたんなら、また青木篤志のプロレスが生き残っているかぎり、もう1回作れると思うし。いつか…いつか僕も岡ちゃんもプロレスのリングからいなくなる日が来るその日まで、作り続ける。進化し続ける。それが全日本ジュニア。いつも足りないって言われた。2人で噛みしめた。青木さんと2人で噛みしめた全日本ジュニアだから。作っていきます。その代わり、生半可じゃないからな」

▼岡田「はい」

▼佐藤「わかるだろ?」

▼岡田「はい」

▼佐藤「この試合順は青木さんがくれたものだから。あの舞台は青木さんがくれたものだろ。次は自分たちの力で取る」

▼岡田「はい。お願いします」

▼佐藤「ありがとうございました!」

▼岡田「ありがとうございました!」

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