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2/22【新日本】中西が必殺技リレーでごう沈、完全燃焼でリングに別れ 「死ぬまでプロレスラー」誓う

『中西学 引退記念大会』東京・後楽園ホール(2020年2月22日)
中西学引退試合 ○棚橋弘至&オカダ・カズチカ&飯伏幸太&後藤洋央紀vs天山広吉&小島聡&永田裕志&中西学×

 ラストマッチで中西が棚橋たちの必殺技4連発でごう沈。完全燃焼して27年4ヵ月にわたるレスラー生活に終止符を打った野人は「現役は終わりなんですけど、一度プロレスラーになったからには、死ぬまでプロレスラーやと思ってます」と宣言し、最後は「1、2、3、ホー!」と野人らしく拳を突き上げた。

 専修大学レスリング部出身の中西は、バルセロナ五輪日本代表という実績を引っさげて新日本入団。92年10月、SGタッグリーグで藤波辰爾のパートナーに抜擢されて、鮮烈なデビューを飾った。99年には第三世代として初めてG1クライマックスを制覇。2000年代前半には総合格闘技やK-1にも挑戦した。至宝・IWGPヘビー級王座には縁が無かったが、2009年5月に棚橋弘至を破り、歓喜の初戴冠。また、永田裕志や大森隆男などと組んで、タッグ戦線でも活躍した。しかし、首の負傷の影響もあって、今年1月に引退を発表。引退ロードで日本全国を回り、遂にラストマッチを迎えた。引退試合では長年苦楽を共にしてきた第三世代の天山&小島&永田と合体。オカダ&棚橋&飯伏&後藤という強力カルテットと激突したが、中西は最後まで暴れ回った。

 「野人」と書かれた応援ボードと大歓声に迎えられると、実況席から長州力も見守る中、中西は先発を買って出て、いきなりオカダと対峙。オカダは大胆にもアルゼンチンバックブリーカーを狙うが、中西は腰をドッシリと落として阻止すると、見本を見せるようにアルゼンチンで担ぎ上げる。背後に不時着したオカダはレインメーカーを放ったものの、中西はそれをかいくぐり、地獄突きやクロスチョップを突き刺した。場内は「中西」コール一色に。

 中西のラリアットが誤爆すると、そこから天山が捕まってしまうが、盟友の引退試合で負けてなるものかと猛攻を耐えきる。あとを受けた小島も永田も得意技を惜しげもなく披露し、いい場面で中西にタッチを渡した。

 目の前に立ったのは、11年前に同じく後楽園ホールでIWGPヘビー級王座を懸けて対戦した棚橋。野人は燃えた。逆水平で快音を鳴らすと、援護に回った永田が放ったフロントハイキックが誤爆となるも、その永田にまで逆水平を突き刺し、アルゼンチンで担ぎ上げた。そして、永田の身体を棚橋に投げつける“人間爆弾攻撃"を敢行。すぐさま仲直りすると、揃って野人ダンスを披露し、ラリアットをぶち込んだ。

 相手チームの反攻を受けても野人は止まらない。棚橋をコーナー最上段からの雪崩式ブレーンバスターで投げ飛ばすと、豪快なダイビングボディアタックで飛翔。中西がアルゼンチンで棚橋を担ぎ上げると、永田、天山、小島も関節技でオカダらを分断し、すかさず中西はヘラクレスカッターで畳みかけた。大☆中西ジャーマンは飯伏と後藤に阻止されたものの、2人をブレーンバスターで同時に引っこ抜き、中西の持ち味を十二分に発揮する。

 しかし、オカダのドロップキックを突き刺すと、棚橋がスリングブレイドで続いて野人を足止め。4人で中西を取り囲む。ブーイングまで飛んだものの、後藤のGTR、飯伏のカミゴェ、オカダのレインメーカー…と容赦なく必殺技を連発。意識もうろうとなったところで、棚橋がハイフライフローを投下すると、中西はそのまま3カウントを聞いた。

 必殺技4連発で介錯された中西はしばし大の字。永田たちに抱き起こされて立ち上がると、中西に声援が集中する。最後の相手を務めたオカダたちと握手を交わすと、最後は8人で手を掲げた。

 引退セレモニーでは、「いつもニシオ君にダメ出しばっかりしたけど、やっと力がついてきたなと思ったけど、辞めるんや。ショックやわ。でも、これからも長い人生、頑張ってください」(天山)、「私は25年以上の付き合いで、中西さんが試合以外で怒っているところを見たことがありません。本当にずっと優しいままの人でした。これからもずっと、力が強くて、優しくて、そんな中西さんでいてください」(小島)、「レスリング時代からの付き合いで33年以上も先輩は俺に強くて大きな背中を見せてくれました。本当にありがとうございました。今日でリングを降りますが、次の人生でも強くてデカい大きな背中を僕らに見せてください」(永田)と第三世代の面々が中西の労をねぎらった。

 新日本正規軍のほか、坂口征二相談役、選手大学の先輩にあたる長州力、馳浩、デビュー戦のパートナーを務めた藤波辰爾も花束を贈呈。馳は「デビューをした時から今日まで見させていただきました。最後までいい身体を作って、サポーターをしないで、しっかりとリングの上で戦うことができたのも、親父とお袋、そしてお客さんの皆様のおかげです」と中西と一緒に頭を下げた。

 現役選手たち、先輩たちに囲まれ手感極まった中西はマイクを持つと、「こんなにたくさんの方に支えていただきまして、今日来ていただきまして、本当にありがとうございます。奇跡のようにオリンピックに出て、それでホンマは大したことないのに、新日本プロレスに取ってもらって。いい気になっていろんな失敗を繰り返して。そやけど、みんなに支えられて。特に永田、天山さん、小島さん…。切磋琢磨してもらって何とか、先輩に鍛えられて何とか、後輩にケツ叩かれて何とか、ここまでやってこれました。本当にありがとうございます」と感謝のメッセージを送った。

 「さっきまで歩けへんぐらい足を引きずってても、皆さんの声援を受けたら急に動けるようになるのがレスラーやと思う。そう思わへん? 違うかな?」と問いかけて「中西」コールを巻き起こすと、「これで終わりやのうて、現役は終わりなんですけど、一度プロレスラーになったからには、死ぬまでプロレスラーやと思ってますんで。マサ斎藤さんもそう言いはりました。そやから、死ぬまでプロレスラーとしてトレーニングを続け、そして第二の人生を思いっきり歩んでいきたいと思います」と熱く語って締めくくると、場内は大きな拍手に包まれた。

 札止めの観客が見守る中、引退のテンカウントゴングが打ち鳴らされる。その後、中西が客席に深々と頭を下げると、選手たちがリングに上がって胴上げ。最後は「1、2、3、ホー!」の大合唱とともに拳を突き上げ、27年4ヵ月にわたるレスラー生活に終止符を打った。

 バックステージでは「誰かて歴史と戦ったりとか、いろんなもんと戦ってると思うんですけど、せやけど一番はお客さんなんで。お客さんに喜んでもらえる試合をしてほしいです」と後輩たちにメッセージを送った中西。今後については「長いこと続いている家業をうちはやってますんで。京都の宇治茶を。そのほうをやっぱり兄と一緒にゆくゆくは継いでいきたいと思います」と語っていたが、「ただ、今はプロレスに携わっていきたいと思うし、携わりながらでもそのお茶の仕事はできるはずですから。せっかくやってきたことを活かしていきたいと思います」とプロレスにも関わっていく予定だ。

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