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11/27【みちのく】ハヤトが“がん闘病しながらのリング復帰"へ涙の訴え、人生社長も条件付きゴーサイン 『ハヤトエール』にトップレスラー集結

 がん闘病中のフジタ“Jr"ハヤトの支援大会『ハヤトエール』が27日、東京・新宿FACEで開かれ、ハヤトゆかりのレスラーが集結。ハヤトは涙を流しながら「俺はこのリングで試合がしたい」と“闘病しながらのリング復帰"を訴え、みちのくプロレスの新崎人生社長も、「医師の許可」の条件付きで前向きな姿勢を示した。

 左ヒザのじん帯断裂で2017年4月から欠場していたハヤトだが、長期欠場中に32歳の若さでがんに冒されていることが分かった。

 腰の脊髄にがんを認める脊髄腫瘍髄内腫瘍上衣腫(せきずいしゅよう・ずいないしゅよう・じょういしゅ)と診断され、今年5月に5時間半におよぶ大手術を受けた。一方で手術内で新たな腫瘍も発見され、現在も闘病中。それでも「リングに戻る」ことを目指し続けている。

 当初は支援大会の話も「リング復帰を控える現役レスラー」の立場を貫いて断っていたというが、マッチメークを一任されたことで「一緒にファンと楽しめる良いチャンス」と心変わり。「ハヤトは元気」と健在を示すための“お祭り的"な興行として、自らプロデュースしての開催を決断した。

 そしてハヤトが全5試合を組み、親友のレゲエアーティスト・J-REXXXもライブを行う支援大会が実現。ザ・グレート・サスケ、新崎人生、現東北ジュニア王者のMUSASHIらみちのく勢をはじめとして、かつて定期参戦していたZERO1からは、大谷晋二郎、田中将斗、日高郁人、SUGIの4選手が参戦。ほかにもNOAHからは拳王、ドラゴンゲートからは望月成晃、フリーダムスの佐々木貴も駆けつけた。フリーの金本浩二、竹田誠志、阿部史典も出場。2011年に引退した“一般人"澤宗紀さんもリングに上がった。経費をのぞく大会収益は全額、治療費にあてられた。

 オープニングに登場して、その場で全5試合の試合順を決定。ハヤトがメインに据えたのは、「拳剛&竹田誠志vsのはしたろう&望月成晃」のタッグマッチだった。

 現在はみちのく所属の拳剛は、ハヤトがユニット『BAD BOY』に引き入れた盟友。トップ・デスマッチファイターの竹田は高校(都内の自由ヶ丘学園)の先輩にあたる。ハヤトの目前で竹田は望月とバチバチの打撃戦を展開し、終盤には拳剛ものはしと熱闘。のはしが「ハヤト!」と叫びながらのダイビングヘッドを投下して好機を作ったものの、ドロップキックで逆転した拳剛が最後はダイビングボディプレスでのはしから3カウントを奪ってみせた。

 全試合を会場奥で観戦し、ライブにも飛び入り参加したハヤトだったが、メイン後のリングでは目を赤く腫らしていた。マイクで「今日は泣かないって決めたんですけど、途中からずっと泣いてました」と明かしたうえで、胸に詰まっていた思いの丈を吐き出した。

 「新崎人生社長、聞いておいて欲しいことがあります。あとは拳剛、ちょっとおいで。今日まで、本当にたくさんの人たちからメッセージをもらって、この3年間で手術もめっちゃして、腫瘍を取ったんですけど、神経にくっついてるものは残して。その理由はただひとつ。…俺はこのリングで試合がしたい!」。

 涙声で言い切ったハヤトは、「皆さんに元気になって欲しいから俺はこのリングで闘ってるワケで。(泣いている)この姿は俺は嫌です。だから…試合をさせてください。俺が生きるためには、このリングで……もうどんな姿になってもいいです!……ただただ、試合がしたい。拳剛、俺とシングルをやってください」と対戦相手に拳剛を指名し、拳剛も黙って握手に応じた。

 いわば“闘病しながらの復帰"を決断した形。あいさつに立った人生社長は「レスラーはこのリング上で、殴られたり、蹴られたり、投げられたり。その痛みに耐えることができるのも、たくさんの声援があるからです。先ほどハヤトから『試合がしたい』と。苦しい抗がん剤の治療や、ガンの痛みに、リングに上がることで耐えることができるのなら、その望みを叶えてあげたいとは思います」と理解を示したものの、「ただ、ハヤト。担当の先生ときちんと話をして了解を得てくれ。我々の判断のみでは難しいところなので」と条件をつけた。そして「皆さんの応援が、ハヤトにとって一番の抗がん剤だと思います」とも静かに話した。

 最後はフィナーレでリング上に集結した参加全選手に深々と頭を下げたハヤト。「また必ず帰ってきて、ここにいる選手を倒したいと思いますんで、皆さんもう少し待っていてもらえたらと思います。本当に今日は皆さん、たくさんのパワーを、元気を、ありがとうございました!」と誓いながら感謝し、鳴り止まない大ハヤトコールに「今度は僕が皆さんにエールを送る番です」と約束して『ハヤトエール』の幕が下ろされた。

 ひとまずは“闘病しながらのリング復帰"へ、担当医の許可を得ることが目標になるが、バックステージでは「腫瘍なんて余裕です、足立区のヤンキーに比べたら(笑) まぁホントに、今日は楽しかったっすねえ……眠れそうです、今夜は」と“ハヤト節"をさく裂させながら、しみじみ笑った。病院通いの日々のなかで、刺激と温かみが充満した空間は、何よりの“薬"となったことは間違いない。


【ハヤトのコメント】
――試合がしたいという発言もあったが?

▼ハヤト「僕は何回も言ってるんですけど“観る側"は向いてないんですよ。だから今日はプロレスとか格闘技を観てて、小さかった頃に戻って、思い切り騒ごうかなと思ってたんですけど、始まったら始まったで『俺はなんで観てんだ』って思ったり。でもみんな、凄い試合をしてくれたし、だから余計に出たかったっすね。で、やっぱり一番思ったことは、ファンの皆さんからパワーをもらうのは、俺らの仕事ではあり得ないことだと思うんですよ。だから、これだけ待ってくれてますし、仲間も、ファンも。早く戻らないと。その思いが強くなったっすね」

――人生社長は医師からのゴーサインが出れば、早いうちに試合させてあげたい、とのことだったが?

▼ハヤト「完全に暴走気味に俺は言ったので。ここから先生説得するのも俺ですし、俺がいつ行けるのか?っていうのは俺次第なんで。まぁでも、大丈夫っす。大丈夫って思って、治療もしてるし、リハビリもしてるし、復帰に向けてやってきてるので。“試合がしたい"っていうのは、完全復活に向けて………もうねえ、うんざりなんですよ。毎日毎日、病院行って。ホントに。暴れたい。そろそろ。その相手にふさわしいのは拳剛だと思ってるし、あいつの今日の試合を見て、一緒にやろうって言って良かったなって思ったし。(BAD BOYに)誘った場所もここ(新宿FACE)だったんで。あとはやっぱ…金髪の赤いヤツ(拳王)ともやりたいっすね。(今日も)思う存分蹴れてないと思うし、あいつの蹴りとか見ると燃えますよね。サイコー」

――気持ちが燃えているうちに?

▼ハヤト「そうですね。でも『心配しないで』っていうのはたぶん無理だと思うんですよ。ただ、俺が元気にリングに上がっただけで“おかえり感"が出ると思うし。『そんな体で試合しないで』っていう声も聞くし。そういうのも全部受け止めて、『やっぱりハヤトはリングが似合うな』って思ってもらえるような試合がしたいから、これから(担当医を)説得して、それが一回ぽっきりにならないように。後の治療も続くし。やっぱり“ガン"という大きいものに……なんか…負けそうになる時もあるんですよ。でも全然。俺が倒さないと誰が倒すんだよって。あとね、上からもの凄いパワーが見てくれてるんで。闘うことはあきらめない。いいんじゃないですかね!? (リングで)闘いながら病気と向き合っていくのも。俺は生きるためにそうしたい。まだやらなきゃいけないことがあるし、絶対死ねないし、引退もできない。だから闘いますよ」

――実際、担当医に試合がしたいと相談してみたことは?

▼ハヤト「ありますよ。手術前も何回もしてましたし、僕を治すためのチームがあるので。その先生たちとは、いついつ復帰したいとか、まぁ復帰ってなると、相当な連戦とかもありますし、そういうのはできるのか?とか、そういう話はちょくちょくはしてるんですけど、今までは僕がこうやって、周りにあんまり発信して来なかったから、それが実現しないというか。凄いワガママですけど、体も自分のなかで考えながら試合に出られたら一番いいし、それをしていくなかで腫瘍もなくなって『もう大丈夫』ってなるんであれば、それが一番最高ですよね。このまま何もしないで、ただただ腫瘍が大きくなって、治療が続いて…っていう状況がすごく嫌なんで。だから僕にストレス発散する場所を…って言ったら、あそこ(リング)しかないんで。だから僕の相手とかは大変ですよね(笑) そういうこともあって、拳剛だったら来てくれるだろうと。だから“いついつ、ここで復帰したい"っていうのはこれから。まぁでも、本当に僕だけの気持ちでいったら、いつでもいいです。でも、親もいるし、会社の人たちにも心配かけてるし。でも一番は僕が試合することで、みんなが元気になれる日が来る。それが一番ですね」

――トレーニングもしている?

▼ハヤト「体の調子が良い時は、ミット蹴ったりしてるんで。ノリさんのジム(KRAZY BEE)で。写真(師匠である故山本“KID"徳郁さん)が飾ってあるんですけど、すごく“見られてる感"があるんで、無理しちゃうこともあるんですけど、やっぱりジムに言ってる時が一番楽しいし。でも何でそこに行ってるのか?って言ったら、みんなが待ってる場所に帰ってきたいから。だから俺たちは試合をすることで『俺もできる』と思ってもらえる人じゃないといけないので、今日はいつもと逆だな…っていう。エールをたくさんもらって、それを返すのはリングで試合をすること。だから思いっきり治療もして、がんばりますよ。ハイ。腫瘍なんて余裕です、足立区のヤンキーに比べたら(笑) まぁホントに、今日は楽しかったっすねえ……眠れそうです、今夜は」

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