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3/20【DDT】田中が竹下を死闘撃破でKO-D王座V2、4・12後楽園で坂口迎撃

『Judgement2019〜DDT旗揚げ23周年記念大会〜』東京・後楽園ホール(2020年3月20日)
KO-D無差別級選手権試合 ○田中将斗vs竹下幸之介×

 竹下との死闘を制し、田中がKO-D王座V2。試合後、坂口征夫が挑戦表明し、4・12後楽園でのV3戦が決定した。

 DDT旗揚げ23周年を記念して行われた今大会は、新型コロナウイルス禍の影響で、DDTとしては約3週間ぶりの興行(無観客試合は除く)となった。観客だけでなく、選手、スタッフ、取材陣も検温と手の消毒が義務づけられ、休憩時間には窓や扉を開放して換気し、試合のたびにリング上も消毒された。

 メインイベントはKO-D無差別級選手権試合。王者・田中に竹下が挑戦した。ZERO1の田中は1・26後楽園でHARASHIMAを下して王座初戴冠。至宝の他団体流出という非常事態を受けて、2・23後楽園ではMAOがベルト奪還に挑んだものの、田中が返り討ちに。試合後、田中は次期挑戦者に竹下を指名。竹下も「俺はあなたと戦いたいし、絶対に勝てる」と受諾し、両者の対戦が決定した。

 トップロープ越えのトペで先制した竹下だったが、田中は右ヒザ攻めで打開。鉄柱を使ったレッグロックに捕獲し、パイプイスで容赦なく痛打した。その後もあの手この手で一点集中攻撃を継続。右ヒザめがけてスライディングDを突き刺すと、場外に転落した竹下をテーブルに寝かせて、コーナーからスーパーフライを投下。強烈な一撃でテーブルはへし折れる。

 竹下はリング上にパイプイスを持ち込んだ田中にフロントハイキックを放つも、セコンドの飯野に誤爆。ランニングエルボーも避けられて、松井レフェリーを巻き込んでしまい、リング上は無法地帯に。ここがチャンスと、田中はパイプイスを脳天に振り下ろしたが、竹下は絶叫とともに仁王立ち。豪快なパワーボムで反撃ののろしをあげた。コーナー下で座り込む田中の顔面にパイプイスを固定すると、フロム・コーナー・トゥ・コーナーをズバリ。豪快なブルーサンダーで追い討ちをかけた。

 田中も譲らず、ここから壮絶な意地の張り合いに発展。ブレーンバスター合戦を繰り広げ、垂直落下式も交錯するが、どちらも動きを止めない。田中のスライディングD、竹下のランニングニーがどちらもクリーンヒットし、大技合戦も互角の様相。田中のスーパーフライは竹下がヒザを突き立てて撃墜し、掟破りのスライディングDに繋げたものの、竹下のダイビングボディプレスは負けじと田中が剣山で迎撃し、スライディングDでお返しする。ヒザ立ちになった2人は頭突きやエルボーをこれでもかと打ち合うと、今度はラリアット合戦へ。同時に突進したが、竹下が強引に浴びせ倒して押し切った。

 竹下はすかさずジャーマンで追い討ちをかけると、必殺のクロスアーム式ジャーマンを狙うが、田中はエルボーを乱射して抵抗。竹下は作戦を変更して、スリーパーで絞め落としにかかるが、田中は強引に振り払い、なおもエルボーにこだわる。下がらない竹下は左右のビンタで呼応。強烈なエルボーがお互いのアゴをかすめると、竹下は首固めで不意を突き、キックアウトされてもランニングニーで突っ込んだ。

 だが、田中はこれをヒジでブロック。序盤の右ヒザ攻めが尾を引き、たまらずヒザをついた竹下に対し、田中はスライディングDをぶち込むと、延髄にも突き刺した。3発目を狙ってロープに飛ぼうとする田中の足にしがみついて執念を見せた竹下は、「負けるか!」と絶叫してエルボーを叩き込んだものの、田中はサポーターを投げ捨て、生ヒジ式のローリングエルボーを一閃。強烈すぎる一発で死闘を制した。

 田中がKO-D王座V2。会心の勝利を挙げた王者は「今のご時世で、DDTの大会が何本が飛んで。皆さんも来れへんかった大会がいっぱいあると思う。でも、今日の戦いを見て、そのフラストレーションは飛びましたよね? この状況でメイン、竹下幸之介…あなたとやれて、俺は幸せでした」と満足げに宣言すると、竹下も潔く敗北を認め、「俺は決めた。田中将斗、あんたを超えるまで俺は追いかけ続けるから、また試合をしてください。今日はありがとうございました」と田中に頭を下げた。

 次の防衛戦は4・12後楽園。田中は「やっぱHARASHIMA、遠藤、竹下というのは俺に凄く刺激を与えてくれた人間で。でも、この3人を退けたんやったら、あとは誰も出てけえへんのやろ? そんな刺激のないヤツらは並んで来たらええんちゃう?」と言い放つが、その言葉に呼応した坂口征夫がリングに飛び込む。田中はサッと場外に退避した。

 坂口は「おい、田中。刺激がねえだと? いつどこ持ってるヤツは誰も来ねえのか。いねえなら、4月は俺に挑戦させろ」と表明。田中は「誰も出てけえへん。だったら、俺も仕事がないから。殺るか、殺らへんかの試合をリーグ戦でやれたと思っているし、望むところですよ。来てくれてありがとう」と歓迎し、両者の対戦が電撃決定した。

 坂口は「そのDDTのベルト、必ず取り戻させてもらう」と宣戦布告。エプロンに上がり、ロープの上に立った田中とにらみ合う。田中が去っていくと、坂口は「樋口、お前も遠藤の持っている(挑戦)剣、あれに行け」と指示し、「6月さいたまSA、俺らEruptionで占拠してやるよ」と6・7さいたまSAでの同門対決を見据えた。

 23周年興行を締めくくったのも坂口だ。新型コロナウイルス問題に触れ、「DDTの選手一同はこのリングで戦って、皆さんを勇気づけることしかできないかもしれないですけど、それでも俺らはこのリングで頑張っていこうと思うんで、これからもDDTをよろしくお願いします」と力強く宣言すると、場内は割れんばかりの拍手に包まれて終幕となった。

 今後、DDTは新型コロナウイルスに関する対策を最大限に進めつつ、会場や自治体からの中止要請がない大会を除いて興行を再開する予定。海外も大混乱に陥り、外国人選手の来日が中止になるなど様々な部分で影響を受けているが、高木社長は「我々は明るく前を向いていくしかない。コロナ対策に充分気をつけて、引き続きDDTは頑張りたいと思います」と前向きだった。

【試合後の田中】
▼田中「もうリング上で言ったことが全てですね。こういうご時世の中で、DDTのプロレスが見れない、会場に行けない、そういうフラストレーションがファンの人の中で多少なり溜まっていたと思うんで。この大会で、周年のメインで、竹下幸之介とやれて、溜まっていたものというのは全てファンの人は出せたんじゃないですかね? 今日、チャレンジャーとして来た竹下幸之介も、今までプロレスができひんかったフラストレーションを全て解き放てたんじゃないですかね?」

――試合後、坂口選手が挑戦に名乗りをあげたが?

▼田中「誰も出てこない中で出てくるというのは、DDTに対するプライドもあるし、他団体の人間がベルトを持ってて、ずっと悔しい思いをしてきたことが彼にそうさせたと思うし。僕はリーグ戦の中で勝ちましたけど、殺るか、殺られるかの試合を坂口選手とはやったと思うんで。次にやったらどうなるかはハッキリ言ってわからないですけど、僕はこのベルトを巻いて凄く愛着が出てきたんで、ずっと持っている気持ちではいるのでね。タイトルマッチまで気持ちを高めて、挑戦者の前に立ちたいと思います」

――結果的に前哨戦がないまま、竹下選手との一発勝負となったが、それがいいほうに作用した?

▼田中「どうですかね? 別に前哨戦があろうがなかろうが。僕はこの間のリーグ戦だって、初めての対戦相手とばっかりやっているわけですから、前哨戦があるもないも別にあんまり気持ちの変化というのはないですね。逆に初めて対峙して肌に触れるという、そういう楽しみのほうが勝っていたと思います」

――試合をして、どのあたりに竹下選手の強さや可能性を感じた?

▼田中「上背もあるし、パワーが凄いよね。外国人選手だったらあれほどのタッパだったり、パワーがある選手というのは何度か対戦したことがあるんですけど、あの上背であれだけのパワーがあるというのは本当に武器だと思うし。面食らったというのは正直な気持ちです。あれほどパワーがあるとは思ってなかったので、ビックリしたというのが正直な気持ちです」

――真っ向からフィジカルで勝負しにいった印象を受けたが?

▼田中「彼のことをアスリートレスラーだと僕は勝手に思っているので。僕もそういう風に見られることが多いので、そこで勝負したいなというのはあったし。力では正直勝てなかったかなというのはありますけど。パワーではね。体力面では負けてなかったという自負は今のところあります」

【試合後の竹下】
▼竹下「完敗でしたね。今日という日に関しては悔いがないです。もうやりましたよ。プロレスをやりましたよ。そのうえで完敗でしたね、今日は」

――ようやくお客さんの前で試合ができる状況になったタイミングで、前哨戦もなく、田中選手とタイトルマッチができたことは、竹下選手にとってよかった?

▼竹下「もちろん良かったですし。今はコロナが凄い脅威で、本当に大変な事態だってわかっているし、それで大変な思いをしている人もいっぱいいるってわかっているんですけど、こんな言い方は語弊があるとあれなんですけど、田中選手との試合が決まって約1ヵ月ですか。僕はコロナのことなんかほとんど考えることがなかったですね。この約1ヵ月は、田中将斗選手のことだけを考えて、思って過ごしたんで。確かに無観客試合もありましたし、中止になった試合、行けなかった地方もいっぱいあって、それは悔しい気持ちなんですけど、コロナのことはあんまり考えてなかったですね。田中選手のことだけを思って、この1ヵ月は過ごしました」

――一歩届かなかった部分は?

▼竹下「一歩届かなかったのか、何歩も届かなかったのか、ちょっとわからないですけど、でも今日の試合を当時の竹下少年が見たら…。竹下少年は子供ながらに厳しい目線で見るファンなんですよ。結構厳しいんですよ。でも、竹下少年を唸らせる試合ができたんじゃないかなと思います。それだけは自信を持って言えることですかね。だから、今日もプロレスラーになってよかったな、プロレスやっててよかったなと思いますし、プロレスラーになろうと決意してくれた竹下少年に今日の田中将斗戦は捧げたいと思います」

――さいたまSA大会に向けては? いつどこ権を狙う手も、タイトルと関係なくやりたい相手とやるという手もあるが?

▼竹下「確かにスーパーアリーナはもうあっと言う間だなと思うし、DDTの1人のトップランカーとして、そこのメインイベントとか考えないといけないんですけど、本当にね、この1ヵ月は今日のこの試合のことしか考えてなかったから、正直何にもないですね。明日からのことも何も考えてないし。本当に懸けてましたんで。本当に完敗です。完敗なんですけど、1つ有言実行できたことは、田中将斗の土俵で戦えた気はしています。で、何度も言うようですけど、僕が見て憧れていた田中将斗選手と戦えたと思っています。それは自負しているんで。凄いベタな言い方ですけど、今日の経験を今後も活かしていきたいと思うんですけど、今は燃え尽き気味です。明日から頑張ります。明後日も金沢で6人タッグ選手権もあるんですけど、今は考えられないんで、明日から頑張ります」


【坂口の話】
▼坂口「DDT制覇するとか言ってたけどさ。竹下がやられて、HARASHIMAがやられて、遠藤がやられて。ヤツらもDDT、俺もDDTだから。あのベルトをDDTに戻さないでどうする? 誰がやる? いつどこ持っているヤツらは何をやってんだよ? よそ様にデカい顔をされて、なんで誰も立ち上がらないんだ? なら、俺が取り返すよ。絶対にだ。で、樋口に剣を取らせて、スーパーアリーナで坂口vs樋口をやってやるよ」

――田中選手の印象は?

▼坂口「強いよ。尊敬もしているよ。一度負けてるしよ。ただな、俺は大人じゃねえからさ。勝つまでいくからな。どっちかがぶっ倒れるまで、『もう勘弁してください』と言うまで、俺はとことんいってやる。そこら辺の腹の括り方が田中将斗と違う」

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