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1/1【ZERO1】岡林と壮絶肉弾戦…火野が新春V3 団体20周年へドームも「夢じゃない」

『すしざんまいPresents 謹賀新年』東京・後楽園ホール(2020年1月1日)
世界ヘビー級選手権試合 ○火野裕士vs岡林裕二×

 ZERO1元日恒例の後楽園大会メインで世界ヘビー級王者・火野が、大日本・岡林との“Wユージ対決"を壮絶な肉弾戦の末に制してV3に成功。ZERO1特有の温かい空気感を“ファミリー"と表現しつつ、旗揚げ20周年イヤーとなる来年(2021年)を見据えて、東京ドーム進出も「夢じゃない」と力を込めた。

 2020年も聖地・後楽園ホールの“プロレス初め"はZERO1が担った。メインに据えられたのは王者・火野に大日本・岡林が挑戦する世界ヘビー級王座戦。昨年の風林火山タッグトーナメントに“Wユージ"として出場し、圧倒的な強さで優勝した両雄は、「今度は闘って盛り上げよう」と新春後楽園決戦でのパートナー対決を選んだ。

 のっけから、小細工無用“すぎる"ほどの真っ向勝負に。排気量の多い手四つ、ショルダータックル合戦を繰り広げ、一発の“説得力"がまたたく間に積み上がっていく。競り勝った火野が“怪力"スリーパーで絞り上げれば、岡林もブレーンバスターやアルゼンチンで応戦。逆水平合戦に発展すれば、当然、火野が後ろで手を組む代名詞の“ノーガード受け"も飛び出し、迫力の熱戦に聖地の観衆も正月からのめり込んだ。

 一方で岡林のゴーレムスプラッシュ、火野のフロッグスプラッシュはともに剣山で迎撃しあって決定打は許さず。中盤過ぎには猛烈なラリアットで正面衝突を繰り返し、そのたびにバチーン!という破裂音と、大量の汗が飛び散った。

 ところが、その意地のラリアット合戦で火野が左目じりをカットするアクシデント。まぶたが瞬時に腫れ上がり、流血で“独眼竜ファイト"を強いられた形となった火野だが、大魔神のごとくに立ち上がると、殴るようなショートレンジラリアットでぶっとい腕を叩き込む。岡林も同じくショートレンジの左ラリアットを全力で叩き込み返し、そのまま両者はこん身のショートレンジラリアットを放って、それを真っ向から受け止め合う壮絶な肉弾戦に突入。

 火野がノーガード受けを繰り出せば、岡林もお株を奪うノーガード受けで“応戦"する意地の張り合いにエスカレート。場内も熱気が充満したが、競り勝ったのは王者だった。強烈な一撃で岡林の立ち上がる気力を断ち切った火野が、最後は満を持してのFucking BOMBで叩きつけ、まさに“ねじ伏せる"形となる3カウントを奪ってみせた。

 火野が“Wユージ対決"を制して世界ヘビー級王座“新春V3"に成功。試合後には佐藤耕平が現れて無言で挑戦をアピールし、火野も快諾した。他方で、この日ZERO1ジュニア完全制覇を成し遂げたHUBが「次は世界ヘビーを狙う」と発言したことにも言及。HUBは盟友のGAINAを世界ヘビー獲りの“刺客"に差し向ける構えだといい、火野も「このベルトに興味のあるツワモノが大歓迎。なので佐藤耕平は、その闘いが終わってから挑戦してください」と、まずGAINA、次に耕平…の順番をつけた。

 激闘を繰り広げた岡林とは、ノーサイドで抱擁。「岡林裕二。彼は去年、自分が(千葉台風被害の)ボランティアで動き出した時に、他団体にも関わらず一番最初に『火野選手、手伝わせてください』と言ってくれた選手。そこからちょこちょこ一緒に行くようになって、ボランティア活動のなかで一緒に感動して涙を流したり、いろんな人と出会った。ホンマに岡林裕二は、心も体も熱くて素晴らしい人間です。ZERO1の2020年、彼で良かったと心の底から思ってます。岡林裕二、ありがとうございました」と火野がマイクで感謝すると、場内は温かな拍手に包まれた。

 ともあれ、これで昨夏の火祭り、風林火山タッグトーナメント、そして元日興行…と、ZERO1恒例の要所でことごとく“主役"を獲得。昨年入団したZERO1への深まる愛情を、ユーモアを交えながらマイクで語った火野は「ホントに心の底から言えますよ。選手もスタッフも、ZERO1のみんなが大好きです。今日来てくれたお客さんもみんな大好き!……って言ったらしゃべったこと無い人もおるし、嘘かもしれない。ホンマに口だけで『愛してまーす』とか『大好きでーす』じゃない。口だけじゃなく、ホンマに心の底からみんなのことを大好きになりたい!」と“真の信頼関係構築"を叫んで場内も火野コールに包まれた。

 さらに火野は「だってここにいる人たち、みんなZERO1ファミリーじゃないですか。自分はまだまだ有名人というにはほど遠いかもしれない。でも、こうして良い試合をすれば話を聞いてくれる。その人たちにZERO1のやってることの素晴らしさ…プロレスでプロレス業界だけじゃなくて世の中を変えたい。イジメ撲滅、虐待なんて絶対なくそう。せっかく健康に生まれてきて、精神病んで死んでいく。そんな悲しい話ない! だからそういうことを、一人でも多くの人たちに伝えていきたいです」と改めて熱く訴えた。

 2001年の旗揚げから、体制や団体名などが変わったZERO1だが、特有の“アットホーム"な空気感は守り続けている。火野は「そのためにはZERO1ファミリーの皆さんの力が必要だと思います。みんながいれば横のでっかいとこ(東京ドーム)も夢じゃないと思うんですよね。今年はZERO1、19周年。この1年は大事になると思います。20周年は大きいところでやりたいですよね?」と提起。温かな空気感を“ファミリー"と表現しつつ、早くも旗揚げ20周年イヤーを見据えると、“ZERO1ファミリー"の観衆も大拍手で呼応した。

 最後は火祭り刀を振り上げながら、「いじめ、虐待ぶった斬る! 3、2、1ゼロ・ワーン!」を唱和して締めくくった火野。すっかりZERO1の顔になった心優しき王者が、2020年も“ZERO1ファミリー"の先頭に立つ。

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