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9/14【ZERO1】火野が被災地・千葉に捧ぐ世界ヘビー初戴冠 超肉弾戦で関本粉砕

『第16回天下一ジュニア2019優勝決定戦』東京・後楽園ホール(2019年9月14日)
世界ヘビー級選手権試合 ○火野裕士vs関本大介×

 火野が超肉弾戦の末に関本を破って世界ヘビー級王座初戴冠。ZERO1への王座奪回とともに火祭りとの“二冠"も成し遂げ、偉業を被災地・千葉に捧げた。

 日本人屈指の“マッスルモンスター対決"となる「関本vs火野」は約半年ぶり。今年2月の新木場大会でも世界ヘビー級&BJWストロング二冠王座をかけて激突し、30分フルタイムドローとなる壮絶な肉弾戦を展開して、関本が同郷・大阪の後輩にもあたる火野から王座を死守していた。

 その後3月に火野はZERO1に入団。夏には火祭り初制覇も果たして、今回は“ZERO1所属"としての王座奪回の命題を背負って、関本の前に立った。

 やはり、のっけから小細工無用の真っ向勝負。ともに相撲流の“立ち合い"からショルダータックル合戦でぶつかりあえば、それだけで場内は熱を帯びた。すかさず逆水平合戦に移行し、痛々しい重い破裂音が交錯する。ともに意地でも退かない逆水平合戦は場外にもおよび、観衆の目前でド迫力の打撃戦が展開された。

 リングに戻ったところで攻勢に出たのは関本。飛びかかってきた火野を空中キャッチする離れ業から、シュミット式バックブリーカーをズバリ。そのまま腰攻めに転じてアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げ、逃れられても逆片エビ固めで絞めに絞め上げた。

 ロープをつかんだ火野もフライングショルダータックルや力技のブレーンバスター、Tボーンスープレックスで巻き返したものの、関本はまだまだ崩れず。逆にコーナーに上がった火野を雪崩式ブレーンバスターで投げ飛ばして流れを引き戻すと、ダイビングボディプレスからのジャーマンで早くも仕留めにかかった。

 踏ん張った火野もラリアットの正面衝突に持ち込んで競り勝つと、豪快なフロッグスプラッシュ投下で応戦したものの、関本も続くFucking BOMBは悠然とリバース。猛烈なラリアットの正面衝突に持ち込むと、真っ向から競り勝って逆転し、なんと“逆"Fucking BOMBを繰り出して場内も大きくどよめいた。

 火野も意地のキックアウト。投げ捨てジャーマンの発射合戦に持ち込むと、再びラリアットでぶつかり合う。関本がガクッと崩れ落ちたところで、火野がついにFucking BOMB発射に成功だ。

 それでも関本はかろうじてキックアウト。2発目のFucking BOMBを着地してラリアットで突っ込んだが、轟音とともに火野は仁王立ち。そのまま両者は猛烈なショートレンジラリアット合戦を繰り広げ、重い破裂音が何度も交錯したものの、カウンターのジャンピングハイキックで競り勝った関本が、必殺のジャーマンで完璧にぶっこ抜いて固め、勝負あったか…と思われた。

 だが、火野はギリギリでキックアウト。驚きを隠せない関本は、コーナーに上がって追撃を狙ったものの、必死に追いすがった火野は背後にしがみつく。そのまま怪力で関本をコーナーから引きずり下ろすと、必死にロープをつかんで踏ん張る王者を、再び力ずくのジャーマンでぶっこ抜いて固め、完璧な3カウントが数えられた。

 火野が関本を破って約10ヶ月ぶりにZERO1に世界ヘビー級王座を奪回。自身としても初戴冠で、今夏火祭りと合わせて“二冠"を達成した。試合後にはブードゥ・マーダーズのクリス・ヴァイスが早速挑戦を表明したが、マイクを握った火野の口を突いたのは、台風15号の影響で停電や断水が続く“被災地・千葉"への思いだった。

 千葉市内にジムを構える火野だが、被害の大きい千葉県南部に物資を届けるなど、ここ数日は救援活動にほん走してきた。

 火野は「びっくりするくらい疲れた。英語が凄いうまい人は置いといて…皆さんにひとつ言いたい! ついこの間、台風で千葉県のほうがエラいことになった。自分も被害を受けたけど、復旧も早くてすっかり元の生活に戻れるんかな…とほとんどの人が思ってた。でも実際そうではなくて、電気も水も通ってない人たちが大勢いた。自分がそれをSNSで流したら、その日の夕方にはウチのジムにものすごい量の食べ物や飲み物、必要なモノが届いた。自分の一声で反応してくれた皆さん、本当にありがとうございます! 皆さんのおかげで、館山の人たちが涙流して喜んでる顔がみれた。ありがとうございました!!」と感謝し、場内も大きな拍手に包まれた。

 今夏火祭りを制した際は、児童養護施設を訪れた際に胸を打たれた思い出を言葉を詰まらせながら語って「いじめ撲滅」を訴えた火野。今回は被災地・千葉に激闘と偉業を捧げた。“気が優しくて力持ち"を地で行く火野が、熱い闘いと社会貢献を掲げるぬくもりあるZERO1マットで完全なる中心に立った。

【試合後の火野】
▼火野「強い。やっぱり関本大介は強いなあ。最高や。もっと彼との試合にホンマは集中せなあかんのにな。まあでも、自分の思うようにやって、しっかりやるつもりやったけどな。まだまだ厳しかった。でもな、勝ったんは俺や。どんなに無理矢理なジャーマンでもな、勝ったんは俺や。プロレスちゅうのは戦いや。最後に3カウントを決めたなちゅうことやな」

――試合後にヴァイス選手から挑戦表明があったが?

▼火野「ホンマに悪いけど、英語やし、ムッチャ疲れてるし、なに言ってるかわからんかった。でも、クリスがあのタイミングで上がってくるってことは、まあ、俺とこのベルトを懸けて戦いたいっちゅうことやろ? そんなもん、やったらええよ。あいつとのシングルなんて何回もやっとる。勝手に挑戦してきたけど、だってこっちに断る理由はないからな」

――初めてベルトを手にした気持ちは?

▼火野「重みがあるね。見てわかると思うけど、ごっついし、立派なベルト。いろんな人が巻いた重みがある。このベルトは大事にせなあかんね」

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